プロジェクトレポート
2025年03月14日 Fri
木造建築を設計するとき、柱や梁を見せるか見せないか「真壁」にするかしないかでは進め方が全く違います。
まず「大壁」では考えられない効果があります。
「真壁」の場合は平面に柱の位置を置くと同時に、展開図のデザインが決まってしまうことです。
柱の配置がそのまま展開の壁に出てくるので、室内の壁や天井に現れる柱や梁が、そのままインテリアデザインになってしまうのです。
そもそもインテリアの概念は「大壁」の室内のデザイン手段として描くもので、なにもない壁に自由に窓や柱を置くことができます。
その場の柱は付け柱であり構造を負担しないので、自由に抜いたり入れたりできるのです。
ところが「真壁」では柱を置いた途端に構造とは切っても切れない関係ができるので、簡単に動かすことができない。柱が「構造=骨組」を規定するからです。
大壁で作った室内に適宜つけ柱や梁を施す「大壁・真壁」という呼び方があるくらいです。
かつての「白井晟一」の建物はまさにそれでした。
そのことが著名な木造設計者をしても「真壁は難しい」といわしめる由縁です。
しかし「真壁派」としてはその逃げのないスリリングな設計が面白い。
簡単に間取りの変更を許さないので施主の要望には苦労するが「架構と間取りの合致」を指向する設計者にはその苦労を超えて余りある。
その達成感は木造軸組工法の醍醐味である。