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2023年06月10日 Sat

コラム「真壁の家づくり」

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「いつか古民家になる」丈夫な暖かな家をつくりたいと考えている松井郁夫です。

今日は「真壁」という建物の作り方について日頃から思うところを書きました。

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「真壁」というのは建物の壁をつくるときにに柱や梁などの「骨組」を見せるつくり方をいいます。建物が建ったあとも骨組みがすべて見えます。室内からも見えるので、力の流れがわかって安心です。

日本の家はむかしから「真壁」でしたが、明治時代に西欧の建築術が導入されて「大壁」という柱や梁などの「骨組」を見せない作り方になり、いまでは主流になってしまいました。

「大壁」は壁の中に木材をくるんでしまう作り方なので、湿度の高い日本では壁内で木材が蒸れたり結露して腐りやすいと言われていたのですが、透湿(湿気を通す)するシートが普及して最近ではあまり事故も起きないようです。しかし施工の手順を間違えると壁の中がカビだらけになります。さらに内装も「大壁」の場合はビニールクロスを貼ることが多いので室内の湿気を逃さず中にいると不快さを感じることがあります。

一方「真壁」は柱も梁も見えて空気に触れているので木材が蒸れたり結露したりしません。柱と柱の間の壁を土や漆喰でつくると素材の持つ吸放湿作用で湿気をコントロールしてくれます。なので室内にいる人は快適に過ごすことが出来ます。

本来「豊かな暮らし」とは利便性の高い設備に頼るよりも、天然の自然素材に包まれて快適に暮らすことだといいます。木や土は自然素材に備わった「吸放湿作用」があり、木綿の肌着を身に着けたような、心地よさを味わえます。自然素材の力で常に体感を心地よく保ちます。人工的な機械や素材はヒトの肌が受け付けないのでしょう。

わたしたちのつくる家はすべてを自然の素材でつくり、住む人の生活に癒やしと心地よさを提供します。