プロジェクトレポート
2014年08月12日 Tue
毎年8月9日は、田中文男棟梁の命日です。2010年に亡くなってから早くも5年がたちました。
田中文男さんほど現代の木造界に波紋を投げかけた人はいないでしょう。歯に衣着せぬ言葉は、どんな学者も、実務者も唸るしかないほど的確な発言でした。しかし時折見せる笑い顔は、子どものように純真な心が見える笑顔でした。だから「ダイフミ」さんの愛称で親しまれていました。
ダイフミさんが生きていれば、いまの伝統構法の扱いも変わったでしょう。だれよりも伝統技術を語れる大工棟梁で、すこぶる合理的な理論家でした。
わたくしがお世話になった現代計画研究所の藤本昌也先生と、民家型構法を開発し、木造界に旋風を呼んだのは、もう32年前になります。
「木造は軸組だ!」と言い放つダイフミさんには、みんな敬意を表しました。伝統構法でつくる家を「木組み」という言葉で呼び、その言葉は、日本中の大工や設計者を覚醒したのです。もちろん、わたくしもその一人です。
設計者の顔を見ると、「バカヤロー! お前らが日本の建築をダメにしたんだ!」といつも叱られました。日本の伝統構法を、学者や設計士には理解できないと思っていた節があります。それでも、いろいろ質問すると、継手や仕口のこと、施工技術のことをたくさん教えてくれました。
口癖は、「知識と知恵は違う」「技術と技能の融合が大切だ」でした。
「知識」は、やってイイことしか教わらない。しかし「知恵」は、やってはイケナイことを教わるのだ、ということでした。「イイことばかり教わってもイケナイことは分からないが、イケナイことを知れば、あとは何をやってもイイ、工夫と創造の世界が広がるんだ。」という言葉は、今も耳に響いています。
また、最近になってようやく、ダイフミさんの言っていた「技術と技能」の違いが分かってきました。「技術」は本からでも学べることですが、「技能」は自らの体が覚えることです。経験に裏付けされた技なのだ、と思い至りました。だから、職人の技能は、体得するのに長い経験が必要なのです。
ダイフミさんが、現状の家づくりの現場を見たとすると、たぶんその技能不足にがっかりするだろうと思います。なにしろ世の中は機械の時代、プレカット全盛で、柱や梁の骨組みの分からない家が増え続けているのですから。今後、省エネ法の改正に伴い、ますますその傾向は強くなるでしょう。
今日もダイフミさんの嘆き声が、草葉の陰から聞こえる気がします。だから、丈夫な骨をつくる「木組み」の家づくりをがんばらなくては!省エネ法にも負けないぞ! と、自らに鼓舞する命日でした。合掌!
2014年08月08日 Fri
松井事務所の夏季休業期間は以下の日程となります。
2014年8月15日~8月20日
期間中にいただいたご連絡は8月21日から順次対応致します。
ご迷惑をおかけいたしますがどうぞよろしくお願い致します。
2014年08月05日 Tue
ブログ | プロジェクトレポート | 高円寺の家
高円寺の家の建主さんから、
「夏の涼しさを体験しませんか?」
というお誘いがありました。
猛暑の夏【風のない日に風の通る】木組の家を、
みなさまで体感しに来ませんか?
「越屋根」と「地窓」と「吹抜」に隠された、
夏でもクーラーのいらない秘密をお披露目します。
お住まい見学会は、建主さんもいらっしゃいますので
木組の家の住み心地をお聞きできる貴重な機会です。
「木組の準耐火建築」「西日を楽しむ浄土寺格子」
「電気代が700円」「桧の浴室」
高円寺の家は、みどころ満載の木組の家です。
ぜひこの機会にお越しください。
建主さんはエッセイで日々の暮らしを綴ってくださっています。
連載「木組みの家に住んで。」は松井事務所のHPで掲載中です。
開催日時:
未定(決定次第、当ページでお知らせ致します)
対象:家づくりをご検討の方
※一般向け見学会ですので建設業関係の方のお申込みはご遠慮ください。
お申込み先:
松井郁夫建築設計事務所
電話:03-3951-0703 メール:ok@matsui-ikuo.jp
松井郁夫建築設計事務所お問い合わせフォーム
また、今回の内覧会にご来場の方には、
近日発行の「松井郁夫建築設計事務所の小冊子」無料プレゼントにご登録いただけます。
完成作品の解説スケッチ、書き下ろしエッセイ、写真集、65ページ以上の楽しい本になりました。
ぜひ奮ってご参加ください。
2014年08月03日 Sun
毎日うだるような暑さが続きます。
最近の気温は、全国で30度を超えることが当たり前になってきましたが、10年前にはこんなに毎日のことではなかったと思います。やはり、徐々に地球温暖化が進んでいると考えられます。
2020年の燃費の良い家をつくるための法改正・義務化など、省エネルギーの対策が厳しくなってくるのも、致し方のないことだと思います。
ではCO2をできるだけ放出しないで、日常を暮らすためには、どんな方法があるでしょう。
わたしたち設計者にできることは、まずは、風通しの良さを確保すること。風のないときには、温度差で空気を移動させる工夫もあります。そのためには、低い位置の窓から冷たい空気を入れて、暑い空気を排熱できる仕組みを作ることです。それには、腰屋根などが有効です。
また、外壁が温まりすぎないように断熱することも大切ですが、一度冷えた熱を逃がさない蓄熱する素材を使うことが大切です。それには、土壁が有効です。
人の体感温度は、室内の空気温度とその周囲の壁の表面温度との中間の温度になることがわかっています。つまり、室温が30℃ででも、室内の壁の表面温度が、26℃であれば、体感温度は28℃になります。これくらいならば、薄着であれば室内の生活も苦にならないでしょう。
土には蓄熱というすぐれた作用があります。この特性を生かして室内を造れば、外部の気温が高くても室内の体感温度は快適な数値まで落とせると考えられます。
さらに室内の湿度を調節する、吸放湿性能もあります。
湿度が下がれば、体感的に心地よいことはよく知れたことですが、これには土壁が最高の効果をあげます。わたしの事務所では、漆喰塗りを標準仕様にしていますが、建て主のみなさん、この時期に汗が引くと好評です。
室内には、土壁を使うことをこれからも、当たり前にしたいですね。
そこで、今月31日には、「高円寺の家」で猛暑の中で、室内温度を体感していただく「お住まい見学会」を実施します。詳しく決まりましたら、またお知らせいたします。ご期待ください。
2014年07月31日 Thu
昨晩、WEB・HOME’sPRESSで「木組みの家」を取材して下さったコーディネイターの方とライターの方を交えて食事会をしました。
まずは取材の連載が、好評であったとのうれしい報告を受けました。3回とも250以上の「いいね」がついたそうです。なんと1回目は367の「いいね」がついたということです。通常は80くらいだそうですから、大変な反響だといえます。
また、HOME’sPRESSは、広告収入に頼らない自主的な運営によって、社会的にも公平な記事を書いていることも分かり、驚くとともに取材を受けたことを光栄に感じました。あらためて感謝です。
食事会ではいろいろな話をしましたが、これからの家づくりの方向について、いくつかお話を聞かせていただき、大変参考になりました。
なかでも、これからの住まいに求められることの一番は、「寿命」だということです。住まい手が求めるのは、長く住めるということ、つまり建物の寿命が最も気になるという話でした。最近の傾向として、「構造」「温熱」「劣化」がキーワードだと他でも聞いていましたので、なるほどと納得しました。
住まいの動向は、2020年に控えた省エネ法の改正、義務付け問題がクローズアップされて、ゼロエネや、スマートハウスなどがマスコミを賑わせています。どれも建物の性能を向上させることが大切ですが、建物本体の構造が長持ちしなければ意味のないことです。そこで、住まい手が求めていることが「寿命」だという話は健全だと感じました。
3.11以来、これまでの生活をあらためる方たちが増えていますが、控えめな暮らしと節電は3年が経過しても風化させてはいけないことだと改めて思いました。
人は人生の90%を建物の中で暮らすといいます。いまこそ、安全で快適かつ丈夫で長持ちする住まいが求められていると感じた会でした。お二人に感謝!
2014年07月30日 Wed
松井奈穂は、東京芸術大学で日本画を学びました。若いころから子供に絵を教えることが好きで、今は川村学園小学校の図工の先生をしながら、小さな子どもの「アトリエ・かたつむり」を運営しています。
この度、千葉県の南房総市千倉町にある隠れ家的ギャラリーで、これまで描いた絵の展覧会を企画していただきました。遠いところですが、もしお時間ありましたらお運びください。生命力のある南洋の植物や、人物画が展示されています。
夏のひと時、海水浴も兼ねて千倉にお出かけください。みなさまのお越しを、お待ち申し上げております。
場所:ギャラリー・シーレ 〒295-0004 千葉県南房総市千倉町瀬戸1702 ℡0470-44-4893
期間:8月1日から19日まで
2014年07月28日 Mon
連日うだるような暑さに覆われている、日本列島ですが、
出来るだけエアコンに頼らず、この暑さをしのぐ方法はないのでしょうか?
先日「伝統木造と省エネルギー」を考えるグループで、
体感温度について、興味深いお話しをお聞きしました。
以下は、「エクセルギー」という概念で建築環境を読み解く、宿谷正則先生のお話です。
わたしたちが暑さ寒さを感じるのは、気温だけが決め手ではないというのです。
室内の空気の温度が、体感温度とは限らないというのです。
つまり、その部屋の湿度や気流、着ている服や、
その部屋の天井、壁、床の表面温度によって感じ方は違ってくるということです。
また、部屋の表面温度から伝わる熱を、輻射熱と言いますが、
体感温度は室温と輻射熱の中間になるといわれています。
例えば、室内が30度の気温であっても、壁が26度であれば、
体感温度は28度ということになります。
室内の気温は、家を包み込む外皮の断熱性能で決まりますが、
体感温度は、もう少し複雑な要素が絡み合うようです。
ここで、わたしたち設計者が建物をつくる際に考えられるのは、
通風を促す窓の開け方と、室内をつくる天井、壁、床の素材ということになります。
気流は低い位置に開ける地窓や高い位置に開ける越屋根を設けることで、
気流をつくることはできると考えられます。
素材には、調湿効果のある木や土が良いということになります。
木も土も自然素材で、さまざまな性能を持っていますが、
熱伝導率だけを考えると熱を通しやすい数値になってしまうのですが、
蓄熱性能や、吸放湿性能が高いことが分かっています。
表面温度でいえば、木や土は触った時に感じる温冷感が、
アルミやガラスに比べて暖かくて優しいことは、みなさん体験していると思います。
これまでも、これからも、自然の恩恵を生かしながら、
無垢の木と土を使って、建物の環境をつくることが基本だと思うお話でした。
わたしたちは、省エネルギーに取り組む時も、
まずは自然素材の特性を生かし、新しいテクノロジーも取込みながら、
体感温度の快適な現代的な家づくりを進めたいと考えています。
2014年07月24日 Thu
ブログ | プロジェクトレポート | 住まいの相談会・見学会 | 吉祥寺の家III
7月20日に開催された「吉祥寺の家3」お住まい見学会はたくさんの方々にご来場いただき大盛況となりました。
小さなお子さんを連れたご家族の方から、老後のお住まいをお考えの方まで、木組みの家を体験していただけました。
建主さんも、茶室の床の間にお花を生けてくれました。
暑い日でしたが、クーラーをつけなくても風通しがよく、心地良いなかでの見学会となりました。
ご来場の方々にあらためて御礼申しあげます。
また、休日にお家にお邪魔させていただいた建主さん、ほんとうにありがとうございました。
これからも長く大切にお住まいになってください。
<匠>
(写真撮影:奈良岡忠、松井事務所)
2014年07月23日 Wed
ブログ | プロジェクトレポート | 佐倉の平屋
「佐倉の平屋」が着工し、基礎配筋がはじまりました。
松井事務所とタケワキ住宅建設で立ち会い、鉄筋の配置を確認しました。
松井事務所では、平らなコンクリートを打つことで、コストを抑えながら丈夫な基礎にするために、独自の計算と工夫をしています。伝統の技術と現代のテクノロジーの融合を計ることで、多くの人たちに手の届く価格で、美しい木組みの家を提供します。
コーナー配筋はしっかり
2014年07月22日 Tue
先日発売された新刊【いまこそ「木組の家」に住みたい】の書評が掲載されました。
ワークショップ「き」組の10年間の軌跡を、さまざま事例を紹介しながらまとめた本です。
書評は、全建連新聞の平成26年7月10日号に掲載されました。以下、書評全文です。
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設計士である著者は、一般社団法人ワークショップ「き」組の理事長を務める人物である。
「き」組は、日本の伝統構法である手刻み、木組みの技術と、国産無垢材や漆喰などの自然素材を使った家を、適正な価格で提供する実務者の全国ネットワーク。
これから建てる家に使われる木が、どこの山で誰に育てられ、いつ伐られたかわかる履歴書を備え、林業家と住まい手をつなぐなど「顔の見える家づくり」を行う。
2003年には、これらのビジネスモデルが「グッドデザイン賞」を受賞している。
この本は、山と職人、設計士、そして住まい手をつなぎ、こだわりの詰まった家づくりをさまざまな実例を交えながら紹介している。
家づくりは、住まい手はもちろん、家づくりに関わるすべての人びとの共存共栄の想いがなければ成り立たない。
工務店はその想いの一端を担う存在である。
これからの「住まい手」と「つくり手」の関係を考えるヒントとして、一読してみてはいかがだろうか。
————————————————-
2014年07月22日 Tue
住宅の最新トレンドや専門家による正しい住宅情報を発信しているWEB誌【HOME’S PRESS】による、
木組みの家についての連載記事、第2回が掲載されました。
今回は木組みの家の温熱環境に加えて、山を守る仕組みと、適正で手の届く工事価格について書かれています。
わかいやすく書かれた記事です。
どうぞご覧ください。〈匠〉
【HOME’S PRESS】【木組みの家②】日本の伝統的家屋には、「燃費の良い家」をつくるヒントが満載
2014年07月19日 Sat
ブログ | プロジェクトレポート | 住まいの相談会・見学会 | 八王子の家
台風の去った先週末「八王子の家」完成内覧会が開催されました。
蒸し暑い日でしたが、南側のテラス窓と越屋根を開けるとスーッと風が通り、室内はとても涼しく過ごせました。
遠方からも見学にお越しいただき、木組みの家の居心地の良さと、シンプルで無駄のないデザインをじっくり見ていただけました。
建主さん、ご協力ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。
また、ワークショップ「き」組の見学会は、7月20日(日)に「吉祥寺の家3」でも開催されます。
まだまだお申込みを受付中ですので、ぜひお運びください。 <匠>
2014年07月18日 Fri
ブログ | プロジェクトレポート | 住まいの相談会・見学会 | 吉祥寺の家III
「木漏れ日のある木組の家」が吉祥寺に完成して、2ヶ月が経ちました。
おしゃれな家具が置かれ、紅葉やオリーブを植えた庭と板塀も完成し、あたらしい暮しが始まっています。
建主さんのご厚意で、暮らしの様子を拝見させていただけることになりました。
「木漏れ日格子」と木製サッシ、遠州流のお茶室が見所です。趣きのある土壁です。
エアコン1台でほぼ全室を冷暖房する省エネルギー性能に優れた住まいです。
若いご夫婦の住む、本物の木組の家を見に来ませんか?
「お住まい見学会」は無垢の木の家の、暮らしの様子を見せていただける貴重な機会です。
みなさまのお申込みをお待ちしております。折り返し地図をお送りいたします。
(印刷用PDFはこちらです)
開催日時:
2014年7月20日(日)
13:00~17:00
対象:家づくりをご検討の方
※一般向け見学会ですので建設業関係の方のお申込みはご遠慮ください。
お申込み先:
松井郁夫建築設計事務所
電話:03-3951-0703 メール:ok@matsui-ikuo.jp
松井郁夫建築設計事務所お問い合わせフォーム
また、今回の内覧会にご来場の方には、
近日発行の「松井郁夫建築設計事務所の小冊子」無料プレゼントにご登録いただけます。
完成作品の解説スケッチ、書き下ろしエッセイ、写真集、65ページ以上の楽しい本になりました。
ぜひ奮ってご参加ください。
2014年07月14日 Mon
ブログ | 日記 | 住まいの相談会・見学会
二週続けて、見学会を開催させていただきます。
建物が竣工してすぐに開催させていただく見学は、「完成内覧会」ですが、すでに暮らされているお住まいの様子を見せていただける見学会は、「お住まい見学会」と呼んでいます。おかげさまで、どちらも建て主様のご厚意で、時々お願いしています。
今回の「吉祥寺の家3」は、3か月前に竣工して引っ越されたばかりですが、お庭が少しづつ出来てきたので、「お住まい見学会」をお願いいたしました。建て主さんに感謝!
この家は、茶道教室に通う同じ社中の若いご夫婦の木の家です。なのでお茶室をつくりました。土壁の4畳半です。相談に乗っていただいた、茶道の先生の合格もいただき無事完成いたしました。
ご夫婦がご要望された家づくりのコンセプトは、「木漏れ日のある家」でした。武蔵野の雑木林のような木漏れ日です。
そこで、南に面した一間(1.8m)巾の木の窓をつくり、庭とつなぐことを考えました。開放的な大きな窓からの眺めと、二階の不規則な格子から差し込む光が、木漏れ日のようにキラキラまたたきます。
現在、空き地になっている南側に大きな家が建設されても、冬の光はタップリ入るように、建物を配置しました。吹抜けを通して光も風もゆらいでいるスタイリッシュな木組みの家です。
7月20日の午後13時から、お住まい見学会を行います。どうぞお運びください。みなさまのお越しをお待ち申し上げています。
お申し込みは、メール ok@matsui-ikuo.jp もしくは、お電話 03-3951-0703まで、地図をお送りいたします。
2014年07月11日 Fri
「季刊・まちづくり」という雑誌が、休刊となりました。
建築雑誌、「建築知識」を経て「造景」の編集長を務めた八甫谷さん編集の最後の仕事になりました。以前、八甫谷さんには「造景」で地域づくりの事例をいくつか紹介していただきました。
福島飯野町の診療所と、熊本宮原町の古民家と銀行を改修した公共施設「まちつくり酒屋」でした。どちらの建物も、町の人たちとワークショップという「住民参加の手法」を使って建てました。
参加のデザインは、町の人たちの意見をカタチにする、楽しいプロセスが決め手です。
たくさんの意見を言葉でいただき、言葉に文脈をつくるダイナミックな手法は今でも素晴らしいデザインプロセスだと思います。
住民の意見を形にする建築家を「コミュニティアーキテクチャー」と呼びます。作品性を排除し、専門性を生かした建築士の仕事です。日本ではなかなか見かけませんが、住民に寄り添って設計する、誇り高き人たちです。公共性や社会性の薄れた都市にとっても、人間らしい交流の停滞している現代の世相にも、これからは、まちづくりの持続に必要な「人づくり」が大切だと感じた夜でした。
2014年07月09日 Wed
ブログ | プロジェクトレポート | 佐倉の平屋
「佐倉の平屋」がいよいよ着工です。 地鎮祭が執り行われ、神主さんが土地の神様を鎮めます。
家族みんなで敷地の線に沿って米を撒いていくという、おめでたい地鎮祭になりました。
地鎮祭の後には、施工のタケワキ住宅建設さんと、建物を位置出ししました。道路との高低差を確認します。
その後、タケワキさんの下小屋に伺い、先日吉野で選んだ材料の墨付けを見に行きました。 戸の引込みなど、細かな打ち合わせもはじまっています。
上棟は8月下旬を予定しています!
2014年07月06日 Sun
二週続けて「内覧会」と「お住まい」見学会を開催させていただきます。
八王子の小さな木組みの家は、若いご夫婦とお子様の3人暮らしです。奥様は、元CADオペレーターです。仕事ではプレカットの家を作図していました。
7年前には、当事務所が主催した、自力建設の家「落日荘」のお手伝いに来ていただきました。そこで経験したことがきっかけになったと思いますが、ご自分の家は、木組で建てたいと訪ねてこられたのが3年前です。
お若いご夫婦なので資金のこともあり、お金をかけずに手刻みと漆喰で木組の家を建てるために、時間をかけました。
また、南側に大きなアパートも建っていたので、3Dで冬の影を計算して、建物の配置や窓の位置を決めました。
おかげさまで、増税前に工事にかかることができました。途中大雪で数週間現場が止まりましたが、先日無事にお引き渡しを終りました。
リーズナブルな価格で丈夫で無駄のない木組みの家になりました。八王子の寒さにこたえるように断熱効果の上がる、珍しい素材も使いました。
開放的な、ワンルームのような小さな木組みの家です。7月13日の日曜日。皆様のお越しをお待ちしております。
2014年07月04日 Fri
ブログ | プロジェクトレポート | 住まいの相談会・見学会 | 八王子の家
若いご夫婦とお子さんのための小さな木組の家です。
構造材は静岡県天竜の無垢材です。みんなで山まで木を見に行きました。
朝日で明るい大きなバルコニーが特徴です。日照を3Dシミュレーションして吹抜を採用しました。明るく開放的な間取りです。
小さな家ならではの、無駄のないデザインと、きめ細やかで美しい仕上がりになりました。
八王子は都心よりも寒い地域なので、暖房の熱を蓄える断熱材を使いました。エアコン1台で全室を暖めるする工夫も施しました。さらに、夏の熱気を気化熱で逃す秘密の素材「現代の土壁」も採用しました。内覧会で公開します。
美しい本物の木組の家がつくる、無垢の木と漆喰の心地よさを体感しに来ませんか?
みなさまのご参加をお待ちしています。
開催日時:
2014年7月13日(日)
10:00~16:00
対象:家づくりをご検討の方
※一般向け見学会ですので建設業関係の方のお申込みはご遠慮ください。
お申込み先:
松井郁夫建築設計事務所
電話:03-3951-0703 メール:ok@matsui-ikuo.jp
松井郁夫建築設計事務所お問い合わせフォーム
また、今回の内覧会にご来場の方には、
近日発行の「松井郁夫建築設計事務所の小冊子」無料プレゼントにご登録いただけます。
完成作品の解説スケッチ、書き下ろしエッセイ、写真集、65ページ以上の楽しい本になりました。
ぜひ奮ってご参加ください。
2014年07月03日 Thu
ブログ | プロジェクトレポート | RCリノベーション
進学塾として使われていたRC2階建ての建物を「和の住まい」としてリノベーションしました。
内部にウレタンで断熱して、壁をつくります。座敷や床の間のある、真壁の和風住宅に生まれ変わりました。
無垢の板と土壁で、体にやさしい快適な住まいになりました。
和風が好みの建主さん。床の間や和室への入口が見所です。
2014年06月30日 Mon
昨日、埼玉県所沢市で、古民家を見せていただきました。江戸時代の初め(寛文12年、西暦1672年)342年前の建物です。
文化財として保存されている建物には、さらに古い古民家もありますが、現存する民家で今もお住まいになっている事が驚きです。ご当主のお話しでは、そのまたお爺さんのころは、茅葺の兜造りだったようです。いわゆる養蚕農家の造り方です。その後お茶の栽培を始めて、広い敷地には工場もあったそうです。今はお一人暮らしで、広い座敷を自由に使っていらっしゃいました。
昨日は、温熱耐震改修が可能かどうかの予備調査でした。柱梁はケヤキです。全く壁のない開放的な造りで、建具はすべて手の込んだ優れモノでした。台所はすっかり改修され、座敷は天井が貼り直してあったり、多少手を入れた形跡はありましたが、良く342年前の形をとどめていると感心しました。
ご当主の話では「あまり造り込んでない建物だったから、どういう時代の生活にも対応できたのではないか」とおっしゃっていました。これはいい話ですね。造り込まない方が、長く使えるということは、これからの住まいをつくる条件と思っていいでしょう。架構の痕跡も調べて当初の家の大きさも分かりました。今後の調査が待たれます。