プロジェクトレポート
2025年03月28日 Fri
「こんにちは!」と挨拶をすると「バカヤロウ!」と返事が飛んでくる!
設計者嫌いの「棟梁・田中文男」(ダイフミ)さんはいつも「お前ら設計者が、日本の建物を悪くしたんだ!」とご立腹でした。
田中棟梁には「日本建築セミナー」の講師を務められているときに、初めてお会いしました。千葉の中学を出てすぐに大工に弟子入りして数々の現場を経験し棟梁という呼びかたが珍しくなった頃に「現代棟梁」と呼ばれていた人です。
当時の名事務局長「且原純夫」氏が始めたセミナーは4クラスあって伝統的な日本の建築の講座を毎週のように実施していました。
わたくしはまだ設計を始めたばかりの26歳くらいの頃でした。早く技術を身につけたくて、いくつもの講座を掛け持ちして受講していました。
とても怖くて初対面の時から「バカヤロウ!」の洗礼を受けました。
文化財の重鎮の「鈴木嘉吉」先生や歴史の「大河直躬」先生、数寄屋建築の第一人者「早川正夫」先生など錚々たるメンバーに学べた事はいまでは夢のようです。
その中でも「べらんめえ調」の「田中文男」棟梁は突出して魅力的でした。
講座の後の懇親会や見学会では近くに寄って行って耳をそば立てていたことを覚えています。
生意気な質問をすると「これだから設計者は…」と言って煙たがられたのを覚えています。
「職人はやっちゃあいけない事をいくつ知ってるかで決まるんだ!」とよく言ってました。
やってはいけないこと以外は己の裁量で何をやってもいいのが大工の世界だそうです。
わたしは田中文男さんと知り合う前にカミさんの家を建てた元大工棟梁で建築家協会会員の「小川行夫」さんのもとで修行をしていたのでよく似たことを言っているなと思いました。
この頃からがわたしの建築修行の始まりです。
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