プロジェクトレポート
2024年05月28日 Tue
いままさに空前の古民家ブームです。
しかし「古民家」は定義もなく曖昧なままブームの中で埋もれてしまっていました。
日本の住まいの原点は「古民家」を見れば明らかですが、各地に多くの民家が日常的に残っていたために歴史的評価も少なく、しばらく忘れられていました。
また、現代の建築教育は明治以来西欧の建築学を下敷きにしているので、古来から日本の大工棟梁たちが造ってきた「民家」は軽んじられてきたのです。
ところが昨今の「古民家ブーム」に乗って、再生・利活用が増えて、本来の日本の家づくりが見直されてきています。
原点である「古民家のつくり方」は木と木を組む「木組み」が基本です。
金物がなかった時代のつくり方という一面もありますが、日本の大工たちはあえて金物は避けていたようにおもいます。
いわく「豆腐を針金で釣ってはいけない」
なぜなら木という柔らかい母材は硬い金物に負けて、地震で揺らされると木の繊維を割って建物を壊してしまいかねないからです。
ところが最近では、地震が起きるたびに「金物」を補強に使うような規制がかかり、改修されています。耐震性能を伸ばすためにはそれでいいのでしょうか?
五重塔が金物を使わず、木と木を組み上げて揺れて力を逃がすように。民家も「強度」で地震や風に抵抗するのではなく、柳に風の「減衰」の理論がいいと思います。
現在、家づくりを古民家に学び紹介する本「古民家からはじまる日本の家」を執筆中です。
松井事務所が20年間主催してきた「木組のデッザインゼミナール」を単行本化しています。
この本を読めば、金物に頼らず開放的な木の家をつくることができます。ご期待ください。