プロジェクトレポート
2024年03月18日 Mon
都市に住む人たちが街に共通の思いを持ち続けられたら素敵な「コモン」ができると考える松井郁夫です。
今回は37年前に東京都北区で試みた「まちなかのサイン計画」のいまを訪ねました。
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まさにバブル景気が始まる1984年は日本中の自治体が「サイン計画」を策定し始めた頃です。
アーバンデザインを標榜していた私にも北区の「サイン計画」の実施設計が依頼されました。
「都市設計」と呼ばれた「アーバンデザイン」はアメリカで始まった都市の設計です。
いわゆる「都市計画」が広範囲な地域の人口構成や物流などを計画する際に「インフラストラクチャー」である道や公園、公共建築の詳細な「デザインコード」を創るのが「都市設計」(アーバンデザイン)の仕事です。
大学院で「楽しく歩ける街」づくりにをテーマにしていたころ横浜の都市計画にめぐりあい「岩崎駿介」さんに憧れた私は「アーバンデザイン」で日本の街をいきいきと活性化できると考えていました。
当時「日本システム開発」という大蔵省の外郭団体の研究員と知り合い各地の「都市設計」をお手伝いしておりました。
その頃北区では飛鳥山を中心とした都市景観づくりの一環として「まちなかのサイン計画」を策定中で、わたくしがデザインを担当しました。
計画策定にはいきなりサインを造るのではなくて「街歩き」から始まりました。まず対象の街の「歴史や産業」を知るのです。
王子駅周辺は北区役所や歴史ある王子神社や王子稲荷がありました。歓楽街の赤羽や芥川龍之介などの文豪の住んだ「田端文士村」など、北区は話題の豊富なところです。
そこでサインは単なる「案内板」ではなく「市民と街をつなぐ」「コミュニケーションツール」として考えました。
先日「せんとうとまち新聞」の主催者の栗生さんたちの活動が「王子駅ガード下ギャラリー」で展示されたことをFBで知って久しぶりに昔のサインに会いに行きました。
「王子ギャラリー」はJRの線路の高架下を利活用するために計画されました。鉄のコラムとフラットバーを組み上げた架構に展示パネルを仕込んだトンネルです。
歴史ある王子神社と駅前をつなぐ「タイムトンネル」です。周辺には公共施設を案内する「総合サイン」や「街角サイン」などがあります。
37年経っても更新されて健在で、道ゆく人たちの役に立っているようで嬉しくなりました。
お近くを通りお時間があれば覗いてやってください!