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2013年05月30日 Thu

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連載【木組みの家に住んで】
第二話「60歳の誕生プレゼント」

 「高円寺の家」のオーナーのKさんによる連載エッセイです。

Kさんは60歳でこの家を建てられ、お一人でお住まいになっています。
無垢の木と漆喰の木組みの家の生活は、どのような暮らしなのでしょうか。
日々のお住まいの様子をお楽しみください。

 

【木組みの家に住んで】

「高円寺の家」施主

第二話
60歳の誕生プレゼント

 

木組みの家「高円寺の家」棟上げ

木組みの家の棟上げ

わたしだけの「おひとり様用」の家を建てることになって、6月初め(12年)に着工、昨日(7月14日)に棟上げ式をしました。
建築というのは、この「棟上げ」が節目になるそうですね。
梅雨のはしりに着工していますから、お天気しだいで、工期の遅れもあることだったのです。

あらかじめ、棟上げ式は7月14日と設定されていましたから、それが予定通りにできるかどうか気をもむ日々でした。

木組みの家「高円寺の家」上棟式の直会の様子です

上棟式の直会の様子です

ところが東京は予想外の空(から)梅雨で、雨が降るとしても深夜か土日に集中したのです。工事現場の影響は少なくてすみました。
去年(11年)の秋に話が持ち上がって、その半年後の棟上げでした。

新宿から中央線に乗り、ほどなく行った駅ちかくに現地があります。 駅をおりると、そこはシャッター商店街とは無縁な地域で、お店のにぎわいが2キロも3キロも続きます。その喧騒からちょっとはずれる小道をはいると、建築現場があります。

たった20坪の小さな敷地です。

木組みの家「高円寺の家」1:50模型

自宅の1:50模型

住宅が密集していますから、お日様を入れるために、庭もつくらなくてはなりません。
したがって1階10坪、2階10坪の狭小なスペース。

1階は玄関、台所、食事室、居間、トイレ、風呂場の間取りで手いっぱい。

寝室と書斎は2階にという設定です。

それでも、わたしひとりで住むにはもったいないようなつくりとなっています。

 

 

5年前(07年)。わたしが55歳のときに直腸がんを患いました。 たまたま発見が早かったので命を取りとめましたが、その時に死んでもおかしくはなかったと今でも思っています。

2年前。わたしが58歳のとき、同居・介護していた義母を見送りました。義母という先頭を走っていたランナーがいなくなり、わたしがトップにおどり出た瞬間です。 次に死の順番をむかえるのは、このわたしになるのです。

若い時には、自分の生が無限にあると信じていたのに、今は死をみつめる自分がいるようになりました。
「何か希望をもたせてくれ」とひとり娘と話し合ったのが、住まいをつくることになったきっかけでした。 「先になにか希望がないと、人はすぐに死んでしまうから」と。
それで、 今年の60歳の還暦の時に、長生きのプレゼントとして、住まいが娘からもたらされたのでした。

7月棟上げ式。
12月のクリスマス前の引き渡し。
ですから、新年(13年)は新しい住まいで迎えることができそうです。

11月28日には伝統芸能の舞台をしている朗(甥)が来てくれて、新しいお家で舞を奉納してくれます。

還暦を迎えて、目標ができた。

あと5年、現職をまっとうし、 その後は末永く娘の仕事をサポートするのです。

娘が「新しい住まいをつくろう」と心に希望の灯をともしてくれたおかげで、わたしの中では生きる意欲がわいてきたのです。

 

<第三話につづく>
第一話はこちらです

 

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木組みの家「高円寺の家」建方

「高円寺の家」の上棟式です

「松井事務所」より

第2話は上棟のあとすぐに執筆された文章です。
上棟式は近頃では見かけなくなりましたが、構造が出来上がる建前のときに建物の無事を祈願して行われる祭祀です。

丁寧に手刻みした材料を豪快に組んで行く建前は、木組みの家の醍醐味です。

上棟式のあとは、建主さんが職人さんを労う「直会」を行っていただきました。

庭づくりも現在進行中です。3月中に植栽が行われます。

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