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2024年11月28日 Thu

建築の話をしよう㉒~家と呼ばれるには?

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名刺に「建築家何某」と刷っている方がいますが、ちょっと待ってほしい。

「建築家」って人が決めることで自分から言うことではないと思います。

一般的には公的資格である「建築士」と名乗ることがいいと思います。

「~家」とは「その道を極めようとしている人」のことを世間が認めてくれて 初めて「~家」と言えるのだと思います。

だから「建築家」と呼ばれるには「建築の道を極めようとしている人」ではなければいけないでしょう。

一般的には技術者としての「設計士」と言ってもいいかもしれません。また単に構造の計算ができるだけの人の場合も「構造家」とは名乗ることはおこがましいでしょう。

「なにかを極める」ことって、そんなに生易しいものではないと思います。生業の範囲を超えて「社会性」も持たなければいけないし、世の中に「訴求力」を与える「理念」も必須だと思うのです。そのことで「社会的責任」も生じるし。世の中を有るべき方向に導く「先導力」を持つことも必要だと思います。

なんだか世の中がゆるくなって、曖昧になってきたことで「職能」も簡単に言えることが多いですよね。

最近読み始めた「建築の前夜・前川國男論」松隈洋著・みすず書房を読みながらそんなことを思い始めました。

40年前に一晩で一気に読んだ「一建築家の信条・前川國男」宮内嘉久編も衝撃的でしたが、この本で生前の前川先生を思い出して久ぶりに、自分自身の肝に銘じております。ちなみに私の師事した大工棟梁「小川行夫」は前川先生と懇意にしておりました。一度お会いした時のことは、以前のブログ「小川行夫のことを話そう①」にも書いております。

 

2016年みすず書房刊

1981年晶文社刊