プロジェクトレポート
2014年10月14日 Tue
山口県の宇部市に、木の建築賞の公開審査に行ってきました。
木の建築賞は、NPO法人木の建築フォラムが木造建築物の普及と顕彰のために行っているコンクールです。今年で10周年を迎えました。
わたくしは2回目と7回目に入賞したことから、審査委員を務めさせていただけることになりました。
一次審査はパネル審査、二次審査は応募者のプレゼンテーションを公開の場で審査、最後は現場審査と進みます。
全国を4地域に分けて、4年で全国を回ります。毎回時間と手間をかけて事務局はじめ多くの人がボランティアで働くことになりますが、今年は宇部の山口大学にお世話になりました。
審査される方々ばかりでなく、審査するわたしたちも大変勉強になります。地域の建物に触れることができるからです。
宇部には何回か行きましたが、やはり渡辺翁記念会館が最高です。とても昭和12年に建てられたとは思えないモダンな感性が今なお輝いています。設計は、村野籐吾。宇部の文化活動の拠点としていまも活用されています。重要文化財に指定されています。
さらに審査会場は、同じく村野さん設計の宇部ヒストリアル。こちらも昭和14年竣工とは思えない建物でした。
スケッチは、2006年に描いた渡辺翁記念会館。本物をまじか見ながら、感動しながら描いたのを覚えています。
2014年10月14日 Tue
会津・山都の沼の平へは、喜多方に入る街道筋から山に入ります。山道をもうこれで家がなくなるというところまで行って、さらに胸突き八兆の坂道を登った先の集落が沼の平です。
20数件の家が残っていますが、高齢者ばかりです。冬は豪雪で悩まされますが、春にはフクジュソウが自生して観光客が大勢見に来るといいます。その集落の中の古民家を見てきました。おばあさんが亡くなったので、残された古民家の活用を相談されたので、出かけてきました。
昭和47年に大改造していますから、座敷廻りは白木の柱です。元土間であった境には100年以上も前のケヤキの大黒柱が建っています。黒光りした柱の伸びた先を見たくて、天井に潜りました。
屋根は茅葺のままトタンをかけてあるので、むかしの構造が良く見えます。と言っても、一歩踏み込むと埃で前が見えないくらいです。すすけた叉首(サス)は縄でなってありますから屋根屋さんの仕事です。
小屋組は、素晴らしく太い梁組に大きな木栓が打ってあります。木と木を組むのは大工仕事です。いつでも組み手を外して移築も可能ですが、この家をどう生かすのかは、その晩の家族会議では答えが出ませんでした。
50代の息子さんたちはこの集落の村おこしに努力しています。棚田をやめた山の斜面に3000本の桜を植えたり、鯉を飼ったり。この集落をあきらめるつもりはありません。夕食には、山の幸のてんぷらのゼンマイでお酒を飲みながら、古民家の活用が成功している丹波篠山の取り組みや九州八女のまちづくりの話で盛り上がりました。
今のわたしにできることは限られていますが、古民家の活用を考えることは、日本の将来を考えることにつながると思える一夜でした。
2014年10月14日 Tue
東京新聞に、時折、梅原猛さんのコラムが載ります。学生時代から歴史や哲学が好きで、梅原ファンでしたので、いつも楽しみにしています。
今回10月6日のコラムにも、梅原氏の東洋的思想に大いに共感しましたので、ブログに掲載しました。
よろしかったら、読んでみてください。
2014年10月13日 Mon
網走と聞くとつい刑務所を思い出してしまいますが、実はとても風光明美なところでした。
先週の9日に、北海道の高断熱高気密の家づくりを実践する「アース21」というグループに呼ばれて、伝統構法の話をしてきました。
高断熱高気密の会で伝統構法を話すのも、なんだか場違いな気もしますが、木組みの家は地震や台風から命を守ることが使命で、北海道の高断熱高気密の家は、寒さから命を守ることが使命ですから、人の命を守るという方向は同じと言えます。
ところが、北海道では2×4が主流で、軸組工法は稀です。ましてや、伝統的な木組みの家はほとんどないといってもよいでしょう。
そんな中、北海道で雑誌の編集をしている友人から、伝統構法のことを知りたいとオファーがありました。木の家づくりの基本は軸組にあると気づいたとか?民族の血が騒ぐとか?
とにかく行ってみると、驚いたことに外壁に400ミリの断熱材を壁に施工していました。室内は、気密を採るためにポリエチレンフィルム。それも継ぎ手のないシームレス施工です。
徹底した施工管理をして、実績を上げている工務店の社長が、以前私の話を東京で聞いて、これは家づくりの基本だと気づいて、みんなに聞かせたかったとか?それで今回の講演会になったようです。うれしいですね。
わたくしも伝統構法で省エネは実践しているほうですから、お互いの構法の違いを超えて交流してきました。それにしても網走は美しい。ホテルに着いて周りの景色に見とれてしましました。
スケッチブックを置いてきたことを反省! 出がけに絵を描いている暇もないかとバックから出してしまいました。残念!
とりあえず写真で景色をお楽しみください。今度は網走に、絵を描きに行きたいですね。
編集者のブログはこちら。http://blog.goo.ne.jp/replankeigo/e/5a9d35a932960951e756d64dacfc8709
2014年10月07日 Tue
ここはギリシャのパルテノン神殿かと見まがうような建物が、会津喜多方にあります。
長床という拝殿です。もとは熊野神社の新宮の一部ですが、まるで木造のパルテノン神殿のような、丸い柱の列柱の美しい建物です。
平安時代の源頼義が造営した建物と言われていますが、1611年(慶長19年)の会津地震で倒壊した後、一回り小さく再建されたといいます。
それでも美しいプロポーションを見せてくれています。茅葺の屋根も重厚で、古くて厳かな姿です。
ここにいると、なぜか哲学的になるのはどうしてでしょう。ここには建物の本質がある気がします。うまく言えませんが、魂がゆすぶられるのです。
だから神殿に見えるのかもしれません。
以前雪の中で見た時も驚きましたが、今回も何度も何度もシャッターを押してしまいました。
2014年10月03日 Fri
友人の丸谷芳正さんから「さまのこアートinよっさ2014」の案内が届きましたので、お知らせいたします。
お近くの方はぜひご参加ください。ご案内チラシのPDFはこちらからどうぞ。
2014年10月01日 Wed
ブログ | プロジェクトレポート | 佐倉の平屋
「佐倉の平屋」は、省エネ等級4の認定を受け「フラット35S」「贈与税の非課税措置」を取得した、省エネタイプの木組みの家です。エアコン1台で全室を暖めることができます。さらに自然素材の断熱材、無垢の木、漆喰による調湿作用で、快適で健康な住空間となっています。
CO2削減に向けた、これからの時代の木の家です。
現場では順調に大工工事が進んでいます。梁は、吉野の杉です。無節の野地板に、梁の赤みが映えています。
2014年09月24日 Wed
ブログ | プロジェクトレポート | 住まいの相談会・見学会 | 吉祥寺の家III
少しづつ庭づくりを進めている「吉祥寺の家3」ですが、先週の日曜日に、撮影会とお住まい見学会を開催させていただきました。
お引き渡しから4カ月がたっていますが、綺麗にお住まいで、家具の入った室内はモデルルームのようでした。
天候にも恵まれて、わたくしの設計した家を撮り続けてくれている、カメラマンの奈良岡忠さんも快調に撮影を進めてくれました。
7月に完成した八王子の建て主さんも、子供連れで見にきてくれました。吉祥寺3の建て主さんとは、一緒に天竜の山まで木を見に行った仲です。お互いに家ができてからも交流があるのは、設計者としてはうれしい限りです。
室内に人がいる写真もイイかもという話になって、みんなでモデルをやりました。お住まい見学会+撮影会も楽しいですね。
2014年09月23日 Tue
先週金曜日に、丹波篠山の古民家イベントに行ってきました。
篠山の歴史的街並みを歩き、町家の利活用の実際を見せていただきました。驚いたことに、空き屋になった町家を、隔週ごとに、掃除をしたり自力改修をするボランティア活動が10年続いているそうです。
中心になっているのは、町家好きの兵庫県の職員さんであったり、元副市長であった方たちでした。何ともうらやましい実力者ぞろいですが、現役や元行政の方たちが、町家の保存に真剣かつひたむきに取り組まれていることに感動しました。
わたしが37年間に、全国町並み保存連盟の運動に飛び込んで活動していた頃には考えられなかったことです。時代の変化を感じるとともに、古民家を残すには、利活用のための企画力が大きく物を言うことを思い知りました。
なにしろ、どんどん空き家になってゆく古い家を、無償で借りて、お店や宿泊施設に改装して、10年後には持ち主に返すという手法は、確実に町並み保存になっています。
企画者で一般社団法人ノオトの金野氏は自嘲気味に「もとのもくあみプロジェクト」と呼んでいますが、こんな手があったのかと驚かされる2日間でした。
夜は、集落丸山という、桃源郷のような村の茅葺の家に泊まりました。古民家をリノベーションした宿ですが、周囲の環境と響き合って、快適な一夜でした。これからの古民家再生の方向性が見えた気がします。
町で出会った、篠山の地元のみなさんの笑顔がすてきでした。お世話になりました。
2014年09月18日 Thu
ブログ | プロジェクトレポート | 住まいの相談会・見学会 | 佐倉の平屋
歴史のまち、千葉県佐倉市内に建つ「平屋の家」の構造見学会が無事終了いたしました。
伝統的な木組みの家で、省エネルギーを計るために床下に工夫を凝らし、省エネ等級4を習得しました。エアコン一台で暖房できる家です。
また耐震の工夫は、貫と足固めによる木の特性を生かした、粘り強い壁で、巨大地震にも倒壊しない家を目指しております。
当日は、見学者のために、足元の工夫が見えるように床下を空けてお待ちしていました。みなさん納得していただいたと思います。
考えてみると、木組みの家も省エネも足元が大切ですね。
そして、何よりも吉野杉の美しいこと。シンプルな架構にピッタリの色つやの良い材でした。
遠くからお運びいただいたみなさま、ありがとうございました。
2014年09月11日 Thu
ブログ | プロジェクトレポート | 住まいの相談会・見学会 | 吉祥寺の家III
「木漏れ日のある木組の家」が吉祥寺に完成して、4ヶ月が経ちました。
建主さんのご厚意で、暮らしの様子を拝見させていただけることになりました。
「木漏れ日格子」と木製サッシ、遠州流のお茶室が見所です。趣きのある土壁です。
エアコン1台でほぼ全室を冷暖房する省エネルギー性能に優れた住まいです。
若いご夫婦の住む、本物の木組の家を見に来ませんか?
「お住まい見学会」は無垢の木の家の、暮らしの様子を見せていただける貴重な機会です。
みなさまのお申込みをお待ちしております。折り返し地図をお送りいたします。
開催日時:
2014年9月21日(日)
13:00~17:00
対象:家づくりをご検討の方
※一般向け見学会ですので建設業関係の方のお申込みはご遠慮ください。
お申込み先:
松井郁夫建築設計事務所
電話:03-3951-0703 メール:ok@matsui-ikuo.jp
松井郁夫建築設計事務所お問い合わせフォーム
また、今回の内覧会にご来場の方には、
近日発行の「松井郁夫建築設計事務所の小冊子」無料プレゼントにご登録いただけます。
完成作品の解説スケッチ、書き下ろしエッセイ、写真集、65ページ以上の楽しい本になりました。
ぜひ奮ってご参加ください。
2014年09月09日 Tue
いま日本の住宅は、リフォーム・リノベーション時代となり、
改修設計は設計者・工務店にとって必修の技術となっています。
そこで、「古民家再生」の基本を学び、
本来の日本の家づくりを根本から問い直す講座をはじめたいと思います。
講師は、木の家づくりのバイブル「木造住宅私家版仕様書」を共著し、
古民家に学んだ木組の家を実践する、松井郁夫です。
講義は、文化庁監修「民家のみかた調べかた」(絶版)を手引きに、
古民家を理解し実測の方法を学ぶ【座学】からはじまり、
実際の古民家の【実測】を通して、
何を残し何を変えるのか、
「古民家の耐震省エネ改修」の実例もまじえ
再生と【設計】のコツを公開します。
古民家は、日本の木造住宅の基本です。
再生だけでなく、戦後の住宅のリフォーム・リノベーション、
新築住宅の設計・施工にも、すぐに役立ちます。
「古民家再生ゼミ」は観て測って手を練る、きわめて実践的な講座です。
実測・再生設計歴30年の松井郁夫が、実際の古民家で、
実測の方法から民家の構造・改修手法まで解説します。
日本の木造住宅の基本がしっかりと理解でき、
実習を通して、きちんと実力がつく講座です。
定員は先着30名です。
全国のみなさまのご参加をお待ちしております。
松井郁夫
「基本は古民家にある」
2014年11月8日(土)13:00~17:00
会場:AGCスタジオ(東京都中央区京橋)
「民家のみかた調べかた」
調査手引書を読み解く
どんな民家が古いか
どのように調査をするか
調査の実例
「先人の知恵と工夫を測る」
2015年2月18日(水)10:00~16:30
会場:日本民家園(神奈川県川崎市)
日本民家園(川崎)実測研修
野帳の描き方
寸法の採り方
解体現場の研修
「むかしといまをみらいにつなぐ」
2015年3月7日(土)13:00~17:00
会場:AGCスタジオ(東京都中央区京橋)
可変と不変の架構
架構を生かす
不易と流行を知る
現代性の表現
耐震補強の方法
省エネ改修の方法
全講座講師・松井郁夫
定員先着30名
2014年09月08日 Mon
新築住宅の建設が伸び悩む中、中古住宅を改修して住む人たちが増えています。中でも建てられてから百年を超える古民家は、太い柱や梁、土壁などの素材の良さもあって大変人気があります。
わたくしも古い町家に育ち、歴史的な町並みの保存に若いころから取り組み、事務所開設時から古民家の再生に取り組んできました。さらに、古民家から得た伝統的な木組みの素晴らしさを、新築住宅の設計に生かしてきました。
そこで、これまでの経験を生かして、古民家に息づく伝統技術を多くの方に知ってもらうために、古民家の歴史や架構の仕組みを学ぶゼミナールを開くことにしました。
まずは、座学で古民家とは何かを学び、次に実測調査を行い、実際の古民家の寸法を採り構造を学びます。さらに、架構を生かした再生のデザインを演習します。 むかしの知恵や工夫をいまに生かし、みらいにつなぐ実習です。
古民家から日本の家づくりの基本を身につけ、実務に使えるゼミにしたいと思います。
古民家に限らず中古の住まいのリフォームにも役に立つと思います。興味のある方は、どなたでも参加できます。現在日程を調整中です。正式の応募はこの後すぐです。
どうぞご期待ください。
2014年09月03日 Wed
ブログ | プロジェクトレポート | 住まいの相談会・見学会 | 佐倉の平屋
武家屋敷のある佐倉の町に、国産無垢材の「木組の家」が上棟しました。
子育て世代の家族4人で住む、軒の深い平屋です。
吉野の美しい天然乾燥材を、職人の手で刻んで組上げました。
金物に頼らない木組の家は、架構がそのまま空間になります。
地震国日本で古来から受け継がれてきた,木の特性を生かした民家の知恵「足固め」と「貫」構法を採用し、継手・仕口と呼ばれる木組みの加工をしています。大きな地震にも、めり込みと摩擦によって力を減衰し、粘り強く倒壊に耐えます。地震国日本の伝統を生かした丈夫な架構です。
さらに、時代を見据えた「省エネルギー対策等級4」を取得した高断熱に加え、エアコン1台でほぼ全室を空調する温熱の性能向上を実現し、伝統構法でも低燃費を図りました。自然素材である無垢の木と漆喰が、調温・調湿してくれるので、体にやさしく健康な温熱環境です。
本物の木の家は、時間がたつほどに美しく経年変化します。飽きの来ないシンプルな架構は、世代を越えて受け継がれ、長く使える資産になる住まいです。
構造見学会は、木組の家の醍醐味である「骨組み」をみることのできる、またとない機会です。
現場の近くには、松井が保存調査に参加し、公開している武家屋敷や美術館、国立博物館もあり一日中楽しめる歴史の街です。遠足に行くような気分で、足を延ばしてみませんか?
皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。
開催日時:
2014年9月14日(日)
11:00~16:00
対象:家づくりをご検討の方
※一般向け見学会ですので建設業関係の方のお申込みはご遠慮ください。
お申込み先:
松井郁夫建築設計事務所
電話:03-3951-0703 メール:ok@matsui-ikuo.jp
2014年09月03日 Wed
ブログ | プロジェクトレポート | 佐倉の平屋
「佐倉の平屋」の建方をYouTubeに掲載しました。
金物に頼らない、美しく丈夫で長寿命な「木組みの家」の醍醐味です。
一本ずつ手で組みあげます。複雑でとても丈夫な継ぎ手「金輪継ぎ」で材をつなげるシーンも見所です。
むかしからいまに受け継がれてきた優れた大工技術を、ぜひご覧ください。
2014年09月02日 Tue
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民家を、住む。
家は、家族の暮らしを守ること。まずは、丈夫な骨組をつくります。
「古民家」に学んだ「き」組のパッシブハウスは、 優れた職人技術を伝え、
100年住み継げる、これからの「民家」です。
無垢の木と土を使い、燃費の良い、長く愛される美しい「民家」をつくります。
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人、暮らし、地域をつなぐ「ターンズ」Vol.10に、「き」組の広告が掲載されました。
民家に学んだ、ワークショップ「き」組の家がつくる民家ってすてきな現代住宅ですよ。
写真は、長野県上田市の古民家を再生した「田舎暮らしを楽しむ家」です。
ぜひ書店でお手にとってご覧ください。
2014年09月01日 Mon
ブログ | プロジェクトレポート | 佐倉の平屋
「佐倉の平屋」が上棟しました!
平屋なのでレッカーを使わず、太い材料を手で上げました。
タケワキ住宅建設の若き棟梁篠塚さんとベテランの原田さんの刻んだ材木です。
木と木を継いでいくための「継ぎ手」の中でも、最も強く、手間のかかる「金輪継ぎ」を、全ての箇所でつくってくれました。
きめの細かい吉野の材が、掛合(木槌)で一本ずつ打ち込まれ、見事に組み上がりました。 金物を使わないから美しく、「貫」と「足固め」によって、しなやかで丈夫な木組みの家の上棟です。 おめでとうございます!
深い軒で夏の日射をカットし、冬は少しの暖房であたたまる、 次世代省エネ基準をクリアした「省エネ等級4」の木組みの家です。
美しい無垢の木の架構と、丈夫で長寿命な木組みの家の、醍醐味が体験できます。 みなさまのお越しをお待ちしております
2014年09月01日 Mon
今日は、関東大震災が起きた日を記念した「防災の日」です。 TVや雑誌では、これから起こるかもしれない巨大地震の可能性について話題になっています。阪神大震災から20年の間に山古志村や東北大地震が起きましたから、地震国日本では、いつ地震が来ても不思議ではありません。 そこで設計者としては、まず第一に家族の命を守る家づくりを考えなければなりません。そのためには、長い時間が経過した古い建物の造り方に注目したいと思います。 松井事務所では、古民家に採用されている、柱と柱を縫うように入っている横材「貫」に注目しました。また柱の足元を堅牢に固める部材「足固め」にも注目しています。 実験の結果「貫」と「足固め」を入れた建物は、大きく変形しても崩壊することがありませんでした。柱が折れましたが、余力10tを残して傾いたまま止まりました。これは注目すべき事実です。巨大地震が来ても、崩壊することなく人の命を守ることができれば、建物としては役割を果たしたといえます。 貫は柱を貫いているため、めり込みに強く、大きな力で貫をつぶすには困難だからです。これは、木の持っている特性で、何段にも入れられた貫は日本建築の特徴でもあります。 当事務所では「貫をやめてはいけない」を基本に、丈夫で粘り強い壁をつくっています。
2014年08月23日 Sat
猛暑の中、異常気象が日本中に被害をもたらしています。全国各地で災害に見舞われた方々には、お見舞い申し上げます。
さて、わたくしの講演会が、今月末より目白押しです。多くのみなさんが、今わたくしに講演会を依頼され、期待されていることは、おそらく、伝統的な日本の家づくりがこれからどこへ向かっているのか、を確かめたいのだろうと察します。
つまり、5年間に及んだ国の伝統的木造住宅の実大実験の成果は、どうなってゆくのか?
2020年より義務化される、省エネルギー法改正に伝統的な木造住宅は、乗り越えられるのか?
日々、伝統的な構法で研鑽を重ねる工務店さんや大工さんは、今後の行方が気になるのも無理はありません。
わたしの立場は明快です。伝統構法の家づくりは、次々と繰り出される国の制度改正を乗り越えて、さらに進化してゆくべきだと考えます。
そこで、以下の講演会を行いますので、どうぞお時間の許す方はお運びください。
8月27日 14:00~ 優良工務店の会 九州地区勉強会
「進化してゆく木造住宅」
博多アーバンスクエアビル11階会議室
(財団法人・住宅産業研修財団福岡事務所 092-418-8120中村)
9月1日 18:00~ 伝統木造の会 東海事務局
「これからの伝統木造の姿」
名城大学名駅サテライト 名古屋駅前桜通ビル13階 多目的室
(東海林建築設計事務所内 ・引越ししましたので、番号をお間違えの無いようお願いします。)
TEL:052-853-9817 FAX:052-853-9818
E-Mail :info@tokairin.jp (TEL・FAX:052-853-9724 ACC事務局)
9月4日 16:45~ 住宅医・東京
「古民家再生から見える日本の家」
AGC studio AGC旭硝子ショールーム(住宅医協会 06-6454-3465 藤村)
9月28日 9:00~ 伝統木構造講座
「伝統構法の行方(仮)」
姫路商工会館 (㈱兵庫確認検査機構 079-289-3002 中安)
2014年08月14日 Thu
ブログ | プロジェクトレポート | 松本城のみえる家
「松本城の見える家」が始まります。 長野県松本市の、松本城が見える高台の敷地に”木組の家のパッシブハウス”が建ちます。
片流の屋根、板張りの外壁、2階をせり出す木組みならではの架構「せがい造り」が特徴です。
躯体は寒冷地仕様の高断熱で、薪ストーブを設置し、夏は家全体の通風を考慮した、冬暖かく夏涼しい”木組の家のパッシブハウス”になります。
「き」組メンバー、田中製材工業(俊建築設計室)さんが施工し、構造設計サポートは悟工房の山中信悟さんです。
架構には、貫と足固めを採用し地震にねばり強く、100年の長寿命、自然素材、無垢の木と漆喰による快適で省エネな木組みの家は、これからの木造住宅です。
竣工は来年5月を予定しています。
進行中のレポートは、随時更新いたしますので、ご期待ください!