プロジェクトレポート
2016年01月24日 Sun
鎌倉近代美術館が閉館になるという。近代モダニズムの建築でありながら、古都鎌倉の歴史環境に溶け込んだ名建築なのに、残念だ。
1951年開館した日本初の公共美術館。坂倉準三の設計で、多くの市民に「鎌倉近美」の愛称で長く愛された。シンプルなファサードで自己を主張しないことが、周囲の景観にもよく溶け込んでいる。
水辺にたたずむ姿は、凛とした静けさがあり、池に臨むテラスでは、水面の反射が美しく、天井を眺めるといつまでも飽きることがなく、時間を忘れることができた。
2016年01月17日 Sun
1月17日です。6434人の死者を出した阪神大震災から21年になりました。そのうち8割が圧死です。約5000人の人が、建物もしくは家具の下敷きになって亡くなりました。
建築に携わる人間とって、今日は忘れられない日です。
地震に強いと言われた、10万4906棟の家屋が全壊しました。一部損壊までを入れると、63万9686棟にも登ります。
その後、木造住宅の耐震性能が大きな課題となったことはもちろんです。
当時の仲間たちと「私家版仕様書」を書いたのは、地震被害からいかに命を守る家づくりができるかを知りたかったからです。
今日が、わたくしの家づくりの方向性を決めました。美術学部出身にもかかわらず、心から日本家屋の構造の本質を学びたいと思いました。
伝統構法と呼ばれる日本古来の家づくりには、先人たちの多くの知恵があると思ったのです。
2007年から国土交通省による、振動台実大実験にも実務者として参加させていただきました。5年間の実験で、分かったことはたくさんあります。木造住宅の特性は、めり込みと粘りと復元力です。
そこで学んだ命を守る貫や足固めは、毎回の実務に生かしています。建物が人の命を奪わない家づくりが、わたくしの使命だと考えています。
今日は忘れられない日です。阪神大震災の教訓はしっかり引き継いでいきたいと考えます。
合掌。
2016年01月12日 Tue
あけましておめでとうございます。正月気分の抜けない3連休に、二つの建築展を見に行ってきました。
ワタリウムで開催されている、ブラジルの女性建築家「リナ・ボ・バルディ展」ーブラジルが最も愛した建築家―と六本木ヒルズ 森美術館で開催されているイギリスの建築家ノーマン・フォスターの「フォスター+パートナーズ展」ー都市と建築のイノベーションーです。
ノーマン・フォスターは、サー(卿)の称号を持つ英国が世界に誇る建築家です。
わたくしが、事務所を始めたころ、フォスターの画集が3巻出版されて初期の作品が掲載されたときは、枕元に置いて毎晩眺めながら寝ました。分かりやすいイラストによるプレゼンテーションに魅せられました。スケールの大きなプロジェクトから小さな住宅まで、飽くことなく見たために画集はボロボロになりました。
今回の展覧会は、最近の作品を見る良い機会でした。本来、架構や構造のシステムの長けている建築家ですが、組織的な展開を駆使し、各国の空港など見ごたえのあるスケールでした。日本では住宅の設計も、実現されていることを初めて知りました。
2002年に、イギリスに行って実際の建物を見る機会がありましたが、全体と細部のバランスの良さに驚きました。ネジ一本にまで気を抜かない精度です。
会場が、六本木ヒルズの最上階 東京シティビューということもあって、フォスターの展示にぴったりの都市空間でした。
http://www.mori.art.museum/contents/foster_partners/
ワタリウムのリナ・ボ・バルディ展は、今回初めて知った女性建築家ですが、あのザッハに似た風貌で驚きました。
こじんまりとした展示で、第二次大戦前後の作品展でしたが、モダニズムの初期の作品とも思えない土着との融合があり、時間の流れに耐える先進性を持った建物の展示でした。スイスの建築家マリオ・ボッタ設計のワタリウムの建物に似合ったスケールで、心地よい印象でした。
http://www.watarium.co.jp/museumcontents.html
年明けから気の引き締まる二つの建築展でした。今年も例年同様、あけても暮れても建築のことをずーっと考える一年になりそうですが、よろしくお願いいたします。
2016年01月08日 Fri
ブログ | プロジェクトレポート | 阿佐ヶ谷の家
東京都杉並区阿佐ヶ谷に、木組の家が上棟しました。
壁一面の本棚と、光が差し込む吹き抜けが特徴の小さい木組みの家です。
骨組みの美しさが「き」組の家の特徴です。
構造見学会は、日本古来の耐震の工夫である
貫や足固めをじっくりご覧いただけるよい機会です。
みなさまお誘い合わせの上、ぜひお越しください。
開催日時:
2016年2月13日(土)
10:00~16:00
対象:家づくりをご検討の方・本年度「木組ゼミ」受講生
「阿佐ヶ谷の家」データ
小さくて楽しい木組の家
1F 38.21㎡ 2F 35.89㎡
延床面積 74.10㎡(22.42坪)
構造材 天竜杉・桧(手刻み)
外壁 焼杉・土壁風藁入モルタル
内壁 漆喰塗り
開口部 防火サッシ・木製玄関ドア
断熱材 高性能GW
設計:松井郁夫建築設計事務所
構造計画協力:悟工房
施工:キューブワン・ハウジング
山:天竜T.S.ドライシステム協同組合
2016年01月01日 Fri
あけましておめでとうございます。
今年も、ますます楽しい家づくりをしていきたいと思います。
2016年も、どうぞよろしくお願いします。