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2024年08月26日 Mon

「野沢正光」さんのこと

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「娘が走ってるのを見ながら飲むビールはうまいなぁ!」

長男が通う幼稚園の運動会で不謹慎にもベンチに座ってビールを飲んでいる親父がふたり。

僕ともうひとりは話を聞けば、なんと芸大の大先輩!11歳も年上の建築家の野沢正光さんでした。

僕はデザイン出身だったので建築科の方を知る由もなくこのときが初対面でした。

もう36年も前ですが、その飄々とした風貌が懐かしく蘇ってきます。

大工に教わって木造建築の世界に入った自分とは違う、正当な建築家で、建築の歴史や理論に詳しくウンチクの深い話は今でも覚えています。

野沢さんが世田谷区の「宮坂地区会館」をコンペで勝ち取ったときに同じコンペで争った「住民参加型のワークショップ」を駆使する伊藤雅春さんを「オマエと同じデカくて面白いいやつがいるよ」と教えてくれました。当時野沢さんが設計した「いわむらかずお絵本の丘美術館」や「長池ネイチャーセンター」等数々の素敵な建物を見せてくれました。

「木造の家はオマエが木組で解決してくれたけど、温熱は音痴だろう!」と言われて、ムッと来て一念奮起し、温熱向上を目指して、あちこちに出かけて勉強しました。おかげで「木組でも温熱」「古民家でも温熱」ができるようになりました。

野沢さんの書いた本「住宅は骨と皮とマシンからできている」はOMソーラーの得意な野沢さんらしい名著です。

また大高正人事務所出身でコルビジェばりの架構のデザインは眼を見張るものがあります。「立川市庁舎」も名作だと思います。

去年の5月に亡くなりましたが今年建築会館で回顧展が開かれて、試行錯誤の痕跡の残る素敵なスケッチをたくさん見ることができました。

野沢さんの自邸の内覧会に見学に行って、出されたカニをむしゃむしゃ食べていたら「ちゃんと感想を言え!」と叱られました。

コンクリートブロックや鉄骨や木造などのあまりにも複雑な構造の組み合わせで、当時の僕にはよくわからなかったのが正直な感想でした。(笑)

なぜか急に思い出してブログに書きました。