プロジェクトレポート
2016年09月08日 Thu
住宅建築10号 「古民家の用と美に学ぶ」 京町家の真実 連載中
繊細な京町家の内部の通り庭には、豪壮な梁組が飛んでいるのをご存知ですか?
詳しくはこちらをどうぞ。
http://www.kominkanet.com/column/post-22/
2016年08月17日 Wed
1955年「日本の民家」という二川幸夫さんの写真集に収録された、伊藤ていじ先生の民家研究の名著が復刻されました。
「民家は生きてきた」鹿島出版です。
この本で伊藤ていじ先生は、民家の流れは、地域に根差した構造・構法にあり、現代住宅の流れは、数寄屋の延長にあることを述べています。
詳しくは、こちらのサイトからご覧ください。
http://www.kominkanet.com/column/post-21/
2016年08月05日 Fri
古民家の免震性能をご存知ですか?
古民家の足元が滑ることで、地震の入力を避けることができるかもしれません。
詳しくは、こちらから。
http://www.kominkanet.com/column/post-20/
2016年07月25日 Mon
古民家の室内は、ガランドウの空間がいいのだと思います。何もない室内は、融通無碍でいろいろな暮らしを受け入れてくれます。
詳しくはこちらからどうぞ。
http://www.kominkanet.com/column/post-19/
2016年07月18日 Mon
上野の西洋美術館が世界遺産に登録されました。おめでとうございます。
設計者のル・コルビジェは、フランスが世界に誇る現代建築の父です。彼の思想と設計は、世界中の建築スタイルを変えるほどでした。
それまでの古典主義を脱し、現代建築を創造した功績は、大いに讃えられていいと思います。建築を志した人で、影響を受けていない人はいないくらいです。
日本の「西洋美術館」を含めた7カ国17件のコルビジェの建築が世界遺産になったことで、その魅力と理念がますます一般の人にも広がるといいですね。
2016年07月12日 Tue
古民家サイトのブログを更新しました。
古民家が長い時間を丈夫に生きてきたわけを書いています。
2016年06月22日 Wed
エッセイ「古民家に学ぶわけ②」
松井事務所の設計が、古民家に学んだ真壁である理由を、書かせていただきました。
こちらからどうぞ。
http://www.kominkanet.com/column/post-16/
2016年06月20日 Mon
出雲には本物がある。
たたら製鉄の現場から、その特異な建築物をレポートしました。
たたら場の木造建築物の根源的な迫力に迫ることができたでしょうか?
住宅建築8号です。どうぞお手にとってご覧ください。
2016年06月17日 Fri
松井事務所では、新築と古民家再生の設計をしていますが、
この度、古民家再生のパンフレット「古民家に住む」ができました。
これまで、手掛けた古民家再生の事例をまとめた写真集です。
すでに古民家をお持ちで、どうにかしたいと考えている方。
どうぞご相談ください。
実測調査から、安心の耐震改修や快適な温熱改修まで、伝統の木組みの良さを生かした再生を行います。
古民家の古い木材に強い金物を使って補強することは、かえって家の寿命を縮めます。
当事務所では、金物に頼らない木組本来の伝統構法で再生いたします。
木の特性を生かした地震に粘り強く、省エネルギーの古民家再生を実現できます。
2016年05月29日 Sun
エッセイ「古民家に学ぶわけ①」
松井事務所がいつでも古民家に学んで設計している理由を書かせていただきました。
こちらからどうぞ。
http://www.kominkanet.com/column/post-13/
2016年05月12日 Thu
熊本の地震から1か月がたちました。震災で亡くなられた方々の、ご冥福をお祈りいたします。
今回の地震は、震度7の揺れが2度3度と襲ってくるばかりか、余震が連続して起こる、これまでに例のない災害となりました。
県民の象徴である、熊本城の惨状は目を覆うものがあります。いまだ納まらない余震の中で、避難生活を送られている方々の苦労は、計り知れません。
このように繰り返し揺らされるという想定のない、現行の建築基準法にとっても課題の多い地震です。
現行の金物で止めつける耐震の方法では、震度7の地震に一度だけ耐えることが想定ですから、今回のように何度も揺らされては、強度を増すために使用したはずの金物が木材を壊しかねません。
そこで早速、強い揺れにも耐えるように、現行耐震基準の強度を増した法規にするべきとの声があがっています。より耐震強度を上げて地震に対抗しようという方向です。
はたして、そうでしょうか?
今後も想定できない自然の猛威に、さらに抵抗することは可能でしょうか?建物の強度をどんどん上げることで、さらに地震の入力が増しますから、いたちごっこです。
では、わたしたちの先人たちは、この地震大国でどのように地震に対処してきたのでしょう。どうやら現在と違った独自の地震対策を行ってきたようです。
それは、自然の猛威に対して抵抗するのではなく、受け流す方法です。
むかしからの伝統的な木組の家には、壁の中に貫が入っていて、木のめり込みを利用して、大きく変形しても粘り強く崩壊しない壁を造っていました。また、継手・仕口という接合部は、揺れを摩擦力で吸収します。貫と継手・仕口によって、繰り返し揺られても元に戻る、「復元力」を備えているのです。
このブログでは、何度も繰り返しになりますが、「貫をやめてはいけない」のです。木と木を組むことで、地震力を減衰することができることは、実験によって検証されています。とはいえ地盤の悪いところでは、どんな建物もひとたまりもありませんが、先人たちは土地を選んで家を建ててきた経緯があります。
地盤の良いところもしくは改良してでも、「復元力のある木組の家」を建てることは、わたしたちの使命だと考えています。
2016年04月28日 Thu
住まいの室内はできるだけ、がらんどうがいいと考えています。
がらんどうというと、何も考えてないように聞こえますが、そうではありません。
住まい手の生活が変化する節目節目で、室内のレイアウトを変えたり、部屋の使い方が変わっても大丈夫なように、何を置いてもいいように、がらんどうに造っておくのです。
例えば、お子さんがいる時は子供部屋の仕切りが必要ですが、独立していなくなった時に広く使えるような取り外しのできる仕切りがいいと思います。家具で仕切ってもいいでしょう。
仕切りを取った部屋は、二人になったご夫婦の趣味の部屋にしてもいいですね。世代交代で、若い夫婦が住むことも考えられます。
つまり長い人生の時間の経過を予測して、部屋を作るのです。そのためには、柱や、窓の開け方などに、様々な想定をして、がらんどうの室内をつくります。
ここでも、広い空間をつくることができる木組の架構が役に立ちます。
長い時間を生きる住まいに、小さな部屋や、作り付けの家具などが多くてもいけません。長い時間を生きた古民家に学んだ知恵です。
わたしたちは、住まい手の暮らしの変化を見越した時間をスケジュールに組み込んだ家づくりをオススメしています。
2016年04月17日 Sun
木の家は、真壁でつくることがいいと考えています。
真壁とは、柱や梁が見えている構造を言います。すべての木部が室内から見えているので、力の流れが目にみえます。また、木材が常に空気に触れているので、木の呼吸を妨げません。
むしろ木部も漆喰壁も、調湿作用があるので健康的な室内をつくります。
むかしから日本の建物は、すべて真壁構造です。お寺や神社はもちろん、民家も真壁です。
真壁でつくることで、木と木の組手が全て見えますから、組手部分に金物は使えません。なので、真壁の家づくりは大工の腕の見せ所となります。美しい無垢の木は、美しく見せたいですよね。
最近は、大壁と言って全ての柱や梁を壁で覆う工法が一般的になってしまったのも、金物を見せたくないないためです。柱の位置も、梁のかけ方も気にしなくて作れますから、設計も施工も簡単です。
そのことに違和感を感じるのは、真壁の建物を見て育ったせいでしょうか。民族の血が騒ぐのでしょうか。(笑)
以前のブログ「金物に頼らなわけ」でもお話しましたように、わたしたちは継ぎ手・仕口などの組手によって、木の特性を活かす家をつくっています。
おかげさまで最近では、木組みの美しさに共感してくださる依頼者が増えてきました。
わたしたちは、自然素材である木や漆喰の良さを活かした家づくりを進めています。
2016年04月16日 Sat
熊本では、震度6近くの余震が続いています。
ニュースを見る限り、余震で被害が広がっていることがわかります。閉じ込められた人には、救助の手が一刻も早く届くことを願っています。
それにしても、大きな地震が起こるたびに、二階建ての木造建築の一階が潰れてしまっているのが悔しくてなりません。なんとかならないものか?
建築に関わる者にとって、生命を守る建物を作ることが使命です。一階と二階の間の破損を克服する技術を考えなければならないと強く思います。
わたしたちが、知恵を絞らなければなりませんが、古民家を見ると二階建ての歴史が浅いこともあり、一階と二階の間に太い横材である胴差はありません。
町家などは、屋根まで多くの通し柱で持ち上げて、ロフトのような物入れが二階となっています。地震の時は、長い柱がゆさゆさ揺れるといいます。家具なども倒れないといいます。
これならば、一階と二階の間で柱が折れないかもしれません。命を守る先人の知恵と工夫に学ぶべきでしょう。
2016年04月15日 Fri
熊本を震源とする大きな地震が起きました。震度7という大きな地震です。
一瞬、なぜ熊本なのかと思いましたが、災害は場所を選びません。
熊本の知り合いに連絡をとっております。八代の友人は、無事でした。15回もの余震で不安な夜を送っているようです。
無事をお祈りします。
2016年04月11日 Mon
室内の仕上げは、漆喰の壁がいいと考えています。
漆喰は、古代エジプトの壁画や、高松塚古墳の壁画の下地に使われている丈夫で長持ちする塗り壁です。
石灰岩を焼いて水と混ぜ合わせることで、白くて硬い土壁になります。日本のお城の壁や蔵に使われているので、わたしたちには馴染みの深い壁です。厚みは意外と薄くて、せいぜい1ミリですが、一度塗れば、何年もの間長く持ちます。
左官屋さんが平滑に塗ることで、真っ平らな壁ができます。ビニールクロスのように静電気を帯びないので、ホコリが付くこともありません。
表面は平滑ですが、肉眼では見えない細かな穴が開いていて、湿度の高い時には空気中の湿気を吸い、室内が乾いてくると湿気を放出する性質があります。
室内の湿度が、ある程度保たれるので、梅雨時は汗が引き、乾燥した冬でも肌がしっとりします。
土壁なので、蓄熱効果もあります。一度温めたり冷やしたりすると、夏はひんやり冬はぽかぽかと、しばらくその効果が続きます。
さらに、漆喰壁は廃棄されると土にかえりますが、石灰分はまた水に溶けて、地中で長い時間をかけ石灰石に還ります。永遠になくならない素材なのです。
何やら、不思議な話に聞こえますが、こればかりは体感していただかないと理解していただけないと思います。
当事務所では、現在お住まいの家で、漆喰壁の内部を見せていただくこともできますので、どうぞご連絡ください。
漆喰の優れた調湿調温作用が体感出来ます。
2016年04月03日 Sun
木と木を組むことで、丈夫な家ができると考えています。
木組みとは、継手や仕口と言われる木を加工した接合部から出来ています。プレカットのように金物に頼ることはありません。木のめり込みと摩擦で力を減衰するのが木組みの耐震の基本です。
木の最大の特性は、繊維に直交した方向のめり込みに強いということです。貫が柱を貫通しているのは、そのめり込みの強さを活かして建物の倒壊を防ぐためです。
貫の入った建物は大きく変形しても倒壊しないことは、阪神大震災でも実証されています。むしろ、貫の入った建物は、揺れ戻しと言われる元に戻る復元力があります。貫はやめてはいけないのです。
逆に金物に頼った建物の金物が木材を破壊して倒壊した例があります。2008年10月のEディフェンスの3階建ての建物が倒壊した実験がその例です。
昔から「針金で豆腐を釣ってはいけない」という言い方がありました。つまり木材という柔らかい母材を、鉄などの硬い金物が壊してしまうという言い方です。
木と木を組むことで、復元力を持った粘り強い建物を建ててきたのが日本の古民家です。
わたしたちは、古民家に学び、木の特性を活かした現代の家づくりを実践しています。
2016年03月29日 Tue
わたしたちのつくる家には越屋根が付いている事があります。
越屋根は、大屋根の上についた小さな屋根です。昔から古民家にはよく見かける屋根です。かまどや囲炉裏の上にあり、煙を出すためであったり、窓が開いていたりします。
この越屋根があるおかげで、室内の熱を排出したり、光をとり込んだりする役目を果たしてくれます。
風がなくても一階の床に近い窓を開けると吹き抜けを通して、室内の空気が動きます。
温度差換気でわずかな風が産まれることを「ゆらぎ」といいます。夏の風のない熱帯夜でも、風を体感出来ます。1/f「ゆらぎ」という、やんわりとした風を選ぶことができる扇風機のダイヤルもありますよね。
わたしたちは、エアコン等の機械に頼る前に、自然を利用した工夫や知恵を取り込んだ家づくりを進めています。
2016年03月21日 Mon
木材は、天然乾燥材にこだわっています。
わたしたちがつくる家は、木と木を組み上げる木組みの家です。組手と呼ばれる接合部は、一本の木から造り出した継手や仕口と言われる加工部から成り立っています。
一本の木の芯を削りだして造りますから、芯の部分が丈夫でなければいけません。
ところが、最近の木材の人工乾燥技術は進んでいますが、KD材と呼ばれる木材は、表面は割れていないのですが、強制的に乾燥するので芯の部分が割れてしまいます。
そんな人工乾燥材で木を組むと、地震や台風など大きな力がかかった時にポッキリ折れてしまいます。
一方、天然乾燥材は木材の芯が丈夫なので木組みの加工に向いています。ただし自然乾燥の際に、表面が割れることがあります。構造的な問題はないのですが、気になるところでもあります。
でも、安心してください。木の表面が割れても家が壊れることはありません。天然乾燥の木の繊維は絡み合ったままなので、二つに割れることはないのです。
なによりも天然乾燥の木は、色艶と香りが違います。年月が経てば、飴色に輝いてその違いが分かります。そこが、いつまでも木の家が愛される所以です。
わたしたちは、天然乾燥材の良さを活かして、家づくりを実践しています。
2016年03月13日 Sun
ブログ | プロジェクトレポート | 日記 | 高円寺の家
日本の伝統的な家の床下は、風通しを良くすることが常識です。床下を解放することで、湿気の多い梅雨時にも木材を乾燥させていました。
ところが現在の家のように、ベタ基礎が一般的になってその常識が覆りそうです。場合によっては、床下のコンクリートや断熱材の裏面が結露するかもしれないというのです。
床下の断熱には二通りの施工方法があります。基礎コンクリートに通気を取り、一階の床下に断熱材を入れる「床断熱」と、基礎コンクリートと土台を密閉して基礎コンクリートを断熱する「基礎断熱」です。
計測の結果、「床断熱」の結露の危険性が指摘されました。周辺環境の違いもありますが、風通しが悪いはずの「基礎断熱」のほうが危険性の少ないことが報告されました。
床下を密閉するということは、結露には不利なような方法ですが、床下が解放されている場合、湿度の高い空気が床下の冷やされた空間を通るときに露点温度に達するのです。
むしろ、床下も室内と同じように空気が通うようにして一体化すれば、床下の湿度環境はよくなるということです。さらに床下にエアコンで暖房を施せば、温熱環境も向上します。
今回、工学院大学中島研究室の石川さんが、一年を通して「高円寺の家」を計測していただいた結果です。
わたしたちは、伝統的な家づくりを実践しながら、科学的な検証もおこなって家づくりを進めています。
ブログ / 日記-->