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2024年10月17日 Thu

建築の話をしよう⑩「矩計」で考える

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「矩計」(かなばかり)という言い方は、建築に携わっている人以外ではあまり聞き慣れない言葉かもしれません。

建物の高さ関係を把握するときに使う用語です。

設計用語の「断面図」と似ていますが、建物の主要な高さを確認するための計りであって、大工さんは一軒の家づくりの前に、一本の棒に印をつけて現場で使う「矩計棒」という道具をつくります。建物によってその都度つくるので一度しか使いません。

その「矩計」から「住まい」を考えることは大変重要です。

添付のスケッチは現在進行中の「木組の家」です。

ダイナミックな構造ではありませんが、室内の「暮らしの様子」がよく分かると思います。

このようなスケッチを描いている時が一番楽しく時間を忘れます。

わたしたちの仕事は「快適で暮らしやすい空間」を提供することですから、この一枚にすべての気持ちを込めています。

部屋の高さをギリギリまで抑えて天井や屋根を低くもなく高くもない適正な寸法を探ることで緊張感のある空間ができるのです。

「矩計」が決まるとそれを立面に反映させます。立面も良いプロポーションを探るためにスケッチで練るのです。

家は内部も外部も「矩計」によって「質」が決まると言っても過言ではありません。