東京都小平市に建つ元は茅葺きの古民家です。小平一帯を開墾したときの開祖の家が残っていました。広い敷地に建つ古民家ですが、現在は住宅地に囲まれています。
昭和年代には、茅葺き屋根を瓦屋根に変えたと言います。古い架構を改修したので小屋裏が混乱していましたが、床下には大きな丸太の足固めが残っていて丈夫な骨組みであることがわかりました。
小屋裏は二重にして断熱材を入れ、ルーバーで隠しました。屋根裏一面のルーバーが美しいインテリアをつくっています。
建物は出桁造りの関東らしい軒廻り形式です。箕甲付きの入り母屋の屋根は、日本の伝統的な架構で昭和の時代を代表する造りです。天井を外して表した梁も立派で美しい架構です。内部の座敷は床の間のある部屋のみを残しあとは板の間にして北側に大きな開口部を開けて明るくしました。玄関を入ると北側まで抜ける窓が気持ちの良い室内を造ります。
さらに石の上においたままの架構で耐震性能を確保し断熱と気密で温熱性能の向上を目指しました。
耐震補強と断熱材を入れるために柱だけを残す骨組みだけの状態にしました。建主さんは間取りの大きな変更を望まなかったので、架構はそのままとして限界耐力設計法により、足固め貫の耐力要素を加えました。スケルトン改修と言います。
温熱性能の向上は床下を密閉して、約38坪の平屋を第三種換気により床置きエアコン一台で空気の流れをコントロールし温めることにしました。
南側に大きなガラス戸を断熱と気密の良い木製窓に交換して、屋根瓦は既存のまま300ミリの断熱材を挿入し、外壁に外断熱を施し焼き杉板で包み込みました。台所は時代が下がっての増築でしたが、システムキッチンとトイレ周りを新しく現代的にしました。
大きな屋根の下の小屋裏はすべて見えるようにルーバーが並び、丸太の梁組が力強い空間を創りました。
古民家の再生でありながら、大きな木製窓の外観がモダンです。耐震補強でワンルームの室内を実現し外断熱と気密で温熱向上と省エネを実現した事例です。
所在 | 東京都小平市 |
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構造規模 | 木造平屋建 |
敷地面積 | – |
建築面積 | – |
延床面積 | 128.07㎡(387.74坪) |
建築費 | 約7000万円 |
設計監理 | 松井郁夫建築設計事務所 |
施工 | キューブワン・ハウジング |
竣工 | 2023年3月 |
構造材 | 古材 |
床板 | 桧 厚15mm |
外部仕上 | 屋根:瓦 外壁:焼杉板 |
断熱材 |
壁:フェノバボード 25mm 屋根:高性能GW 300mm 床・基礎:スタイロフォーム 50mm |
内壁仕上 | 漆喰塗・土壁藁入り |
開口部 |
木製オリジナル建具(ペアガラス) 樹脂サッシ(ペアガラス) |