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2023年03月23日 Thu

コラム「民藝と民家」②

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「古民家再生」と「木組の家」づくりで、美しくあたたかい丈夫な住まいづくりを目指している松井郁夫です。

先日、益子の濱田庄司記念参考館で「民家」と「民藝」のつながりについて話をさせていただきました。

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民家が「民藝運動」の中に位置付けられていることは柳宗悦の「民藝宣言」(大正15年)をみれば明らかです。陶芸家の人間国宝・濱田庄司も柳宗悦の考えに賛同して民藝運動に参加しました。

柳は民藝の中に「民家、民具、民器」があると述べています。つまり「民衆の住まい、民衆の道具、民衆の器」のことです。

むかしの職人たちは運送手段のない頃から現場周辺の木や土を使い丈夫な民家をつくりました。幹の曲がった木をたくみに組み上げ「木組の家」を建てたのです。

このような伝統的な素材と技術でつくる「木組の民家」は、まさに日本建築の原点です。

竪穴式住居から現代住居まで続く無名の職人たちの仕事は「真の日本の住まい」と呼ぶにふさわしいと思います。

質実剛健で高価にならないようにつくり、出来るだけ多くの人に美しい民家を提供することは、まさに民藝の理念です。

民藝はファインアート(純粋美術)ではなく民衆のフォークロアでありクラフト(民族工芸)の世界です。そこが「用の美」と言われる所以です。

講演では「古民家再生の理念と事例」についてスライドトークを行い。次の日は、クラウドファンディングで茅屋根を葺き替えた「長屋門」の実測を行いました。古民家の仕組みを観察する「みかた」各間取りや部材の寸法を測る「しらべかた」古民家を再現するつもりで作図する「つくりかた」の実践です。

今回のイベントで古民家再生を実践する人が増えて、日本建築の伝承に新たな展開が生まれれば幸いです。

わたしたちは新築住宅の設計でも「いつか古民家になる」民の家づくりを目指しています。