お知らせ

2008年12月02日 Tue

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伝統構法の実験B棟、神戸地震波に耐える

さる11月28日に行なわれたEディフェンスの実大公開実験で、伝統構法のB棟 (都市型タイプ)が神戸の地震波を受けても倒れませんでした。

実験では大きな地震波に対して、建物がねじれながら大きく揺れましたが、またもとの姿に戻りました。損傷は、土壁が数箇所落脱し、差し鴨居付近の柱が折れました。足元も浮き上がりましたが、最終的な残留変形は少なかったと思います。
地震時の大きな変形後も、建物が復元したのは、おそらく貫の効果ではないかと思います。通し柱ごとに貫を打ち抜いたことも見逃せません。

このことでいくつかの課題は発見できましたが、伝統構法が「粘り強く」地震に耐えることと「生存空間を確保」できることの証明にはなったと思います。
明日、3日からA棟の実験です。

※木の家ネットのHPに動画がUPされています。
http://kino-ie.net/kinoienews/?p=18

2008年11月27日 Thu

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伝統的構法住宅の実物大振動実験

いよいよ伝統構法の建て物が実験されます。
明日は神戸の波が入ります。はたして・・

くわしくは日本住宅・木材技術センターのHPをご参照ください。
http://www.howtec.or.jp/gijyutsu/dento/dento.html

2008年11月26日 Wed

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「木造住宅私家版仕様書コンプリート版」発刊しました

日本の伝統的な木組みの家づくりを詳細に解説した実務書、木造住宅「私家版」仕様書が架構編に仕上げ編と現場編を加えて帰ってきました。
日本の気候風土に根差した伝統構法でつくる長寿命の家づくりを丁寧に解説しています。
これから木組みの家を造りたいと考えている実務者の方にはもちろん、無垢の国産材で、長寿命の家がほしいと考える「住まい手」の方にもお勧めです。
初版発売より13年の時を経て、国土交通省も見直し始めた伝統の木組みをさらにスキルアップした内容でお届けします。
この仕様書に則って造られた【ワークショップ「き」組の家】は、第二回「超長期住宅先導的モデル」として選定を受けたばかりです。「200年住宅ビジョン」に合致する内容を盛り込んだ、究極の木組の家づくり図鑑をどうぞお手元に。

※詳しくは松井事務所のHPへどうぞ

2008年11月21日 Fri

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国土交通省による【超長期住宅先導的モデル事業】に ワークショップ「き」組が選ばれました!

これからの日本の住宅のあり方を先導する【超長期住宅先導的モデル】としてWS「き」組が国土交通省から選定されました。

ワークショップ「き」組の家は、
超長寿命の仕組みをもつ日本の伝統的な木組みの家として
さらに進化します。

■【超長期住宅先導的モデル事業】とは…
日本は今、地球温暖化問題や、ゆとりある社会への転換を求めて、住宅政策の大規模な見直しが図られています。
そこで、高度経済成長期に広まった、つくっては壊すフロー消費型の考え方を一新し、定期的にリフォームをしながら、世代を超えて200年住める家を建てるストック型社会を目指すために【超長期住宅先導的モデル事業】が立ち上げられました。

【200年住宅】と呼ばれるこの事業は、「いいものをつくってきちんと手入れして長く大切に使う」 というストック社会のあり方について広く国民に提示し、技術の進展に資するモデル事業を、国が公募し、建設工事費等の一部を補助するものです。

■ワークショップ「き」組は…
「多様な取組みを行うことと合わせ、伝統的な木組みの技術の継承や山の育成に寄与する取組みも評価した」という講評を得ました。
これまでワークショップ「き」組が取り組んできたことが、高く評価されたと思います。

これからも山と職人と住まい手を結ぶワークショップ「き」組の家を、
よろしくお願いします。

※詳細は後日、特設ページを開設いたしますので、そちらをご覧下さい。

2008年11月14日 Fri

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八郷 冠木門のある茅葺民家

今年も「木組みゼミ」で八郷に行ってきました。八郷は何時行っても日本の「ふるさと」のような懐かしさがあります。いつもよりも深い里山を訪ねると、そこには茅葺民家がいくつも残っていました。写真を撮ったりスケッチを描いたりしていると、民家の中からおばあさんが出てきて「どこから来たの?」「何がいいの?」とたずねられました。しばし地元の話を聞きながら、秋の紅葉が始まった八郷を楽しみました。(画・松井奈穂、郁夫)

2008年11月13日 Thu

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ワークショップ「き」組「善福寺の家・Ⅱ」完成内覧会

朝夕の寒気が身にしみるころとなりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
このたび「善福寺の家・Ⅱ」が竣工し、
2008年12月13日(土)に建主さんのご厚意で完成内覧会を開催することとなりました。

善福寺公園に近い住宅地に空中回廊とパティオのある木組みの家が建ちました。
建主さんはWS「き」組の環境への取り組みに賛同してくださる方で、
天竜の植林ツアーにも参加しました。
構造材は天竜TSドライです。施工はベテランの渡辺棟梁、設計は松井事務所。
小さくてもお洒落で楽しい家になりました。

どうぞ皆さんお誘い合わせの上ご高覧下さい。
大勢の皆様のお越しをお待ちしております。

※見学をご希望の方は事前に事務局までご連絡下さい。詳しい地図をお送りします。

2008年11月11日 Tue

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「私家版」仕様書・完全版 11月末日発売

木造住宅の伝統構法による「私家版」仕様書が完全版になって帰ってきました。既刊の発売から10年。日本の伝統構法が国土交通省の見直しを受けている最中の発行です。
今後の伝統構法の仕様書として、
誰もが使える教科書を目指しました。
「架構編」に「仕上げ編」と構造の根拠を「現場監理編」として加えて、「木組みの家」を、さらに多くの全国の皆さんに建てていただける仕様書になりました。乞うご期待!

2008年11月07日 Fri

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「下連雀の家」構造見学会のお知らせ

この度「下連雀の家」が上棟の運びとなり、
建主さんのご厚意で構造見学会を開催することとなりました。
緑豊かな三鷹市の住宅地に木組みの家が建ちます。

下屋の屋根をゆったりと伸ばした、
日本建築の落ち着いた佇まいを大切にした家です。
材木は徳島のTSウッド、施工は横田木材工事部。
ベテラン渡辺棟梁。設計は松井事務所です。
素晴しい檜の大黒柱が下小屋で上棟を待っています。

骨組みの見える構造見学会は、
伝統構法による木組みの醍醐味を味わえるまたとない機会です。
どうぞ皆さんお誘い合わせの上ご高覧下さい。
大勢の皆様のお越しをお待ちしております。

※見学をご希望の方は事前に
松井事務所までご連絡下さい。
詳しい地図をお送りします。

2008年10月21日 Tue

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「卯之町」中ノ町・妻入りの町家

卯之町の目抜き通りには、平入りに町家と妻入りの町家が交互に並んで建っています。狭い通りの屋根が切り取るスカイラインの家並みが変化に富んでリズミカルに見えます。
妻入りの町家は比較的新しい年代の建物で、概ね袖壁が付いています。防火のための袖壁ですが、卯立つになっている壁もあります。重厚な瓦の黒々とした屋根と塗りこめた外壁と相まって、美しい白壁の町並みを造っています。秋空のうろこ雲が似合う町です。(画・文 郁夫)

「卯之町」中ノ町・妻入りの町家

2008年10月16日 Thu

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「卯之町」町並みゼミ

四国の宇和島で行われた全国町並みゼミ「卯之町」大会が終了しました。スケッチは会場となった中ノ町の目抜き通りです。
3日間で全国から約600人の方が集まり、各地の歴史的な町並みの保存について、現状と問題点を熱く語り合いました。
第7分科会では「住まいの再生と町並み」のコーディネーターの役割を無事果たしました。「民家再生の意義は、伝統技術の継承。そのためには職人をサポートすることや、地元の林業の活性化を促す仕組みをつくること。再生・利活用のマネジメントを確立すること。」として、林業から民家再生まで、一体的な流れの中に保存活動を位置づける必要があると思います。

「卯之町」町並みゼミ

2008年10月04日 Sat

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「越美文化研究所」完成内覧会のご案内

秋晴れの季節になりました。いかがお過ごしでしょうか。
このたび「越美文化研究所」が竣工となり、建主さんのご厚意で
10月26日(日)に完成内覧会を開催することになりました。
「越美文化研究所」は元NHKプロデューサーの水谷慶一さんによる財団設立の拠点として岐阜県郡上市白鳥町に建ちました。
日本海側からの大陸文化流入の接点であった奥美濃地方の歴史と文化を掘り起こし、広く地域の人たちと地元の知的財産を共有するための公共施設兼住居です。
建物は16間の長さを持つ、清水の舞台のような懸造りの上に建っています。丸窓のあるデッキは韓国の大庁(テーチョン)がモデルです。
材木は地元白鳥の木を使いました。施工は地元の澤崎建設。迅速な対応と高い施工精度で見事に木組みの家を完成させてくれました。

どうぞ皆さんお誘い合わせの上ご高覧下さい。大勢の皆様のお越しをお待ちしております。

「越美文化研究所」完成内覧会のご案内

2008年09月30日 Tue

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千倉「大工塾」盛況のうち終了

セルフビルドを目指している猛者たちが大勢集まりました。講義会場は旧町役場の会議室。朝早くから受講者の行列ができて受付がおおわらわでした。集まった方達の目は真剣!最初は睨みつけられながらの講演も、最後は笑いのうちに終わり、午後はいよいよ刻みの現場作業です。

千倉で伝統構法を実践する高木棟梁の出番です。墨付けまでは既にできていましたが、参加者が持参した工具はさまざま。切れないのこぎり持参で一生懸命の人もいましたが・・。
一日目でありながら、夕方にはそれぞれの持ち場を心得てどんどん進みます。しかしそこは素人の悲しさ、継手や仕口のかみ合わせは、微妙にあわなくて調整が必要。二日目の課題となりました。それでもあまりの熱心さに主催の川名さん(今回の企画の張本人)は大喜び。懇親会では千倉のわるだくみ仲間は、みんな同級生だということもわかりました。

二日目は朝から一気に刻みを終えて、地回りを仮組み。これまた微調整をして、建設地の「おんだら山」へ!海の見える山頂の敷地は、今回荷揚げの都合で変更。基礎担当の川原さんはがっかりでしたが、山の下の広場で気を取り直して建て方開始。みなさん熱心に小屋の組みあがる様子を見学。「木組み」の醍醐味はまさに継手・仕口の加工にあります。かけやで次々と組みあがっていく様子に全員うっとり。参加者の自らが刻んだ材料が組みあがる瞬間は、感激もひとしお。上棟は五色の布と紅白のお餅で祝いました。参加者のみなさんお疲れ様でした。千倉の仲間達も、また来年も続けよう!

千倉・「大工塾」盛況のうち終了

2008年09月29日 Mon

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『月刊左官』に掲載されました

名著『左官礼讃』を書いた小林澄夫さんが編集長を務める『月刊さかん』に「宮原の家」が掲載されました。
いつも松井事務所とワークショップ「き」組で左官をお願いしている芳賀さんの見事な仕事が、巻頭に見開きで載っています。

『月刊左官』に掲載されました

2008年09月26日 Fri

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京都・「作事組」の活動

京都の「作事組」という京町家再生に取り組む人たちに、会うことができました。ご存知のように京都の町も古い日本家屋が激変しています。京都らしい町家が京の市中からなくなりそうな勢いです。
そんな中で京町家を丁寧に直している活動グループが「作事組」です。歴史は古く、「京町家再生研究会」という活動母体が始まりです。多くの町家の改修した実績を持ち、建て主さんを中心とした「京町家友の会」もあり、オーナーがオーナーを呼ぶという市民的な広がりとなっています。

見学会にも参加しましたが、設計者や工務店ばかりでなく、オーナー自身が京町家をよく理解していて、次の世代に引き継ぐ覚悟をもっている姿に感動しました。いわく「自分達の世代のわがままな改修ではなく、いつの時代にも誰にも使えるスタンダードな改修を目指す。」元気な女性の活動家もいて、なんだか元気の出る会でした。

京都・「作事組」の活動

2008年09月22日 Mon

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全国町並み保存連盟「卯之町大会」

30年前から全国の歴史的な町並みを守ろうという市民の運動が展開されてきました。ご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますが、今年で31回目になります。10月11日から13日まで、愛媛県宇和町で開催されます。伝統的な家々がつくる町並みの保存を訴える大会です。
建築家の吉田桂二先生が中心で進めている大平宿は7回目の開催地でした。もう23年前になります。
今年は住まいの再生で京都の「作事組」のお話しが聞けます。皆さんご参加の上、卯之町の街づくりにご意見をください。

詳細な案内はコチラ>
全国町並み保存連盟「卯之町大会」

2008年09月18日 Thu

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千倉「大工塾」のお知らせ

いつも海水浴に行っている千葉県の千倉で、今年は「木組みの家」の話しをすることになりました。セルフビルドを目指す人たちを集めて、本格的な伝統の木組みで、山小屋を建てようという企画です。いつも何か企んでいる?千倉の地元の仲間達から生まれた楽しい企画です。
興味のある方はどうぞご参加ください。
お問い合わせお申し込みは、
南房総市観光協会千倉支部:
TEL 0470-44-3581
Fax 0470-44-2317

2008年09月11日 Thu

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NPO木の建築フォラム「木組の家づくり」講座受講生、まだまだ募集中です

「私家版」仕様書メンバー(宮越、小林、松井、渡邊)による「木組みの家づくり」講座の受講生を募集しています。締切を過ぎましたが、まだまだ募集中です。1回毎の受講も可能です。随時募集します。
「木組みの家」に挑戦したいと思いながらもなかなか踏み出せない設計者や工務店の皆さんに、スライドを交えながらわかりやすく「木組みの家づくり」を解説します。私家版メンバーによる伝統構法の入門講座です。

なお、本講座は(社)東京建築士会CPD制度の単位認定講座ですので、1講座につきCPDを2単位取得することができます。

ぜひお誘い合わせの上、奮ってお申込み下さい。

(上の写真はイメージ写真です)

2008年09月08日 Mon

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会津・喜多方「長床」

3月の雪景色のスケッチです。建物は長床(ながとこ)という鎌倉時代の拝殿です。
正式には新宮熊野神社の拝殿です。社伝によれば源頼義、義家親子が「前九年の役」天喜3年(1055)陸奥征討に赴いたとき、武運を祈って紀州熊野から熊野堂村(現在の河沼郡河東町)に勧請鎮座したのが始まりで、後に「後三年の役」で再びこの地を訪れた義家が、新宮の地に移すよう命じ、寛治3年(1089)完成といわれています。
この建物の魅力は、パルテノン神殿を思わせるような、丸柱の列柱によるシンプルで力強い架構にあります。この架構を見ていると、構造の純粋さと単純につくること大切さが伝わってきます。印象深い構造体は、どなたにも一度は見に行ってもらいたいと思える感動があります。(画・文 郁夫)

会津・喜多方「長床」

2008年09月03日 Wed

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本の紹介「工匠たちの技と智恵」太田邦夫・著

最近続けて興味深い本が出版されました。
今日ご紹介する本は「工匠たちの技と智恵」太田邦夫・著(学芸出版)です。この本は建築士会の機関紙に連載されていた、世界中の木造建築の、伝統的な技術と智恵の紹介です。
面白いのは没頭のイランの「床が横に動く家」です。なぜ横に動くのかは、読んでのお楽しみですが、イランが地震国だといえばもうお分かりでしょう。
太田先生は一昨年まで「ものつくり大学」で教鞭を執ってらっしゃいました。木造を志す学生達と、行田の町に残る古い建物の実測調査や作図を指導されていました。
退職後に、これまで撮りためた写真を整理されて、今回の出版の運びとなったようです。日本の伝統構法の見直しが進む今の時期に、世界の伝統的な建物を知るのも面白いと思います。(文・松井郁夫)

2008年08月29日 Fri

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上田・蛍舞う丸子の家

夏も終わりに近づき、外は大粒の雨が降っています。みなさん夏は楽しまれたでしょうか?
先日、このブログのタイトルのお宅から手紙が届きました。うれしい蛍のお便りです。
「前略 暑い夏ですが、お元気でお過ごしのことと存じます。
今年は、蛍の時期にお目にかかれず残念でした。今年の我が家の蛍は良かったですよ。いつも多くて10匹ばかり、大体数匹程度でしたが、今年は15匹以上出ていました。
光の大きな源氏蛍のようで、約2週間ほど、浴室の窓を開放して幻想的な光の舞を楽しみました。お湯をぬるくして、一時間以上お風呂に入っていました!最高の贅沢!
まさに「蛍舞う、丸子の家」でした。お見せできず、本当に残念でした。来年はぜひ見物にお出かけください。後略」
この家の境界の脇に、小さなせせらぎがあります。設計の折に、そのせせらぎに向かってお風呂をつくりました。蛍の舞う風景を想像していましたので、本当にうれしいお便りです。(画・文 郁夫)

上田・蛍舞う丸子の家