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2023年06月12日 Mon

コラム「建築は総合芸術」

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長く使えて丈夫であたたかい住まいをつくりたいと努力している松井郁夫です。

今回は家づくりと芸術について考えました。

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「これから建築を志す若い諸君へ!」

私が建築の設計を志して大工棟梁であり建築家の小川行夫師匠の門を叩いた時に渡された青焼きの紙に書いてあった書き出しです。

曰く「建築は総合芸術である」しかるに「設計は心してかかるべし!」という「覚悟」のような檄文が並んでいたことを覚えています。残念ながら事務所に来る多くのスタッフに見せているうちに何処かへ行ってしまいました。

そんなものでうる覚えですが、確か建築は総合芸術であるので「科学の分野」でありながら詩をつくる「文学の世界」が重要であると書かれていた気がします。

建築に携わる者ならばまさに「レオナルト・ダ・ビンチ」のように「あらゆる現象」を総合的に知らなければならないとも書かれていたような…兎に角とても厳しい文章であったことは覚えていますが、詳細が出てきません…。

少なくとも、建築設計はうわついた気持ちでは入れない世界だと気付かされ、身が引き締まった覚えがあります。

オーナーの要望を聞きながら芸術の世界を目指すなんて才能はそう簡単には身につきませんが、その檄文にはそうならねばいけないと書かれていました。「若者は高みを目指して歩み始めよ!」と、「すべてを自然と科学と芸術のために身を削れ!」と。

今思い出すと日々の長い生活の中で「建築設計」に邁進できたのはその檄文を見せられたおかげだったかもしれません。

その文章を探して中村順平の「建築という芸術」や前川國男の「一建築家の信条」を見返してみましたが出てきませんでした。

どなたか檄文に心当たりの方はいませんでしょうか?いまこそ建築を志す人に読んでいただきたいと思うのですが…