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2023年02月11日 Sat

コラム:参加のデザイン「ワークショップ」②

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快適で住みよい空間をつくることは住まい手の「しあわせ」につながると思います。

意見の違いを乗り越えて「しあわせ」の目標に向かってみんなで作業する場を「ワークショップ」といいます。

一時期、日本全国を席巻した「住民参加の手法」です。いまでも多くの自治体や設計者が採用しています。

松井事務所では、「まちづくり」ばかりでなく「木組の家づくり」の仲間との「協働の場」として「ワークショップき組」を実践しています。

今回は、住まい手と職人と設計者の協働の場「ワークショップき組」について解説します。

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松井事務所が、「ワークショップ」で家づくりを進めようと考えたのは20年前になります。

1995年の阪神大震災のあと、ものづくりの職人の力は大きいと感じていたので、職人との協働は実践していましたが、2000年に「近くの山の木で家をつくる運動」に参加して、職人の手仕事と山の保全つながりが一気に見えたのです。

荒れていた日本の山を救い、伝統的な日本の職人技を駆使して、住まい手の「しあわせの家づくり」を実現したいと思ったのです。

当時、海外に頼っていた木材をやめて、近くの山の木を使うことで、その願いは解決すると確信したのが「ワークショップき組」の結成につながりました。

長い時間をかけて育てた山の木を大切に使い、腕に自信のある大工に技術を振るってもらう。

伐った木は、植林をして山を守り、次の世代が建て替えるまで長寿命で丈夫な家を一般の人でも手に入れられる価格でつくる「山と職人と住まい手をつなぐ」仕組みです。

山の木は「トレーサビリティ」という生産履歴がついた「生まれも育ちもわかる木」です。

職人は「木組」という日本古来の伝統的な大工技術を実践する人たちです。

「プレカット」という工場加工の家が大勢を占める木造住宅業界の中、「手仕事」をいとわない家づくりの集団をつくる必要があったのです。

「手仕事」の職人と組める設計者の育成もはじめました。「木を知り」「職人言葉のわかる」設計者をつくることです。

それが今年で20期を迎える「木組のデザインゼミナール」です。20年間で240人の木組のわかる受講生を世に送ってきました。

いまでは「木組ゼミ」を修了した全国のメンバーが「ワークショップき組」を構成しています。

「第20期木組のデザインゼミナール」は4月16日から12月16日まで、「古民家講座」「木組講座」「理念講座」「温熱講座」をZoomで行います。20年を記念して豪華な講師陣を揃えました。木造住宅の設計のスキルアップを目差している方はぜひご参加ください。

最後は広告になってしまいました…。

広告「住む」掲載