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2013年05月30日 Thu

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連載【木組みの家に住んで】
第六話「たまいれの儀」

 「高円寺の家」のオーナーのKさんによる連載エッセイ第六話です。

【木組みの家に住んで】

「高円寺の家」施主

第六話
たまいれの儀

木組みの家「高円寺の家」たまいれの儀衣装

「和力」のK朗(あきら)とK磊也(らいや)

わたしの甥は長野県に住んでいて、伝統芸能の舞台を仕事としています。
和力(わりき)というユニットで海外交流基金のご招聘で、毎年、海外で伝統芸能を披露したりもしています。獅子舞など、神事とする「おめでた芸」を多く身につけています。家が完成したら、その家に神様を迎え入れる儀式をこの甥っ子にしてもらおうと企てたのです。
今回は、昨年11月28日に行われた「たまいれの儀」のお話をしようと思います。
わたしの新しい自宅に「魂(たましい)」を入れてもらう儀式でした。

 

 

 

 

木組みの家「高円寺の家」地鎮祭

着工前の地鎮祭

仏壇を新しく買うと、お坊さんを呼びお経をあげてもらいます。
仏壇に仏様をお呼びするのですね。そういう儀式は家を建てる時にもあります。
地鎮祭→ 神主を呼んで、お祓いをしてもらいます。
建前(上棟式)→土地の四方に塩、お酒などをまいて、お清めをします。
こういうものはみんな神事です。でも家が出来上がっても、なにもしません。 工務店からカギを渡されて、それで「引き渡し」→完了です。

伝統芸能をしている甥のK朗(あきら)に聞いても、 「完成時に獅子舞くらいはした経験がありますが、本格的な『たまいれの儀』というのは今回が初めてです」 とのことでした。さて、どんなことが行われるのでしょうか。

午前10時30分 演技者が現場に到着
11時30分 見学者が現場に到着
12時00分 「たまいれの儀」開始
13時30分 会場を移して飲食

というのが、この日のスケジュールです。見学者は工事関係者、建て主の親族の10人、演技者は2人という布陣です。演技がはじまる前に、参加者は、家の中を見学。

敷地20坪。そのうち1階の建坪が10坪。2階も10坪の狭小な条件。
家の設計をしたのは松井郁夫という方なのですが、図面のお手伝いをしてくれたのは赤川真理さんという若い女性の1級建築士さんでした。

赤川さんは、facebookで「今まで(私が手がけたなか)で、いちばん小さい家なんだよ。でもアイデアが凝縮されている」とつぶやいています。「そんなかわいいいお家、見に行きたい」と読者の反応。

しかし、今日の見学者からは、「そんな狭さを感じさせない作りになっている」と驚きの声があがっています。設計士さんは鼻が高いことでしょう。「今日は曇りなのに、どうして家の中がこんなに明るいの?」ともらす人もいます。南側に大きな建物があるのに、家の中は外より明るい。 きっと、光を取り入れるのも計算のうちなのでしょう。

儀式は12時ちょうどからはじまりました。
「火伏せの舞」の衣裳に身を包んだ朗と磊也(らいや)がみなさんの前に現れます。

木組みの家「高円寺の家」たまいれの儀1

玄関先で割箸を井桁に組みます

まず、見学者を玄関前に誘導。
玄関前に割り箸を井桁に組んだものがあります。これを燃やして神様を呼ぶのだそうです。

その前にお清め。 建て主が敷地の四方にお塩、洗米、お酒をまいて、まわりを清めます。 こういうのを「結界(けっかい)をつくる」というと、以前、朗に聞いたことがあります。 境界線をつくって、神様におりてくる目印をみせるのです。

終わると、衣裳に身を包んだ朗が割り箸に火をつけて、それを踏みつけます。火伏せなのです。

木組みの家「高円寺の家」たまいれの儀2

玄関で権現舞。

大きな獅子頭を持ってふたりの「権現舞」が玄関先で繰り広げられます。あぜんと見守る見学者たち

そのまま、ふたりは玄関をはいり左側の食事室へ。

木組みの家「高円寺の家」たまいれの儀

朗の囃子で舞う磊也(朗の息子)

朗のお囃子で、磊也(朗の息子)の鶏舞。

鶏というのは夜明けをつれてくるものとして縁起が良いといわれています。

そして朗の火伏せの舞。
火伏せは火よけいわれて台所の神様ともいわれている。

木組みの家「高円寺の家」食事室で火伏せの舞

食事室で火伏せの舞

これをしっかりやったあとで、ふたりは階段をのぼって、寝室へ。
パソコンルームは覗かずに、そのまま階下におります。

居間の正面舞台で、磊也の鶏舞。
朗の口上。
そして磊也の口上があって、息もつかせずに「たまいれの儀」が終了しました。

その間、近所の子ども連れのお母さんたちが2組、太鼓の音にひかれて、中庭の観客席に参加していました。

獅子頭に導かれて、お客様は玄関前に集合。

木組みの家「高円寺の家」たまいれの儀、無病息災

無病息災のを願って獅子が参列者を噛みます

見学者ひとりひとりの頭を噛んで、「無病息災」の祈り。

飛び入り参加のお母さんたちは、ご自分の頭は噛まれましたが、連れの子どもたち(5~6歳)は獅子を怖がって後ずさりです。

「ただいま、新しい家に神様を呼んでいただいています」
とわたしがお母様に説明すると、
「○○ちゃん、神様を呼んでるんだって、良かったね」と歓声をあげます。

獅子と参加者全員が玄関先で集合写真。

これで、すべての儀式は終わりました。
わずか40分の儀式でしたが瞬く間に終わった印象です。

「火伏せの儀式ですから、火を使う台所、いつもいることになる食事室で重点的に舞いました。
それといる時間の多い寝室ですね。」と、あとで朗の解説。
それで書斎は素通りだったのか。

立ち会った工務店の社長が興奮して、「こういう儀式はとても良いので、家を作ろうとする人たちにオプションでいれたらどうですか」と設計士の先生に耳打ちしていました。

設計士の先生、工務店の社長が列席していて、「こういう儀式を見るのは、初めてだ」と口を揃えて、おっしゃっていました。 業界で初めてなんでしょうね。 
設計事務所のご長男は、「感動して涙が出てきそうでした」とおっしゃっていました。

こうやってわたしの新しい家に神様が宿ってくださいました。

 

<第七話につづく>
第一話第二話第三話第四話第五話

 

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木組みの家「高円寺の家」たまいれの儀集合写真「松井事務所」より

 すばらしいたまいれの儀式でした。「和力」K朗さん、磊也さん、照公さん、どうもありがとうございました。

”ケとハレ”の区別が薄くなっている現代で、こうしたハレの儀式の大切さを改めて感じました。

5月5日(日)6日(月振替休日)の内覧会へのお越しをお待ちしております。

2013年05月30日 Thu

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連載【木組みの家に住んで】
第七話「家の狭さをどう広く見せるか」

 「高円寺の家」のオーナーのKさんによる連載エッセイ第七話です。

【木組みの家に住んで】

「高円寺の家」施主

第七話
家の狭さをどう広く見せるか

木組みの家「高円寺の家」寝室

寝室から廊下をのぞむ。床も天井も板が縦に張られている

わたしの家にはふたつの制約があります。
ひとつは、敷地が19坪しかないことがあります。
そして、ふたつめは南側に2階建てのアパートが建っているので、中庭をつくって光をいれなくてはならないという条件がありました。

中庭にスペースが取られるので、じっさいの建坪は1階10坪、2階10坪しか設定できない。
しかし、中庭をつくっても、冬場、光が射しこむのは2階のベランダ側のみです。

この狭さと、光のはいり具合は、設計上でどういう工夫がされているのかを、住んでみて発見したことがあります。今回は、狭さをどう感じさせないかの発見を、素人ながら述べたいと思います。

これから4回ほどは、建物にまつわる物語ではなくて、5月の内覧会に実際にお越しになる方のご参考にしていただくために掲載いたします。
また、直接、お越しにならない方にも写真をごらんになってお楽しみいただければさいわいです。

 

この家は敷地の制約から長方の形になっています。
玄関が小さい辺で、そこから風呂場にいたる形が長くなっているのです。

住んでみて気がついたのは、床板が、長いほうに向かって張られていることでした。

洋服で言われるのは、横縞の模様は太って見えるし、縦縞はスマートに感じるということがあります。
床板を縦方向に張ることによって、部屋を視覚的に広くてスマートな印象を与えるのです。
こうした貼り方は、建築業界では常識的なことなのでしょうが、素人見ではおどろきの工夫だったのです。

空間的には、天井が高く設定されています。

圧迫感がないので、これからも「広い」という印象がもたれます。
2階の寝室は天井がなく、屋根を支える梁がむきだしであらわれています。
8畳くらいしかない寝室なのですが、とても開放感のあるスペースとなっています。

 

木組みの家「高円寺の家」寝室上のガラス

天井のガラスを通して廊下の垂木が見通せる

写真でみておわかりの通り、寝室と廊下をへだてる鴨居にあたるところがガラスで見渡せるようになっています。
寝室にいながら廊下の梁をながめることができます。
こうしたことも、寝室を視覚的に広く感じる仕掛けになっているのだろうと思われるのです。

5月の内覧会にお出かけになるようでしたら、2階のこのガラス仕切りをご覧になってください。
この家の見どころのひとつです。

 

木組みの家「高円寺の家」書斎

パソコンルームの天井。低くて落ち着いて居ることができる

寝室を出て、廊下を渡るとパソコンルームです。
ここは天井板を貼って、狭い印象を持たせています。
ですから、ここで長時間パソコンをしていても落ち着いていることができるのです。

広くみせるために基本は上を高くし、パソコンルームだけは低い天井。こうしたメリハリの良さが住みやすい環境になっているのだと思われます。

 

木組みの家「高円寺の家」階段

柱一個分広いといわれた階段の幅スペース

 

先日、家屋調査士さんに出来上がった家を測ってもらったのですが、2階にあがる階段の幅スペースが通常の家より「柱一個分、広く取られている」と教えていただきました。わたしにはほかの家と比較する手立てがなかったのですが、専門家によれば、そうだったのです。

狭い建坪なのに、あえて階段スペースは広く取っている。

木組みの家「高円寺の家」二階トイレ

階段正面2階トイレ。便器の両脇が広く取られています

 

 階段をあがると真正面が2階のトイレです。階段の延長線上にトイレがありますから、このトイレも階段の幅と同じに作られています。

ですから、やっぱりトイレは広い。
「ふつう、便器うしろの両脇はスペースがありませんが、この家のトイレは手が入れるだけの余裕がありますね」と調査士さん。
階段の幅スペースのゆとり。2階トイレの広さ。
狭いという制約がありながら、何気ないところにほどこすスペースの贅沢が、住まいをより豊かなものにしているのかな、と感じております。

木組みの家「高円寺の家」リビング

狭いけど居間。左手のカーテン越しが庭

1階の部屋は、東側に台所と食事室、西側に浴室とトイレがあります。

両者の間にあるのが「居間」とされているものです。
居間といっても長方形の場所で、廊下に毛が生えたような狭いスペースです。

木組みの家「高円寺の家」居間から庭を

居間から庭をのぞむ。ウッドデッキ居間を広く感じさせる

 

 

 

この狭い居間を広く感じさせるスペースが設計士さんから提案されました。
庭側にウッドデッキを設置することです。

 

 

木組みの家「高円寺の家」居間デッキ

木製の戸は全て壁に引きこまれます

 

 

 

この開放感は、庭と居間を仕切っていたガラス戸が、すべて戸袋に収納されているからでもあります。

 

 

 

 

木組みの家「高円寺の家」庭から

庭からみた居間

 

 

このようにして、せまい敷地を大きくみせる工夫が見てとれました。

 

 

 

さて次回は、南側に建物がありながら、光をどう採りいれて室内を明るくしているのか、という工夫を感じてみようと思います。

 

 

 

<第八話につづく>
第一話第二話第三話第四話第五話第六話

 

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木組みの家「高円寺の家」生花と庭

お伺いすると、いつも花を生けてらっしゃいます

「松井事務所」より

 東日本大震災のあと、松井事務所が事務局を務めるワークショップ「き」組では、
「日本を、住む。」
という意見広告を出しました。
ただ漫然と「日本に住む」のではなく、
「住む」ということを、もう一度意識し、深く感じて、考える必要があるのではないか、という意味です。

Kさんの文章からは、Kさんが「家を、住んで」いらっしゃるのがよく伝わってきます。
つくり手の工夫を理解していただけて、とても光栄です。ありがとうございました。

「高円寺の家」では5月5日(日)6日(月振替休日)にお住まい内覧会を開催します。
小さな家でも広く感じる工夫を、ぜひ体感してください。

2013年05月30日 Thu

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連載【木組みの家に住んで】
第八話「光の採り入れ方。浴槽につかりながら庭を見る」

 「高円寺の家」のオーナーのKさんによる連載エッセイ第八話です。

【木組みの家に住んで】

「高円寺の家」施主

第八話
光の採り入れ方。浴槽につかりながら庭を見る

木組みの家「高円寺の家」越し屋根

越し屋根

さて今回は光の採り入れ方です。

これまで幾度となく申し上げましたが、わたしの家は南側にアパートが建っていて光が入りにくい立地となっています。
南側に中庭をほどこして光が入るように設計されています。

写真は、朝、目覚めたときの天井の風景です。
ベッドの真上で光があふれています。

木組みの家「高円寺の家」ハイサイドライト南側の屋根に小さな小窓がしつらえてあり、リモコンで開けることもできます。

寝室を出て、パソコンルームにいたる廊下。この上部にも開閉式の窓があります。

ここは通常はベランダですが、空中庭園として芝が貼られています。

洗濯物は外に干さず、すべて乾燥機で処理する考え方になっています。
欧米式なんですね。

木組みの家「高円寺の家」屋上庭園そのぶん、芝は贅沢。

 

 

 

そして、この家の特徴は、全室から庭が見えるところです。

 

木組みの家「高円寺の家」居間から庭を臨む

 居間から庭をのぞむ。

 

木組みの家「高円寺の家」食事室から庭を眺める

 

 

 

 

 

食事室から庭をながめる。

 

木組みの家「高円寺の家」寝室からの光景

 

 

 

 

 

寝室からの光景。

 

木組みの家「高円寺の家」浴室木組みの家「高円寺の家」浴室から

 

 

 

 

浴槽につかりながら、庭をながめることが出来ます。
風呂場は、この家の目玉です。

 

木組みの家「高円寺の家」玄関に小窓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  玄関に小窓をつけていただいたので、あかるい。

 

木組みの家「高円寺の家」雪見の地窓

地窓

 

 

 

 

 

食事室の南側。雪見の窓というのでしょうか。

障子を開けると、窓があり、それが開きます。

 

木組みの家「高円寺の家」階段下のあかり

地窓

 

 

 

 

北側、階段下の明かり取り。

 

木組みの家「高円寺の家」吹抜け西側

 

 

 

 

圧巻は、食事室の上部に大きく設置された、はめ殺しのガラス窓です。
これは西側ですが、家で唯一、大空が見える位置です。
この窓の効果で、食事室が大きく見えます。

青空を見ながら朝の食事。

夏場は西日が当たるかもしれませんが、それも経験してみなくてはわかりません。

木組みの家「高円寺の家」食事室のあかり

 

食事室。

東側の窓から朝日が差し込みます。
今朝は卵かけご飯でした。

 

 

 

 

 

<第九話につづく>
第一話第二話第三話第四話第五話第六話第七話

 

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木組みの家「高円寺の家」SketchUp日影検討

「高円寺の家」 の日影検討

「松井事務所」より

 Kさんのお宅は、南側にアパートが隣接しているため、採光は一番の課題でした。

3Dで日影を検討し、冬はたっぷりと光を入れ、夏は直射日光を入れないよう、窓の開け方を工夫しました。

さらに、白い漆喰壁が光を運び、家中を明るくします。

お住まい内覧会では、狭小地でも明るい木組みの家を、ぜひご体感ください。

2013年05月30日 Thu

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連載【木組みの家に住んで】
第九話「隠して奥ゆかしさを演出」

 「高円寺の家」のオーナーのKさんによる連載エッセイ第九話です。

【木組みの家に住んで】

「高円寺の家」施主

第九話
隠して奥ゆかしさを演出

木組みの家「高円寺の家」浄土寺格子の玄関戸

浄土寺格子風の戸

家の中でわたしのお気に入りとしてあげたいのは、玄関と居間を仕切る戸です。

重厚なつくりで、この戸のために家全体が引き締まってみえます。

戸の名称は「浄土寺(じょうどじ)格子をイメージしたもの」といいます。
普通の格子は京都の町家に見られるような縦の格子戸なのですが、これはマス目です。

浄土寺

兵庫県「浄土寺」

 

浄土寺というのは、兵庫県にある、快慶作の阿弥陀如来像が安置されているので有名な古刹です。

昔は寺社建築に富が注がれたので、今の世にも伝統的な技法として残っているのかもしれません。

木組みの家「高円寺の家」庭

この竹の囲いが、建仁寺垣です

 

 

 

 

今回、庭の造成をお願いしたのですが、ここにもお寺の名前がありました。
「建仁寺垣」。
建仁寺とは、これも京都にある、座禅で有名な所です。
このお寺が最初に組んだといわれているのが「建仁寺垣」といわれているそうです。

 

 

 

 

伝統を味わっていただいたあとに、今日は、設計上の「仕掛け」を探検したいと思います。

最初に取り上げたいのは「浴室」です。

十和田石と檜で構成された風呂場。
十和田石というのは軽石のもっと密度のある石だと想像してください。
これが通常のタイルに相当する部分に貼られています。
軽石に近いですから、流されるお湯の浸透がはやい。ですから浴槽がむれることがありません。

実は、わたしはお風呂に入ることが苦手だったのです。
室内がむれるために息苦しくなってしまい、すぐに飛び出てしまうのが習慣だったのです。
ユニットバスはとくに苦しい。

木組みの家「高円寺の家」浴室石貼

下が十和田石。上が檜の構です

しかし、この家の浴室は、十和田石の効果があって息が楽です。
浴槽近くの小窓を空ければ、涼風がはいってきて、庭を眺めながら露天風呂気分にもなります。
何時間でも浴槽に浸かっていることができます。

家が完成した時に、木材関係の新聞社に取材を受けました。
「檜の風呂は、手間がかかるでしょう?」と。
昔の檜風呂はたしかに手間がかかったかもしれません。
お風呂の後には、よく流して乾かしておかないと浴槽がぬるぬるになってしまうからです。

わが家の檜風呂は、写真の通り、浴槽は現代的な素材、シャワーで直接お湯のあたる部分は十和田石でカバーがされています。
檜は上部に設置して、檜風呂の気分を味わうためだけにあります。

十和田石と檜までの高さがじつに絶妙で、シャワーを浴びても、お湯が檜までにはかかりくいようになっています。
いろいろな計算から、この高さが見きわめられたのかもしれません。
ですから、浴室掃除をするときには、檜にほとんど手はかからないのです。

木組みの家「高円寺の家」洗濯機置き場2

浴室のガラス越しから見たトイレ

次に、洗濯機置き場をご紹介します。
風呂場を出ると、左に洗面所、真向かいはトイレです。右は引き戸で閉じられています。

 

木組みの家「高円寺の家」洗濯機置き場

左を開けると洗濯機、右を開けると居間です

 

 

 

 

右の引き戸を開けると、居間への開口部に通じます。
左の引き戸を開けると、洗濯機があらわれる。

ここはちょうど2階にいく階段下にあたります。
引き戸を設定して、洗濯機が見えないようにされているのが工夫です。

木組みの家「高円寺の家」エアコン仕掛け2

食事室の床置きエアコン

 

 

 

 

工夫ついでに、エアコンの設置。

食事室、据え置き型のエアコン。
上部吹き出し口と下部からも温冷風が出ます。下の吹き出しは床下を伝わり、床暖房、床冷房の働きをします。

 

木組みの家「高円寺の家」エアコン仕掛け1

格子に隠れてもリモコンが効きます

 

 

普段は、カバーがかけられてみえなくなっています。

この状態からリモコンでスイッチがはいります。

機器が隠れたので見た目がスマートです。

木組みの家「高円寺の家」階段手摺仕掛け3

階段の手摺にも工夫があります

木組みの家「高円寺の家」階段手摺仕掛け2

角材でなく、細工を施して繊細にみせる

 

 

 

 

 

木組みの家ということで、むき出しの太い梁や柱が出ているのがわが家の特徴です。
それでいてこのように武骨と感じさせない、工夫が見てとれます。

見ていただきたいのは階段の手すり。

 

 

 

 

太い素材をそのままに手すりとして置くのではなく、
細工をして繊細に仕上げています。

木組みの家「高円寺の家」二階廊下

階段と廊下を分ける格子

木組みの家「高円寺の家」階段手摺仕掛け1

軽やかに見せる工夫です

 

 

 

 

 

 

こちらは2階の廊下と階段を仕切る枠です。

 

 

 

 

 

 

こちらも、木を武骨に組んでしまうのではなく、
上部の渡しと下部の足の接合部に細かい技術がほどこされています。
上からでは見えません。
下からのぞき込むとわかるのが、なんとも奥ゆかしい。

 

木組みの家「高円寺の家」階段の仕掛

 

さて最後は、目の錯覚を利用した仕掛けをご紹介します。

写真は居間から2階の階段をのぞんだところです。

檜の階段です。
1段目にご注目ください。ここだけは檜をまるまる使っています。
向こうの壁に手前の壁をあわせれば、本当はこの檜の断面は見えないことになります。

でも、わざわざ手前の壁を後ろに下げて、1段目の檜が見えるようにしてあります。

階段は12段あるのですが、1段目にどーんと檜を見せることによって、まるで12段全部に、まるまる檜を使っているよう印象を持たせています。

実際には12段すべてに使っていたら高額になって、予算がいくらあっても足りなくなってしまいます。
1段だけ見せて、まるで他にも使っているような想像をさせてしまうというのが、この階段の仕掛けだったのです。

 

目の錯覚を利用して贅沢を楽しむ。

建築って本当におもしろいですね。

 

 

 

 <第十話につづく>

第一話第二話第三話第四話第五話第六話第七話第八話

 

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木組みの家「高円寺の家」寝室の垂木スリットガラス

寝室の垂木の間は、空間を吹抜につなげるガラスです

「松井事務所」より

 ”重いものは軽く、軽いものは重くみせる”
建築にはトリックような仕掛けがあります。そのことで空間が軽やかになり素材感が引き立ちます。さりげなく施されているので、住んでいてもなかなか気づかないものですが、創意の意図まで汲んでいただき光栄です。

木組みの家「高円寺の家」浴室天井目地

浴室天井の目地は、湯気を切り、天井を浮いたようにみせます

もうひとつタネ明かしをすると、寝室にも垂木と垂木の間にスリットを入れています。
ここから黄金色の西日が漏れてくるはずです。寝室の閉塞感を取り除く工夫です。

お住まい内覧会はまだまだ募集中です。木組みの家の居心地と、ディティールの工夫を併せて、ぜひご覧ください。

2013年05月30日 Thu

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東京都「高円寺の家」お住まい内覧会開催のお知らせ

 「高円寺の家」が完成して4ヶ月になり、庭が完成しました。
建主さんのご厚意で、お住まいの様子をご覧いただける内覧会を、ゴールデンウィークの最終日に開催いたします。

現在5月6日(月・振替休日)に空きがあります。

木組みの家の生活を体感できる、貴重な機会です。

「無垢の木と、漆喰壁の住み心地はどうなの?」
「冬寒くないの?光熱費は?」
「木組みの家を建てたいけど、予算はいくらかかるの?」

すべてお答えします。お気軽にお申込みください。
みなさまのお越しを心よりお待ち申し上げております。

 

 

また、建主さんは現在、木組みの家での暮らしを、 連載エッセイで綴っておられます。
こちらもぜひ御覧ください。

連載【木組みの家に住んで】 第一話「木組みの家の暖房事情」 

「高円寺の家」お住まい内覧会

開催日時:
2013年5月6日(月・振替休日)
10:00~16:00
対象:家づくりをご検討の方
※一般向け見学会ですので建設業関係の方のお申込みはご遠慮ください。

お申込み先:
松井郁夫建築設計事務所
電話:03-3951-0703 メール:ok@matsui-ikuo.jp
松井郁夫建築設計事務所お問い合わせフォーム

※お申込みの方に、地図をお送りします。

 

2013年05月30日 Thu

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連載【木組みの家に住んで】
第十話「居ながらにして森林浴」という贅沢

 「高円寺の家」のオーナーのKさんによる連載エッセイ第十話です。

【木組みの家に住んで】

「高円寺の家」施主

第十話
「居ながらにして森林浴」という贅沢

 

この回は、木組みの家の「空気感」と「音楽事情」をレポートします。

この家に住んで4カ月がたちますが、
わたしの身体に小さな変化がおきていることに気がつきました。
毎日、生活をしていて、体の汚れが少なくなっているのです。とくに着ているシャツの襟(えり)汚れがあまり目立たなくなった。

わたしは、「どうしてだろう」とずっと思っていました。

木組みの家「高円寺の家」食事室床

床は桧の無垢板です

するとある日、設計士さんに、「木の床は適度な湿り気があるので、落ちてきた塵を吸着してしまうのですよ」と教えられたのです。
「床にとらえられた塵は舞わないので、掃除は床だけを拭けばよい」と。
木の家に住むと、室内の空気が清浄な印象があったのですが、木の床に秘密があったのです。
塵が舞っていなかった。

わたしは、一日の半分はこの家で過ごしています。
床の効果により、塵が室内で飛散しないので、それでわたしの身体の汚れが少なくなったのだと知りました。

花粉症の例を見れば、もっとわかりやすいかもしれません。

わたしがこの世に生を受けて(昭和27年)、物心ついたときに日本は高度経済成長をはじめます。
戦災で疲弊した国土が、経済成長とともに復興していくのです。

経済の成長はいろいろな変化を日本にもたらしました。
そのときなぜか、わたしは地面の移り変わりを見ていたのです。

わたしが小さい時には雨が降るとぬかるみになるような土の地面ばかりだったのに、それは、見る間にアスファルトで覆い尽くされていきました。
道路を国土の隅々まで舗装していった歴史が、わたしが目にした高度成長だったのです。

その結果どうなったのか。

たしか昭和45年ころに「花粉症」というアレルギーがあらわれてきました。
高度成長が始まったといわれる昭和33年から12年後のことです。

地面が土だった時代には、花粉は落ちてそこに吸収されてそれでおしまいでした。
しかし、アスファルトはそういう機能を持ち合わせてはいません。
一旦、アスファルトに落ちた花粉は行き場を失い、風が吹けば、それが舞い上がる。
飛んで落ちてくるものだけでなく、一旦落ちたものが再び舞いあがって、2重、3重に花粉に囲まれているのが現在の塵の事情なのではないかと思われるのです。
その花粉群にヒトが反応して花粉症になった……。
素人なりに、そう推測されます。

 

木組みの家「高円寺の家」ボーズのスピーカー

テレビの横にボウズ社制のiPhoneスピーカー

前出の設計士さんの言葉をここに合わせるとおもしろい。
「木の床は適度な湿り気があって、落ちてきた塵を吸着する」

木の床は、昔の「土の地面」に匹敵するものだったのです。

現在の住宅は、
鉄筋コンクリートのマンション
新建材のツーバイフォー住宅
が主流になっています。

これらは難燃性ということでは画期的だったのでしょうが、
アスファルトと同じで、室内の塵を吸着する働きをもっていません。
室内に落ちた塵が、ヒトが移動するたびに風が起こって舞いあがる―。
すると、
「空気清浄機」が売れはじめます。
舞っている塵を吸い込んでもらうのです。
その機械を使うこと自体、室内の空気が汚れているということになるのでしょうね。

木の家には空気清浄機は必要ありません。
わが家では2階の軒裏(のきうら)が「あらわし」で施されています。
「あらわし」というのは建築用語で、ふつうは隠してしまう所をあえて露出してしまう工法をいうらしいのです。2階に天井を設けずに梁を露出させてしまうのが、それなのでしょう。
天井で隠してしまうなら、節だらけの梁でもOKということになります。
でも、目に見せてしまうのだから、材料も吟味されなくてはなりません。

 

木組みの家「高円寺の家」屋根野地板

「あらわし」の2階軒裏

上を見上げると楽しい。当たり前ですが、一本一本の木目がすべて違うのです。自然が織りなす美しい文様で見ていて飽きがきません。

前回、わたしは、「隠して奥ゆかしさを演出」とレポートしましたが、逆に、本来、隠すべき所をあえて「あらわし」てしまうというのも、この家のおもしろい見所です。

そういうわけで、わたしは上も下もムクの木に囲まれて暮らしています。
家全体をおおう「木霊(こだま)」の力によって、空気の清浄感がもたらされているのかもしれません。
ですから、わが家では空気清浄機が必要ないのです。

第1話でお話ししたように、除湿機も、加湿器もいりません。
漆喰の壁と無垢の木が呼吸をしてしぜんに湿度を調節してくれます。
現代の建築物のように、別の機器で補完しなくとも、「木組みの家」自体に湿度調整の働きはつまっていたのです。

去年の12月にわが家が完成。

入居前にベッドを購入しました。
業者さんがやってきて2階の寝室で組み立てをはじめます。
その方は作業の手を休め、
「木の香りがすごい。これでは家に居ながら森林浴ですね」とおっしゃったのです。
わたしはあとになって、木の香だけでなく、室内に漂う空気の清浄感が、この方をして「居ながらにして森林浴」と言わしめたのだろうと感じました。

もうひとつの木組みの音楽事情。

「建て主さんは音楽が好きですか?」と設計士さんに訊ねられたことがあります。
わたしにとって音を楽しむ生活は、これまで想像もしていないことでした。
「木組みは音楽と共鳴して、良い音がでるのですよ」と設計士さん。「吹き抜けにステレオ機器を置くと、素晴らしい音響になると聞いています」。

 

木組みの家「高円寺の家」食事室の吹抜け

食事室の吹抜け

狭いわが家ですが、6畳くらいの食事室が吹き抜け構造になっています。
ここで「ポン」と柏手を打つと、とてもよく響きます。
「うーん、音楽か?」そんなことを提案されれば、「どんなだろう」と、うずうずしてしまいます。
それで、わたしはボウズのステレオ装置を購入することにしました。

ステレオだったら、昔からボウズに憧れがあったのです。

CDステレオだと、盤の入れ替えが面倒。
それでわたしが選んだのは、携帯電話のiPhoneを挿せばそれを通じてスピーカーから音の流れるボウズのステレオだったのでした。
近くのレンタル屋さんで大量のCDを借りて、iPhoneに入れ込みました。それを「シャッフル」機能で再生しますから、どんな曲が流れてくるかわからない。

音は設計士さんのおっしゃった通り、吹き抜けの食事室で軽やかに響いています。

JAZZ演奏をバックに食堂内の照明を落とします。その上で庭のライトアップをすれば、もうそこはナイトレストラン気分に早替わりです。

来る5月6日は、わが家の内覧会です。

この日は、ご出席のみなさまを、室内の清浄な空気感と、低く流れるJAZZの調べでお迎えしたいと思っております。

 

 

 <第十一話につづく>

第一話第二話第三話第四話第五話第六話第七話第八話第九話

 

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木の拡大写真

無垢の木の拡大写真

 

「松井事務所」より

 木は呼吸する素材です。手で触るとすべすべした無垢の木の触り心地ですが、拡大するとスポンジのように穴が開いており、表面にはたくさんの凹凸があります。ここに埃や花粉は吸着され、歩いても舞い上がることはありません。

また、周囲の温湿度環境によって、常に収縮を繰り返していますので、「呼吸」しているように部屋を調湿してくれます。

その無垢の木の性能を活かすため、塗料も厳選しています。ウレタンのように塗膜を貼るものではなく、含浸性で体に害のない自然素材のものを採用しました。

木組みの家の居心地の良さを、ぜひ内覧会でご体感ください。

2013年05月30日 Thu

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「高円寺の家」お住まい内覧会は盛況でした

(今週の連載「木組みの家に住んで」は、内覧会のお知らせに代えさせていただきました。
第11話は来週の掲載予定です。)

木組みの家「高円寺の家」お住まい内覧会の様子1

ゴールデンウィークに行われた「高円寺の家」お住まい内覧会は、たくさんの方にご来場いただき大盛況でした。

お天気にも恵まれました。引き込みのテラス戸を全開にすると、1階から2階まで風が通りぬけ、漆喰が光を反射して、家中が明るくなりました。
木組みの家「高円寺の家」お住まい内覧会の様子2ご来場のみなさまは声を揃えて「19坪とは思えない。広く感じる」とおっしゃっていました。
部屋を広くみせる、スタンダードでさりげないデザインが、とても好評でした。
ご来場のみなさまに改めて御礼申し上げます。

木組みの家「高円寺の家」お住まい内覧会の様子3木組みの家「高円寺の家」お住まい内覧会の様子3この機会をつくってくださったKさん、ありがとうございました。
次回、「高円寺の家」夏の内覧会では
今度は西側の窓に浄土寺格子を入れて、西日を楽しむ内覧会になる予定です。

Kさんと「高円寺の家」の永いお付き合いに、お供したいと思います。ありがとうございました。

 

2013年05月30日 Thu

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連載【木組みの家に住んで】
第十一話
「タブーを破って西日建築。わが家も浄土寺の後光気分」

 「高円寺の家」のオーナーのKさんによる連載エッセイ第11話です。
一週間に1回の更新でお送りしています。

【木組みの家に住んで】

「高円寺の家」施主

第十一話
「タブーを破って西日建築。わが家も浄土寺の後光気分」

 

松井事務所に「木組みの家に住んだ感想を書きたい」と掲載を持ちかけたのはわたしの方だったのです。
松井さん側としては、わたしの書くものがどんなレベルの文章なのかわかりませんから、当初は慎重な姿勢を見せていました。

建築には素人ですが、お陰さまでどうにか破綻なく11話まで進めることができました。
「13話まで」とわたしが設定した連載も、これを含めてあと3話を残すのみとなりました。

第9話の中で、玄関と居間を仕切る格子戸のお話をしました。
「浄土寺格子をイメージしたもの」とあったのですが、「浄土寺格子」とはわたしには初めて耳にする言葉だったのです。

 

木組みの家「高円寺の家」格子戸

玄関と居間を仕切る格子戸

ネットで「浄土寺格子」を検索してわかったのは一般的な建築として、西には窓を設けてはならないというタブーの存在があるということでした。

そして、西日建築の傑作として浄土寺があげられていたのです。
そういえば、昔から、「西に窓をあけると、泥棒が入る」という言い伝えがあったことが思い出されます。
これは、「夜に爪を切ると、親の死に目に会えない」という俗諺(ぞくげん)と同じで、行為をたしなめるものとしてあったのかもしれません。

わたしがこれを知って驚いたのは、わが家では食事室の西側に大きな窓を開けていたからです。それは一般的にタブーだったのです。

わが家の立地は、南側に2階建てのアパートがあり、東側は通りに面しています。
ですから、明かりを採る窓は、西にしかなかったのだろうと思われます。

 

木組みの家「高円寺の家」西側大窓

食事室の上の大窓。西側に設置されています

家の完成は12月。
わたしは、まだ冬、春しか住んでいませんので、夏の西日がどれだけ猛威をふるうのか、まだ経験していません。
設計事務所の施工では、ガラスを熱線が通しにくいものにしたり、遮光のブラインドを設置したりと西日の対策は万全です。

 

西側に設置された浄土寺の格子

西側に設置された浄土寺の格子

 

兵庫県にある浄土寺浄土堂には、快慶の作といわれる阿弥陀如来像が安置されています。

像は東側に向かって立っており、背後(西側)には格子が配された光の採り入れがあるようです。

西側の窓です。ここに、「浄土寺の格子」が出てきます。

 

阿弥陀如来像のイメージ写真。浄土寺格子から漏れた光が床に反射した効果

阿弥陀如来像のイメージ写真。浄土寺格子から漏れた光が床に反射した効果

強い西日がこの格子を通して射しこみ、お堂の朱色の床に光が反射して、像の背後を照らし出します。まるで阿弥陀如来像に後光がさしているような効果をもたらすものだと、いわれています。

寺の関係者は、「夏至で、太陽が一番高く位置するときが、この浄土堂の見ごろだ」とおっしゃっています。

お日様が一番、真上のときが格子を通して床を照らしやすいのでしょうね。

 

 

 

浄土寺の格子はもっとキメの細かい格子で、格子の中にまた小さな格子が入っていると、わが家の設計士さんにお聞きしました。
「そうすると光がより散らばりやすいと考えられたのでしょう」と。

浄土寺では、西日は怖れるものではなくて、待望されるものとしてあったのです。
ここに浄土寺が西日建築の傑作といわれる所以があるのかもしれません。

仏像には興味がなかったのですが、建物と一体となって演出された阿弥陀如来像は、一生に一度は見てみたいものとしてわたしの前に出現してきました。
これもみんな「浄土寺格子」という語彙にふれたおかげです。
しかし、兵庫県はわたしにとっては、あまりにも遠い場所で、いつ実現できるかわかりません。

 

それで、よい考えが浮かんだのです。

それは、わが家も、せっかくタブーを破って西日建築にしていただいたのですから、西の大窓に浄土寺格子をはめ込んでもらえないか、という妙案だったのです。
そうすれば、わざわざ兵庫県に出向かなくても、わが家が「浄土寺気分」です。

熱線を通さないガラスを採用した。
遮光カーテンの設置。
と西日を怖れる施工をしていただきましたが、積極的に西日を楽しむことができれば、もっと楽しくなります。

わが家の食事室は、真っ白な漆喰の壁で囲まれています。

木組みの家「高円寺の家」食事室の漆喰壁

食事室東側の漆喰。ここに格子の影が映ることになります

西側の大窓に「浄土寺格子」がはめ込まれれば、それを通した光と陰が、この白い壁に映しだされることになります。

いったいどんな陰影が生み出されるのか、想像するだけでワクワクします。
でもこれはまだ、わたしの中の妄想でしかありません。

わたしは、高円寺の家を建てるにあたって、設計士さんに何も注文をしなかったと、申し上げてきました。
で、今回、はじめて松井事務所にこの「格子をはめ込みたい」という希望を切り出したのです。

わたしの素人考えですから、玄人がどう答えるのかわかりません。

緊張する一瞬。

すると松井さんは、「おもしろい。やりましょう」と言ってくださったのです。

はなしはトントン拍子にすすみ、
それで、格子の設置は7月に決まりました。
その光と陰を楽しむ内覧会を開催しようということが、新たに提案されたのです。

今回の内覧会にお越しになったみなさん、
そして木組みの家をまだご覧になっていないみなさま、
浄土寺格子の効果を楽しむために、あらためてわが家で内覧会を実施いたします。

西日建築の醍醐味をみなさまと共に味わいたいと思います。
ぜひご来場ください。

 

 

 

  <第十二話につづく>

第一話第二話第三話第四話第五話第六話第七話第八話第九話第十話

 

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木組みの家「高円寺の家」西側外観「松井事務所」より

 「高円寺の家」はたくさんの挑戦がありました。
狭小地で広い空間づくり。
木組みの準耐火建築。
どこからでも見える庭。
全室をエアコン一台でまかなう省エネ。
太陽光発電による木組みのスマートハウス。

そして西日を利用した採光計画です。

Kさんのご提案は、この家のデザインとも合致したものでした。
ホールの格子戸は、浄土寺のイメージもとに、家の雰囲気にあわせて格子の隙間を大きくしたデザインです。
今度は西日を楽しむために、細かく美しい格子をつくります。
次回のお住まい内覧会を、どうぞご期待ください。

2013年05月30日 Thu

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連載【木組みの家に住んで】
第十二話
「防災としての木組み そして、フケが出なくなった」

 「高円寺の家」のオーナーのKさんによる連載エッセイ第12話です。
一週間に1回の更新でお送りしています。

【木組みの家に住んで】

「高円寺の家」施主

第十二話
「防災としての木組み そして、フケが出なくなった」

 

この回は、防災としての「木組み」をレポートしたいと思います。
その前にわたしのもうひとつの身体的変化を報告します。

わたしの永年の悩みは、冬場になると頭皮からフケ出ることでした。
たぶん、身体が乾燥してしまうからなのでしょう。
対策として洗髪のあとに頭皮に保湿のオイルを塗り、フケを防御するのが毎年のならわしでした。

しかし、この冬はそのオイルの出番がありませんでした。
フケが出なかったのです。

家に備わる調湿性能のお陰で、身体が乾燥しなかったものと思われます。

日本の気候の特徴は、冬場の低温・乾燥、夏の高温・多湿です。
冬は乾燥するから余計に低温が身にしみるし、夏になると多湿のために高温がより激しく感じるのがわが国の気候風土といわれています。
夏の同じ気温でも、乾燥しているハワイと湿気のある東京では快適さが違うというのは、よく聞かれる話です。

それなら、湿度を調整することが出来れば、快適な住生活ができることになります。
昔のひとはそう考えたのかもしれません。そうやって試行をくり返しながら日本家屋は姿を整えていったのでしょう。

わたしは去年12月にこの家に入居すると同時に、デジタル式の湿度計を購入しました。しかし、気温には馴染みがあるけれど、湿度計は見慣れない。
ネットで調べると、「40%~60%」の範囲なら生活するのに快適な湿度とあります。
以来、起床すると同時に湿度計を見るのがならわしとなりました。

木組みの家「高円寺の家」温湿度時計

デジタル式湿度計。46%を示しています

この冬、外がどんなに乾燥しても、室内は常に40%が確保されていました。
それでわたしの身体がむやみに乾燥しないで済んだのです。
無垢の木と漆喰の壁によって守られたのかもしれません。

湿度が保たれていると、同じ「気温5度」でも体感温度がやっぱり違うのです。
第1話でレポートしたように、それで暖房器具を使わないでも暮らすことができました。
フケが出なかった、というのはその副次効果だったのかもしれません。
わが家にはありませんが、畳にも湿度を調整する機能があるといわれています。

知れば知るほど、日本家屋が持つ智慧の奥深さに驚かされます。

わたしは、前々回のレポートで室内の空気の清浄感を言いました。
そして、今回は身体におよぼす保湿作用に気づいたのです。

もしかすると、この家に暮らし続けることは、身体の美容にとても良い影響をおよぼすのではないかと思ってしまいます。

これから高温多湿の夏場になります。
酷暑といわれる季節の中で、この家が、住んでいるわたしの身体にいったいどんな影響をおよぼすのか、今から楽しみです。

 

さて、今日のテーマは「防災としての木組み」です。
昔から言われている「怖いもの」。

「地震・かみなり・火事・おやじ」。

怖いものの筆頭にあげられているのが、「地震」です。
いくら日本の家屋が「湿度調整」機能を持っていたとて、この「地震」に対する手立てにぬかりがあっては、もともこもありません。

ところが、この「木組みの家」は、地震に対しては自信があったのです。

「籠を編んだものとして建物をイメージとしてください」と、最初に、この家の設計をお願いする時に、松井事務所から説明を受けました。
なるほど、籠を編んだものだったら、地震でどんな揺れがきても平ちゃらです。
「木に金具でつないだ建物が大きな揺れにあったとしたら……。木よりも金具が強くて、木材を壊れしてしまいます。
しかし、木だけで組んで貫を入れた場合、揺れがきてもお互いにがっしりとスクラムを堅くするだけで、影響は少ないのですよ」。

ここに、松井建築設計事務所が、あえて「木組みの家」と標榜するだけの秘密があったのです。

一番、わかりやすいのは、第3話でご紹介した、「蔵のギャラリー・結花」の証言です。
「結花」というのは、所沢の駅前開発で解体を余儀なくされた薬種問屋の見世蔵を、増田さんという建築士が惜しんで、松戸市に移築したものです。
ここで娘さんが喫茶店を開いています。その店名が「結花(ゆい)」。
前回、「170年」と申しましたが、正確には築130年の歴史があるといわれているものです。

木組みの家の元祖。

木組みの家「結花」外観

結花の全容 正面が喫茶店。左手が住まい

わが家の「入魂(たまいれ)」をしてくれた甥が、今年の初めに、この2階でライブをしたので、出かけてきました。
その本番前に、3.11の地震の話が出たのです。
「あの時、揺れはあったけれど、棚のコップひとつ落ちなかった」と増田氏の夫人から衝撃的なお話をお伺いしました。

どうしてこれが衝撃的なのか。

当時、地震にあった人たちの証言は、住まいは倒壊こそしなかったものの、揺れの大きさで食器棚にあった器がみんな落ちてしまった、というものが多かった。
増田夫人のお話をわたしの隣で聞いていたのは、わたしの家の設計にも関わった赤川さんという建築士なのですが、
この方は、自宅マンションに骨董品を飾っておいて、それがみんな落下して壊れてしまった、と述懐しています。

「結花」は1階で喫茶店を経営しています。
写真でおわかりの通り、壁の上のほうにまで棚をつくって食器類を並べています。これがあの揺れで「ひとつも落ちなかった」というのが、やはりわたしには衝撃的にきこえたのでした。

木組みの家「結花」内観

店内の様子。壁側に食器類。
左が増田夫人。梁の太さに注目

畏るべし、「木組みの家」。

日本は自然災害の多い国です。
地震、高温多湿、低温乾燥。
くり返しになりますが、これらに耐えるために長年月をかけて工夫されてきたのが日本家屋の特徴だったのではないかと、わたしは素人ながら考えるのです。

その建築様式が、今は業界の主流から外れているというのも、なんとも惜しい気がします。

 

 

ただ、弱点はあるのですね。

「怖いもの」の三番目にある火事に弱いということです。
考えてみれば、日本家屋は燃えやすい材料で構成されています。

木→柱、床、天井、木戸、構造材
紙→襖(ふすま)、障子(しょうじ)
草→畳(たたみ)
泥→漆喰(しっくい)

石造りの欧米人にはとても想像できないでしょうが、日本の家屋はこうした天然素材で構成されているのです。
そのぶん、火には弱い。

「火事は江戸の華」なんて言って、江戸っ子は強がっていました。

でも、いつまでも木造建築が火事に弱いわけではありません。
現代の智慧だって導入されているのです。

「もえしろ設計」という火事に強い建て方があるらしいのです。その説明は、巻末で松井事務所からしていただきましよう。

耐火について
ここでわたしから言えるのは、地域的なことがらです。
この家が建つ「高円寺」は東京都から「新防火地域」に指定された場所です。
住宅密集地に燃えやすい建物を建てない、というのがこの新防火地域の考え方のようです。
でも、その中で木組みの家は許可された。
これは木造であっても燃えにくいと、お国から判定された結果なのだと思われます。

火事に対応できるのならば、
木組みの建築は、湿度調整にすぐれ、地震に耐えて、火事にも強いという
日本の気候風土にもっとも適した工法なのではないかと、わたしには思えるのです。

 

  <第十三話につづく>

第一話第二話第三話第四話第五話第六話第七話第八話第九話第十話第十一話

 

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木組みの家「高円寺の家」燃えしろ設計の柱

燃えしろ設計の太い柱

「松井事務所」より

「木組みの準耐火建築物」である「高円寺の家」は、
通常の木造住宅よりも、火災に対してずっと強くできています。

先ず、構造をつくる柱や梁が太くなっています。
火事で燃えた時に、構造材の表面が45分間燃えつづけても、
燃えていない部分で、建物を支えることができる太さで設計しています。
これを「燃えしろ設計」といいます。

木組みの家「高円寺の家」Jパネル

レングスの「Jパネル」。杉無垢板の三層構造です

また「Jパネル」という杉の無垢板を三枚重ねたパネルを使うことで、
屋根や2階の床も、普通の建物よりも火事に強くなっています。

内部仕上げの漆喰は「不燃材料」として建築基準法でも定められていますので燃えません。
外壁はモルタルを20ミリ塗った上に、無垢板を張ることで、さらに防火性能を向上しています。

本格的な木組みの家の準耐火建築物として、林野庁、東京都からも職員の方が見学にお見えになりました。
日本住宅新聞日本木材新聞新建ハウジング林政ニュースにも掲載され業界でも話題になっています。

防火規制の厳しい都会の住宅密集地でも、無垢の木をふんだんに使った木組みの家を建てることができます。

2013年05月30日 Thu

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連載【木組みの家に住んで】
第十三話
「設計した人たちが『自分も住みたい』といった家」

 「高円寺の家」のオーナー、Kさんによる連載エッセイです。

【木組みの家に住んで】

「高円寺の家」施主

第十三話
「設計した人たちが『自分も住みたい』といった家」

 

今回でこの連載も最終回をむかえます。

テーマ別にして書かせていただいたので、どうしてもそこから漏れてしまうものがあります。
それで、今回は、漏れてしまった3つのことを述べさせていただきます。

最初のひとつめは、「木組みの家の電気使用の事情」です。
25年5月の電気料金の支払いは、差し引き「200円」でした。
何とも刺激的なタイトル。

木組みの家「高円寺の家」道路からみた外観

建物右側に電気メーターが2つ設置されています

これには事情があります。

この家を建てるときに、ソーラーパネルを設置する契約をしました。
どうやら、このパネルは、屋根全部ではなくて、南側の屋根にのみつけるらしいのです。
わが家は狭小で、南側の屋根は少しのスペースしかありません。
ですから、パネルは最小限のものを設置するしかありませんでした。

 

まだ、ソーラーパネルが未経験の方にご説明します。
パネルをつけることが決まったら、電気メーターがふたつ設置されることになります。
「買電」→電力会社から買う電気
「売電」→パネルの発電で電力会社に売る電気
毎月、東京電力の検針員の方が、2つのメーターを計ってくれます。

木組みの家「高円寺の家」ふたつのメーター

ふたつのメーター

「買電」の方は、わたしはひとり住まいだし、昼間は仕事にでていますから、夜間のみの使用。それほどの消費量ではありません。

月で平均すると4000円程度の請求を受けます。(60アンペア契約)

 

 

 

問題は「売電」の方です。これはお日様の角度、日照時間に影響を受けます。
半年間のデータを示せば、
2月 1800円
4月 2500円
5月 3500円
の売り上げになったことに。

5月、6月は夏至にちかくなって、いちばん売り上げの良い時期になっているとお考えください。その上で、25年5月における、わが家の電力使用量の実態をお知らせします。
「買電」 3700円
「売電」 3500円
差し引けば、電力会社への支払いは「200円」ということになるのです。これからお日様の角度もかわって、だんだんと発電量は落ちていくものと予想されますが、ピーク時の電力事情はこうだったのです。

わたしはこれまでの12回の連載で、「木組みの家」という伝統的な工法について申し上げてきました。
でもソーラーパネルというのは現代的な機能です。「木組み」という昔ながらのやり方を踏襲しながら、そこに新しいものを導入して住宅の性能をあげていくというのは、とても現代的な伝統文化の採り入れ方だとわたしには思えるのです。

そして、ふたつ目の漏れです。
それは、どうして連載をしてまで、わたしが木組みの家を宣伝してきたのか、ということです。連載は13話つづきました。これだけでも、ただ事ではありません。

その上に、わが家での内覧会は今年8月に予定しているものを含めると完成から半年間に3度開催することになっています。まるでわたしの家は松井事務所のモデルルームの様相。連載といい、モデルルームといい、「親戚でもないのに、どうして、そんなにまでするの?」という声が聞こえてきそうです。

答はたったひとつしかありません。
わたしが「木組みの家」という伝統工法に惚れてしまったからなのです。
「こんな素敵な家をみんなに見ていただきたい」というのが、わたしの根本にあるのです。
だから、文章にしてお伝えしようとするのだし、内覧会をして実際に見ていただきたいと思ってしまう。

5月の内覧会のときには、わたしはわたしで手製のポスターを作って、玄関先に張り出したりしました。
近所の人、みなさんにこの家を見て貰いたいのです。

木組みの家「高円寺の家」内覧会の案内

ご近所様に向けてつくった内覧会ポスター

おもしろいのですよ。

松井事務所でわたしの家の設計を担当した方は3人なのですが、わたしが連載を書き続けた結果、この人たち全員が口々に「わたしも木組みの家に住みたい」といい始めたのです。専門家がそう口に出すようになったら、こちらのものです。

でも、設計はしているけど、実際のご自分たちは「普通」の住居にお住まいだったのですね。
木組みの家を建てるには、今、流行の新建材の建物よりちょっと高額な予算が必要となります。だから、ご自分たちは住んでいなかった。
これは逆に言えば、松井事務所が良心的な報酬でお仕事をしていたという証明にもなると受け止めることができます。

わたしには、建築の基礎知識がありません。
これまで読んでいただいた連載は、その素人が実際に家に住んで得た感想を述べたものにすぎません。
この点については、松井事務所から何の制限もなく自由に書かせていただきました。
わたしに何か間違った見解があったとすれば、巻末に松井事務所から専門的な意見がはいるという、音楽でいうと、まるでセッションをするような楽しい連載でした。

これまでわたしは、この家の持つ特異な条件をあげて、設計上で、その工夫を見てきました。
1、 狭小な立地
2、 南側に建物がある
3、 西側に窓を設定した

などです。

でもこれまでに上げていない、もっとも大きな特異点があるのです。

それはこの家が「ファミリー向け」につくられてのではなく、「おひとり様用」に建てられたということだったのです。

12年前に妻を亡くし、ひとり娘は独立して、わたしはひとり住まいです。
これから日本の社会は高齢化社会に突入して、このような「おひとり様用」住宅の需要が増すのではないかと、わたしは個人的に推測しております。

この家がこれから時代におけるモデルケースになるのではないかと、思ったりしています。
それなら人生の最後に、このような贅沢な住まいに囲まれてお暮らしになるのが良いのではないかと思ってしまうのです。

最後に、屋根裏部屋の様子をお伝えして、この連載を閉じたいと思います。

2階の寝室は「あらわし」といって、梁がむき出しだとお伝えしました。天井がないのです。
しゃれた言葉であらわしていますが、極端にいえば「屋根裏部屋」と同じなのです。
屋根裏部屋といえば、夏の暑い盛りには、ムッとする熱気に満ちているのが普通です。

木組みの家「高円寺の家」寝室の屋根裏の様子

寝室の屋根裏の様子

この原稿を書いているのが、5月30日です。

春先から不安定だった気温は、5月20日以降、高めに推移し始めたことをご想像ください。
初夏になり始めたのです。
気候的には、℃25度が「夏日」とされています。
5月20日以降、その夏日がつづき始めたのです。

わたしの帰宅は、午後5時。

西の大窓には遮光カーテンをおろし、1階の全部の窓には防犯のために雨戸を閉じた状態の中で帰宅するのです。
5月の午後5時はまだあかるい。帰宅するとすぐに、すべての窓を開け放ち、換気扇を回すのがわたしの仕事となっています。密閉した部屋の熱気は、数分もたたず外に排出されます。
それで、2階の「屋根裏部屋」はどうかということです。
案に相違して、「熱気」はこもっていません。

これは、外壁の熱排出の仕組みに関係があるようなのです。
家にこもった熱が外壁を通して屋根に放出される工夫。
だから室内には熱気がこもらなかったのです。
これは伝統工法にはなかった機能です。こうして伝統は、新しいものを受け入れながら深化していくのです。
その仕組みは松井事務所から説明をしていただくことにして、連載のバトンをわたしから松井事務所にお渡ししたいと思います。

みなさまのご清聴に感謝いたします。

 

  <第十四話につづく>

第一話第二話第三話第四話第五話第六話第七話第八話第九話第十話第十一話第十二話

 

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「松井事務所」より

 「木組みの家に住んでみた感想文を、少しずつお送りします」
と、Kさんにご提案いただいてから、週に1話分づつ送られてくるレポートが楽しみでした。

あるときは光の様子を、あるときは細部のつくりを、あるときは体の変化を通じて、
木組みの家をじっくりと観察し、たのしみながら暮らしている様子が、等身大の文章で伝わってきました。

設計の意図まで汲んでいただき、つくり手としてとても光栄です。
ただ、紺屋の白袴は、致し方ありません。設計事務所ってそんなものですよ。

ともかくも、全13回の連載、お疲れ様でした。毎回の楽しいお話ありがとうござました。

これから「高円寺の家」は西側の窓に浄土寺格子を取り付けます。
西日を楽しむ家の内覧会を開催する予定です。詳細が決まり次第、当サイトでお申込みを募集いたします。
前回ゴールデンウィークで参加できなかった方も、ご期待ください。

木組みの家の通気工法

木組みの家の通気工法

最後に、外壁と屋根の熱排出について、解説いたします。
松井事務所のつくる建物の、外壁と屋根の中には、空気の通り道がつくってあります。これは、壁の中で結露が起きないためと外から熱気を室内に入れないための「通気工法」という工夫です。
空気は、外壁の下から屋根の上に排気されるようになっています。屋根が太陽で熱されると、屋根の中の空気は上に昇り、頂上に開けられた排気口から出て行き、その分、地面に近い壁の下の冷たい空気を吸って、壁と屋根の内部に、空気の流れをつくるのです。
この空気の流れが、屋根の断熱性能を向上させているので、夏でも2階が暑くないのだと思います。

これから夏を迎えますが、温熱環境にも工夫を凝らした木組みの家をたのしみながら、長く大切に住んでください。いつでもレポートをお待ちしています。

 

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