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2022年10月06日 Thu

コラム「建築はファッションか?」

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みなさんこんにちは、いつか古民家になるような丈夫で美しい木組みの家をつくりたいと想い続けている松井郁夫です。

このコラム欄では、日々の設計から考える家づくりのことや、環境問題のことなど綴っています。

今日は辛口のコラムです。建築の「不易と流行」について書きました。

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最近になって、インスタグラムをはじめました。

仕事の関係で建築の写真に興味があるので毎日覗いたり事務所の仕事をアップしています。大変綺麗な多くの事例写真を見ることが出来て、楽しい時間を過ごしています。

みなさん美しいショットをアップされていて、写真の撮り方もうまくてきれいで、とても勉強になります。

オーナーの方もよくご覧になっているようです。主にインテリアの写真が美しくて魅力的なリビング・ダイニングやキッチンをご覧になっています。オーナーご自身が気に入られたショットを保存して見せていただくことが増えました。

でも困ったことも増えました。写真のようにしてくださいと頼まれるのですが、条件が違うと難しいのです。また、オーナーの集めたシーンには流行があるので、それらをまとめて素晴らしい家ができればいいのですが…シーンは時間とともに古くなります。

日頃から、不易で変わらない住まいを木組みでつくり、古民家のように長い時間を生きる住まいは出来ないかと考えているので、「ファッション」性の高い流行りのショットの集積だけでは、すぐに古びてしまうと思います。

住まいは、敷地の場所性や住まい手のご要望に左右され、内も外も含めた環境的な視点と時間を超える普遍性が必要なので、様々な条件を俯瞰した統括的な回答を求められます。それには沢山の引き出しが必要です。中でも「美しさ」は大切な要素で、美しいということは機能も満足させることが出来るものとして「美はすべてを統括する」と言われています。

さらに、俳人の松尾芭蕉の言うように、ひとつの句の中に「不易と流行」を取り込まなければ良い句はできないように、建築にも変わらないものと変わりゆくものの両方が必要です。良い建築は、その両方を実現して可視化することが大切だと思います。

住まいは、まず丈夫な不易(変わらない)となる骨組み(スケルトン)があって、室内(インテリア)に流行り(変わりゆくもの)の要素を入れながら「ファッショナブル」性を取り入れながら創りたいと思います。

 

「井之頭の家」キッチン

「宇都宮の古民家」キッチン・リビング・ダイニング