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2024年03月21日 Thu

「社会的責任」のとり方

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建築行為は常に社会性が大切であり「あらかじめ取るべき責任がある」と考えている松井郁夫です。

今回は「社会的責任」についてお話ししたいと思います。

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生活の営みの「場」である建物を世に出すことは様々な意味で責任ある行為です。

まず場所を確保しなければなりませんし材料も用意しなければなりません。

そして何よりも生活する人の「健康」と「安全」を確保する必要があります。

 

まさに建築基準法の第一条には「国民の生命と財産を守るべき」という記述があります。

もちろん「美しさ」や「快適性」も必須事項です。

 

私の出身である東京芸術大学では「美は全てを統合する」という理念を掲げています。

尊敬する民藝運動の創始者柳宗悦は「用の美」を運動のテーゼに日本中の工芸品に新しい息吹を与えました。

 

そこには創作行為に対する厳しい「審美眼」と長く使うことに対する「製造責任」がついて回ります。

AIで可能性が広がり「真偽」さえも曖昧になったいまこそ「ものづくり」の世界に「安全性」の確保が求められます。

 

本来「ものづくり」に関わる人間には誰に言われなくても持つべき「社会的責任」があります。

「社会的責任」は、しくじる前にあらかじめ取っておくべき「責任」といえます。

言い換えれば「倫理観」や「正義感」かもしれません。

 

何も「無い」状態から「有」を生み出すことは女性の「出産」に似ているかもしれません。

生みの苦しみは、その後長く続く「育て」の楽しみに変わるからです。

 

設計行為も作る前から「社会的責任」を負うことになりますが、生み出したあとは育てることに喜びを見出したいと考えます。

とりとめもないお話で失礼しました。