プロジェクトレポート
2025年03月14日 Fri
木造建築を設計するとき、柱や梁を見せるか見せないか「真壁」にするかしないかでは進め方が全く違います。
まず「大壁」では考えられない効果があります。
「真壁」の場合は平面に柱の位置を置くと同時に、展開図のデザインが決まってしまうことです。
柱の配置がそのまま展開の壁に出てくるので、室内の壁や天井に現れる柱や梁が、そのままインテリアデザインになってしまうのです。
そもそもインテリアの概念は「大壁」の室内のデザイン手段として描くもので、なにもない壁に自由に窓や柱を置くことができます。
その場の柱は付け柱であり構造を負担しないので、自由に抜いたり入れたりできるのです。
ところが「真壁」では柱を置いた途端に構造とは切っても切れない関係ができるので、簡単に動かすことができない。柱が「構造=骨組」を規定するからです。
大壁で作った室内に適宜つけ柱や梁を施す「大壁・真壁」という呼び方があるくらいです。
かつての「白井晟一」の建物はまさにそれでした。
そのことが著名な木造設計者をしても「真壁は難しい」といわしめる由縁です。
しかし「真壁派」としてはその逃げのないスリリングな設計が面白い。
簡単に間取りの変更を許さないので施主の要望には苦労するが「架構と間取りの合致」を指向する設計者にはその苦労を超えて余りある。
その達成感は木造軸組工法の醍醐味である。
2025年03月11日 Tue
「大宮の平屋」
配筋工事が終わりました。
基礎工事の範囲を見ても大きな建物だとわかります。
これから大宮通いが始まります。乞うご期待!
2025年03月07日 Fri
進めております「天橋立の平屋」は現在室内の造作工事に入りました。
高床式で「懸造り」の「せがいづくり」というダイナミックな架構です。
貫工法の伝統を引き継いでおります。
早くシートが取れてみなさまに公開できることを楽しみにしております。
いま少しお待ち下さい。
2025年03月06日 Thu
「日本列島伝統構法の旅」を電子版にて復刻しました。
伝統的な家づくりにこだわる全国の大工棟梁を取材した記事です。好評だった建築知識連載の1997年から1999年まで日本列島を縦断して描き下ろした記事です。日本の伝統技術がユネスコの無形文化財に登録になったいまこそ、本来の日本の家づくりを考えるときだと思います。
Kindle版で買えます。どうぞご覧ください。
https://matsui-ikuo.jp/wp/wp-admin/post.php?post=22950&action=edit&classic-editor&classic-editor__forget
2025年02月28日 Fri
木の家を建てようとすると、必ず直面することに「構造」の問題があります。気になるのは柱や梁の「架構」です。そこで見直されてくるのが、丈夫で長寿命な「古民家」の架構です。柱や梁の架構に制約の多い木組ですが、古民家を実測しながら基本的なルールを身につけることで設計の自由度もアップし、美しい木組の家をつくることが出来ます。
金物に頼らない木組の家づくりを目指して、古民家の架構から学ぶ本講座で実践力を身につけスキルアップを目指しませんか。
22期をむかえる本講座では、伝統的な「木組」の技術に加え2025年度からの省エネルギー法義務化にも対応する「温熱」向上の手法を学び、実務者に必須の数値化を身につけていただきたいと思います。意欲ある受講生を募集しております。
これまでに21期続いた「木組ゼミのデザイン」ゼミナールでは、約247名の「木組の家」づくりの専門家を世に送りだしてきました。全国から集まる受講生は、ゼミ終了後、南は沖縄から北は北海道まで、各地でその実力を発揮しております。有志でつくる「ワークショップ「き」組」メンバーは全国で13名となりました。
さらに古建築の利活用である「古民家再生」は、今や時代の要請です。壊してはいけない素晴らしい古民家が解体の危機にひんしているのです。現在、全国で起きている空き家問題も、歴史的な建物にも及んできました。空き家も宝物です。
そこで人気の「古民家再生講座」は「実測調査」で架構を読み、耐震向上の技術を身に着け、さらに「暗い」「寒い」の解決に向けた温熱の向上を目指して「温熱講座」も開催します。受講生にはもれなく温熱計算ができるソフトも配布します。
いまや民泊法により古民家の利活用は、設計者の取り組む大切な仕事となりました。古民家の再生は伝統的な木組みの理解なしでは進められません。
全国で多くの古民家再生を実践してきた当事務所では、「漢方の本陣」が「2019日本エコハウス大賞」を受賞いたしました。そのノウハウを元に「古民家再生講座」では、古民家の「実測」から始まり「限界耐力計算」による耐震計算や温熱計算の実践を学びます。
「木組講座」では、2008年より5年間、国土交通省による伝統構法の実大実験検証委員会に参画した「木造住宅【私家版】仕様書」執筆メンバーが、みなさんを基本設計から伏図の書き方や模型づくりまでを添削指導いたします。リモート講座ですが、木組の架構を理解しながら軸組模型をつくることで、受講後は実際の家づくりに役立つ、実践力を身につけることができます。
対象は「木の家づくり」を実践したい設計者および施工者です。初心者も歓迎します。
また毎年大好評の、岐阜県立森林文化アカデミー講師・辻充孝先生による「温熱計算ツール」を入手できる講座が人気です。
木造住宅を古民家から学び、丈夫で、快適で、燃費の良い「木組の家づくり」を身につけませんか?
講座は「古民家再生講座」と「木組講座」「理念・温熱講座」の3講座制です。どの講座からでもお申込できますが、一貫した講義内容になっておりますので、全ての講座の受講をおすすめします。
また、単発のスポット受講も可能です。実際の建物の架構を指導する実践コースもサポート体制として用意しております。修了生にはワークショップ「き」組メンバー参画の資格もあり、実践事例も増えています。
わたしたちは、伝統的な民家をつくってきた大工技術と森林保全につながる木材の循環の仕組みから、省エネルギーにつながる木の家づくりを実践しています。
「地球沸騰化」と言われる時代に「省エネルギー」は時代の必須です。日本の誇る木組の仕組みと温熱環境向上を目指して、みなさんと共に未来へつなげていきたいと思います。
全国の実務者の皆様のご参加をお待ちしております。
ワークショップ「き」組 代表理事 松井郁夫
2025年02月25日 Tue
ブログ | プロジェクトレポート | 江古田の家Ⅱ
最近の木造住宅の投稿を見ていると柱や梁を壁の中にしまい込んだ「大壁」が多い。人気のある設計者の建物が「大壁」ばかりなので、その影響も大きいと思われるが、いつの間にか「骨組」を見せない「壁式」が主流になってしまった。木の家は架構と言われる「軸組」が主構造で「木造軸組工法」と呼ばれているのが本来の日本の構法である。
プレカットが主流であることも大壁の理由であろう。プレカットは加工の都合上接合部に金物がなくては成り立たない構造なので、金物を隠すためにはボードでくるんでしまう必要があり「大壁」が必然となる。
しかし、木材を壁の中に入れてしまうことは湿度の高い日本では材が蒸れて腐ってしまう危険があり、避けられてきた工法であった。
柱や梁を露出させる工法は「真壁」と呼ばれ昭和の中頃までは当たり前のつくり方であった。その場合壁には土が塗られてきたのであるが今や「大壁」に「ビニールクロス」仕上げである。
私の事務所では開設当初から「真壁」を標準にしており、柱梁は国産材の無垢の木、壁は「真壁」の「木組」に漆喰仕上げである。「大壁」「ビニールクロス」を採用する時は事務所を辞めるときだと心に決めている(笑)
「真壁」の利点は室内に居てすべての構造が目に見えるので、力の流れを実感できる「安心感」がある。
古民家はほとんどが「真壁」で「土壁」であるが、中にいるときに感じる気持ちには「癒やし」や「安心感」もある。
この仕様に慣れてくると「納得の家づくり」ができるので、これからも「真壁」の家つくりを実践し続けたいと思う。
2025年02月17日 Mon
無二の親友がなくなった…
大学を出て最初に勤めた藤本昌也先生の「現代計画研究所」で机を並べていて、午前三時まで働いてそれから一緒に飲みに行った。
お互いに大酒飲みで朝まで飲んで僕が彼より早く10時に出社すると「まっちゃんはばけもんか?」と言われたぐらい一緒に飲んだ。
かたや茨城県一の常総開発の三男で育ちが違ったが、同級生だったこともあり仲良くしてもらっていた。
いまの事務所は石津くんからマンションの部屋を譲り受けて現在に至る。ありがとう! おかげさまで今があります。
茨城に帰ってから長く会っていなかったが、「上京したら飲もうぜ!」が毎回の挨拶だった。
悲しい…「ずずちゃん!ちょっと早いよ!」⋯御冥福をお祈りします。
合掌⋯
2025年02月10日 Mon
日本の近代建築の父と言われ多くの建築家に多大な影響を与えた「前川國男」の単行本が届きました。
東大建築学科を卒業と同時に「コルビジェ」のもとに入所した前川國男の一代記です。
両方合わせると1000ページを超えますが、しっかり読みたいと思います!
前川先生とは生前に一度お話をさせていただきました。後ろ姿に後光が指していて驚きました。とても象深い思い出です。
これからこの本を読んで「人間にとって建築とは何か」を問い続けた「前川イズム」に浸ります!
至福のときです!
2025年02月09日 Sun
本日「大宮の平屋」の地鎮祭が執り行われました。
広い敷地には大宮市の保護樹があります。この木の下に計画しています。
48坪の大きな平屋ですが室内はほぼ「がらんどう」にしています。
これからご結婚される息子さんたちの住まいにもなるからです。
どんなご要望にも答えられるように限定しない室内空間です。
住みながら造り続けられるようなオーナーとともに成長してゆくようになれば幸いです。
2025年02月06日 Thu
作品 | お知らせ | 漢方の本陣 | まちつくり酒屋・情報銀行 | 篆刻美術館
当事務所が設計して「登録文化財」に選定された建物は3棟あります。いずれも「古民家再生」後に選ばれました。
「むかしといまをみらいにつなぐ」というのが事務所のテーゼですので
設計した建物が文化財になるなんて、本当にありがたいことで感謝いたしております。
「篆刻美術館」茨城県古河市
「漢方の本陣」滋賀県長浜市木之本
「まちづくり銀行・酒屋」熊本県宮原町
2025年02月05日 Wed
「天橋立の平家」
「高床」で「せがいづくり」木組の家です。貫も入って架構の工事が進んでいます。
仕上がりが楽しみな家です。また報告します。
2025年02月05日 Wed
「大宮の平屋」
大宮駅から1キロほど東の敷地に大きな平屋の家が建ちます。
農家の広い敷地には森のように木々が生えていますが、その中の一本の樹の下に48坪の平屋を計画中です。
ご家族はお母さまと息子さん家族。みなさん成人しているので個室を広くとりました。
大きな屋根のゆったりとした間取りになりました。南に正対した連続窓の開口部のがきれいです。
2月8日に地鎮祭が行われます。これからが楽しみな家です。
2025年02月03日 Mon
2025年01月31日 Fri
わたくしごとですが、本日「古希」の日を迎えました。
30歳で独立して40年、ここまでやれてこれたのはひとえに皆様のご支援の賜物だと思います。
おかげさまで健康で晴れ晴れした気分です。仕事も順調でまだまだ意欲的です。
これからも引き続きよろしくお付き合いください。
2025年1月31日
松井郁夫
2025年01月17日 Fri
阪神大震災から1ヶ月後に現地に立ちました。震災の直後では復旧活動の妨げになると考えたのです。
折しも「日本ナショナルトラスト」の調査員に選ばれました。
大阪のホテルから現地に通い被災状況をつぶさに見て回りました。
その時の報告はニューズレターに印刷して各方面に届けました。いまほどメールが一般的ではなかったと思います。
ドキュメンタリーのような生々しい報告は、受け取った人の印象に強く残ったようです。
当時神戸で救済活動をしているまちづくりコープの小林さんや重村先生を訪ねました。
主に古い街を中心に歩きました。そこで気づいたことがあります。
古民家や土蔵の被害が少ないのです。
周りが潰れた家々の中で大きく傾いてはいても、倒壊していないのです。これには驚きました。
古い建物は変形しながら潰れる手前で踏ん張っているのです。
つぶさに見ると「貫」が倒壊を止めていることがわかりました。
もちろん新しい建物も多く倒壊をこらえていました。
朝日新聞の夕刊に「プレファブは残った!」という記事がでてしばらくプレファブ住宅が地震に強いと注目を集めました。
そこで「貫」を見直しそれからは新築するときには耐震構造に「貫」を採用することにしました。
後に国土交通省が伝統家屋の耐震実大実験をしたときにも試験体の設計を任されたときにも「貫」を採用しました。
「貫」は「めり込み」に強く「継ぎ手・仕口」は「摩擦」によって力を「減衰」することがわかりました。
むしろ「筋違」は梁を突き上げて柱を折ってしまうのです。
また足元はフリーのほうが建物を壊さないこともわかりました。
「阪神大震災」よって様々な知見が得られましたが、現在の建築基準法にはあまり反映されていません。
永田町が80年続いた法規を変えたがらないのです。
しかし「貫」は構造材として見直されても良い材料だと思います。
2025年01月17日 Fri
30年前の今日のこの日を忘れない!
阪神大震災はわたしの設計人生を変えてしまいました。
当時40歳だったわたしは、それまで建物の見栄えをばかりを気にしてデザイン優先の設計をしていました。
それなりに名前も売れていましたが、衝撃的な被災状況を目の当たりにして慌てて神戸に向かいました。
この目で確かめないとどうしていいのか答えが出せなかったのです。
「日本ナショナルトラスト」の調査団に加えてもらいまだ粉塵の舞う現地にたったときは一ヶ月が過ぎていました。それでも悲惨な光景に言葉を失いました。
地震で亡くなった人は6434人、そのうち建物や家具の下敷きになって命を失ったのは約5000人。
当時、建物の設計を生業にしている自分は責任を感じて、この日から「丈夫な家づくり」をしなければならないと強く思いました。
ちょうど「建築知識」という雑誌に「木の家づくり」について原稿を書き始めたばかりでしたから、急いでテーマを「耐震」に切り替えたことを覚えています。
雑誌ではその後2年にわたって「丈夫な骨組と成長する間取り」を連載しました。
わたくしはもともとデザイン科出身のため構造についてはアイデアがなく、共著の建築学科出身の小林一元さんや宮腰喜彦さんの力を借りて毎月書き続けました。
「誌上ワークショップ」として読者ともコラボレーシュを重ねて多くご意見をいただき、最終回には建築知識の会議室で全国の読者を集めて「公開ワークショップ」を行い項目ごとに仕様を決めました。
その成果をまとめたのが「木造住宅 【私家版】仕様書・架構編」(写真添付)です。おかげさまで、当時から30年間のロングセラーです。
その間「3.11」で「東北」が揺れたり昨年の元旦には「能登」が揺れて、いまさらながらに日本が地震国であることを痛感させられています。
これまでの多くの犠牲者に哀悼の意を表して、今日のこの日を一つの契機と考えて「地震に強い木造住宅」の設計にさらに精進してゆく覚悟です。
2025年1月17日 松井郁夫
2025年01月12日 Sun
「天橋立の家」
上棟しました。天候に恵まれ棟木が上がりました。
2025年01月10日 Fri
本日の建て方は雪のため中止です。明日は棟が上がりませんが、予定通り上棟式を執り行います。
2025年01月08日 Wed
建て方二日目
高床が組まれましたが、この後雪になりました。
2025年01月07日 Tue
「天橋立のせがい造り」建前始まりました。
一日目は高床のせがい部分から!
通し柱も建っていよいよ上棟です。
二日目も楽しみです。
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