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2024年02月18日 Sun

「浜松の木組の家」上棟しました。

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丈夫で暖かい木組の家を作り続けている松井郁夫です。

今回は「浜松の木組の家」の建て方見学会の報告です。

工務店は「木ごころ工房」の松村さんです。

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当日は晴天に恵まれて、早朝から終日建て方日和でした。

「木ごころ工房」は伝統的な木組みに特化した工務店だけあって、

職人さん同士のチームワークも大変良く夕方には棟が上がりました。

見どころは大黒柱の通りのダイナミックな「門型架構」です。

壁の中に「貫」を挿入しながらの建て方は慣れないと難しいのですが、

松村さんたちは各自の持ち場で木と木に格闘していましたが

見事な連携で美しい軸組を組み上げました。

建主さんは20年前の「木組のデザインゼミナール」OGの方です。

上棟おめでとうございます。みなさんご苦労さまでした。

最後まで怪我のないよう引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

2024年02月11日 Sun

「房総の古民家再生」始まります

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「むかしといまをつなぐ」丈夫で暖かい古民家再生を実践している松井郁夫です。

今回は房総半島の古民家を再生します。

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千葉の房総半島には黒潮に乗ってやってきた南方系の古民家が数多く残っています。

今回の民家は南方系ではありませんが、明治の建設で集落では古い民家です。

現在は残っている古民家の両翼に昭和に建てられたと思しき建物が増築されています。

平屋の建物で全体に約60坪くらいの大きさです。

若いご夫婦と4人のお子さんが暮らす住まいになる予定です。

古い架構を活かして現代的なインテリアを考えています。

少し時間がかりますが時間を超えて住み継がれる「むかしといまをみらいにつなぐ」家にしたいと考えています。

 

 

2024年02月06日 Tue

「手描きか?CADか?」アナログ人間のつぶやき…

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快適で心地よい家づくりを目指している松井郁夫です。

今日は設計者として最近思うところを書きました。

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いまや設計図はCADで書くことが当たり前になりました。

コンピューターを使って引く線は正確無比で狂いがありません。

縮尺を変えても作図の時はミリ単位で製図するので原寸で描くのと変わりありません。

現場で職人さんと図面を共有し検討するにも正確です。

そのことは充分わかっていながら松井事務所では作図を手描きの図面に戻しました。

松井がどうしてもCADに馴染めなかったということもありますが、

木造の住まいをプレカットを使わず手仕事で造っているので、

図面も手描きがちょうどいいと感じていました。

これまでも現場で指示するときはその場で手書きのスケッチを描いて職人さんに直接渡していました。

職人さんは手描きのスケッチを喜んでくれて「漫画を書いてくれヨ」といわれます。

CAD図面よりわかりやすいと言ってくれます。

私は少年時代に漫画家を目指したこともあってそう言われることにも悪い気はしません。

最近では以前のようにT定規に鉛筆で描くことが楽しくなりました。

一本一本の線を確かめながら描くので毎回ワクワクしながら描いてます。

手作業がこんなに楽しいなんてなぜ今まで気が付かなかったのだろう?

多分この楽しさは住まい手に伝わってくれるだろうと勝手に考えているアナログ人間のつぶやきでした!笑

図面は「篆刻美術館」1991年

2024年02月03日 Sat

再掲:いよいよ「浜松の木組の家」上棟見学会が近づきました。

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丈夫で暖かい木の家をつくり続けている松井郁夫です。

今回は「上棟見学会」のお知らせです。

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静岡県浜松市内の住宅地に「木組の家」が上棟します。

足掛け3年かけてじっくりと取り組んできた家です。

無駄のないシンプルな骨組みは「木組のスタンダード」と言えるほど整理しました。

無駄のない架構は床下の「足固め」が丈夫な足元をつくり、

粘り強く倒壊しにくい「貫」を壁の中に入れて、

柱と梁と桁の3つの部材が一体になった「折置組」といわれる強い接合部で

「門型フレーム」を構成しています。

上棟時には一本一本の無垢材が伝統的な「継手・仕口」で組み込まれてゆくダイナミックな姿を見ることが出来ます。

全て職人の手刻みで加工した木組の建て方の様子はなかなか観ることができない一大イベントです。

是非この機会に地元産の天竜杉の美しい「木組」の架構の組み上がる醍醐味をお楽しみください。

お申し込みは、ワークショップ「き」組事務局(松井郁夫建築設計事務所内)まで

メールアドレスok@matssui-ikuo.jpもしくはFAX03-5996-1370までお申し込みください。

地図をお送りいたします。

2024年01月29日 Mon

「つくばの離れ・古民家再生」

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現在進めている古民家再生です。耐震補強はもちろん暖かい家を目指します。

母屋はすでに建て替え済みで「離れ」の古民家が残りました。

建主さんが学生時代に勉強した思い出の建物です。

風通しが良くて快適だったとおしゃる古民家は開放的です。

このままの改修ですが吹き抜けを設けたり板の間に変えたりの小さな再生です。

 

2024年01月25日 Thu

「浜松の木組の家」上棟見学会のお知らせ

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静岡県浜松市の市街地に「木組の家」が上棟します。

依頼者はワークショップ「き」組の「木組のデザインゼミナール」の修了生です。

建主さんは建設現場の監督経験のある方で「き」組の家づくりの仕組みに共感されて依頼されました。

地元天竜の杉を使い伝統的な「継手・仕口」を手刻みで加工した「金物に頼らない」木組の家です。

古民家に学んだ地震に粘り強く丈夫な架構は「木のめり込み」と「摩擦」で力をいなす「減衰設計」です。

時間をかけて整理した架構は「貫」と「足固め」という部材を「折置組」という強固な仕口で組み上げています。

シンプルで丈夫な架構は「き」組のスタンダードなタイプとなりました。

さらに「き」組では暖かくて明るい温熱向上を目指しています。

お申し込みはFAXもしくはメールでお願いします。

伝統的な木組の家の木と木が組み上がっていくダイナミックな建方を観る事ができる見学会です。

ぜひこの機会をお見逃しなく日本の誇る伝統的な木組の世界をお楽しみください。

2024年01月11日 Thu

「大宮の平屋」始まります

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あけましておめでとうございます。

元旦から能登を襲った大地震で正月気分が吹き飛びました。

被災された方たちに支援が届き一刻も早く復旧されることを望みます。

今更ながらに地震に強い丈夫な家づくりを目指さなければいけないと気を引き締めた松井郁夫です。そこで今回は地震に強い新しい平屋のご紹介です。

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6年前から松井事務所に依頼しょうと考えていたとおっしゃる方から連絡をいただきました。

JR大宮駅からほど近い、大きな椎の木が生えている広い敷地の農家の方です。

すでに何年か前に建てられた木組みの家にお住まいですが、

同じ敷地に新たにお母様と子どもたちのために新築することになりました。

そこで広い敷地を分割して南向きの大きな平屋を計画しました。

子どもたちも成人しているので個室はゆったりと八畳の部屋を4部屋用意しました。

これからの家族構成がどう変わるかわからないので、

丈夫な架構にライフスタイルが変わってもいいような可変的な間取りにするために

架構はそのままに個室や水廻りを自由に配置できる構造計画を立てました。

現在2間グリッドの柱と梁の軸組模型を作って検討をはじめています。

丈夫な木組のセオリー通りに「足固め」と「貫」と「折置組」の「門型架構」です。

大きな揺れには基礎の上を滑って免震的な建物になるように「フラットな基礎」に「土台足固め併用」の床組が乗ります。

これで大きな地震にも上屋が壊れることはありません。

2007年から2011年まで行われた国土交通省の「伝統的木造住宅の実大実験」をお手伝いして得た知見を活かしました。

規則正しく並んだ木組が丈夫できれいな架構をつくります。さらに温熱向上の工夫を加えて完成が待ち遠しい家です。

少し時間がかかりますが、ご期待ください。

 

2024年01月05日 Fri

輪島の震災について

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暖かくて丈夫な家をつくりたいと願っている松井郁夫です。

2024年の元旦に起きた能登半島を襲った地震についてお送りします。

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能登半島の地震は先頃まで頻繁に起きていましたが、ついに震度7の大震災を引き起こしました。

今回の地震で地殻が西に最大1.3M移動し0.8m隆起したと言われております。

火山性の地震ではなく地下水の圧迫による地殻の変動が原因だということです。

能登には志賀原発があります。幸い休止中で大きな被害はなかったということですが冷却水のプールが溢れたりオイルが漏れたり少なからず異常は認められました。

このあたりは断層が幾筋も認められる地震の巣です。もし稼働中であったら?被害の大きかった珠洲に原発が作られていたら?

思わず福島の原発事故が脳裏をよぎりました。

輪島市内の朝市の立つ繁華街は火災が街を襲い壊滅的な崩壊となりました。

被害に合われた市民のみなさんと街の一刻も早い復旧を望みます。

それにしても地震災害の多発する日本の緊急支援措置はお粗末です。

避難所になっている寒い体育館に身を寄せる人たちのプライバシーは確保できていないし仮設トイレや非常用の水・食料もすぐに底をつく有様です。

市内の日本家屋はことごとく倒壊しています。老朽化した家屋の屋根は重い瓦で壁は土壁です。

高齢者が多くて耐震化率も低かったと聞いております。

建築に関係する身としてはニュースで映像が流れるたびに歯がゆい思いがします。

日本の家はこんなにも地震に弱いのか?自分の造っている建物は震度7にも耐えるか?自問自答が続きます。

大地震の度に建築従事者に与えられた責任の大きさを痛感しないわけにはいきません。

阪神大震災のときの惨状を見かねて丈夫な木の家のつくり方を「木造住宅【私家版】仕様書」に執筆したのも28年前の40歳でした。

設計者の使命として第一に「命の守る家つくり」を社会的責任と心がけて設計を進めていきたいと思います。

 

 

2024年