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2024年10月18日 Fri

建築の話をしよう⑪「外に開く」

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ここに1970年に発刊された「人間都市」(鹿島出版)という本があります。

クリストファー・アレクサンダーという数学者がまとめた「提案本」です。

提案内容は「都市」から「住まい」まで多方面にわたっています。

内容の多くは「都市と住宅」の関係に誌面を割いていますが、提案は言葉よりも概念図のような「イラスト」で表しています。

その中で「リビングルーム」は外部と住まいをつなげる「プラットホーム」のような位置づけという項目があります。

家の明かりが外にいる友人たちを呼び寄せるのだから外に開かなくてはならないともいいます。

50年以上も前の考え方ですから、良い時代の愛情で溢れています。

しかし、あながち昔話とは思えない「現代」にも必須ではないかと思える提案もあります。

序文よりーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

都市は、そこに住む人すべてによって創りだされるのでなければ、人間性に富むものとはなり得ないとわれわれは信じる。

このような都市を生み出すためには、簡明に表現され、容易に人と分かち合え、しかも自由に批判を許されるような都市計画のアイディアを知る権利が、社会の全員にあたえられねばならない。

われわれは、過去数年にわたって、都市のアイディアを表現し盛りこむための基礎大系をつくり出そうと努力してきた。

この本は、そうしたアイディアをひとつにまとめようとする最初の試みである。

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大切にしていた本でしたが、引っ越しの際になくしてしまったようです。

「人間性」を信じて「外に開く」こともまた「住まいづくり」には大切だと思います。