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2022年10月03日 Mon

コラム「立ち振舞を美しくする」

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みなさんこんにちは、いつか古民家になるような丈夫で美しい木組みの家をつくりたいと想い続けている松井郁夫です。

このコラム欄では、日々の設計から考える家づくりのことや、身の回りの環境のことなどを綴っています。

今回は芸大時代の恩師・小池岩太郎の名言を思い出しながら書いてみました。

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目まぐるしく変わる現代社会の情勢。わたしたちは、生活者であり設計者として今の時代をどう捉えて、どう生きていくのがいいのだろう?

さまざまな問題が地球規模で起きている現在、住まいの設計にかかわる者としては、常日頃から家族が幸せで豊かに暮らすことのできる家をつくることが第一義だと考えている。家族はコミュニテイから見れば最小限の単位だが、全ては家族からはじまると考えれば「住まいは幸せな家族のための器」なのだ。

そのためにできることは、すべて実践したい。

まず、地震や台風などの自然災害から命を守る丈夫で安全な住まい。

それには「古民家」のように長い時間を生きる家がいい。ただし長い時間を生きるには「美しい家」でなければならない。

さらに温暖化が進む地球の気候に対してできることは何か?

それは建物の断熱性能を上げて省エネルギーを図り、地球環境に負荷をかけない家をつくることではないか。つまり温めすぎず冷やしすぎない「暑さ寒さを取り除く」適正な体感温度の実現ではないか。

木は植えて育てれば無限の素材である。光合成を繰り返し、空気中に酸素を供給する優れた素材である。木と木は組んで使えば、解体や移築も可能で資源のサイクルが長寿命の家をつくる。

「美しい家」とは素材や形が良い家であり、「住む人の立ち振舞を美しくする」家だと思う。

素材は「自然素材」で、プロポーションの良い家がいい。「自然素材」は、無垢の木や土で、快適な室内とつくり、人の心を豊かにしてくれる。

プロポーションとは「美しさ」を創り出すデザインの問題であるが、「美しさ」とは、色や形だけでなく、「住む人の立ち振舞にも現れる」ということだ。

「デザインとは、立ち振舞を美しくすること」は、東京芸術大学の

恩師・小池岩太郎(GKデザイン創始者)の言葉。GKはグループ小池のこと。