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2023年05月26日 Fri

コラム「私が出版社をつくったわけ」

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いつか古民家になる、暖かくて快適な家づくりを目指している松井郁夫です。

今回は出版社をつくったいきさつをお話します。

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事務所開設以来、丈夫で快適な木組の家づくりを続けていますが、28年前の「阪神淡路大震災」の衝撃は大きく私の設計の方向を変えました。

日本の伝統的な木組の家を標榜して多くの家を作り続けいていた頃にドカンと大地震が来たのです。それまで比較的自由な間取りの木の家をつくっていた気軽な気持ちがいっぺんに吹き飛びました。40歳のときです。

日本の家は地震に強いと聞いていたにもかかわらず、多くの建物が倒壊し6434人の人が建物の下敷き人ってなくなりました。丈夫な建物をつくらなければいけないと勉強会に出たりして耐震技術を身に着けようと努力しました。

「これからの木造住宅を考える会」を立ち上げて耐震や防災の専門家の話を聞きました。その時に仲間とまとめた本が「木造住宅【私家版】仕様書」です。おかげさまで28年間ロングセラーを続けていますが、版を重ねるごとにページが増えてかなり重厚な本になってしまいました。

そこでエッセンスだけを取り出してつくったのが「初めての人にもできる!木組の家づくり絵本」です。国土交通省の実大実験にも参加しました。2007年のつくばの実験を皮切りに2008年から2011年の5年間です。

伝統構法の家を試験台の上で揺すってそのデータを元に建築基準法に位置づけるということでした。しかしながら、そこでの知見は法規に記載されたものの満足のいく流れではありませんでした。

6年間に得られた知見を元に「古民家への道」を書いて一般の方や建築関係者に知ってもらおうとしましたが、出版社が軒並み出版不況で出せないというのです。

そこで自費出版を考えましたが、それよりも自分で出版社を持つことを選びました。これからも多くの本が出したいからです。それが「ウエルパイン書店」です。

ご存知のようにウエルは井戸パインは松ですから井松書店です。(笑)

おかげさまで4年経ちましたが6冊の本が出版できました。うち2冊は写真集です。全国大工職人を取材したキンドル版もあります。「日本列島・伝統構法の旅」です。

関連の講演会も増えて今のところ売れゆきを伸ばしています。アマゾンでも買えますからどうぞポチしてください。