2013年11月18日 Mon
●居住歴 4年 ●家族構成 夫(60代)、妻(60代)
主人の仕事の関係から、若い頃は京都に住まいがありました。10回以上引っ越しを繰り返し、大手住宅メーカーや京都の大工さんに依頼して、家を数件建てました。どれも仕上がった時はいいのですが、劣化が早いんですよね。そんな残念な気持ちがあったので、埼玉に家を建てるときは「終の棲家にしよう」と思っていたんです。そして「最後なら、とことん木組みの家に住みたい」という気持ちが芽生えてきました。
「木組みの家にしよう」と決めてから、まずはインターネットで建築家を調べました。実際に秩父や飛騨の高山など遠方まで訪ねましたよ。いい家もありました。どうしようか決めかねているときに、たまたま本屋で松井郁夫先生の著書に出会ったんです。「これがいいかも!」とインスピレーションを感じ、本を読んでさらに松井郁夫先生のポリシーを感じて。“木そのものを大切にする”という考えに共感しました。
結婚相手を選ぶのと一緒ですよ(笑)。私は実際お会いして、余生のすべてを託そうと腹を決めていましたから(笑)。松井郁夫先生から「木と漆喰の家で、価格も無理なくできますよ」とおっしゃってくださり、納得しました。 主人とふたりで伺ったとき、自分たちが考えた間取りをお見せしようとしたところ「見せないでください」と松井郁夫先生が言われました。そして「どんな家に住みたいのか、言葉で教えてください」と。私たちの希望、要望、すべてを聞いて、言葉を図面に落とし込んでくれたのです。希望を図面にして、形を与える、ああ、これがプロの仕事なんだな、と感動しました。
とにかくプロの考え方を、打合せ中でも、施工中でも、いろんなところで感じました。そして、じゅうぶんに納得しました。一番の腕を持った職人さんが集まって、しっかりしたグループになっていましたね。
木のぬくもりが素晴らしいです。この良さは、住んでみないと分かりません。 引っ越しを繰り返していたので、マンション住まいも知っています。コンクリートの冷たさと、木の冷たさは違うんですよね。冷たい、というより暖かい、というのでしょうか。いつまでも家が暖かいんです。家が持つ保温力を実感しています。 住み始めてから、家のことをまじまじと見つめるようになりました。大きな梁を眺めたり、トイレに空気抜けの窓を見つけたり、松井郁夫先生のこだわりと良さが後でじわじわくるんです。
気持ちが変わりました。落ち着きましたね。4年経った今でも、家中に木の香りがします。外出先から戻ると「帰ってきたなあ」と感じるんです。主人も私も、そして娘たちもみな笑顔になるというか。陽の光の温かさ、木と漆喰の調和がこれほどとは。お願いして本当に良かったです。
建前のときのむき出しの梁をみて「すごいのができるんだね」と言われました。骨組みだけで分かるんですね。ほかの家のつくりと、構造が違うそうです。近くに住む大工さんにも「ここは料理屋ができるんですか?」と聞かれたほどです。ほかにも、通りがかった左官屋さんが「この壁は本当にすごい。いい壁だ」と感心していかれました。