プロジェクトレポート
2025年04月05日 Sat
田中文男棟梁とは光栄なことに何回かコンペの審査委員をご一緒させていただきました。
わたしにとっては幸せな時間でしたが、棟梁は徐々に病魔に侵されて腎臓を悪くしてしまいました。
ある審査会の打ち上げで医者に止められているはずのお酒や煙草をやりはじめたので
生意気にも「棟梁! やめたほうがいいですよ!」と言ってしまいました。
棟梁は「なにを!」「ちょっと来い!」と言って喫茶店に連れて行かれ、てっきり雷が落ちるのを覚悟していましたが、座った途端にニコっと笑って
「お前ぐらいだなぁ! 俺の言ってることをやってくれているのは…」と言われました!
初めて褒められて嬉しかったのですが、あまり多くの人には話していません。どうせ信じてくれないだろうから…
その後病気が進んで見舞いに行きたいと言ったら家族の方から止められました。
「痩せてしまって…おみせできない。」と…
それではと「うどん」を送りました。食べてくれたかどうかはわかりませんでしたが、しばらくして訃報が届きました…。
「バカヤロウ!」が口癖で叱り飛ばされてばかりでしたが、笑顔が人なつこかった田中文男棟梁が懐かしいです。
国土交通省のお役人も大学の先生も叱り飛ばされても一目置く実力と人柄の大工棟梁はもう出ないかもしれません。
何故か急に田中文男棟梁を思い出して描きました。棟梁ありがとうございました。これからも日本の木造建築を見守りください。合唱…