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2022年11月11日 Fri

コラム「日本的な文化と民藝」

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みなさんこんにちは、いつか古民家になるような丈夫で美しい木組みの家をつくりたいと想い続けている松井郁夫です。
このコラム欄では、日々の設計から考える家づくりのことや環境問題のことなどを綴っています。今回は文化について書きました。

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日本的な文化

先日の韓国で起きたハロウィンの痛ましい事故を見ていると、世界的規模でその国から地域らしい習慣が消えつつあると感じています。他国の風習の影響で自国の風習や習慣が変化してしまえば、ひいては自国の独自文化の衰退につながるとも感じています。
司馬遼太郎さんの解釈に従えば「文化」とは地域の独特の風習、習慣であり他では通用しない癖のような違いだといいます。一方あらゆる地域でも通用する万国共通の事柄を「文明」というそうです。
たとえば、食生活には国の違いが顕著に現れますが、マクドナルド・ハンバーガーは各国で受け入れられて世界を席巻しました。まさに「文明」の力です。
「文化」と「文明」の違いが他国に大きな変化をもたらすことは、日本の明治維新を振り返れば明らかです。明治維新は黒船来航によって外来の文明が日本の伝統文化を分断しました。
日本は、明治維新で西欧化し、第二次世界大戦に敗戦してアメリカンナイズされました。さらに今後、省エネルギー法の改正によって北欧化する見込みです。
建物の変化は、人々の暮らしを変えますから、文明による変革によって生活は変わるでしょう。しかし、本来の日本らしさは気候風土の変化がない限り、変わらないでしょう。写真は、益子参考館の長屋門です。日本の民藝運動に尽力した濱田庄司の自宅があります。民藝運動は無名の職人たちがつくった普段使いの庶民の雑器に目を向け、まさに日本の職人文化を顕彰する活動でした。2023年3月18日と19日に益子参考館で私の講演会があります。一日目はレクチャーで、二日目に古民家の門を実測するワークショップを行います。お時間の許す方はお運びください。

わたしたちは、気候風土に根付いた日本家屋の文化が失われてしまわないように活動を続けたいと思います。