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2014年05月17日 Sat

住宅は骨と皮とマシンからできている①

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表題のタイトルは、野沢正光さんの本の題名です。建物をクールに分析した客観的なフレーズだと思います。

そのフレーズを、木組みの家に置き換えて考えたことを書きたいと思います。以前から発言している、よく似た話になるかもしれませんが、そこはブレない考え方だと思ってお付き合いください。

今回は骨の話です。

最近、巨大地震が来るという番組やニュースがたびたび流れていますが、建物の骨は、まさに地震や災害に耐え抜く必要があります。

わたしたちは、阪神大震災を契機に、丈夫な構造をつくることを学びました。しかし、巨大地震に耐えるには、建物を強固にするだけでは自然の脅威に耐えられません。柔よく剛を制すの通り、力を逃がす工夫も大切です。大きな力に対して粘り強い架構をつくることです。

そこで着目したいのが、木の特性であるめり込みの強さと靭性です。さらに、継手・仕口の摩擦力と貫の復元力です。ちょっと専門用語で難しいのですが、要するに、木造建築の粘り強さは、柳に風のたとえのように、力をいなす仕組みだと考えてください。

伝統構法と呼ばれる日本家屋は、構造の世界では、まだまだ解明されていないことがあったのですが、最近5年間の実大実験で多くのことが分かりました。

一つには石の上に置いた足元フリーの建物は、大きな振動でも柱が折れないとか、貫の入った建物は、大きく変形しても倒壊には至り難い、などこれまでの常識にないことばかりです。

これまで、わたしたちのつくる家は、土台を基礎に結んで地震や風に耐えてきましたが、どうやら地面と結ばない方が免振的だということです。この事については、実験結果が証明してくれていますが、一般の方への周知はもとより、建築基準法の改正には時間がかかりそうです。

興味がある方は、防災研究所(Eディフェンス)のHPをご覧になることお勧めします。一連の映像が公開されています。

また、20日に行う南雄三さんとの対談でも、詳しくお話しできると思います。どうぞご参加ください。

伝統構法の実験 足元フリー