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2025年01月17日 Fri

「阪神大震災」から30年①

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30年前の今日のこの日を忘れない!

阪神大震災はわたしの設計人生を変えてしまいました。

当時40歳だったわたしは、それまで建物の見栄えをばかりを気にしてデザイン優先の設計をしていました。

それなりに名前も売れていましたが、衝撃的な被災状況を目の当たりにして慌てて神戸に向かいました。

この目で確かめないとどうしていいのか答えが出せなかったのです。

「日本ナショナルトラスト」の調査団に加えてもらいまだ粉塵の舞う現地にたったときは一ヶ月が過ぎていました。それでも悲惨な光景に言葉を失いました。

地震で亡くなった人は6434人、そのうち建物や家具の下敷きになって命を失ったのは約5000人。

当時、建物の設計を生業にしている自分は責任を感じて、この日から「丈夫な家づくり」をしなければならないと強く思いました。

ちょうど「建築知識」という雑誌に「木の家づくり」について原稿を書き始めたばかりでしたから、急いでテーマを「耐震」に切り替えたことを覚えています。

雑誌ではその後2年にわたって「丈夫な骨組と成長する間取り」を連載しました。

わたくしはもともとデザイン科出身のため構造についてはアイデアがなく、共著の建築学科出身の小林一元さんや宮腰喜彦さんの力を借りて毎月書き続けました。

「誌上ワークショップ」として読者ともコラボレーシュを重ねて多くご意見をいただき、最終回には建築知識の会議室で全国の読者を集めて「公開ワークショップ」を行い項目ごとに仕様を決めました。

その成果をまとめたのが「木造住宅 【私家版】仕様書・架構編」(写真添付)です。おかげさまで、当時から30年間のロングセラーです。

その間「3.11」で「東北」が揺れたり昨年の元旦には「能登」が揺れて、いまさらながらに日本が地震国であることを痛感させられています。

これまでの多くの犠牲者に哀悼の意を表して、今日のこの日を一つの契機と考えて「地震に強い木造住宅」の設計にさらに精進してゆく覚悟です。

2025年1月17日 松井郁夫