せがい造りの家 〈千葉県〉

「せがい造り」の家

二階せがいの木組の家

オーナーは、「京都の迎賓館」を担当した内閣府の方です。砥石のコレクターで、大工仕事にも精通しています。

当事務所を訪ねてこられて、開口一番「お前は、大工と話はできるのか?」と尋ねられました。

私の師匠が元大工棟梁で、建築家だったことを話すと、3日後に依頼がきました。

「骨太の伝統構法の家を頼む」「できれば横に長い家が良い」という条件でした。

千葉の埋立地に建っていた建売住宅を壊してみると、敷地は南北に深くて東西に狭いことがわかりました。

横に長くするには二階をせり出すことがいいだろうと考えて「せがい造り」という「和船」にルーツに持つ伝統構法を提案して認められました。

「せがい」は「船外」と書きます。「和船」の甲板を広くして積荷を多く積むために考えられた工法です。

西側の玄関はもちろん南側のリビングの二階もせり出して「二方せがい」の家になりました。

5段の梁組で実現しました。夜景は梁の間から光が漏れて二階が浮いて見えます。

計画中に古材を使いたいという話になって、奥様の実家から大黒柱が届きました。

運ぶ途中で切られてしまって短い柱の二本になりましたが、室内に威風を放っています。

所在 千葉県千葉市美浜区
構造規模 木造2階建(せがい造り)
敷地面積 220.27㎡(66.6坪)
建築面積 98.91㎡(29.9坪)
延床面積 139.21㎡(42.1坪)
建築費 4800万円(参考価格)
設計監理 松井郁夫建築設計事務所
施工 持井工務店
竣工 2006年9月
建ぺい率 50%
容積率 100%
地域地区 第一種低層住居専用地域
防火地域
構造材 岩手・福島・天竜(葉枯し乾燥)
床板 栗 厚30mm
外壁仕上 土壁風藁入りモルタル
断熱材 フォレストボード
内壁仕上 漆喰塗・土壁藁入り
開口部 木製サッシ、アルミサッシ(ペアガラス)