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2023年01月15日 Sun

コラム「古民家から暗い寒いを取り除く」

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古民家は生きています。

わたしたちは、「古民家の再生」によって新築を超える「新しい住まい」をつくることができると考えています。

本来、古民家は、太くて丈夫な木材と健康に良い自然素材でできています。

長い年月を生きた古民家は貴重な財産ですが「暗い」「寒い」が理由で壊されています。

それならば、その理由を取り除けば、更に長く生きることができると考えました。

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古民家から「暗い」「寒い」を取り除く

古民家が失われる原因は、「暗い」と「寒い」の2つです。

本来、土壁や木材は温もりのある暖かい材料だと思われています。

しかし、実は土や木は、素材としては熱伝導率が良くて熱を通しやすく、「熱(ねっ)橋(きょう)」となり熱が逃げやすいのが事実です。

また、古い建物では気密の良くない建具のために、開口部から隙間風が入るので「寒く」北側に開けた窓は「うす暗い」のです。

そこで、古民家を「暖かく」「明るく」するには壁や屋根に断熱材を充填し窓を設けて、温熱性能を上げるために、ガラスを二重にして更に、隙間風をなくすことです。

「暗い」部屋は極端に明るくしたり、温めたりする必要はありません。南側の窓を大きくすることで暖かくて明るくなります。つまり「寒い」「暗い」を取り除けばいいのです。

そこで、古民家の「架構」に着目しました。本来日本の民家は軸組工法で造られているので、柱・梁を残せば開口部は大きく採ることができます。つまり、庭木の葉表を見るために北側の窓を開け、日射を取り込むために南窓を大きく採るのです。

また、古民家は、石の上に柱を置いていましたから、地面に近い柱の根元が、湿気で腐ることを恐れ、床下を通気することが一般的で、床下を大きく開けていましたが、そのために床下から冷えてくるので、床面を暖める必要があります。

そこで、松井事務所では、古民家といえども、床下を塞ぎエアコンを沈め、周囲に断熱材を張って、温風を吹き込みます。

床下エアコンで1階の室内温熱環境と床下を同じにするために床面にはガラリを設けます。

ガラリはガラス窓の冷気が下がってくる場所が有効です。冷えた空気は重いので、床下から温風で対流を起こし、室内を最適な温度にしてくれます。

床下を密閉することに伝統的な職人たちは抵抗を感じるかもしれませんが、竪穴式の縄文時代から床を掘り下げて囲炉裏を炊き、一年を通じて地面を温めて、半年後に戻ってくる地熱を利用して寒い冬をしのいできたと言います。そのことを考えると、床下エアコンはとても合理的です。

わたしたちは、古民家の「暗い」「寒い」を取り除き、これからの「みらい」に向けて「再生」を実践しています。

「懐かしくて新しい古民家再生」をHPからご覧ください。

開放的な日本家屋の座敷。庭木の葉表を見るために庭は北庭を良しとした。

竪に掘り下げた土間に、一年を通して囲炉裏を炊いて、地熱が5ヶ月遅れて冬にもどってくるのを待った。

エアコンの温風を床下に吹き、冷気の降りてくるガラス面を温めることで、室内に対流を起こしている。

イラストは「初めての人にもできる!古民家再生絵本」ウエルパイン書店 

アマゾンから買えます https://onl.sc/1rZugLT

2023年01月12日 Thu

コラム「ご家族の笑顔のために」

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いつか古民家になる「美しい木組の家」をつくりたいと願ってる松井郁夫です。

今回のコラムは、当事務所が取り組んでいる家づくりのための「心がけ」について描きました。

一家団らんのお住いをつくることを目標に、「ご家族の笑顔のために」をお届けします。

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みんなの笑顔のために

しあわせな家庭は、ご家族の笑顔から生まれると思います。

わたしたちは、住まい手の方々の笑顔が見たいという想いで、家をつくっています。

家族の一人ひとりが、日々を生き生きと暮らすことができるような、みんなが集える広間と時には一人になれる個室があって、団らんの場が中心で必要なときはプライバシーの守れる家です。

小さなお子さんがいる間は、お子さんの成長に合わせて部屋を模様替えすることができる、仕切りのない部屋から始めることも出来ます。

ライフステージに合わせて子育てを楽しめる家です。自然素材に囲まれた、豊かさを感じる心地の良い家でもあります。

また、雨や風にも負けない丈夫な家で、暑さ寒さを取り除く快適な家にするためには、構造や性能の向上を図る必要があります。

わたしたちは、幸せな家庭の「笑顔のために」木の家づくりを行っています。

 

 

2023年01月11日 Wed

コラム「職人とつくる木組の家」

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いつか古民家になる「美しい木組の家」をつくりたいと願ってる松井郁夫です。

今回のコラムは、手仕事を実践してくれる職人はどれだけいるのか考えました。

本日は「職人とつくる木組の家」をお届けします。

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木組の家づくりは、伝統的な「継手・仕口」をつくることができる職人と共につくります。

それには、金物を使わずに架構を組み立てることが出来る「技能」が必要だからです。

「技術」は本や写真で学べますが「技能」は実務から身に着けます。経験が全てですから実績を積んだ職人が必要です。現在は職人不足で、技能を持った人を見つけることが大変と言われています。

わたしが事務所を開いたときには、大工には困りませんでした。基本的には近所の職人と共につくることをテーゼにしていましたので、まだまだたくさんいた、地域の職人たちと楽しく仕事ができていました。ありがたいことに、今でもその時の職人たちと一緒に仕事が出来ています。もちろん年老いて引退した人も多くいますが、新しく知り合う若い職人もまだまだ手仕事が好きな人もいます。

問題は手間賃です。時間の掛かる手仕事に対価を払う工務店が少なくなりました。プレカットが大半です。

そこで『ワークショップ「き」組』では、大工に限らず下職にも、十分腕をふるってもらい、不足のない手間賃を払うことを前提にしています。

最近ではSNSの力で、応募を掛けると手仕事の職人が来てくれます。20期続いている「木組のデザインゼミナール」を受講する職人さんも毎年いて、木組の家づくりを手伝ってくれています。また、わたくしが講師を務めた「大工育成塾」という塾が国土交通省の「国家プロジェクト」が15年続いたのですが、その教え子も一緒に仕事をしています。

伝統的な木組の仕事は、職人にとっても魅力なのでしょう。プレカットで仕事をしている職人でも、機会があれば手仕事でつくりたいと思っています。職人は、「図面を書いてくれれば手仕事もやるよ」と言ってくれます。「手仕事」と「木組」にこだわり続けることで職人もいますし、仕事も継続できます。金物を使わないで家が欲しいというオーナーの方も必ず現れます。

2023年01月10日 Tue

「小平の古民家再生」進捗報告⑤

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古民家は生きています。むかしの大工技術は、世界に誇る日本の伝統構法です。

いまなお全国に残る古民家を昔ながらの石場建てで再生し、次世代につなぐことを使命に、新築を超える快適な住まいをつくりたいと考えている松井郁夫です。

現在進めている「小平の古民家再生」現場の進捗報告です。

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昨年より取り組んでいる「小平の古民家再生」が室内の壁を塗り終えました。

茶室の炉壇もきれいに上がっています。左官職人は伊藤博文さんです。腕の良さは名人・榎本新吉ゆずりです。

これからは電気設備と建具の工事にかかります。2月の末に竣工の予定です。

内覧会のお許しがでましたので、追ってご案内します。乞うご期待!

2023年01月09日 Mon

コラム「関東大震災から100年」

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いつか古民家になる丈夫で長生きの「美しい木組の家」をつくりたいと願ってる松井郁夫です。

今年は、大正12年に発生し甚大な被害を出した「関東大震災」から100年になります。

そこで今回のコラムは、当事務所が取り組んでいる「地震に強い家づくり」をお届けします。

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今からちょうど100年前の大正12年には「関東大震災」がありました。

9月1日正午ごろ、マグネチュード7を超える巨大地震が関東地方を襲いました。

死者・行方不明者は10万5千人で、明治以降の地震被害としては最大級でした。

お昼時ということもあって火を使っている家が多くて火災によって亡くなった人がほとんどだったといいます。

また、28年前の1995年1月17日未明に発生した「阪神淡路大震災」では、6434人の人がなくなりました。8割が、建物や家具の下敷きになって亡くなったのです。当時40歳だった私はこの地震をきっかけに「丈夫な家づくり」を目差すことを使命にしています。

さらに、12年前の2011年3月11日の「東日本大震災」では津波による被害が大きく、多くの方が溺れてなくなりました。

災害大国・日本で暮らすわたしたち建築に携わる者の使命は、建物を丈夫につくり人の命を守ることです。

当事務所では、「阪神大震災」以来、伝統構法による地震に強く倒れにくい「木組の家」を実践しています。

伝統構法の木組の家の耐震性能の高さは、2008年から2011年に行われた実大実験で実証されています。

わたしたちは日頃から、地震に強い家づくりを目差しています。

 関東大震災 大正12年 9月1日

 浅草・傾いた凌雲閣「十二層」

 1995年1月17日 阪神大震災・長田町

2011年3月11日

東日本大震災・津波

 

 

 2008年 実大実験

2023年01月06日 Fri

コラム「自然素材の家づくり」

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いつか古民家になる「美しい木組の家」をつくりたいと願ってる松井郁夫です。

今回のコラムは、当事務所が取り組んでいる「自然素材の家づくり」をお届けします。

快適な体感温度につて書きました。

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自然素材を使うわけ

わたしたちのつくる家は、無垢の木と漆喰の家です。柱や梁には、無垢の木を使います。木は杉や桧です。壁には漆喰や土壁を使います。漆喰は無垢の木との相性がよく、白い土壁との美しいコントラストをつくり出します。

自然素材の体感温度の良い家です。いわゆる石油から作り出した化学物質ではないので、シックハウスはありません。

快適な体感温度は、室内の温度では決まりません。室温と周壁の温度の平均値が体感温度となります。例えば、室温が15度で壁の温度が25度ならば、体感温度は20度となり快適に感じます。エアコンなどの強制的な室内空気温度の設定は、むしろ不快な室温になってしまいます。

無垢の木や土壁などの自然素材は、内部に熱を蓄熱して輻射熱として放熱します。この輻射熱が多孔性の壁を持つ室内の人にとって心地よいのです。

これはビニールクロスを貼った室内では体験できません。壁の素材が呼吸しないからです。

木も土も多孔性の素材です。表面は滑らかですが、目に見えない小さな孔がたくさん空いていて、室内の湿度の高いときには、孔の中に湿気を呼び込み、乾燥していると孔から湿気を放出します。「吸放出性能」と言います。

どちらも湿気や温度を調節する「調温湿機能」も持っているのです。

つまり、人の皮膚と同じような働きをするのです。床に無垢の木を使い、壁に漆喰を塗り、天井に無垢の木を貼れば、中で暮らす人は快適な気持ちになるはずです。

人は昔から地球上の生物や鉱物などの自然の素材を利用してきました。

人も自然の一部と考えれば、土や木は最も親和性のある素材です。その素材を使って家をつくるのであれば、その家の居心地はきっと良くなります。

無垢の木や土壁の家は、地球資源として持続可能な素材であり、素材の美しさや、使い勝手は快適な空間を約束してくれます。まさに真の豊かな空間をつくるのです。

 

 

 

2023年01月04日 Wed

コラム「わたしたちのつくる家」

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あけましておめでとうございます。

いつか古民家になる「美しい木組の家」をつくりたいと願ってる松井郁夫です。

新年最初のコラムは、当事務所が取り組んでいる「わたしたちのつくる家」をお届けします。

今年も、よろしくお願いします。

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わたしたちのつくる家

わたしたちは、丈夫で美しい「木組」の家をつくります。

木の家は、古来より伝わる骨組みをつくる「木組」が大切だと考えています。

全ての柱や梁の見える「真壁」しんかべ というつくり方です。

地震や台風に襲われる日本では、家は丈夫でなければなりません。

また、美しい家は、無垢の木や土などの「自然素材」をふんだんに使いプロポーションの良い家だと思います。

心豊かな生活とは、「本物」の素材に囲まれて暮らすことで、実感することができます。「本物=本来の物」と考えれば、「本来の物」はむかしからの素材でつくられてきた「古民家」を見るとよくわかります。

「古民家」の豊かさは、長い時間を生きた智恵と工夫に溢れる丈夫な架構を持ち、無垢の木の味わいが時間が経つほどに増し、古くなっても美しくなる姿を実感できることだと思います。それを「経年美化」と呼びます。

住まいは、「美しい」空間と「快適性」を備え、住まい手の「立ち振る舞いを美しく」する、佇まいであることが大切だと考えます。

控えめで暮らしの邪魔をせず、細部にまでこだわるデザインを「美」ととらえ、実用的な「用」は環境を壊すことなく、長い時間の生活の変化を楽しめることです。

「木組の家」は風景に溶け込み、心に響く原風景をつくリます。耐震性と温熱性を向上させることで、安全性と利便性を備えた心地よい「住まい」を実現します。

木は、植えて育てれば「無限の資源」です。森を育て、天然素材を提供する「山」と、伝統構法を実践する「職人」豊かな暮らしを提案する「設計者」の三者が協働して、幸せに包まれた家庭をつくりたいと思います。

わたしたちは、環境にも人にも優しく長く愛されて「いつか古民家になる」「美しい木組の家」をつくります。

2023年01月02日 Mon

「鶴見の古民家再生」現場報告

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日本が誇る古民家に学び継承する「古民家再生」を使命だと考えている松井郁夫です。

進めております「鶴見の古民家再生」現場に年末の納めに行ってきました。

遅れていた現場ですが、ロフトの断熱施工も終わり、お風呂や洗面所が出来つつあります。

和室やリビングの天井が素敵です。来年の3月には完成と聞いていますが、もう少しかかるでしょう。

最後の詰めですから、慌てず丁寧に仕事を進めていただきたいと思います。

2023年01月02日 Mon

「小平の古民家再生」現場見学会

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日本が誇る伝統構法の原点「古民家再生」を使命だと考えている松井郁夫建築設計事務所です。

年末には、何度か進捗報告をさせていただいている「小平の古民家再生」現場に「木組のデザインゼミナール」の受講生の見学会に行ってきました。

講座では古民家の定義や、歴史的変遷などをお話していますが、実際の現場を見て実践力をつけてもらうことが目的です。床下も天井も閉じた状態の見学なので、これまでの工事の経過や改修内容を写真や図面で説明しながら見ていただきました。

その後、場所を変えて忘年会。年の瀬の良い締めくくりになりました。

2023年2月末には完成の予定です。その際には完成内覧会をお願いしています。

 

2023年01月01日 Sun

2023年 謹賀新年

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2023年 あけましておめでとうございます。

松井郁夫建築設計事務所は、設立38年を迎えました。設立以来、「生まれも育ちもわかる」日本の山の木を使い、職人の手仕事による伝統の「木組の家」をつくり続けています。

昨年2022年は、激動の年でした。毎年激しくなる気候変動の中、コロナ禍は第7波に突入し、ウクライナとロシアの戦争が始まり、首相の銃撃事件が起き、国民の反対多数にもかかわらず国葬が強行され、政界がカルトに支配されていた事実が明らかになったにも関わらず、関係した議員は辞めることもなく、上がり続ける物価は、建設物価も例外ではなく、国防費が税金から支出されることが国閣議決定され、まるでパンドラの箱を開けたような混沌の年でした。

この世相を切り裂くには、パンドラの箱に残っていた「希望」を信じて「暗黒の中の一筋の光」を自らの努力で手に入れるために、一人ひとりの意思をはっきりと表明し、声を上げ、信じられることを貫くことだと思います。

松井事務所では、本年も「山と職人と住まい手をつなぐ」「木組の家づくり」と「むかしといまをみらいにつなぐ」「古民家再生」を継続し社会に貢献しながら、健康と幸せを実現する快適な住まいを提供します。今年も、変わらぬご愛顧をよろしくお願い申し上げます。

卯年元旦       代表取締役 松井郁夫

2022年12月30日 Fri

正月休みのお知らせ

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松井郁夫建築設計事務所は、お正月のお休みを2023年1月5日までいただきます。

お休みの間にもメールはつながります。

今年は激動の年でしたが、来年に希望をつなぎましょう。

みなさま良いお年をお迎えください。

2022年12月30日 代表取締役 松井郁夫

2022年12月24日 Sat

ホームペイジを再度リニューアルしました!

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以前リニューアルいたしましたHPを、再度更新して、新しいページにしました。

さらに見やすく、美しくなった画像から訪問してください。

 

2022年12月24日 Sat

メリークリスマス

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2022年12月17日 Sat

コラム「持続可能な森林経営の勉強部屋」の講演をYou Tubeにアップしました。

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いつか古民家になる「美しい木組の家」をつくりたいと願っている松井郁夫です。

今日は、松井事務所が取り組んでいる「山から考える木組の家」ついて講演したzoomセミナーのご紹介です。

少し長いですが、お時間の許す方はぜひお聴きください。よろしくお願いします。

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先日11月12日に「持続可能な森林経営の勉強部屋」で講演した動画を、You Tubeにアップしました。

主催者の藤原敬さんは、元林野庁にお勤めで、外国からの木材が多くの重油を使って運ばれてくることに異議を唱えて、流通経路と重油使用量を明らかにする「ウッドマイルズ」という概念で、できるだけCO2を出さない国産材を使うことを提唱している方です。まさにSDGsの考え方に合致する考え方で、松井が取り組む国産材の「トレーサビリティ」や「古民家再生」にも通じる概念です。

今回は、松井事務所が取り組む「山から考える木組の家」についてお話させていただきました。

1時間40分のzoomセミナーですが、お時間のある方は下の画面からご視聴ください。木の建築に関係する人たちには、ぜひ聞いていただきたい内容です。

 

 

2022年12月15日 Thu

「京都の木組の家」始まります。

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いつか古民家になる「美しい木組の家」をつくりたいと願ってる松井郁夫です。

今日は、当事務所が取り組んでいる新築の家の「プロジェクトレポート」をお届けします。

今後もご報告いたしますので、よろしくお願いします。

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ありがたいことに「木組の家」には、全国に根強いファンがいらっしゃいます。

今回は京都のご夫婦で、金物に頼らない手仕事の家づくりをご要望されて、しばらく設計者を探されていたようです。

いろいろな方にご相談されたようですが、最後にネットで松井事務所にたどり着いていただきました。

いくつか気にされていることがあり、ご連絡を躊躇されていたとお聞きしています。

それは、「木組の家」の良さは共鳴できるが、以下の点が心配だということでした。

①手持ちの予算でできるのか?

②HPで見ると、松井事務所は敷居が高いのではないか?

③東京から地方の仕事はできるのか?

④近くの職人さんを頼めるのか?

⑤その他もろもろ…

そこで、ダメ元でウチに連絡されて、Zoomでの初顔合わせとなりました。

その際の第一印象がお互いに良かったので、早速、敷地を見せてもらいに行きました。

お話を伺うと、予算も敷地も充分でしたし、地方の仕事は、松井事務所のネットワークを使えば、全国で建設可能です。

まず、建築と庭の工事費と設計料や消費税の全ての経費を合算した「工事費の目安」を提示させていただき、安心していただきました。

ちなみに松井が「職人がつくる木の家ネット」を最初に立ち上げたときには、事務局を務めていたことと、雑誌の取材で全国の伝統構法の職人を訪ねて歩いた「日本列島・伝統構法の旅」を執筆したことから、日本中に知り合いの大工職人がいます。

また、木組に熟知した「ワークショップき組」という「木組のデザインゼミナール」のOB仲間も全国のメンバーとして活躍しています。

今回もご依頼人の隣町に、木組みにこだわる大工職人の知り合いがいました。ご依頼人にもご紹介させていただき進めることになりました。

先日は、渋谷にあるオリジナルキッチンのショウルームにご案内させていただき、当事務所にも来ていただきました。

すでにご要望や敷地の図面は「要望シート」で頂いておりましたので、敷地の形状に沿って一案描いて、模型をつくってご提案させていただきました。

南に正対した30坪の平屋です。敷地が低いので基礎を高く建物を浮かせて水害に備えます。

敷地内の樹木はできるだけ活かし、浴室からも眺めることができます。間取りは、南と北に風と視界の抜けるワンルームです。

一案目は「たたき台」ですので、これから更にご意見・ご要望をお聞きして進めることになります。

松井事務所では、多くの方に、ここちよくゆたかな「木組の家」に暮らしていただきたいと考えておりますので、決して敷居は高くありません。本人もいたってフランクな性格です。(笑)

完成まで現場に通うことになります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

2022年12月13日 Tue

「鶴見の古民家再生」進捗報告

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古民家は生きています。世界に誇る日本の伝統技術は、むかしからの大工仕事のことです。

松井郁夫建築設計事務所では、いまなお全国に残る古民家を、伝統構法で再生することを、使命にしています。

今回は、現在進めている「鶴見の古民家再生」現場の進捗報告です。

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大正12年の関東大震災で被災した家を修理して住んでいた鶴見の古屋を再生しています。

古民家と呼ぶには、時代が新しいのですが、仕事は立派な古民家並みです。

丈夫な架構が残っていた大正時代の母屋を中心に新しく水回りを改修し、昭和に増築された二階建ては架構も華奢でしたが、耐震補強をして直します。

母屋の座敷は天井を取り払い、太い梁を露出してその上に葦の天井を張りました。断熱材も充填して温熱向上を目差します。

大型の木製窓はオリジナルで気密の良いWガラスです。ロフトに上がる階段はコンパクトに手すりと親柱を一体化しました。

桧板張りの浴室も徐々にできてきました。まだまだ時間がかかりますが、ここに来て一気に仕事が進んでいます。

3月の完成が楽しみです、早くみたいですが…。

2022年12月11日 Sun

「小平の古民家」進捗報告④

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古民家は生きています。むかしの大工技術は、世界に誇る日本の伝統構法です。

いまなお全国に残る古民家を昔ながらの石場建てで、次世代につなぐことを使命にしている松井郁夫です。

現在進めている「小平の古民家再生」現場の進捗報告です。

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ゆっくりと進んでいる現場ですが、内部の壁塗りが始まりました。

和室は土壁です。現場でサンプルをつくってもらい、藁の量の調合を確認しました。

その他は漆喰壁です。内部の壁ができると、完成後の姿が想像できます。

完成は来年2月の末になりそうです。

2022年12月10日 Sat

コラム「名編集長 故・土松三名夫さんのこと」

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みなさんこんにちは、いつか古民家になるような丈夫で美しい木組みの家をつくりたいと想い続けている松井郁夫です。
このコラム欄では、日々の設計から考える家づくりのことや環境問題のことなどを綴っています。

今回は、お世話になった編集者「故・土松三名夫さん」について描きます。

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「君にやってることは大切なんだよ!」と言って建築出版社老舗、彰国社の編集長が声をかけてくださったのは24年前の1998年ことです。

その年の季刊誌ディテールという建築雑誌138号に「木組の家」を2題とりあげていただきました。その彰国社の編集長「土松三名夫」さんが亡くなったことを最近、友人のFBで知りました。

2004年には、わたくしの初めての単行本「木組の家に住みたい!」を編集していただきました。

本を出版することを知らない設計者に、何度も編集室に呼んでくれて、文章を入れ替えたり、文字の校正を繰り返し何度も指導してくれました。

あまりの頻度の多さに、こちらが辟易した時には「本は縦横の糸を編むようにつくるから、編集と言うんだよ」と優しく諭してくれました。

その根気強さのおかげで、「木組の家に住みたい!」は6版を重ねロングセラーを続けております。

また、文章が読みやすいせいか、中学校の国語の試験問題にも採用されました。

土松さんには、書道の趣味があって、都立美術館にその作品を見に行ったこともあります。わたくしも書道は「若越書道会」3段の免許を持っているので話が合いました。

わたくしが現在「ウエルパイン書店」という出版社を設立できたのも、土松さんから本の編集について教わったおかげだと思います。

今になって、もっともっと本の編集について相談できたらよかったのにと悔やまれます。

退職されてから連絡が取れなかったので、突然の訃報に驚いております。

大変お世話になりありがとうございました。

どうぞごゆっくりお休みください…合掌…。

やなぎや薬局

西糀谷の家

2022年12月09日 Fri

コラム「UNBUILT・Project」

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みなさんこんにちは、いつか古民家になるような丈夫で美しい木組みの家をつくりたいと想い続けている松井郁夫です。
このコラム欄では、日々の設計から考える家づくりのことや環境問題のことなどを綴っています。

今回は、不幸にして建たなかった「UNBUILT・Project」について描きました。

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建てば素敵な家になったのに…日頃の心がけが悪いのか?なにか祟りがあるのか?

建たなかった家のトホホな特集です。(笑)

2022年11月29日 Tue

「小平の古民家」進捗報告③

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現在工事中の「小平の古民家」の再生現場から進捗状況をご報告します。

この古民家は、江戸時代に小平の新田開発に尽力した郷士のご実家です。

2021年6月より設計をはじめて、2022年2月に実施設計を終え、解体工事が始まりました。

入り母屋造りの茅葺き民家の写真も残っており、当時からかなり裕福な家であったことが伺えます。

昭和になって屋根は瓦に葺きの入母屋造りに替えられ一回り大きくなりました。土間部分が増築された様子が写真と小屋裏の痕跡からもわかりました。

今回の再生は、先祖の建物に新しい用途を与え、重厚な外観となりました。住まいとは別の用途を加えて住み継ぐための大改修です。

まず入り母屋の「式台玄関」は残し、中央の部屋は「板張りの広間」とし、生け花のアトリエ兼展示室とします。畳敷の座敷は茶道のできる「茶席」として炉を切り水屋を付けます。

増築部の土間は、新しい台所と生花の水場を兼ねてオリジナルシンクと調理のできるストーブを据えます。シャワー室にもこだわり建物全体は趣味の家となります。

現場は外壁の断熱や仕上げと小屋裏の断熱材工事を終えて、室内の壁仕上げ工事に入っています。解体中は間取りの分からなかった室内も壁ができてだんだんに様子がわかるようになりました。

仕上げの土壁や漆喰壁、タイル工事はこれからですが、無地の桧の板も張り終えて「床下エアコン」の設置が終われば、完成を待つのみとなりました。

途中経過ですが、むかしの茅葺きの頃の外観と工事現場の写真をお送りします。解体中に大きな足固めの存在がわかりましたが、その補強がポイントです。

 

 

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