神奈川県鶴見市に建つ関東大震災で一度壊れた建物を改修した古民家で震災後に復旧しました。ちょうど100年経って古民家と呼ぶにふさわしい伝統的な木組の平屋です。
主家は古い家ですが、隣に新しい二階建ての家をつくって住んでいました。最近になって古民家を改修して住みたいと思い始めたと言います。
そこで古い母屋はもちろん増築した二階建ても残して改修することになりました。
建物は関東らしい方形屋根の町家です。当時の架構は、伝統的な仕事で柱や梁も立派で丈夫な建物です。ただし、内部は座敷の続き部屋で、暗く寒い状態でした。
そこで、耐震性能と温熱性能の両方を向上させる設計としました。
建主さんは間取りの大きな変更を望まなかったので、架構はそのままとして限界耐力設計法により、板壁や足固め貫の耐力要素を加えました。スケルトン改修と言います。
温熱性能の向上は床下を密閉して、約59.72坪の建物を第三種換気により床置きエアコン一台で空気の流れをコントロールし温めることにしました。
南側に大きなガラス戸を断熱気密性能の良い木製窓に交換して、屋根瓦は既存を葺き直し、外壁に外断熱を施し焼き杉板としました。増築部分の二階建ては昭和の増築でしたが、材料も仕事も悪かったので入念に耐震補強を大壁のまま施しました。
古民家の屋根の下は小屋裏収納になっていましたが、今回ロフトとして使えるようになりました。居間の吹き抜けを見下ろすことが出来ます。
古民家の再生でありながら、大きな木製窓の外観がモダンです。耐震要素として大切な貫を切らずに補強して耐震を向上させ、外断熱と気密の向上で温熱改修と省エネを実現した事例です。
所在 | 神奈川県鶴見区 |
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構造規模 | 木造平屋+2階建 |
延床面積 | 197.49㎡(59.74坪) |
建築費 | 約8750万円 |
設計監理 | 松井郁夫建築設計事務所 |
施工 | 山口工務店・神谷棟梁 |
竣工 | 2023年4月 |
構造材 | 古材 |
床板 | 桧 厚15mm |
外部仕上 | 屋根:瓦 外壁:焼杉板 |
断熱材 | 壁:フェノバボード 25mm 屋根:高性能GW 300mm 床・基礎:スタイロフォーム 50mm |
内壁仕上 | 漆喰塗・土壁藁入り |
開口部 |
木製オリジナル建具(ペアガラス) 樹脂サッシ(ペアガラス) |