プロジェクトレポート
2020年07月30日 Thu
ブログ | プロジェクトレポート | 漢方の本陣
昨年竣工いたしました、滋賀県長浜市木之本の「本陣薬局」の展示室の準備が進んでいます。
北国街道に面した町家は、275年前に建てられた由緒ある建物ですが、現代まで「漢方」のお店としての歴史を刻んできました。
江戸時代には参勤交代の侍たちの宿泊所となったことから「漢方の本陣」の由来となりました。
住宅部分は昨年の再生完了で、すでに暮らしておられますが、長浜市の要請で店舗部分を公開することになっています。
長い時代を超えて、蔵の中に眠っていた多くの展示品がいま所狭しと並び始めました。
今年の9月に、織田信長の書状や刀の展示を追えたところで、一般公開となるそうです。
お近くに行かれましたら、どうぞお尋ねください。
2020年07月13日 Mon
ブログ | プロジェクトレポート | お知らせ | 連載・執筆
ウエルパイン書店発行第二弾「初めての人にもできる!木組の家づくり絵本」が発売されました。
これまで木の家をつくっていた方も、これから木の家を作ろうとしている方も、「木組の家」のつくり方を絵本で楽しく身に着けませんか?
ロングセラーの「木造住宅【私家版】仕様書」の絵本版です。発売以来、順調に売上をのばしております。Amazonからも買えます。
ぜひ、一家に一冊! お手にとってご覧ください。
2020年07月04日 Sat
滋賀県木之本宿に建つ「北国街道」に面した町家で、江戸時代から参勤交代には「本陣」として使われていた薬屋です。
昭和40年代には、隣のRCの建物に薬局を移して、本陣を住居としていました。
街道に面した表構はよく残っていましたが、275年の風雪に耐えてきた架構は、痛みが激しく何度かの豪雪に傾いていました。
また、内部は座敷の続き部屋で、暗く寒い状態でした。
そこで、耐震性能と温熱性能の両方を向上させる設計としました。
まず、傾きを直し、傷んだ柱は根継を施し、限界耐力設計法により、板壁や足固め貫の耐力要素を加えました。
温熱性能の向上は住居部分に限定し、約65坪の平屋を第三種換気により床置きエアコン一台で空気の流れをコントロールすることに成功しました。
北国街道に面する外観は大きく変えることなく、瓦・看板・格子は既存のまま、外壁の黒漆喰・建具は既存補修としました。
古民家の再生でありながら、耐震と温熱の改修を省エネで実践した事例です。
2019年第5回日本エコハウス大賞リノベーション部門で大賞を受賞しました。
2020年 ウッドデザイン賞 を受賞しました。
2020年11月に登録有形文化財に指定されました。
所在 | 滋賀県長浜市 |
---|---|
構造規模 | 木造2階建 |
敷地面積 | 844.00㎡(255.31坪) |
延床面積 | 312.93㎡(94.6坪) |
建築費 | ― |
設計監理 | 松井郁夫建築設計事務所 |
施工 | 橋本工務店 |
構造監修 | 川端建築計画 |
温熱監修 | 夏見工務店 |
竣工 | 2019年7月 |
構造材 | 古材 |
床板 | 杉 厚15mm |
外壁仕上 | 屋根:瓦 外壁:黒漆喰 |
断熱材 | 壁:スタイロフォーム3B 80mm 屋根:セルロースファイバー300mm スタイロフォーム3B 160mm 床・基礎:スタイロフォーム3B 80mm |
内壁仕上 | 漆喰塗・土壁藁入り |
開口部 | アルミ樹脂複合サッシ (ペアガラス) |
2020年05月30日 Sat
ブログ | プロジェクトレポート | お知らせ | 「木組のデザイン」ゼミナール
大変ながらくお待たせいたしました。
コロナの影響で延期しておりました、第17期「木組のデザインゼミナール」を再開することになりましたので、お知らせ致します。
感染予防に努めながらの講座となりますが、会場は例年通りの松井事務所です。
今回は、延期に伴い「木組講座」と「古民家講座」「温熱講座」の開始に合わせて、「美術講座」「理論講座」を9月に移しての開催です。
毎月3つの講座を開催しますのでタイトなスケジュールですが、先に申し込みをされた方達に配慮いたしました。
ソーシャルディスタンスを確保しての受講となりますので、通常より少ない人数で行いたいと思います。席はどの講座も、残り3席程となっております。
どうぞお早めにお申し込みください。
なお本講座開催中に会場近くで「木組の家」の新築現場が始まりますので、随時見学しながら学んで頂ける良い機会になります。
また、新刊「初めての人にもできる!木組の家づくり絵本」を副読本として差し上げます。こちらもお見逃しなく!
下記リンクをクリックしてご購入ページをご覧いただけます↓
リモート講座もあります。
詳しくはお問い合わせください。
木組ゼミのお申込みはこちらから↓
「木組のデザイン」ゼミナール2020 お申込み
2020年05月13日 Wed
ブログ | プロジェクトレポート | お知らせ | 連載・執筆
難しいと思われている「木組の家づくり」のノウハウを公開!
ロングセラーの「木造住宅【私家版】仕様書」をさらに取り組みやすく、
優しい絵本で解説しました。絵を見ていれば木組の家づくりが体得できます。
初めての人にもできる木組みの家です。もうすぐ書店に並びます。乞うご期待!
2020年05月07日 Thu
ブログ | プロジェクトレポート | 川口の古民家再生
実測調査から3年が経ちました。
徐々に出来上がってきましたが、まだ最終の形が見えてきません。
ロフトの様子は見えてきましたが、下地の補強や断熱材の挿入や設備工事の下準備に追われています。
もう少しすると仕上がりの状態が見えると思います。
コロナの影響で進行が遅れています。どの現場も大変です。
2020年05月04日 Mon
ブログ | プロジェクトレポート | 鶴見の古民家再生
鶴見の古民家調査に行ってきました。
関東大震災のときに生き残った部材を使って建てた家です。97年前の平家です。
二階建てを増築していますが、実測調査の結果、平屋の小屋組みは、立派な骨組みだと分かりました。
これから、実施設計が始まります。乞うご期待!
2020年05月04日 Mon
ブログ | プロジェクトレポート | お知らせ | 連載・執筆
これまで難しいと思われて来た「木組の家づくり」を絵本にしました。
初めての人にも取り組めることができるように、楽しいイラストで解説します。
いよいよ今月発売予定!ウエルパイン書店 第二弾 2700円
2020年02月13日 Thu
ブログ | プロジェクトレポート | 連載・執筆
先日出版記念パーテイを開催した折に、みなさんからお褒めいただいた、拙著「古民家への道」の広告を再掲します。
13軒の再生事例をオールカラーで紹介し、古民家再生の「理念」と「実践」を描かせていただきました。
古民家を主題にしていますが、実大実験を踏まえた「木造住宅のこれから」が見えます。
美しい「歴史的な町並みづくり」にも貢献したいと思っています。
まだ読まれていない方は、ぜひご一読ください。
「むかし」の良さを「いま」に伝え「みらい」につなげることができれば幸いです。
2020年02月06日 Thu
2020年2月2日 上野精養軒に於いて「2019日本エコハウス大賞受賞+「古民家への道」出版パーティ」を執り行いました。
当日は、北は北海道から南は沖縄まで、受賞された古民家のオーナーはじめ建築関係者から友人、親族まで、約120名のみなさんがお祝いに駆けつけてくださいました。
建築界の大先輩の先生方や多くの友人達からも祝辞をいただきました。
拙著の講評や励ましお言葉も、身にしみてありがたく拝聴しました。
いただいたお言葉の中に、これからの「仕事」や「社会」に向き合う多くの助言や激励は示唆に溢れ、背中をドンと押されました。
また、松井事務所のこれまでの実績を評価していただけてとても感謝しています。
どうやら65歳になったばかりのわたくしは、これからが始まりのようです。(笑)
また、受賞された古民家の「漢方の本陣」は来年登録文化財になるそうです。
だれよりもオーナーご夫妻に喜んでいただけたのが、嬉しいことでした。
フルートのアンサンブルや「和力」の民族演芸も加わって、にぎやかに和やかに会を終えることが出来ました。
みなさん!本当にありがとうございました!
楽しい思い出と元気をいただき、もうひと頑張りする気になりました!
これからも、松井事務所を引き続きよろしくお願い申し上げます!
2020年01月19日 Sun
ブログ | プロジェクトレポート | 日記
2020年の年明けから地球規模の災害や紛争のニュースが目白押しです。
オーストラリアの大規模な森林火災は、多くの動植物の命を奪いました。それも大雨が降って収束する様子ですが、その豪雨がさらに森や住民を脅かしています。またフィリピンやガラパゴス島では火山が噴火して予断を許しません。
トランプの政治利用で勃発しそうであった中東危機は回避されたようですが、イラン市民は長い間の制裁にあえいでいます。インドとパキスタンもカシミールの民族抗争のため核戦争になるかもしれないほどの危機です。
また日本は古くから自然災害の国ですが、本来国民を守るはずの政治が混乱していて、災害予防資金が捻出できていません。いつか来る東南海大地震には市民が各自で備えるしかありません。
元日本ボランティアセンター所長の岩崎駿介さんは「地球市民がともに手を携える時代が来るには、あと何発かの原発が爆発して、世界の人達が本当の危機を感じることが出来てからだろう」といいます。
この危機を乗り越えるには「地球人として生きる」必要性を感じます。グレタ・トゥーンベリ(17)さんが言うように、これはわたしたち大人の責任です。
わたしたちには生命の源である地球環境を守りながら、生活を営む方法がいまこそ求められていると思います。わたしたちの活動は、環境に負荷をかけないエネルギーを使い、自然環境の持続を支える生活ができるような創作活動でありたいと思います。
2020年 年頭に想う 松井郁夫
2020年01月17日 Fri
1995年1月17日5時46分に発生した「阪神大震災」から今日で25年が経ちました。
当時の衝撃は今でも忘れません。6434人の方が亡くなり、そのうち建物や家具の下敷きなった人は約5000人。
お亡くなりになった方々に追悼の意を表したいと思います。
「阪神大震災」はいまだに、わたしたち建築に携わる技術者にとって、建物が人命を救えなかったことが大きな悔いとなってのしかかっています。
それまでは「木造住宅は地震に強い」と聞いていたのに…。わたくしは、その時のショックから地震に強い建物を目指すことを設計者としての使命としています。
その3年後に「地震に強い木造住宅」を冊子にまとめました。それが「木造住宅【私家版】仕様書」という技術書です。大工さんから聞いていた日本の住宅の地震に対する工夫を描きました。おかげさまで1998年に発刊して以来、4回の改訂を重ねています。
いつ起きるかもしれない大地震に耐える家づくりは今も大切だと考えます。あらためて今日の震災の日を迎えて人命を守る家づくりを肝に命じたいと思います。合掌…
【写真】は、阪神大震災で倒壊しなかった納屋です。
この建物は「通し貫」が粘り強く効いて、建物が傾いたところで崩壊を免れて止まっています。もし、この中に人がいても生存できたでしょう。「貫はやめてはいけない」と思います。
2020年01月08日 Wed
ブログ | プロジェクトレポート | お知らせ | 「木組のデザイン」ゼミナール
2020年01月01日 Wed
ブログ | プロジェクトレポート | お知らせ
2020年 新年 明けましておめとうございます。
今年は、当事務所も設立35年目に入ります。
これもみなさまのご支援、ご鞭撻のおかげと感謝申し上げております。
おかげさまで、昨年は「鎌倉古今」の開業で年が明け
4月には「さくらさくみらい保育園」の開業。
10月には「ウエルパイン書店」の設立と、拙著「古民家への道」出版。
さらに11月には「漢方の本陣」が2019年日本エコハウス大賞受賞等
嬉しい出来事が続きました。
今年は出版事業の第二弾として、これまでの住まいづくりの実践を
わかりやすくまとめた「木組の絵本」を春までに出版したいと思います。
何かと難しいと思われがちな「木組の家」の造り方を見やすい絵本にして
多くの方に日本の家の「用」と「美」を実践していただければと考えております。
また、地球環境に負荷をかけない「木」という優れた天然資源の循環を促しながら
「豊かな暮らしのできる家」をつくり続けたいと思います。
みなさま今年もよろしくお願い申し上げます。
松井郁夫建築設計事務所一同
2019年12月31日 Tue
ブログ | プロジェクトレポート | お知らせ
木組みの家が難しいと感じている方に向けて、松井事務所が日頃実践している優しい木組の家づくりを絵本にしています。
手書きのイラストの解説を付けて、初めての人にもわかりやすく、すぐに実践できるようにしています。
ウエルパイン書店より来年春頃の出版になると思います。乞うご期待!
2019年12月23日 Mon
ブログ | プロジェクトレポート | 日記
昨夜は、松井が若い頃にお世話になった二人の師匠に事務所に来ていただき。お二人の再会とわたくしへの激励をいただきました。
岩崎駿介さんは、松井がこの世界に入るきっかけを与えてくれた都市計画家です。45年前にインダストリアルデザインを専攻していた学生が、横浜のアーバンデザインに感動して、都市設計の道に入る決心をしました。当時、岩崎さんは、横浜市の都市計画室長でした。そこで都市に目覚めたわたくしは、藤本昌也先生の率いる「現代計画研究所」に入所しました。都市計画と建築設計の両方をを手掛ける事務所で、都市計画室に配属され、お世話になりました。
その後、岩崎さんは国連の所員として、発展途上国に行き日本ボランティアセンター(JVC)を立ち上げられました。いまのわたくしと同じ年の64歳から茨城県の三郷で自力建設のご自宅を建設中です。先日、建築学会環境賞も受賞されました。素晴らしい木の家です。当事務所の「木組みゼミ」でも何度か工事のお手伝いをさせていただきました。来年もデッキの修理に出かけます。
藤本先生の事務所では、都市計画を学びましたが、故・田中文男棟梁との出会いも先生の事務所です。その後わたくしが大工棟梁のもとに修行に行くきっかけになった棟梁です。三澤文子さんは、後輩で歓送迎会が一緒でした。ふたりとも「藤本スクール」の卒業生でいまも「住宅医」で一緒に理事をしています。
久しぶりの再会で話は尽きなかったのですが、お二人にはわたくしの仕事のスライドも見ていただきました。お二人のお話をお聞きしながら、この世界の広さと深さをあらためて実感しました。
岩崎さんからは、「美しい街並みを作る会」を立ち上げようと提案いただきました。おふたりとも18歳年上の82歳ですが、しっかりしろと激励されてばかりで、緊張のあまり、写真を撮るのを忘れてしまいました!(笑)
ここには、お二人のポートレートを掲載させていただきます。岩崎さん藤本先生どうもありがとうございました!
64歳の若輩ものですが(?)これからもお世話になります!よろしくおねがいします!
2019年11月14日 Thu
ブログ | プロジェクトレポート | お知らせ | 漢方の本陣
日本には古民家が14万軒残っているといいます。年々空き家が増加する中に古民家も含まれています。それでも民泊法が施行されてから、古民家の利活用の道は広がりました。しかしながら、一方では「暗く」て「寒い」と言われ壊されている古民家の数も年々増えています。耐震性能不足から「既存不適格」というレッテルを貼られて壊されているのです。
これまで、古民家の改修は、耐震性能と温熱性能の両方を満足させることが難しいとされてきましたが、「漢方の薬局」は、275年前の建物でありながら、橋本工務店の施工と夏見工務店の温熱計画と川端設計の耐震設計、元所員の望月麻紀さんの素晴らしい作図のおかげで、全てをバランスよく改修できたことが評価されて、今回の受賞となりました。ありがとうございました。
これからも日本中に残る地域の歴史を包括した古民家の再生に取り組んでいきたいと思います。大変長い時間がかかりましたが、設計を依頼していただいた竹内さんご夫婦に感謝します。
2019年11月11日 Mon
埼玉県川口市に建つ民家は、昭和2年築の建物ですが古民家の要件を供えた立派な木造住宅です。
3年前から相談をお受けしていました。工務店の選定に時間がかかりましたが、ようやく工事が始まりました。
ご報告が遅れましたが、すでに何度かの定例会を重ねております。
工事を受けていただいた工務店は、山口工務店。松井が講師を務めた国土交通省のプロジェクト「大工育成塾」に教え子がいた工務店です。
本現場では、腕が良く、丁寧な神谷棟梁が、壁のモックアップを作って待っていてくれました。ありがとうございます。
建主さんを交えた定例会は、実にスムーズです。耐震+エコ改修の模範となる再生がまた一つ増えると思います。
引き続きよろしくお願いいたします。
2019年10月29日 Tue
ブログ | プロジェクトレポート | 漢方の本陣
滋賀県長浜市木之本の古民家再生「漢方の本陣」が日本エコハウス大賞のリノベーション部門の大賞をいただきました。
耐震+エコ改修で、床下エアコン一台で65坪の生活空間を温めます。
足掛け6年間という長い時間を掛けて、丁寧に工事をしてくれた、橋本工務店のみなさん、耐震補強設計の川端眞さん、温熱設計のアドバイスをいただいた夏見諭さんありがとうございました。
何より275年前の古民家を再生することを決断し、私にこの仕事を依頼してくれた竹内夫妻に感謝です。
みなさん、おめでとうございます!
写真はエイ出版「フロアスタイリングBook」から
2019年10月23日 Wed
ブログ | プロジェクトレポート | 松井郁夫著書 | 連載・執筆
お待たせしました!
新刊本「古民家への道」民家再生―日本を住む が届きました。
古民家に住みたい方、古民家を直したい方のための実践技術が写真と図面付きで描かれています。
ブームとは一線を画した古民家再生の「理念」と「技術」の一冊。
2019日本エコハウス大賞受賞作「漢方の本陣」も仕組み図のスケッチ付きで掲載されています。
本屋さんに並んでいます。お手にとってご覧下さい。
13事例 オールカラー202頁 ¥2400+税 ウエルパイン書店
目次より抜粋
古民家再生宣言/伝統構法と在来工法の違い/日本の家は軸組でつくる/「貫はやめてはいけない」/
足固めの再発見/胴差しはなかった/筋違いは台風対策から地震対策に変わった/民家は再生機構をもっている/
リフォーム時代の混迷/限界耐力設計法という方法/温熱環境を向上させる/これからの日本の家をつくる
下記Amazonより購入できます。
ブログ / プロジェクトレポート