江古田の家 〈東京都〉

江古田の家

サロンと中庭のある木組の家

事務所を始めて二軒目の木組の家です。

事務所の隣の材木屋さんからの紹介です。

医学大学のお医者さんで、教授の就任祝いを家で開くために大きなサロンがほしいというご要望でした。

事務所近くの江古田界隈で、土地探しから始まり路地付きの旗状敷地に決まりました。

「せがい造り」の二階と平屋の玄関やサロンで中庭を囲むコートハウスです。

庭にはレンガタイルを敷詰めてイタリアのパティオのようにつくりました。

当時材木屋さんに出入りしていた4人の腕の良い大工さんと一緒につくりました。

初めて「木組の家」を経験する40代と30代の大工たちに、真壁構造の柱梁を見せる話をすると、建前まで酒を絶って刻んでくれました。

広い玄関には、段板の向こうが透ける「ササラ桁階段」を使い、サロンの階段は一本力桁の「ストリップ階段」です。

サロンの天井には、赤味の強いカナダ産の「レッドウッド」を使いました。

近くの現場なので、文字通り毎日通いました。この現場で学ぶことも多かったと思います。

金物を使わない木組の仕事にみんな一生懸命取り組んでくれました。

その棟梁とはその後33年も一緒に仕事をしました。

毎回楽しみながら仕事ができたことに感謝しています。

このあと、同じオーナーから「軽井沢の別荘」の浴室棟と息子さんの六本木のマンションのインテリアを依頼されました。

ご夫婦とは長いお付き合いでしたが、この家で28年暮らして、ケヤ付きのマンションに引っ越されて売りに出されました。

資産価値の高い「木組の家」ということで買い手が5人も現れ、競りになったそうです。

外国人の方に人気で、次のオーナーも決まって、現在も健全に建っています。

所在 東京都練馬区羽沢
構造規模 木造2階建
敷地面積 246.44㎡(74.55坪)
建築面積 119.87㎡(36.26坪)
延床面積 188.31㎡(56.96坪)
建築費 3,500万円(参考価格)
設計監理 松井郁夫建築設計事務所
施工 若月工務店
竣工 1987年
建坪率 50%
容積率 100%
地域地区 第1種住居専用地域
第1種高度地区
防火地域
構造材
床板
外壁仕上
断熱材
内壁仕上 漆喰塗
開口部 アルミサッシ(シングルガラス)