プロジェクトレポート
2025年02月25日 Tue
ブログ | プロジェクトレポート | 江古田の家Ⅱ
最近の木造住宅の投稿を見ていると柱や梁を壁の中にしまい込んだ「大壁」が多い。人気のある設計者の建物が「大壁」ばかりなので、その影響も大きいと思われるが、いつの間にか「骨組」を見せない「壁式」が主流になってしまった。木の家は架構と言われる「軸組」が主構造で「木造軸組工法」と呼ばれているのが本来の日本の構法である。
プレカットが主流であることも大壁の理由であろう。プレカットは加工の都合上接合部に金物がなくては成り立たない構造なので、金物を隠すためにはボードでくるんでしまう必要があり「大壁」が必然となる。
しかし、木材を壁の中に入れてしまうことは湿度の高い日本では材が蒸れて腐ってしまう危険があり、避けられてきた工法であった。
柱や梁を露出させる工法は「真壁」と呼ばれ昭和の中頃までは当たり前のつくり方であった。その場合壁には土が塗られてきたのであるが今や「大壁」に「ビニールクロス」仕上げである。
私の事務所では開設当初から「真壁」を標準にしており、柱梁は国産材の無垢の木、壁は「真壁」の「木組」に漆喰仕上げである。「大壁」「ビニールクロス」を採用する時は事務所を辞めるときだと心に決めている(笑)
「真壁」の利点は室内に居てすべての構造が目に見えるので、力の流れを実感できる「安心感」がある。
古民家はほとんどが「真壁」で「土壁」であるが、中にいるときに感じる気持ちには「癒やし」や「安心感」もある。
この仕様に慣れてくると「納得の家づくり」ができるので、これからも「真壁」の家つくりを実践し続けたいと思う。