プロジェクトレポート
2023年10月27日 Fri
長寿命の古民家に学び長く愛される住まいをつくりたいと考えている松井郁夫です。
今回は「木の建築賞」の審査で鹿児島に行ってきました。
「薩摩の小京都」と呼ばれる知覧の古民家には面白い発見がありました。
「キャクロづくり」と呼ばれる分棟型の家をご紹介します。
鹿児島の知覧は戦時中に特攻隊の基地があったことで有名ですが、江戸時代には島津家の分家であった佐多氏の地領でした。
現在残っている武家屋敷群は、東南アジアからの影響を受けた「分棟型」の茅葺き民家です。「二棟建て」の片方は以前は台所等として使われていた名残があります。今は「ナカエ」呼びます。
また太い差鴨居を巡らせた「キャクロづくり」は
床下の大きな「足固め」と対を成して常習的に襲う台風に備えるつくりです。
古民家は床下に特徴が現れるのですが、石場建ての床下には巨大な「足固め」が見えます。
「うどこ造り」というそうです。
「馬場通り」と言われる表の道は石垣と生け垣の連なる美しい町並み景観を創り出しています。
「母ケ岳」を借景とした庭も美しく昭和56年に国の「重要伝統的建物群保存地区」に選定されています。
更に蔵の床底は漆喰を塗り回して船底のようになっています。
おそらくネズミの侵入を防ぐために左官で仕上げたのだと思います。
古民家の仕組みには毎回大きな学びがあります。