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2023年09月07日 Thu

コラム「職人新世の住まい論」

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丈夫で快適な住まいを無垢の木と漆喰でつくり続けたいと考える松井郁夫です。

今回は単行本の執筆のために職人さんを取材した記事を紹介したいと思います。

 

 

広島で活動している大工棟梁で設計もこなす若き棟梁・佐々岡由訓さんと知り合ったのは2019年の「木の建築賞」の審査のときです。

「木の建築賞」は木の建築を顕彰する「木造フォラム」主催の審査会で全国を4つの区域に分けて審査します。

 

佐々岡さんの自宅が九州中国地域の審査会に応募されたのですが、
小さな住宅で控えめな外観の家はどの審査員の眼にも止まらなかったそのパネルを松井が引き上げて、他の審査委員にこの家の優れた点を解説し「木の建築賞」を受賞しました。

 

佐々岡さんは広島大学の建築科を卒業された後、高松の「六車工務店」に大工として入所してから独立したという変わり種です。

六車棟梁は旧知の仲で拙著「日本列島・伝統構法の旅」の取材で何度か下小屋を訪ねました。弟子にはノミや鉋の研ぎ方などよりもいきなり墨付けをさせるという独特の指導をしています。

5年で年季が明けるという弟子の育て方は今でも続けてられるようです。佐々岡さんもそこで年季が明けて独立しました。

 

応募作の自邸は六車棟梁仕込みの伝統の木組の家を「土壁に断熱材を貼る」という「温熱向上」を試みて省エネの時代を反映しているところに注目しました。

自邸は広島でも評判で、さまざまな賞を取りました。

その後もシンプルで美しい木組の家をつくり続けており何度か広島まで見に行きました。

 

あまり内覧会に行かない松井にしては珍しいのですが、どうしても佐々岡さんの建築が気になっていたのです。

 

先週も工事途中の建物を見てきました。相変わらずシンプルでケレン味のない気持ちの良い家でした。

詳しくは現在執筆中の「(仮)職人新世の住まい論」という本で紹介したいと思います。

 

木組の設計ができて温熱にも力を入れる大工棟梁ってちょと素敵ですよね。

本の出版にはもう何人か新世代の職人さんを取材し紹介してこれからの伝統構法の進むべき道を示したいと思います。

乞うご期待!