東馬込の家

2022年04月16日 Sat

エッセイ「木造住宅の真実」

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「木造住宅」は、いつの間にか「骨組み」を語らなくなりました…。

最近の木の家づくりの傾向は「大壁」と言われる「柱」や「梁」を見せないで造る方法が主流になったのです。

白い壁に白い天井の箱のような家です。骨組みは、壁の中で構造の美しさを見せることもなく封じ込められています。

一方、美しい架構である「柱」も「梁」も見せていた「真壁」と言われるつくり方は、日本の伝統的な建て方でしたが、いまでは過去のものになってしまったのでしょうか?

「木造住宅」の工法的な名称は「軸組工法」です。つまり「軸」となる「柱」や「梁」で骨組みをつくることです。

古来より日本では、「杉」「桧」などの木が多く生えていたために、その直材の長所を使って「軸」どうしを「組む」ことで社寺などの水平垂直の構成美の「木造建築」を造ってきました。それが日本の伝統的な家づくりでもありました。

気候的に湿度の高い日本では、木材を現しで使うことは、素材の乾燥のためにも大切であったと考えられます。木を壁の中に入れてしまうと中で蒸れるからです。

しかしプレカットの登場によって、金物を使う工法が一般的になったために、金物を隠す必要が生まれ「大壁」が主流になってきました。その結果、金物を必要としない「継手・仕口」などの加工をする職人の手仕事が追いやられてしまったのです。

建築もいずれ3Dプリンターによる家造りも可能になるでしょうが、その時の工法は金物もいらない粘土を削ったような建物になるでしょう。

そこまでいかなくても、木材は建築の「みらい」を考えるときに、かけがいのない素晴らしい素材といえます。木材は植えて育てれば無限の資材となり、木は植林しながら利用することで山の環境保全にもつながるのです。

さらに樹木は、空気中の二酸化炭素を酸素に変える「光合成」を繰り返し、地球を守り環境を整え生物の命の要となる植物です。

この優れた素材と共存することが人類にとっても、地球にとっても欠かせない大切なことだと考えます。

最近の設計で想うことです…。

2021年08月17日 Tue

「軸組模型」のはなし

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木造住宅は、軸組でできています。

木の家は柱や梁の構造材が、一本一本の木軸(もくじく)でできています。これを「木造軸組工法」といいます。

床や壁は、板や土を使って軸組と軸組の間を埋めてつくります。なので、柱と梁は、つながっていなければなりません。

木の家を考えるときは、この「軸組構造=骨組」を考えながら部屋をつくり、生活の動線を確保します。

そこで「つくり手」は、まず柱の配置を決めて、梁の架け方を考え、床や屋根にかかる力の受け方や流し方を検討します。

軸組は「架構」と呼ばれています。架構をつくる柱や梁は「真壁」でないと表には出てきません。「大壁」の場合は全て壁の中に隠れます。

わたしの事務所では、木を全て表に出して使う「真壁」を標準仕様にしています。柱や梁を見せない「大壁」では、木が壁の中で蒸れてしまうことがあるからです。

そこで設計の途中で「軸組模型」をつくって柱や梁の掛け方をスタディします。

ここで難しいのは、表に見える柱や梁を綺麗に見えるように設計することです。柱も梁のそのままインテリアになるので、室内からの見え方で建物のデザインが決まるからです。

「真壁」の室内は、出来上がってしまえば、家具などのしつらいがなくても、インテリアデザインとして充分見ごたえがあります。

そのためには、柱も梁も美しいプロポーションと配置の整理が必要です。「木組」と呼ばれる架構は構造と密接につながっています。

シンプルで無駄のない架構の整理で「木組の家」の美しさが表現できます。木組のデザインは軸組のデザインでもあります。

 

 

2021年06月19日 Sat

建前映像・足固め

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「足固め」とは柱の足元にあり、柱と柱を繋いで建物を一体に固める横材です。

むかしの建物は、柱を石の上に置く「石端建て」であったことから、柱の足元が開かないように結ぶ横材が必要でした。

現代では土台に柱を差すので柱は開きませんが、本来、石の上を滑って免震的に働くためには必要な材です。

2021年06月18日 Fri

建て方映像「木組の家・東馬込の家」

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「木組の家」の建方の動画をご覧ください。

「東馬込の家」は、フラットな基礎コンクリートの上に、土台と足固めを併用した免震的な床下を造り、

柱と柱の間には貫を入れて、大きく変形しても倒壊しない壁をつくります。

「貫はやめてはいけない構造部材」です。柱にめり込んで、

何度揺らされても建物が元に戻る「復元力」を発揮します。

「木組の家」は、太い梁と柱で命を守ります。

温熱環境の向上を目指して「進化する木組の家」の実現です。

 

 

 

2020年12月19日 Sat

「ウッドデザイン賞」授賞式

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「ウッドデザイン賞」の授賞式に行ってきました。

ワークショップ「き」組のプロトタイプの「東馬込の家」が「奨励賞」を頂いたので、木材会館の授賞式に参加しました。

応募作品432のうち受賞作品191そのうち「奨励賞」は15で上位賞です。

審査委員長の赤池学さんから表彰状をいただきました。

「国産材を使ってるから良いという時代ではなく、コロナ禍の中で次の時代を生きる可変的な空間づくりが賞に該当する」と言われて嬉しかったです。

ワークショップ「き」組は、国産材はもちろん、山に植林できる費用を還し、職人の手間を惜しまず、適正価格で、世代を超えて自由な空間を持つ家を提供する仕組みです。

今回の「き組の家」の受賞は事務所にとって大きな励みになります。

関係者のみなさん、ありがとうございました!

 

 

2017年11月23日 Thu

「東馬込の家」温熱の計測を始めました

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「東馬込の家」の家は、温熱向上をめざして、外断熱で付加断熱を実施しました。

10月より始めた計測結果をご覧ください。

 

  

「東馬込の家」温熱の計測を始めました

2017年06月27日 Tue

「東馬込の家」をワークショップ「き」組の事例集に加えました

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「東馬込の家」の事例写真をワークショップ「き」組の事例集にアップしました。

詳しくはこちらからどうぞ

東馬込の家

2017年05月29日 Mon

「東馬込の家」内覧会は盛況でした

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き組の標準化された「プロトタイプの家」の内覧会が盛況のうちに終了しました。

皆様ありがとうございました。

「東馬込の家」内覧会盛況でした

2017年04月25日 Tue

「東馬込の家」完成間近

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「東馬込の家」のお引渡前の一手間です。こちらからご覧ください。

東馬込の家

東馬込の家

「東馬込の家」完成間近

2017年04月05日 Wed

「東馬込の家」左官工事が始まりました

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漆喰塗り

漆喰塗り

光が回る

光が回る

「東馬込の家」がいよいよ終盤に入りました。左官工事の始まりです。

内部に漆喰を塗っています。白い漆喰に光が反射して室内が明るくなります。

少ない日射でも光が回ることによって落ち着いた室内となりました。あと少しで完成です。

建主様のご厚意で、5月の連休明けには、内覧会を予定しております。

乞うご期待!

2017年04月02日 Sun

「東馬込の家」気密測定しました

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「東馬込の家」外観

「東馬込の家」外観

「東馬込の家」気密測定

「東馬込の家」気密測定

C値=0.5

C値=0.5

「東馬込の家」の足場が取れて、外観が見えるようになりました。この家は木組の「プロトタイプ」であり、燃え代設計による「準耐火建築」です。

さらに、温熱等級を向上させるために、工事途中に気密測定を行いました。

C値=0.5という成績でした。

これは1m2あたり0.5m2センチの漏気状態にあることを物語っています。この数値は良い数値だと思います。つまり気密が良いということです。

木組の家のような柱や梁を表した真壁構造で、内部にフィルムを使わず外断熱によって気密を確保できたのです。これからの完成に向けて、温熱性能確保に期待が持てる家となりました。建主さんのご理解に感謝いたします。

わたしたちは、日本の伝統的な木組の家の耐震・防火性能はもちろん温熱性能の向上を図ります。

5月の連休に完成いたします。内覧会を開催させていただけることになりました。追ってご案内いたします。

 

2017年02月04日 Sat

「東馬込の家」に吉野中央木材の石橋さんが訪問

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「東馬込の家」は、新防火地区に建っているため、燃えしろ設計で太い木材を使って準耐火建築となっています。

その木材はJAS認定品でなければならず、入手に苦労すると思われましたが、以前からお付き合いしている「吉野中央木材」さんで用意していただけました。

おかげさまで、規格外の大きさにもかかわらず、美しい吉野材を使うことが出来ました。

昔から吉野といえば日本一のブランド材で有名ですが、石橋さんの対応の良さに感謝しております。

色艶といい杢目といいやっぱり日本一ですね。ありがとうございました。

吉野中央木材石橋さん

吉野中央木材石橋さん

東馬込の家 吉野中央木材訪問

東馬込の家 吉野中央木材訪問

2017年01月19日 Thu

「東馬込の家」たっぷりの断熱材

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東馬込の家は順調に進んでいます。

「東馬込の家」に断熱材が入りました。

http://kigumi.jp/blog/higashimagome-dannnetsu

2016年12月10日 Sat

「東馬込の家」構造見学会は盛況でした

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「東馬込の家」構造見学会は盛況でした

ワークショップ「き」組の家の集大成とも言える「東馬込の家」構造見学会は盛況でした。
伝統構法による耐震性能、準耐火建築、高断熱高気密と、3つを兼ね揃えた、これからの木の家です。
ワークショップ「き」組HPからどうぞ。

2016年11月02日 Wed

「東馬込の家」構造見学会のお知らせ

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東京都大田区の住宅街に木組の家が上棟します。
最もシンプルで、最も合理的な木組みの家。
無垢の木と漆喰でつくるワークショップ「き」組の家づくりの基本形が、
火事に強い準耐火建築物として新防火区域対応になり、
同時に高い温熱・省エネ性能を備えました。

何世代にも住み継ぐことのできる「本物の木の家」を見に来ませんか?

上棟したばかりの構造見学会は、地震に粘り強く、丈夫な木組の骨組みを じっくりとご覧いただけます。
日本古来の耐震の工夫である「貫」「足固め」「折置組」「フラットベット型基礎」など、
木組の醍醐味のすべてを体感していただけます。

ぜひお誘い合わせの上、お申込みください。
みなさまのお越しをお待ちいたしております。

詳しくはこちらへ!

2016年09月20日 Tue

「東馬込の家」材料検査を行いました

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「東馬込の家」の地鎮祭と材料検査を行いました。

地鎮祭で工事の安全を祈願したあとは、お施主さんも一緒にキューブワンハウジングさんの下小屋へ。材料検査です。

今回は燃えしろ設計なので、150幅のJAS材を使います。いつもきめ細かく美しい吉野材ですが、今回も素晴らしい材料です。まるでヒノキのような杉材です。
1本1本、すべての材の面をみて見て、どの木をどこの部屋にどう使うかを決めます。その場で番付を打って、大工さんとの齟齬がないようにしていきます。

特に吹抜や階段周りに気を使います。これが、毎回行う「木づかい」です。

2016年06月06日 Mon

最もシンプルで、最も合理的な木組の家

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キューブ型

「き」組の家の集大成

 

最もシンプルで 最も合理的な、木組の家のプロトタイプ(原型)がはじまります。

 

「東馬込の家」

「東馬込の家」がはじまります

 

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