プロジェクトレポート
2024年10月07日 Mon
この家は事務所を開設して2軒目の「木組の家」です。34年の月日が経ってしましましたが、FBは時折、昔の仕事の写真を再アップしてくれます。
当時わたくしは35歳で経験も浅かったのですが、一軒目の家の木材を用意してもらった隣の材木屋さんの紹介で建てさせていただきました。材木屋いわく「売るほどあるから、たくさん木を使ってくれ!」ということで江古田駅の近くに建っています。
敷地の選定からご一緒して選んだ路地状の土地ですが広さが気にって購入し「コートハウス」を建てました。
学生の頃から敬愛していた「西澤文隆」さんの本「コートハウス論」を読んで中庭を囲む家に憧れていたので2軒目で願いが叶いました。
オーナーは洋風の家を望まれていましたが、「洋でも和でもないモダンな家」を造りたいとお願いして了解してもらいました。
現在はオーナーも変わってしまいましたがまだまだ健在です。先程も久しぶりに外から覗いてきました。
二階が一階よりせり出している「せがい造り」です。「せがい」は船の甲板を梁で伸ばして荷物をたくさん積めるようにする工夫です。
当時「故・吉田桂二先生」と町並み保存運動をしていた時で、中山道沿いの宿場町「大平宿」の旅籠の架構の惚れ込んで採用しました。
どちらかというと富裕層の家です。二軒目にして規模が大きくて費用の潤沢な仕事に恵まれました。
この頃から日本の「民家」の架構を新築でも試すことを覚えました。
この後設計の方針として「民家」のような庶民の家を目指し始めたので、いまはサラリーマンの家が多くて建設費には苦労しており、事務所を圧迫しています。
どうやら事務所経営の才能がなくて仕事の舵を切りそこねたようです。(笑)
しかし現代の木造住宅の「質の向上」を志すと、むかしの「民家の造り方」に還っていきます。
当事務所が「むかしといまをみらいにつなぐ」という目標を掲げているのも本格的な「木組の家」を一般な家として普及させたいという気持ちの現われです。
最近は建設費の高騰でなかなか思ったようにいかないのが悩みです。(涙)
黒御影石を床に張った広い玄感
せり出した二階の「せがい」から中庭を見る