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2025年04月04日 Fri

「棟梁・田中文男」のことを話そう④

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田中文男さんの事務所は新宿の御苑前にありました。

若い頃何人かで大工技術の勉強会をやることになって、時々お邪魔しました。

田中さんは、夕方にはすでに近くの居酒屋に行っていませんでした。

夜の事務所で、雑誌編集者もメンバーに加えて始めたのですがその編集者が「君たちに大工の話をまとめることはできないよ」と失礼なことを言われたので一念奮起して執筆したのが当時「建築知識」で連載した「私家版仕様書」です。失礼な編集者の雑誌には書きませんでした。笑

「私家版仕様書」が好評で各地の講演会に呼ばれるようになり、国土交通省のコンペの審査委員も仰せつかりました。

そこで「住宅産業研修財団」の理事長・松田妙子氏とめぐり逢い。氏の主催するコンペ「大地に還る家」や「真の日本住まい」の審査委員を仰せつかりそこで田中文男さんと一緒に審査を務めることになりました。

若い頃に「日本建築セミナー」で教わった先生である田中文男さんと一緒に審査委員ができることは光栄でした。

審査会では実務を経験している大工棟梁の発言は設計者や学者とは格段に違う迫力で「ベランメイ」調の語り口はしばしば松田妙子氏と衝突してましたが、審査会は大いに盛り上がりました。