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2024年10月09日 Wed

建築の話をしよう⑥「歴史的視座」を持つ

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建築の設計者は建物を考えるときに「歴史」を考慮しているだろうか?

敷地の大きさや形状、オーナーの要望に応えることや新しいデザインを生むことが精一杯で、現代の建物がどういった歴史的な背景のもとに成り立っているかどうかは考えないでいるかもしれない。

前回のブログで考察したように「構法の変遷」はまさに構造の歴史であり、時代とともに価値観が変化してきている。

自らが造っている建築が「西欧化」されて純粋の日本の伝統からかけ離れていることにはあまり興味がないのかもしれないが、建築の歴史を考えることは真実に迫る「視座」だと思う。

一般的には設計者は、建築士の資格を与えてくれている国土交通省の意向に叶えばそれで良しとしているのではないか?

しかしそれもまた為政者の意向であり、このブログで繰り返し述べるように「真実」からかけ離れているかもしれない。

ここまで書くと「体制」に逆らっているように受け取られるかもしれないが、「体制」もまた変化するものであろう、大切なのは「不易と流行」にあるような時代に流されることのない変わらず揺るぎない「真実」を探しだすことだと考えている。

18歳の年の差のあるわたくしを親友と呼んでくれる敬愛する「岩崎駿介」さんは自力建設で自邸「落日荘」を建て建築学会賞を受賞した人だが「人は真実を避けたがる。」と看破している。

しかし「真実」に沿わなければ足元をすくわれるのも事実だ。では建築に「真実」を求めるにはどのようなアプローチがあるのか?

「素材」があり「構法」があり「空間」をつくり「生活」を支えるための建築は「時間」もまた「真実」を創り出す重要な要素であると思う。

一軒の家を建てるときでも「歴史的視座」を忘れず、その地域やその家にまつわる「地域的脈絡」も考え反映させるべきであろう。

わたしたち設計者は、依頼者の要望を聞く前から「社会的責任」を負っている「真実の探求者」であると思うから…。

「落日荘」 地元の蔵からヒントを得たという