ブログ

2023年01月11日 Wed

コラム「職人とつくる木組の家」

_

いつか古民家になる「美しい木組の家」をつくりたいと願ってる松井郁夫です。

今回のコラムは、手仕事を実践してくれる職人はどれだけいるのか考えました。

本日は「職人とつくる木組の家」をお届けします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

木組の家づくりは、伝統的な「継手・仕口」をつくることができる職人と共につくります。

それには、金物を使わずに架構を組み立てることが出来る「技能」が必要だからです。

「技術」は本や写真で学べますが「技能」は実務から身に着けます。経験が全てですから実績を積んだ職人が必要です。現在は職人不足で、技能を持った人を見つけることが大変と言われています。

わたしが事務所を開いたときには、大工には困りませんでした。基本的には近所の職人と共につくることをテーゼにしていましたので、まだまだたくさんいた、地域の職人たちと楽しく仕事ができていました。ありがたいことに、今でもその時の職人たちと一緒に仕事が出来ています。もちろん年老いて引退した人も多くいますが、新しく知り合う若い職人もまだまだ手仕事が好きな人もいます。

問題は手間賃です。時間の掛かる手仕事に対価を払う工務店が少なくなりました。プレカットが大半です。

そこで『ワークショップ「き」組』では、大工に限らず下職にも、十分腕をふるってもらい、不足のない手間賃を払うことを前提にしています。

最近ではSNSの力で、応募を掛けると手仕事の職人が来てくれます。20期続いている「木組のデザインゼミナール」を受講する職人さんも毎年いて、木組の家づくりを手伝ってくれています。また、わたくしが講師を務めた「大工育成塾」という塾が国土交通省の「国家プロジェクト」が15年続いたのですが、その教え子も一緒に仕事をしています。

伝統的な木組の仕事は、職人にとっても魅力なのでしょう。プレカットで仕事をしている職人でも、機会があれば手仕事でつくりたいと思っています。職人は、「図面を書いてくれれば手仕事もやるよ」と言ってくれます。「手仕事」と「木組」にこだわり続けることで職人もいますし、仕事も継続できます。金物を使わないで家が欲しいというオーナーの方も必ず現れます。