プロジェクトレポート
2024年10月03日 Thu
人は一人では生きていけない動物だと言います。だから「群れ」で行動するのだと。
「群れ」をつくって生きていくということは、つまり「社会」をつくることと同意義です。
「社会」で生きていくには、人は勝手な行動は慎み、集団のルールに沿って行動しなければなりません。
また「社会」の最小単位は「家族」です。
「家族」が集まって住む場所が「家」です。「家」は雨風を凌ぐ屋根や壁が必要です。
太古の昔「洞窟」に暮らした原人たちは「狩猟生活」から「農耕生活」に移行し「草原」に出てきました。明るい空の下は開放的ですが危険もあったのです。天候ももちろんですが危害を加える獣にも備える必要が出てきました。
そこで身近にある草で屋根や壁を葺き身を守る小屋を作って住み始めました。沖縄では小屋づくりを「アナヤー」と呼んで相互互助で造ったのが始まりだと言われています。柱に貫穴が空いていたのでしょうか?
家の原点は「竪穴式住居」と言われています。地面を少し掘り下げた竪穴に4本の叉木を立てて柱とし中心に囲炉裏を切って暖を取り、食べ物の煮炊きをして、寝起きもしました。
一つの竪穴式住居にひと家族が住み、いくつかの住居が集まって集落をつくり「共同生活」をしていました。その頃の住居に個室があったかどうかはわかりませんが、家族が増えるとともに家も大型化し個人の空間も必要になっていったのだと思います。
「家族」は「個人」から成り立っています。現代の住まいは「個人」と「家族」の空間を分離する事になっています。「プライバシー」と「コミュニテー」の区分です。
一人の生活を大切にすることは「人格」の形成にもつながります。
「プライバシー」と「コミュニティ」のバランスを取ることが「家」が人格形成の「場」と呼ばれる所以です。
家族を構成する「個人」「個人」が一つの家に住み合うことによって「絆」が強くなり「家族団欒」が生まれるのでしょう。
住まいの設計では「個人」と「家族」の緩やかな結びつきを促す「仕組み」づくりが肝心なのだと思います。
「居間」を造ったからみんながつまり団欒が生まれるとは限りません。
いきすぎた「個室」は孤独な「孤室」を造ってしまうかもしれません。
ひとりを感じながらどこかで家族とつながっている。そんな間取りや家具配置が「住み合う」「家」には大切です。