プロジェクトレポート
2024年02月11日 Sun
「むかしといまをつなぐ」丈夫で暖かい古民家再生を実践している松井郁夫です。
今回は房総半島の古民家を再生します。
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千葉の房総半島には黒潮に乗ってやってきた南方系の古民家が数多く残っています。
今回の民家は南方系ではありませんが、明治の建設で集落では古い民家です。
現在は残っている古民家の両翼に昭和に建てられたと思しき建物が増築されています。
平屋の建物で全体に約60坪くらいの大きさです。
若いご夫婦と4人のお子さんが暮らす住まいになる予定です。
古い架構を活かして現代的なインテリアを考えています。
少し時間がかりますが時間を超えて住み継がれる「むかしといまをみらいにつなぐ」家にしたいと考えています。
2024年02月06日 Tue
快適で心地よい家づくりを目指している松井郁夫です。
今日は設計者として最近思うところを書きました。
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いまや設計図はCADで書くことが当たり前になりました。
コンピューターを使って引く線は正確無比で狂いがありません。
縮尺を変えても作図の時はミリ単位で製図するので原寸で描くのと変わりありません。
現場で職人さんと図面を共有し検討するにも正確です。
そのことは充分わかっていながら松井事務所では作図を手描きの図面に戻しました。
松井がどうしてもCADに馴染めなかったということもありますが、
木造の住まいをプレカットを使わず手仕事で造っているので、
図面も手描きがちょうどいいと感じていました。
これまでも現場で指示するときはその場で手書きのスケッチを描いて職人さんに直接渡していました。
職人さんは手描きのスケッチを喜んでくれて「漫画を書いてくれヨ」といわれます。
CAD図面よりわかりやすいと言ってくれます。
私は少年時代に漫画家を目指したこともあってそう言われることにも悪い気はしません。
最近では以前のようにT定規に鉛筆で描くことが楽しくなりました。
一本一本の線を確かめながら描くので毎回ワクワクしながら描いてます。
手作業がこんなに楽しいなんてなぜ今まで気が付かなかったのだろう?
多分この楽しさは住まい手に伝わってくれるだろうと勝手に考えているアナログ人間のつぶやきでした!笑
図面は「篆刻美術館」1991年
2024年02月03日 Sat
丈夫で暖かい木の家をつくり続けている松井郁夫です。
今回は「上棟見学会」のお知らせです。
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静岡県浜松市内の住宅地に「木組の家」が上棟します。
足掛け3年かけてじっくりと取り組んできた家です。
無駄のないシンプルな骨組みは「木組のスタンダード」と言えるほど整理しました。
無駄のない架構は床下の「足固め」が丈夫な足元をつくり、
粘り強く倒壊しにくい「貫」を壁の中に入れて、
柱と梁と桁の3つの部材が一体になった「折置組」といわれる強い接合部で
「門型フレーム」を構成しています。
上棟時には一本一本の無垢材が伝統的な「継手・仕口」で組み込まれてゆくダイナミックな姿を見ることが出来ます。
全て職人の手刻みで加工した木組の建て方の様子はなかなか観ることができない一大イベントです。
是非この機会に地元産の天竜杉の美しい「木組」の架構の組み上がる醍醐味をお楽しみください。
お申し込みは、ワークショップ「き」組事務局(松井郁夫建築設計事務所内)まで
メールアドレスok@matssui-ikuo.jpもしくはFAX03-5996-1370までお申し込みください。
地図をお送りいたします。
2024年01月29日 Mon
現在進めている古民家再生です。耐震補強はもちろん暖かい家を目指します。
母屋はすでに建て替え済みで「離れ」の古民家が残りました。
建主さんが学生時代に勉強した思い出の建物です。
風通しが良くて快適だったとおしゃる古民家は開放的です。
このままの改修ですが吹き抜けを設けたり板の間に変えたりの小さな再生です。
2024年01月25日 Thu
静岡県浜松市の市街地に「木組の家」が上棟します。
依頼者はワークショップ「き」組の「木組のデザインゼミナール」の修了生です。
建主さんは建設現場の監督経験のある方で「き」組の家づくりの仕組みに共感されて依頼されました。
地元天竜の杉を使い伝統的な「継手・仕口」を手刻みで加工した「金物に頼らない」木組の家です。
古民家に学んだ地震に粘り強く丈夫な架構は「木のめり込み」と「摩擦」で力をいなす「減衰設計」です。
時間をかけて整理した架構は「貫」と「足固め」という部材を「折置組」という強固な仕口で組み上げています。
シンプルで丈夫な架構は「き」組のスタンダードなタイプとなりました。
さらに「き」組では暖かくて明るい温熱向上を目指しています。
お申し込みはFAXもしくはメールでお願いします。
伝統的な木組の家の木と木が組み上がっていくダイナミックな建方を観る事ができる見学会です。
ぜひこの機会をお見逃しなく日本の誇る伝統的な木組の世界をお楽しみください。
2024年01月11日 Thu
あけましておめでとうございます。
元旦から能登を襲った大地震で正月気分が吹き飛びました。
被災された方たちに支援が届き一刻も早く復旧されることを望みます。
今更ながらに地震に強い丈夫な家づくりを目指さなければいけないと気を引き締めた松井郁夫です。そこで今回は地震に強い新しい平屋のご紹介です。
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6年前から松井事務所に依頼しょうと考えていたとおっしゃる方から連絡をいただきました。
JR大宮駅からほど近い、大きな椎の木が生えている広い敷地の農家の方です。
すでに何年か前に建てられた木組みの家にお住まいですが、
同じ敷地に新たにお母様と子どもたちのために新築することになりました。
そこで広い敷地を分割して南向きの大きな平屋を計画しました。
子どもたちも成人しているので個室はゆったりと八畳の部屋を4部屋用意しました。
これからの家族構成がどう変わるかわからないので、
丈夫な架構にライフスタイルが変わってもいいような可変的な間取りにするために
架構はそのままに個室や水廻りを自由に配置できる構造計画を立てました。
現在2間グリッドの柱と梁の軸組模型を作って検討をはじめています。
丈夫な木組のセオリー通りに「足固め」と「貫」と「折置組」の「門型架構」です。
大きな揺れには基礎の上を滑って免震的な建物になるように「フラットな基礎」に「土台足固め併用」の床組が乗ります。
これで大きな地震にも上屋が壊れることはありません。
2007年から2011年まで行われた国土交通省の「伝統的木造住宅の実大実験」をお手伝いして得た知見を活かしました。
規則正しく並んだ木組が丈夫できれいな架構をつくります。さらに温熱向上の工夫を加えて完成が待ち遠しい家です。
少し時間がかかりますが、ご期待ください。
2024年01月05日 Fri
暖かくて丈夫な家をつくりたいと願っている松井郁夫です。
2024年の元旦に起きた能登半島を襲った地震についてお送りします。
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能登半島の地震は先頃まで頻繁に起きていましたが、ついに震度7の大震災を引き起こしました。
今回の地震で地殻が西に最大1.3M移動し0.8m隆起したと言われております。
火山性の地震ではなく地下水の圧迫による地殻の変動が原因だということです。
能登には志賀原発があります。幸い休止中で大きな被害はなかったということですが冷却水のプールが溢れたりオイルが漏れたり少なからず異常は認められました。
このあたりは断層が幾筋も認められる地震の巣です。もし稼働中であったら?被害の大きかった珠洲に原発が作られていたら?
思わず福島の原発事故が脳裏をよぎりました。
輪島市内の朝市の立つ繁華街は火災が街を襲い壊滅的な崩壊となりました。
被害に合われた市民のみなさんと街の一刻も早い復旧を望みます。
それにしても地震災害の多発する日本の緊急支援措置はお粗末です。
避難所になっている寒い体育館に身を寄せる人たちのプライバシーは確保できていないし仮設トイレや非常用の水・食料もすぐに底をつく有様です。
市内の日本家屋はことごとく倒壊しています。老朽化した家屋の屋根は重い瓦で壁は土壁です。
高齢者が多くて耐震化率も低かったと聞いております。
建築に関係する身としてはニュースで映像が流れるたびに歯がゆい思いがします。
日本の家はこんなにも地震に弱いのか?自分の造っている建物は震度7にも耐えるか?自問自答が続きます。
大地震の度に建築従事者に与えられた責任の大きさを痛感しないわけにはいきません。
阪神大震災のときの惨状を見かねて丈夫な木の家のつくり方を「木造住宅【私家版】仕様書」に執筆したのも28年前の40歳でした。
設計者の使命として第一に「命の守る家つくり」を社会的責任と心がけて設計を進めていきたいと思います。
2023年12月28日 Thu
松井建築設計事務所は2023年12月28日から2024年1月8日までお休みをいただきます。
2023年10月23日 Mon
前回のイエプロTVの取材では事例写真がなかったので今回改めて撮影をしていただきました。
解説付きの番組はこちらからご覧ください。
2023年09月11日 Mon
ブログ | プロジェクトレポート | 天橋立の家
いつか古民家になる暖かくて明るい家をつくりたいと望んでいる松井郁夫です。
進めて参りました「天橋立の家」の実施設計が終わり白模型1/50が完成しましたので公開します。
敷地が道路より低いので床を上げました。高床式です。
さらに「懸けづくり」という「清水の舞台」のような木組です。
大地から浮いた平屋の建物が質実剛健で力強い架構です。
模型を建主さんにお渡しして見積もりに入ります。乞うご期待!
2023年09月07日 Thu
丈夫で快適な住まいを無垢の木と漆喰でつくり続けたいと考える松井郁夫です。
今回は単行本の執筆のために職人さんを取材した記事を紹介したいと思います。
広島で活動している大工棟梁で設計もこなす若き棟梁・佐々岡由訓さんと知り合ったのは2019年の「木の建築賞」の審査のときです。
「木の建築賞」は木の建築を顕彰する「木造フォラム」主催の審査会で全国を4つの区域に分けて審査します。
佐々岡さんの自宅が九州中国地域の審査会に応募されたのですが、
小さな住宅で控えめな外観の家はどの審査員の眼にも止まらなかったそのパネルを松井が引き上げて、他の審査委員にこの家の優れた点を解説し「木の建築賞」を受賞しました。
佐々岡さんは広島大学の建築科を卒業された後、高松の「六車工務店」に大工として入所してから独立したという変わり種です。
六車棟梁は旧知の仲で拙著「日本列島・伝統構法の旅」の取材で何度か下小屋を訪ねました。弟子にはノミや鉋の研ぎ方などよりもいきなり墨付けをさせるという独特の指導をしています。
5年で年季が明けるという弟子の育て方は今でも続けてられるようです。佐々岡さんもそこで年季が明けて独立しました。
応募作の自邸は六車棟梁仕込みの伝統の木組の家を「土壁に断熱材を貼る」という「温熱向上」を試みて省エネの時代を反映しているところに注目しました。
自邸は広島でも評判で、さまざまな賞を取りました。
その後もシンプルで美しい木組の家をつくり続けており何度か広島まで見に行きました。
あまり内覧会に行かない松井にしては珍しいのですが、どうしても佐々岡さんの建築が気になっていたのです。
先週も工事途中の建物を見てきました。相変わらずシンプルでケレン味のない気持ちの良い家でした。
詳しくは現在執筆中の「(仮)職人新世の住まい論」という本で紹介したいと思います。
木組の設計ができて温熱にも力を入れる大工棟梁ってちょと素敵ですよね。
本の出版にはもう何人か新世代の職人さんを取材し紹介してこれからの伝統構法の進むべき道を示したいと思います。
乞うご期待!
2023年09月01日 Fri
丈夫で快適な家づくりを目指す松井郁夫です。
今日は関東大震災から100年目を迎えて思うところを書きました。
1923年9月1日の今日、
ちょうど100年前に起きた「関東大震災」では死者行方不明が10万5千人と言われています。
震度6を記録し、死者数や住宅の損壊数は、日本の地震史上でも最大級と言われています。
昼前ということもあり強風に煽られた火災が広範囲で発生しました。
避難者が殺到した本所被服廠跡では火災旋風が襲い惨状を極め、震災発生時の流言による朝鮮人虐殺事件も起こり混乱を極めました。
その後の復興には後藤新平によって「帝都復興計画」が実施され、
震災後には建築の耐震化を進めるために耐震基準が規定され後の「建築基準法」の基となりました。
高さを誇った浅草の「凌雲閣」(十二層)は、風速37メーターの台風にも耐えると謳っていましたが地震には弱く、脆くも崩れて下部の六層のみとなりました。(写真)
最近では「阪神大震災」や「東北大震災」などの大震災が定期的に起こることがわかり建物の耐震化はますます重要になってきています。
現在の建築基準法では第一条に「人の生命と財産を守ること」が明記されており、わたしたち設計者の使命は大きくなっています。
松井事務所では、人の命を守る耐震化を最重要に考え太い木材を使った丈夫で粘り強い「木組の家」を提唱しています。
快適で丈夫な住まいづくりのご相談は下記ボタンよりどうぞ。
2023年08月29日 Tue
ついに、YouTubeデビューしました!
注文住宅選びの番組「イエプロTV」に松井のインタビュー映像がアップされています。
とても照れくさいのですが、自己紹介や主な仕事。
仕事を依頼される理由や建築後の建て主さんの感想など、20分の番組です。
どうぞこちらからご覧ください。
2023年08月25日 Fri
国産材「木組の家」と「古民家再生」で快適で豊かな生活を提供したいと考えている松井郁夫です。
「イエプロTV」という注文住宅選びのYouTube番組から取材を受けました。
そこであらためて「松井事務所の仕事の紹介」をしましたので放映日が決まりましたらお知らせします。
自己紹介:
松井郁夫建築設計事務所を主催しています。30歳の時に事務所を立ち上げて今年で38年目になります。
東京藝術大学のデザイン科の出身で26歳のときに「大工棟梁」のところで住宅の設計を教わりました。
古い城下町で育ちましたので「町並み保存」に興味を持ち「都市計画」を学びました。
保存運動から「まちづくり」を学び、「古民家」から家づくりを学びました。
主な仕事:
国産材を使った無垢の木で柱や梁の見える真壁づくりの「木組の家」を設計しています。
古い建物を丈夫で明るく暖かい家にするため耐震補強と温熱向上の「古民家再生」を実践しています。
どちらも最新のデザインと設備で性能の高い家です。
依頼される理由:
木と木を組み上げ力をいなす「木組」が地震に強く安心出来て「自然素材」の内部空間が快適で豊かさを実感できます。
伝統的な木の家でありながら古臭くはなくモダンなデザインでスタイリッシュな空間が好評です。
全国に知り合いの大工さんがいて対応してくれていますので各地からの依頼を受けつけています。
建主さんの悩みは:
古民家の悩みは暗くて寒いことです。新築の場合は本当に全て自然素材でつくることができるのかという悩みです。
松井がこれまでに書いた本を読んでこられる方はすでに悩みが解消しています。
HPの著作コーナーをご覧ください。
https://matsui-ikuo.jp/blog/books_matsui/
最新の「仕事集」はアマゾンからもポチできます。
建築後の感想:
居心地がいいので旅行に行かなくなったと聞きます。旅館のお風呂よりうちの方がいいと…。
旦那様が早く返ってくるので大変だと奥様が言ってます。(笑)
HPに動画のインタビューがありますのでご覧ください。https://matsui-ikuo.jp/sumaite
他社との違いは:
山に植林できる費用を還しながら職人の手仕事で家づくりを実践しています。
山と職人と住まい手つなぐ「ワークショップ「き」組」(2003年グッドデザイン賞受賞) https://kigumi.jp/
という仲間で山の環境保全と職人技術の継承をしながらつくっています。
建主さんにも環境意識の高い方が多くお見えです。
事務所からのメッセージ:
真の豊かな暮らしは自然素材に囲まれて暮らすことだと思います。
家族の幸せを望むなら「無垢の木と職人技でつくる真壁の家」がオススメです。
人工素材の中で暮らすよりずっと豊かな気持ちになれます。自然素材の快適な空間をお選びください。
2023年08月18日 Fri
家族が幸せに暮らすことができる暖かくて明るい家づくりを目指している松井郁夫です。
住まいはそこに住む人のためにつくるのですが、今回はその先にある広い社会に向けて住まいづくりを考えたいと思います。
「家づくりは社会の仕組みそのものだ。」といったのは「現代棟梁・田中文男」です。
田中棟梁のことは何度かこのコラムで取り上げていますが、
この人ほど名言の多い大工さんはいないと思います。
阪神大震災の後に「木造住宅【私家版】仕様書」という技術書を友人と共著で書いたときには
「大工のノウハウをマニュアル化しやがって!」と怒っていたと伝え聞いています。
地震で倒れた多くの木造住宅を見ていかに耐震性が大切かを訴えるために地震に強い木組の家づくりについて書いた本ですが、
当時は徒弟制度の中の大工の世界に閉じられていた技術をオープンにしたことが田中棟梁の逆鱗に触れたようです。
しかし閉じた大工の世界を開かなければ、木組の伝統は先細るばかりで社会には伝わらなかったのです。
「オープンシステムを目指せ!」という掛け声の下「建築知識」という雑誌で連載を重ね一冊の技術書としてまとめました。
連載中は読者との討論を「誌上ワークショップ」と称して毎月の月刊誌に質疑応答を載せました。
読者の設計者はもちろん大工さんたちもたくさん参加していて議論が盛り上がりました。
最後に「建築知識」の会議室に全国の実務者が集まって用語の一つ一つを定義したことを覚えています。
おかげさまで28年経った今も版を重さねてロングセラーを続けております
。
この本を高く評価してくださる方の一人に岐阜県立森林アカデミーの学長の涌井史郎さんがいらっしゃいます。
いまは長男の匠がお世話になっているのですが、息子が面接のときに言われた言葉は私にとっては最高の賛辞でした。
曰く「君のお父さんは、自分が歌う歌だけではなく、みんなが歌える歌を描いたんだよ…」
なんという賛辞でしょう! 涌井さんとはそれまでに講演会で何回かご一緒しましたが、この言葉は本当に嬉しい言葉でした!
帰ってきた息子が「親父って有名なんだなァ」と言ってました。あはは…。そこじゃぁないんだけど…。(笑)
明後日からその【私家版】仕様書を教科書に木組講座第20期が始まります。
木造の基本である木組を学んでご自身のスキルを上げたい方はどうぞご参加ください。
先程、時の人「遠野未来」さんが参加を表明してこられました。彼の課題の回答も楽しみです!
みんなで楽しく歌いましょう!
2023年08月02日 Wed
本日の「日経新聞」にウエルパイン書店の写真集「美しい木組の家」と「古民家のみらい」の広告を載せました。
アマゾンでポチしてください。
2023年07月30日 Sun
異常な気候変動の中もう手遅れかもしれないけど人類の叡智を信じて自分にできることを実践してゆきたい松井郁夫です。
今回は立て続けに聞こえてきた「地球沸騰化」と「人類の絶滅」について考えたいと思います。
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毎日殺人的な暑さが続きます。この暑さの最中、7月28日に国連事務総長グレース氏が「地球の温暖化は過ぎた」すでに「地球沸騰化の時代が到来した」と記者会見で発言して世界を驚かせました。
今月の地球の平均気温が観測史上最も高くなるとの見通しから「地球沸騰化の時代に入った」と警告しました。
各国や企業に対して「気候変動対策」を加速するように求めたのです。G20=主要20カ国が温室効果ガスの8割を排出しているとした上で「野心的な削減目標が求められる」と訴えました。
このコラムでも海流の循環による「地球のエアコンが今世紀中に止まる」危機を掲載しましたが星野克実氏の「人新世の絶滅学」では間違いなく人為的原因で人類が滅亡に向かっているようです。
2004年に書かれた本ですが、人類は「絶滅危惧種」になった。という書き出しがセンセーショナルです。
まだ読み始めたばかりですが人類の滅亡はすでにカウントダウンの段階に入っていると指摘しています。
民俗学者で生態学者の故・梅棹忠夫氏は「人類の未来」の中で「そのうち人類は暗黒の世界に入って滅亡するだろう」と述べています。ただし「暗黒の中に一条の光がある」とも述べていました。
のんきなことは言ってられませんが、今世紀中とも言われる人類滅亡のカウントダウンを人類の叡智で乗り越えていきたいと思います。
それには何ができるか!
CO2の削減のために個人の実践に委ねられていますよね!
この暑さでますます現実感の増す地球温暖化の課題です。
2023年07月28日 Fri
猛暑が続きます! 地球環境の危機に何ができるか模索している松井郁夫です。
今日は「地球のエアコン」が止まるかもしれないという危機的な話です。
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地球の海の中では北極海からの低温深海海流が、1000年周期で廻っていて地球の温暖化を防いでいるという説があり、以前から知られています。
その悠久の仕組である「地球のエアコン」が早ければ2025年遅ければ2095年までに停止してしまうという研究結果があるといいます。
びっくりしますが、地球の気候危機は深刻です。
目先の快適さや利益だけをみていると「茹でガエル」が徐々に茹で上がるように気がついたときには遅きに逸していることになります。
資本主義による地球資源の開発と浪費をやめて、今すぐ環境保全の仕組みをつくり人類全員が協力しあって実践するときではないでしょうか?
CO2の排出を減らす努力は一般家庭でもできます。まず、消費生活の変更です。これまでの浪費的生活スタイルをあらためてできるだけエネルギー消費を抑えることです。電化製品の電力を少なくすることも必要ですし、建物の断熱向上は省エネルギーの面からも必須です。今や断熱材は家の設備の一つだと言えます。また、できるだけ外出を控えることも考えられます。コロナ禍でリモートに慣れたいまこそできる対策です。
排気ガスを減らす対策は製造会社こそ率先して実践すべきです。工場の稼働率を下げることは経済成長にとってはマイナスですが、環境危機は人類の存亡の問題ですから「まったなし!」だと思います。資本主義の目的は「人類の滅亡」ではないはずです。
ここまで書いてFBの友人(同じ世代の女性)からメッセージが届きました。
「よく顔を合わせるFB仲間の皆さんは、「自分は地球の一員」ということを常に意識しながら、それぞれの分野でご活躍なさっています。今やっていることを、続けていけばいいと思います。疲れたら休んで、でも諦めずに!」
この助言に従えば、松井の実践は「これまでのように山に植林費用を還し職人と協働しながら温熱性能
更に彼女の助言が続きます。「高層建築にも木が使われ始めました。木の建築はいろいろな環境問題を解決する手段になると思います」
ありがとうございます!ますます木を素材とした環境に良い建物の設計に励みたいと思います。
2023年07月19日 Wed
日夜日本の伝統を活かした木造住宅を模索している松井郁夫です。
今回はお世話になった「田中文男」棟梁のことを書きました。
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「木造は軸組だ!」と言い放ったのは故・田中文男棟梁(1932年~2009年)です。
口伝や伝承の世界であった木造建築に科学的な検証を取り入れて「学者棟梁」と呼ばれていました。
また設計と施工を分業して工場と現場に大工職人を分けて配置するなど作業の効率化を進め、小さな住宅でも必ず施工図を描いて施工前に検討し設計と施工の誤差のない合理的な現場運営を進めたので「現代棟梁」とも呼ばれました。
「日本建築セミナー」という勉強会の講師を勤め若い設計者や大工に多くの影響を与えました。私も20代の頃セミナーに参加し大いに学ばせていただきました。
「口は出すけど金は出さない!」設計者が大嫌いで、こちらが「こんにちは!」と挨拶しても「バカヤロウ!」といきなり怒鳴られました。その訳は、日本の伝統構法は設計者である「お前らが壊したんだ!」というのです。とても怖い人でしたが、笑うと子供のような笑顔を見せてくれました。
晩年は、受講生だった私と一緒に「真の日本のすまい」という国土交通省の設計競技の審査委員を勤めさせていただきました。ご病気で亡くなる前に、「お前くらいだなぁ…俺の言ったことをやってくれているのは…。」と言われたことはとても名誉なことで嬉して、あまり人には話せませんでした。
仕事について数多くの名語録を残しています。田中文男の言葉は、厳しく、重く、温かく、深いのです。本になっているわけではないのですが名語録集はLIXILギャラリーのブックレットにあります。下の最初の写真です。
曰く「時間が欲しかったら、一度でやれ」「暮らしは下みて、仕事は上を見てやれ」「やっちゃいけないことをいくつ知ってるか」「返事は六つでいい。わかる、わからない。できる、できない。好き、嫌い」「5W1Hだけじゃないよ、3V2Sだ」5W 1Hはよく言われているように、いつ、誰が、どこで、何を、なぜ、どうしたのかということです。3V2Sは明確なビジョンを持ってバイタルでビビットなことをサイエンステックにセンシブにやる!ということです。…解説がないとわからない言葉ですが、実務者にとっては身につけたい貴重な語録です。
また元文化庁の宮澤智さんと書いた「普請研究」は日本の大工の技術や技能について記録解説した名著ですが、こちらはまた日を改めて描きたいと思います。
2023年07月09日 Sun
美しい住まいと町並みを造りたいと望んでいる松井郁夫です。今回は都市景観の話です。
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先輩に岩崎駿介さんという敬愛する友人がいます。18歳も年上ですが友人と呼んでいいと言われています。僕が現在のまちづくりや建築の道に進むきっかけとなった人です。
元横浜市都市デザイン室の室長で今は自力建設でご自宅を創っています。自力と言っても半端なくデザイン性の高い家で「日本建築学会賞」をもらいました。茨城県八郷に建つ「落日荘」と言います。
学生の頃から岩崎さんに憧れて「都市デザイン」を目指しましたが、役所勤めは嫌で、藤本昌也先生の現代計画研究所に入所して色々な都市の「景観計画」をお手伝いしてきました。
そこでわかったのは、日本の町には江戸時代から「町触れ」という建物の美しさや生活の規範があったり、職人たちの徒弟制の仕組みの中で叩き込まれた言わずもがなの決まり事によって日本の町並みは美観が守られてきたということでした。
いまでは美しい町並みは歴的な保存地区にしか残っていません。
町並みを壊してきたのは「美の基準」を持たない戦後の「建築基準法」です。「規制」や「制限」の「べからず集」でしかなかったのです。
どうつくれば町並みが良くなるのかという「理念」を示した「基本法」が必要なのですが、現在の日本にはありません。
お隣の韓国では日本の「建築基準法」は真似しないようにしています。
「韓国建築基本法」(2007年制定2008年施行)がすでにあって「質の高いまちづくり、建築づくり」を実践していると聞いています。
日本の「基本法」については、神田順先生という方が長年ロビー活動をされていますが、永田町の行政や議員は動きが鈍いようです。
本来大工の世界では新しい建物を建てる時には、むかしからの「口伝」が規範となっていたといいます。
例えば「下屋勾配は一寸返し」というのは上屋と下屋の勾配を同じにするとお尻が下がったようで美しくないので下屋は少し跳ね上がったほうが格好がいいということです。
現行の基準法では建物の規制については、今の5m,10mという地球の円周から割り出したメートル法で規制するので大工の使う人間の身体寸法から創り出した尺寸の三進法に合わなくてヒューマンスケールを失っています。
また「相場崩しはするな」という相隣関係に配慮した大工職人たちの「暗黙知」が歴史的な街並みを美しく保ってきたのですがそれも戦後に失われました。
わたしたちは各地に残る歴史的な建物や町並みに学んで理想的な美しいまちづくりを目指す必要があると思います。