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2017年08月10日 Thu

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「井の頭の家」構造見学会

わたしたちつくる家は、柱や梁などのすべての木材が見えます。

むかしからの日本の「民家」です。

日本の民家には、地震に強い工夫が有ります。

「貫」と呼ばれる、柱を貫く横材は、大きな地震の揺れにも崩壊することはありません。

どうぞこの機会に、骨太で美しい構造を見に来ませんか?

 

2017年08月10日 Thu

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中学生の取材を受けました

当事務所に、建築に興味があるという中学生が取材に見えました。

いろいろな質問にお答えしましたが、思いっきり「木組の家」の話になりました。(笑)

記念撮影に木組のやぐらまえでパチリ!新聞に載せるそうです。

将来木の家に関わってほしいですね。楽しみにしてますよ。

2017年04月16日 Sun

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楊さんありがとう!

台湾楊さんのご親戚

台湾楊さんのご親戚と

台湾の仲間たち

台湾の木造好きの仲間たち。ありがとう!

楊さん

台湾から帰ってきてもう一週間がたちました。

建設中の現場で、みなさんの歓待を受けたことが昨日のようです。

少し落ち着いて、楊さんの家造りの事を考え始めました。

家造りを始めて14年と聞いていますが、長い年月を毎日コツコツと家と向き合っている姿に、改めて感動を覚えています。わたしたちが帰った後も作業をしていましたね。

今になって、「家とは何か」を考え始めました。わたしも35年の間 家造りの設計を生業にしています。同じように情熱を傾けてここまで来ました。わたしに家造りを依頼してくださる方には、いつも家族団欒の家を精一杯作りたいと思っていますが、楊さんのおかげで、改めて「家族の幸せのため」に、家造りがあるのだと気付かされました。

楊さんは、奥様、娘さんたち、お婿さん、ご親戚の方たちみんなために家をつくっておられますが、楊さんにとってこの家づくりは生きがいであり、支えているみなさんの努力の賜物だと思います。婿殿の活躍はすごいですね。また、わたしたちの書いた木造住宅【私家版】仕様書を採用してくれてありがとうございました。

当日集まっていただいた建築関係者や共感する人たちの若さと多さにも驚きました。楊さんの人柄が大きな輪をつくり始めているのだと思います。国立高雄大学の陳先生やご親戚の甘さん、通訳をしてくださった岡崎灌涵さんにも改めて感謝します。

 楊さんの家が、台湾と日本の伝統的な家造りの記念になれば、こんなに嬉しいことはありません。伝統が失われてゆく中で、まだまだ頑張ろうとしている人が、台湾には大勢いることに、未来が見えました。

お互いに、木の魅力に取り憑かれた変人(笑)かもしれませんが、揚さんに勇気をもらいました。これからも頑張りましょう。日本でも伝統木造をがんばります!  本当にありがとうございました。またお会いしましょう。

2017年4月16日

木造住宅【私家版】仕様書共著 松井郁夫

以下中国語訳です。

致楊師傅

自上次訪問台灣,今天剛好過去了一個星期。

在蓋房的現場飽受各位的熱情款待,彷彿就像是昨天的事情一樣歷歷在目。

現在稍微平靜下來,開始細想起楊師傅的造房計劃。

聽說,這棟房子已經蓋了14年。在這漫長的歲月裡不停息地堅持蓋房,對於楊師傅的這種態度,我一再被感動。也知道您在我們走後也一直在施工。

時至今日,我才開始思考,什麼是“家”。35年來,我一直以設計住宅維生,像您一樣用自己的熱心堅持到現在。對於每一位找我設計房子的人,我都會盡最大的努力為他們創造一個一家人能夠聚在一起說說笑笑的“家”。見了楊師傅之後,我又重新意識到,蓋房子是為了“家人的幸福”。

我想,楊師傅您雖然是為了自己的妻子,女兒,女婿,還有其他親戚們而蓋起了這棟房子,但這個“家”不僅是您生活的動力,對於每一個支持您的人,這也是他們努力的結晶。您的女婿,童先生的努力也很值得讚揚。非常感謝您採用我們的書籍,木造住宅【私家版】仕様書。

沒有想到當天會有那麼多年輕的建築同道中人和其他擁有共同喜好的人到場。我想,楊師傅的存在已經開始建立起了一個巨大的連環。再次感謝國立高雄大學的陳老師,甘先生,和進行同時翻譯的岡崎灌涵。

若楊先生的房子能成為台灣與日本傳統建築交流之紀念,這豈不是最值得興奮的事情。在這樣一個時代裡,我發現在台灣,有許多人還在為傳統的再興而努力,也看到了未來的曙光。在日本,我也一定會繼續努力!真的十分感謝您。後會有期。

2017年4月16日

木造住宅【私家版】仕様書共著 松井郁夫

本文翻譯:岡崎灌涵(姜灌涵)

2017年04月10日 Mon

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台湾の楊棟梁にお会いしました

台湾 楊棟梁訪問

台湾 楊棟梁訪問

随分前になりますが、事務所に一本の電話がかかってきました。

「いまからスカイプ出来ますか?」「あなたの書いた本で質問があります」電話の主は台湾に住む楊さんの親戚の甘さんでした。

「私家版仕様書」を読んで家を造ろうとしているというのです。楊さんは日本語ができないのですが、技術書なので図や写真を見て造るといいます。

とても驚きましたが、それから何度かFBで質問のやり取りをしました。それから長い年月がたちました。時々、工事の写真を見ていましたが、ついに今年4月8日に、台湾の高雄市のさらに南の自力建設の現場を訪ねることになりました。

長い間交流していたので、会った瞬間にむかしからの友人のような気分になりました。現場には延べ100人の建築関係者や親戚の方が見えて大盛況! 早速、家を見せていただき、わたくしのスライドショーと楊さんとの対談を行いました。

建物は「私家版仕様書」を見ながら造っているので、書いてあるとおりの木組です。本から学んだ知識だけで造るとは驚きです! 「私家版仕様書」を揚さんに勧めていただいた国立高雄大学の陳教授も、まさか実際に造るとは思ってなかったようです。

継手や仕口も試作の模型を作りながら、ミリ単位で仕事をしていることもわかりました。すごい情熱です。

なぜ日本建築を作りたいと思ったのか訪ねたところ、子供時代に親戚の方が日本式の住宅に住んでいて、畳の部屋で寝たことがあり、その感覚が忘れられなかったといいます。畳の良さがわかるなんて、うれしいですね。

ところが、台湾ではいまや木の家を作ることはないといいます。台風常襲地域でコンクリートの家が当たり前の土地柄だそうです。沖縄と同じです。あまりにも珍しいので、マスコミの取材も多くこの日も、昨年日本に取材に見えたカメラマンのSuさんも来てくれました。

現場では、陳教授も交えて3人で鼎談を行いました。会場に見えていた木造に興味のある建築家や、学生さんとゆっくり話ができてとても有意義な時間が過ごせました。わたしにとっては夢のような交流体験です。楊さん、陳先生、甘さん、ご親戚のみなさま、会場で会えたみなさま、ありがとうございました。

中国語のわからないわたくしの話をわかりやすく通訳をしてくれたのは、中国籍の工学院大学4年生の岡崎灌涵さんです。彼女がいなければ、今回の訪問はなかったと思います。

みなさん本当にありがとう!

完成した頃に再度訪ねたいと思います。木造建築の技術は本来中国から伝わったものですが、どちらの国からも伝統技術が失われようとしている最中、有意義な訪問であったと思います。

2017年4月8日が、日本と台湾の木の家の復活の始まりの記念日となれば幸いです。謝謝!

 

很久之前,事務所裡打來了一通電話。
 
  電話的另一方是住在台灣的楊先生的親戚,甘先生。他說,“我們可以現在用skype嗎?”,“關於您寫的書籍,我們有一些問題想要資訊”。
 
  對方講到想要以我們寫的《私家版 仕様書》來建造一所住宅。楊先生說他雖不懂日語,但能讀懂圖紙和照片。

 

  我非常驚訝,隨後便經常在FB上與楊先生進行交流和問答。從那之後已經過去了很久,之間,我會經常看到工程的照片。直到如今,今年4月8日,終於得到機會訪問台灣高雄市以南的自力建設現場。
 
  因為很長時間都有聯繫,所以即使是第一次見面,也感覺像是認識了多年的舊友。現場來了百餘位的建築關聯者以及楊先生的親朋好友,很是熱鬧。參觀家屋後,便開始了我的簡報和與楊先生的對談。
 
  不愧是以看《私家版 仕様書》這本書所蓋起的建築,它擁有和書中所載相同的組木結構。真不敢相信單單是以書中所記載的知識而蓋起來的。把這本《私家版 仕様書》介紹給楊先生的,國立高雄大學的陳教授,好像也沒有想到楊先生會真的蓋起來。
 
  我發現楊先生真的十分熱心,不僅注重每一公分的精準度,還會將榫頭做成模型。
 
  當我詢問起為何要建造日式建築,他說,因為小時候在親戚的宿舍住過日式建築,並且無法忘記睡在榻榻米上的感覺。楊先生能感受到榻榻米的好處,這讓我不知有多高興。
 
  儘管如此,因為經常會有颱風的來襲,如今在台灣已經不再建造木造家屋,反而是RC造的房屋更加普遍。這和沖繩是相同的。因為很稀奇,這一天也來了許多媒體朋友,也包括了去年來日本訪問過我的蘇女士。
 
  我於楊先生和陳教授三人,在現場進行了鼎談。也與在場對木造感興趣的建築家,學生,進行了交流,度過了十分有意義的時間,彷彿是在做夢一樣。非常感謝楊先生,陳老師,甘先生,各位親朋好友還有在場的各路人士。
 
  這次在現場為了不懂中文的我負責翻譯的是工學院大學四年級學生,中國國籍的岡崎灌涵(姜灌涵)。我想如果沒有她,就不會有這次訪問。
 
  再次感謝大家。
 
  待到完成之時我會再次前來訪問。雖然木造建築技術原本來源於中國,但如今兩國的傳統技術都在逐漸消失,所以我認為這次的訪問具有重大的意義。
 
  2017年4月8日,希望這一天能成為日本和台灣木屋復興的紀念日。謝謝。
 
  本文翻譯:姜灌涵

2017年02月22日 Wed

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スタッフ勢揃い!

松井事務所スタッフ集合写真

松井事務所スタッフ集合写真

おかげさまで、松井事務所は素敵なスタッフに支えられています。
先日、プロジェクトごとの打ち合わせを行った際に取った集合写真です。たまたま、全員が揃ったので撮りました。
左から松井郁夫(所長)望月麻紀さん(元所員)木村めぐる(事務・娘)岡崎カンキさん(学生アルバイト)荒俣真琴さん(外部スタッフ)渡辺麻衣子さん(外部スタッフ)松井匠(長男)です。
外部スタッフは、子育て世代でスキルの高い方ばかりです。木組ゼミの修了生ですから継手・仕口の話ができます。本当に、助かります!

4月からは新スタッフを迎えて、さらに皆様に喜んでいただける住まいづくりに邁進します。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

2017年02月13日 Mon

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島原の武家屋敷

島原の古民家を活かしたまちづくりについて講演してきました。NPO島原四郎の会の活動は、多岐に渡っていますが、古民家の活用もその一つです。武家屋敷の古民家は、展示施設として公開されていますが、この観光資源を宿泊などに使えたら、さらに町は活性化するでしょう。活用を待っている古民家は、全国に140万棟あると言われています。
内閣府から出ている「明日の日本を支える観光ビジョン」でも古民家を活かした観光戦略が各省庁に指示されました。古民家が一気に脚光を浴びる時代になったといえます。
これまで打ち捨てられて空き家になっていた古民家も、日本の観光資源として表舞台に立つときです。http://www.kominkanet.com/column/post-26/

島原の武家屋敷

島原の武家屋敷

2017年01月25日 Wed

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第14期木組のデザインゼミナール受講生募集開始

木の家の基本を学ぶ「木組のデザインゼミナール」の第14期の受講生の募集を始めました。

詳しくは、ワークショップ「き」組のHPからご覧ください。

http://kigumi.jp/seminar

2017木組みゼミ募集

2017木組みゼミ募集

2017年01月21日 Sat

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「阿佐ヶ谷の家」竣工祝いに行ってきました

本棚の家というコンセプトでつくりました。

ワークショップ「き」組のブログからどうぞ。

「阿佐ヶ谷の家」竣工祝に行ってきました。

2017年01月17日 Tue

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今日を忘れないー阪神大震災から22年

1995年1月17日の未明に巨大地震が阪神淡路を襲いました。

それまでに体験したことのない地震の大きさに、当時40歳のわたくしは大きな衝撃を受けました。

高速道路が倒れたり、木造建築ばかりか大きなビルが倒壊し、密集地が火災に見舞われました。

まるで地獄を見るような、ニュース映像は今も鮮明に蘇ってきます。

6434人の人命が失われ、うち8割の5000人近くが建物や家具の下敷きになり亡くなわれました。

わたしの設計人生は、22年前の今日から始まったと言っても過言ではありません。

昔から地震に強いと聞かされてきた日本家屋の耐震性が疑問視され、わたし自身の作っている建築に再度向き合うようになった日です。

しばらくしてから現地を訪れ、被害の概要を見て回り、心に決めたことが有ります。

それは、大きな地震に見舞われたとしても、「生存空間を確保する」建物をつくることです。

行き着いたのは「貫」の入った民家のつくりかたでした。

倒壊家屋の中で「貫」が効いて粘り強く残った民家を見たときの感動が、そのままわたしの設計方針となりました。

古来から先人たちの実践してきた、柱に「めり込み」大きな変形をしても、倒壊を回避する「貫の効果」を実感したからです。

その後の国の実大実験、2007年から2011年のEディフェンスでも「貫の粘り強さ」は実証されました。

2016年4月に起きた熊本の地震のように、繰り返し揺らされる地震も「貫の復元力特性」は効果的です。

わたしが「貫はやめてはいけない」をモットーに、民家に学びながら現代住宅を作り続けているゆえんです。

古民家をノスタルジーとして語るばかりでなく、災害に対する知恵と工夫の答えを内包している建物として考えてゆきたいと思います。

伝統的な日本の家は、本来の安心安全で豊かな暮らしにあった建築であると考えています。

阪神大震災で倒壊しない納屋

阪神大震災で倒壊しかった貫で粘る納屋 生存空間が確保されている

 

伝統木造 実大実験 2007年筑波

伝統木造 実大実験 2007年筑波 初期剛性24トンに耐える

18㎝まで傾社しても10トンの余力あり これ以上倒壊しない

18㎝まで傾斜しても10トンの余力あり これ以上倒壊しない 変形能力が高く復元力特性が大きい

 

 

2017年01月01日 Sun

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2017年 あけましておめでとうございます

新年あけましておめでとうございます。

2017年。事務所は32歳になります。変化の中にも、充実した年にしたいと思います。

みなさまには、幸おおい年でありますように。今年も一年、頑張りましょう!

酉の市熊手

酉の市熊手

2016年12月30日 Fri

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今年もお世話になりました

今年も、あと僅かを残すばかりとなりました。おかげさまで、事務所も来年で32年を迎えます。

今年は変化の年でした。来年も、より一層皆様に喜んでいただけるよう努力いたします。

これまでの経験を活かして、新しい暮らしの提案がしたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

一年間ありがとうございました。みなさま良いお年をお迎えください。

田麦俣兜造り

田麦俣兜造り

2016年12月14日 Wed

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熊本地震の真実

熊本地震でわかった建物の強度と地盤のお話です。

今回の地震では、規模が大きかった上に繰り返し襲ってきたために、新しく建てた木造住宅にも大きな被害が出ました。

当初は、現行の建築基準法では、耐震性能が不足しているような報道がありましたが、結局、基準法の改正にはつながりませんでした。

報道では、改正を目指したさまざまな専門家の意見も出ていましたが、建物の強度を上げるという主張が多かったと思います。

実際には、地盤の問題がクローズアップされ、建物の強度の問題ではないということなのですが、その真実はあまり知られていません。

関西JSCAの樫原健一先生の寄稿文には、今回の熊本の地震の波動をよく見ると、2014年に長野県で起きた地震と共通点があるといいます。

それは、地盤の問題だということです。

地震の際に発生する、パルス的波動(速度波)が、熊本も長野も共通した地盤の悪さを物語っているというのです。

今回の熊本は阿蘇山の火山灰台地であり、その下には豊かな水源のある土地柄です。

つまり軟弱な堆積層上の建物は、被害が大きくなることはよく知られた現象で、熊本も長野も地盤の悪さが、被害を大きくしたということです。

強い地震には強い建物で対抗すると考えがちですが、ここに来て、自然の猛威に対しては、建物の強度をあげても限界があるという意見が増えてきました。

地面は硬いようで実は柔らかく、建物は海に浮かぶ船のようなイメージで造ると良いといいます。

木造住宅も、強度設計から減衰設計もしくは制震設計に移行する時期が来たのかもしれません。

火の国と白馬村の直下型地震を考える

火の国と白馬村の直下型地震を考える

2016年11月13日 Sun

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終の棲家「白井の平屋」内覧会

終の棲家「白井の平屋」

終の棲家「白井の平屋」

建主さんのコメント

建主さんのコメント

定年退職されたご夫婦の終の棲家です。

お孫さんと交流するための、平屋のコンパクトなワンルームです。

建主さんは、「高円寺の家」のご親戚で、木の香りのする家を望まれました。

基本設計をお手伝いさせていただき、ワークショップ「き」組のメンバーである「タケワキ住宅建設」さんが実施と施工を行いました。

木の家の良さを活かした素敵な家に仕上がりました。

当日は、建主さんのご厚意により見学会をさせていただきます。

お申込みは「タケワキ住宅建設」さんまで。

電話 047-387-8840

竣工前の写真もチラリと載せておきます。みなさま、お運びください。

 

 

白井の平屋 室内

白井の平屋 室内

白井の平屋 室内 カウンター

白井の平屋 室内 カウンター

 

 

 

2016年10月28日 Fri

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東馬込の家が上棟しました。

東馬込に家が上棟しました。

詳しくはこちらの頁からどうぞ。

東馬込の家 上棟しました!構造見学会お待ちいたします。

2016年10月22日 Sat

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「民家は生きてきた」伊藤ていじ・読了

1963年に刊行された「民家は生きてきた」伊藤ていじ先生の再発行版を読み終えました。
緻密な取材と、古文書の解読に裏付けされた、かつての日本人の住生活の記録を、民家を通して現代に伝える名著だと思います。
各地の古民家での暮らしは、当時の長老への聞き取りや過去の文書に残る記録に基づいて書かれています。これほどまでに、事実に基づいた記述を読むと、まるで時代を超えてその場に立っているような錯覚に陥ります。
今では見ることのできない古民家の間取りを、丁寧な解説から遡って架構まで知ることができます。
この本の中で、伊藤ていじは言います。

伊藤ていじ「民家は生きてきた」

伊藤ていじ「民家は生きてきた」

民家の流れは、現代のコンクリートや鉄骨の架構につながる。
それは、動かせない柱や梁から成り立っているからである。
現代の住宅は、数寄屋の流れの延長上にある。
それは、架構から開放された自由な間取りから生まれた。
この論拠が、読み終えて一段と理解できる本でした。

2016年10月10日 Mon

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2016年「木の建築賞」二次審査会が開催されました

会津坂下の保育園で開かれた木の建築賞2次審査

木の建築賞は、デザインと活動を顕彰します

2016年10月8日、今年で12回を数える木の建築フォラム主催の「木の建築賞」の二次審査会が開催されました。全国を4地区に分けて、毎年優れた木の建築を顕彰する賞です。今年は北海道、東北、新潟地区の審査でした。一次審査を通過した22の作品と活動の審査会は、会津坂下の東保育園で公開で行われました。会場も木造の素敵なホールで、終日、発表者の熱い想いを聞く事ができました。
木の建築賞は、建物のデザインだけを審査するだけでなく、木造建築を取り巻く山の現状の問題点や課題にも取り組む姿勢が求められます。当事務所でも過去に二回の受賞歴があります。毎回の公開審査では、応募者のパネルに表せない事実関係や経過もあって、審査をさせていただいている審査員の方が勉強になる事があります。
今回も東北地区の蔵の改修では、震災前に直した蔵が被災し再度蘇った事例が、会場の参加者を驚かせ、高得票を獲得しました。このような経緯は、パネル審査だけでは、わからなかったことです。次は、現地審査です。二次審査を通過した11の作品を審査員が見て回ります。
さて現地ではどんなドラマが待っているでしょう。大変楽しみです。

2016年09月25日 Sun

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ワークショップ「き」組の集会が催されました。

今年で8期目を迎える、山と職人と住まい手を結ぶ 一般社団法人ワークショップ「き」組です。

年に一度の集会のもようです。

こちらからご覧ください。

「き」組集会で秋野先生に講演いただきました

 

2016年09月08日 Thu

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古民家の用と美に学ぶ 連載中

古民家の用と美に学ぶ 京町家の真実

京町家の真実

住宅建築10号 「古民家の用と美に学ぶ」 京町家の真実 連載中

繊細な京町家の内部の通り庭には、豪壮な梁組が飛んでいるのをご存知ですか?

詳しくはこちらをどうぞ。

http://www.kominkanet.com/column/post-22/

2016年08月17日 Wed

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「民家は生きてきた」伊藤ていじ先生の名著のご紹介

古民家の理念

名著「民家は生きてきた」

1955年「日本の民家」という二川幸夫さんの写真集に収録された、伊藤ていじ先生の民家研究の名著が復刻されました。

「民家は生きてきた」鹿島出版です。

この本で伊藤ていじ先生は、民家の流れは、地域に根差した構造・構法にあり、現代住宅の流れは、数寄屋の延長にあることを述べています。

詳しくは、こちらのサイトからご覧ください。

http://www.kominkanet.com/column/post-21/

2016年08月05日 Fri

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古民家に学ぶわけ・⑤

古民家の免震性能をご存知ですか?
古民家の足元が滑ることで、地震の入力を避けることができるかもしれません。
詳しくは、こちらから。

http://www.kominkanet.com/column/post-20/

石場置きは地震に強い

免震性のある石場置き

2016年07月25日 Mon

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古民家に学ぶわけ・④

古民家の室内は、ガランドウの空間がいいのだと思います。何もない室内は、融通無碍でいろいろな暮らしを受け入れてくれます。

詳しくはこちらからどうぞ。

http://www.kominkanet.com/column/post-19/

古民家はガランドウがいいと思います。

古民家はガランドウがいいと思います。

2016年07月18日 Mon

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祝・世界遺産「西洋美術館」

上野の西洋美術館が世界遺産に登録されました。おめでとうございます。

設計者のル・コルビジェは、フランスが世界に誇る現代建築の父です。彼の思想と設計は、世界中の建築スタイルを変えるほどでした。

それまでの古典主義を脱し、現代建築を創造した功績は、大いに讃えられていいと思います。建築を志した人で、影響を受けていない人はいないくらいです。

日本の「西洋美術館」を含めた7カ国17件のコルビジェの建築が世界遺産になったことで、その魅力と理念がますます一般の人にも広がるといいですね。

世界遺産に登録された西洋美術館

西洋美術館

2016年07月12日 Tue

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古民家に学ぶわけ・③

古民家は長生きです。何世代にもわたって生きてきました。

古民家は長生きです。何世代にもわたって生きてきました。

古民家サイトのブログを更新しました。

古民家が長い時間を丈夫に生きてきたわけを書いています。

こちらからお読みください。

2016年06月22日 Wed

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古民家に学ぶわけ・②

 

エッセイ「古民家に学ぶわけ②」

松井事務所の設計が、古民家に学んだ真壁である理由を、書かせていただきました。
こちらからどうぞ。

http://www.kominkanet.com/column/post-16/

works_kemigawa01

内外真壁の木組みの家

 

2016年06月20日 Mon

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住宅建築・連載「古民家をゆく③」出雲が掲載されました

出雲には本物がある。

たたら製鉄の現場から、その特異な建築物をレポートしました。

たたら場の木造建築物の根源的な迫力に迫ることができたでしょうか?

住宅建築8号です。どうぞお手にとってご覧ください。

出雲のたたら場の建物を取材しました。根源的な迫力に迫ることができたでしょうか?

出雲のたたら場

2016年06月17日 Fri

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「古民家に住む」パンフレットができました

松井事務所では、新築と古民家再生の設計をしていますが、

この度、古民家再生のパンフレット「古民家に住む」ができました。

これまで、手掛けた古民家再生の事例をまとめた写真集です。

 

すでに古民家をお持ちで、どうにかしたいと考えている方。

どうぞご相談ください。

実測調査から、安心の耐震改修や快適な温熱改修まで、伝統の木組みの良さを生かした再生を行います。

 

古民家の古い木材に強い金物を使って補強することは、かえって家の寿命を縮めます。

当事務所では、金物に頼らない木組本来の伝統構法で再生いたします。

木の特性を生かした地震に粘り強く、省エネルギーの古民家再生を実現できます。

 

古民家に住むパンフレットできました

「古民家に住む」パンフレットできました

2016年05月29日 Sun

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古民家に学ぶわけ①

 

エッセイ「古民家に学ぶわけ①」

松井事務所がいつでも古民家に学んで設計している理由を書かせていただきました。
こちらからどうぞ。

http://www.kominkanet.com/column/post-13/

民家園をたずねた古民家再生ゼミ

日本民家園にて古民家に学ぶゼミのみなさんです

2016年05月12日 Thu

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繰り返す地震に耐えるには?

熊本の地震から1か月がたちました。震災で亡くなられた方々の、ご冥福をお祈りいたします。

今回の地震は、震度7の揺れが2度3度と襲ってくるばかりか、余震が連続して起こる、これまでに例のない災害となりました。

県民の象徴である、熊本城の惨状は目を覆うものがあります。いまだ納まらない余震の中で、避難生活を送られている方々の苦労は、計り知れません。

このように繰り返し揺らされるという想定のない、現行の建築基準法にとっても課題の多い地震です。

現行の金物で止めつける耐震の方法では、震度7の地震に一度だけ耐えることが想定ですから、今回のように何度も揺らされては、強度を増すために使用したはずの金物が木材を壊しかねません。

そこで早速、強い揺れにも耐えるように、現行耐震基準の強度を増した法規にするべきとの声があがっています。より耐震強度を上げて地震に対抗しようという方向です。

はたして、そうでしょうか?

今後も想定できない自然の猛威に、さらに抵抗することは可能でしょうか?建物の強度をどんどん上げることで、さらに地震の入力が増しますから、いたちごっこです。

では、わたしたちの先人たちは、この地震大国でどのように地震に対処してきたのでしょう。どうやら現在と違った独自の地震対策を行ってきたようです。

それは、自然の猛威に対して抵抗するのではなく、受け流す方法です。

むかしからの伝統的な木組の家には、壁の中に貫が入っていて、木のめり込みを利用して、大きく変形しても粘り強く崩壊しない壁を造っていました。また、継手・仕口という接合部は、揺れを摩擦力で吸収します。貫と継手・仕口によって、繰り返し揺られても元に戻る、「復元力」を備えているのです。

このブログでは、何度も繰り返しになりますが、「貫をやめてはいけない」のです。木と木を組むことで、地震力を減衰することができることは、実験によって検証されています。とはいえ地盤の悪いところでは、どんな建物もひとたまりもありませんが、先人たちは土地を選んで家を建ててきた経緯があります。

地盤の良いところもしくは改良してでも、「復元力のある木組の家」を建てることは、わたしたちの使命だと考えています。

 

bが貫(ぬき) 伝統構法では柱と柱の間に貫が渡してあり、これが地震の備えとなります

bが貫(ぬき) 伝統構法では柱と柱の間に貫が渡してあり、これが地震の備えとなります

2016年04月28日 Thu

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がらんどうにつくるわけ

住まいの室内はできるだけ、がらんどうがいいと考えています。

がらんどうというと、何も考えてないように聞こえますが、そうではありません。

住まい手の生活が変化する節目節目で、室内のレイアウトを変えたり、部屋の使い方が変わっても大丈夫なように、何を置いてもいいように、がらんどうに造っておくのです。

例えば、お子さんがいる時は子供部屋の仕切りが必要ですが、独立していなくなった時に広く使えるような取り外しのできる仕切りがいいと思います。家具で仕切ってもいいでしょう。

仕切りを取った部屋は、二人になったご夫婦の趣味の部屋にしてもいいですね。世代交代で、若い夫婦が住むことも考えられます。

つまり長い人生の時間の経過を予測して、部屋を作るのです。そのためには、柱や、窓の開け方などに、様々な想定をして、がらんどうの室内をつくります。

ここでも、広い空間をつくることができる木組の架構が役に立ちます。

長い時間を生きる住まいに、小さな部屋や、作り付けの家具などが多くてもいけません。長い時間を生きた古民家に学んだ知恵です。

わたしたちは、住まい手の暮らしの変化を見越した時間をスケジュールに組み込んだ家づくりをオススメしています。

がらんどうの室内

がらんどうの室内

 

 

 

2016年04月17日 Sun

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真壁でつくるわけ

木の家は、真壁でつくることがいいと考えています。

真壁とは、柱や梁が見えている構造を言います。すべての木部が室内から見えているので、力の流れが目にみえます。また、木材が常に空気に触れているので、木の呼吸を妨げません。

むしろ木部も漆喰壁も、調湿作用があるので健康的な室内をつくります。

むかしから日本の建物は、すべて真壁構造です。お寺や神社はもちろん、民家も真壁です。

真壁でつくることで、木と木の組手が全て見えますから、組手部分に金物は使えません。なので、真壁の家づくりは大工の腕の見せ所となります。美しい無垢の木は、美しく見せたいですよね。

最近は、大壁と言って全ての柱や梁を壁で覆う工法が一般的になってしまったのも、金物を見せたくないないためです。柱の位置も、梁のかけ方も気にしなくて作れますから、設計も施工も簡単です。

そのことに違和感を感じるのは、真壁の建物を見て育ったせいでしょうか。民族の血が騒ぐのでしょうか。(笑)

以前のブログ「金物に頼らなわけ」でもお話しましたように、わたしたちは継ぎ手・仕口などの組手によって、木の特性を活かす家をつくっています。

おかげさまで最近では、木組みの美しさに共感してくださる依頼者が増えてきました。

わたしたちは、自然素材である木や漆喰の良さを活かした家づくりを進めています。
江古田の家玄関

 

2016年04月16日 Sat

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熊本地震被害について

熊本では、震度6近くの余震が続いています。

ニュースを見る限り、余震で被害が広がっていることがわかります。閉じ込められた人には、救助の手が一刻も早く届くことを願っています。

それにしても、大きな地震が起こるたびに、二階建ての木造建築の一階が潰れてしまっているのが悔しくてなりません。なんとかならないものか?

建築に関わる者にとって、生命を守る建物を作ることが使命です。一階と二階の間の破損を克服する技術を考えなければならないと強く思います。

わたしたちが、知恵を絞らなければなりませんが、古民家を見ると二階建ての歴史が浅いこともあり、一階と二階の間に太い横材である胴差はありません。

町家などは、屋根まで多くの通し柱で持ち上げて、ロフトのような物入れが二階となっています。地震の時は、長い柱がゆさゆさ揺れるといいます。家具なども倒れないといいます。

これならば、一階と二階の間で柱が折れないかもしれません。命を守る先人の知恵と工夫に学ぶべきでしょう。

熊本地震被害

熊本地震被害 一階がつぶれている

2008年 実大実験の映像、胴差で折れる家

2008年 実大実験の様子、胴差で柱が折れる家

2016年04月15日 Fri

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地震見舞い

熊本を震源とする大きな地震が起きました。震度7という大きな地震です。

一瞬、なぜ熊本なのかと思いましたが、災害は場所を選びません。

熊本の知り合いに連絡をとっております。八代の友人は、無事でした。15回もの余震で不安な夜を送っているようです。

無事をお祈りします。

2016年04月11日 Mon

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なぜ漆喰を使うのか(再掲)

室内の仕上げは、漆喰の壁がいいと考えています。

漆喰は、古代エジプトの壁画や、高松塚古墳の壁画の下地に使われている丈夫で長持ちする塗り壁です。

石灰岩を焼いて水と混ぜ合わせることで、白くて硬い土壁になります。日本のお城の壁や蔵に使われているので、わたしたちには馴染みの深い壁です。厚みは意外と薄くて、せいぜい1ミリですが、一度塗れば、何年もの間長く持ちます。

左官屋さんが平滑に塗ることで、真っ平らな壁ができます。ビニールクロスのように静電気を帯びないので、ホコリが付くこともありません。

表面は平滑ですが、肉眼では見えない細かな穴が開いていて、湿度の高い時には空気中の湿気を吸い、室内が乾いてくると湿気を放出する性質があります。

室内の湿度が、ある程度保たれるので、梅雨時は汗が引き、乾燥した冬でも肌がしっとりします。

土壁なので、蓄熱効果もあります。一度温めたり冷やしたりすると、夏はひんやり冬はぽかぽかと、しばらくその効果が続きます。

さらに、漆喰壁は廃棄されると土にかえりますが、石灰分はまた水に溶けて、地中で長い時間をかけ石灰石に還ります。永遠になくならない素材なのです。

何やら、不思議な話に聞こえますが、こればかりは体感していただかないと理解していただけないと思います。

当事務所では、現在お住まいの家で、漆喰壁の内部を見せていただくこともできますので、どうぞご連絡ください。

漆喰の優れた調湿調温作用が体感出来ます。

木組みの家「高円寺の家」ダイニング

床は桧、壁は漆喰です

2016年04月03日 Sun

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金物に頼らないわけ

木と木を組むことで、丈夫な家ができると考えています。

木組みとは、継手や仕口と言われる木を加工した接合部から出来ています。プレカットのように金物に頼ることはありません。木のめり込みと摩擦で力を減衰するのが木組みの耐震の基本です。

木の最大の特性は、繊維に直交した方向のめり込みに強いということです。貫が柱を貫通しているのは、そのめり込みの強さを活かして建物の倒壊を防ぐためです。

貫の入った建物は大きく変形しても倒壊しないことは、阪神大震災でも実証されています。むしろ、貫の入った建物は、揺れ戻しと言われる元に戻る復元力があります。貫はやめてはいけないのです。

逆に金物に頼った建物の金物が木材を破壊して倒壊した例があります。2008年10月のEディフェンスの3階建ての建物が倒壊した実験がその例です。

昔から「針金で豆腐を釣ってはいけない」という言い方がありました。つまり木材という柔らかい母材を、鉄などの硬い金物が壊してしまうという言い方です。

木と木を組むことで、復元力を持った粘り強い建物を建ててきたのが日本の古民家です。

わたしたちは、古民家に学び、木の特性を活かした現代の家づくりを実践しています。

木組みの家の貫

木組みの家の貫

阪神大震災の時に貫で倒壊しなかっっ建物

想定外の揺れがあっても、貫ははずれない

2016年03月29日 Tue

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越屋根をつくるわけ

わたしたちのつくる家には越屋根が付いている事があります。

越屋根は、大屋根の上についた小さな屋根です。昔から古民家にはよく見かける屋根です。かまどや囲炉裏の上にあり、煙を出すためであったり、窓が開いていたりします。

この越屋根があるおかげで、室内の熱を排出したり、光をとり込んだりする役目を果たしてくれます。

風がなくても一階の床に近い窓を開けると吹き抜けを通して、室内の空気が動きます。

温度差換気でわずかな風が産まれることを「ゆらぎ」といいます。夏の風のない熱帯夜でも、風を体感出来ます。1/f「ゆらぎ」という、やんわりとした風を選ぶことができる扇風機のダイヤルもありますよね。

わたしたちは、エアコン等の機械に頼る前に、自然を利用した工夫や知恵を取り込んだ家づくりを進めています。

大屋根の上に小さな越屋根があります

越屋根

 

2016年03月21日 Mon

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なぜ木を使うのか ④

木材は、天然乾燥材にこだわっています。

わたしたちがつくる家は、木と木を組み上げる木組みの家です。組手と呼ばれる接合部は、一本の木から造り出した継手や仕口と言われる加工部から成り立っています。

一本の木の芯を削りだして造りますから、芯の部分が丈夫でなければいけません。

ところが、最近の木材の人工乾燥技術は進んでいますが、KD材と呼ばれる木材は、表面は割れていないのですが、強制的に乾燥するので芯の部分が割れてしまいます。

そんな人工乾燥材で木を組むと、地震や台風など大きな力がかかった時にポッキリ折れてしまいます。

一方、天然乾燥材は木材の芯が丈夫なので木組みの加工に向いています。ただし自然乾燥の際に、表面が割れることがあります。構造的な問題はないのですが、気になるところでもあります。

でも、安心してください。木の表面が割れても家が壊れることはありません。天然乾燥の木の繊維は絡み合ったままなので、二つに割れることはないのです。

なによりも天然乾燥の木は、色艶と香りが違います。年月が経てば、飴色に輝いてその違いが分かります。そこが、いつまでも木の家が愛される所以です。

わたしたちは、天然乾燥材の良さを活かして、家づくりを実践しています。

木組みの仕口

木組みの仕口 柱からホゾといわれる差口が二枚のびて梁を組みます

2016年03月13日 Sun

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気密でも結露しない床下

床下構造

床下構造

日本の伝統的な家の床下は、風通しを良くすることが常識です。床下を解放することで、湿気の多い梅雨時にも木材を乾燥させていました。

ところが現在の家のように、ベタ基礎が一般的になってその常識が覆りそうです。場合によっては、床下のコンクリートや断熱材の裏面が結露するかもしれないというのです。

床下の断熱には二通りの施工方法があります。基礎コンクリートに通気を取り、一階の床下に断熱材を入れる「床断熱」と、基礎コンクリートと土台を密閉して基礎コンクリートを断熱する「基礎断熱」です。

計測の結果、「床断熱」の結露の危険性が指摘されました。周辺環境の違いもありますが、風通しが悪いはずの「基礎断熱」のほうが危険性の少ないことが報告されました。

床下を密閉するということは、結露には不利なような方法ですが、床下が解放されている場合、湿度の高い空気が床下の冷やされた空間を通るときに露点温度に達するのです。

むしろ、床下も室内と同じように空気が通うようにして一体化すれば、床下の湿度環境はよくなるということです。さらに床下にエアコンで暖房を施せば、温熱環境も向上します。

今回、工学院大学中島研究室の石川さんが、一年を通して「高円寺の家」を計測していただいた結果です。

わたしたちは、伝統的な家づくりを実践しながら、科学的な検証もおこなって家づくりを進めています。

高円寺の家の床下は結露しません

高円寺の家の床下は結露しません

2016年03月07日 Mon

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なぜ木を使うのか ③

生まれも育ちもわかる木を使っています。履歴のはっきりした木材のトレーサビリティの実践です。

木材は、市場で他の木と混ざると産地がわからなくなってしまいますので、直接、山に注文することにしています。そのことによって、木の植林費用が還る適正な価格を山に支払うことができます。

木材の値段は、山に植える一本の苗木の植林費用から間伐、伐採費用までを逆算して決めています。直接林業家に費用を還すのが目的ですが、木材の管理もしっかりしなければなりません。

天竜(TSドライシステム協同組合)では、伐った木にその場で、バーコードを付けて伐採から出荷まで日程を追えるようにしています。一軒の家のすべての木材に育った場所と伐った時から出荷までの流れが分かる仕組みです。毎回すべての木の履歴と出荷証明書が付いてきます。

何代にもわたって大事に育てられた山の木が、市場で買いたたかれて、山に植林費用が戻らない現実を変えたいと思います。

わたしたちのつくる家は、どこで育ったのかわかる木を使い、植林することによって次世代に資源を担保し、山の保全を目指しています。

トレイサビリテイ

トレイサビリテイ

2016年02月29日 Mon

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なぜ木を使うのか ②

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無垢の木は「強い」と言われていますが、「強い」という意味は2通りあります。

「強度」があるという意味と「腐りにくい」という意味の2つです。一本の木の中で、それぞれに受け持つ部位が違います。

無垢の木には、赤身という心材と白太という辺材がありますが、心の部分は腐りにくさを受け持ち、辺材は強度を受け持つのです。

木が成長するときは、土中の水分を根から吸い上げ、水分は幹の外輪の導管を通り、枝や葉に供給されますが、木が成長するのはこの外輪の辺材部分で、成長とともに年輪が形成されてゆきます。

年輪は柔らかい春目と固い秋目からできています。一年に一本造られますが、年輪の詰まった辺材が強度を担当するといわれています。

心の赤身の部分は、成長が止まった細胞の集まりです。木は、成長が止まるとタンニンという成分を出して役目を終えます。タンニンは、腐りにくく虫も付きにくい成分で、樹木の心を守ります。

木を輪切りにすると、年輪に表れた樹齢だけでなく、木の強さがわかります。赤い心の部分と白い辺材がその両方を分担しているのです。

わたしたちは、木の持っている強さを生かした家をつくり続けています。

2016年02月22日 Mon

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なぜ木を使うのか ①

木は無垢の木が一番だと考えています。

私たちの周りに身近に生えている木は、丈夫で長持ちする優れた素材です。

木は、人の肌に馴染みやすく、触れると温かい感覚があります。また、加工しやすいので、さまざまな形をつくることができます。

私達の先人たちも、木の使いやすさに着目して木の家をつくってきたのでしょう。

建物の骨組みとなる強い木に育つためには、杉の木で60年必要と言われています。

よく知られたことですが、木は土の中から水分を吸収し、太陽のエネルギーをいただいて成長してゆきます。

その際に太陽の光を浴びて、空気中の二酸化炭素を取り込んで、酸素に変える作用があります。「光合成」という地球上の生物にとっては、大切な植物の仕事です。

木の中に閉じ込められた炭素は、製材して家に使われても、廃棄して燃やすことがなければ、ずっと固定化されて空気中に二酸化炭素を放出しません。

つまり、木の家が建っている間は、ずっと温暖化対策の役に立っているのです。

だから、家をつくる時には最低でも60年の間、次の木が育つまで使えることが、地球環境にとっても大事なことだと思います。

そこで、できるだけ長い時間を生きる家をつくりたい考えています。古民家再生などをリノベーションして長く使うことも大切です。

わたしたちは、丈夫で長持ちをする家づくりと古民家再生などのリノベーションを実現しています。

mini-木の循環の仕組み

出典:有馬孝礼

 

 

2016年01月24日 Sun

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鎌倉近代美術館の水面

鎌倉近代美術館が閉館になるという。近代モダニズムの建築でありながら、古都鎌倉の歴史環境に溶け込んだ名建築なのに、残念だ。

1951年開館した日本初の公共美術館。坂倉準三の設計で、多くの市民に「鎌倉近美」の愛称で長く愛された。シンプルなファサードで自己を主張しないことが、周囲の景観にもよく溶け込んでいる。

水辺にたたずむ姿は、凛とした静けさがあり、池に臨むテラスでは、水面の反射が美しく、天井を眺めるといつまでも飽きることがなく、時間を忘れることができた。

鎌倉近代美術館

鎌倉近代美術館

2016年01月17日 Sun

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今日を忘れない

1月17日です。6434人の死者を出した阪神大震災から21年になりました。そのうち8割が圧死です。約5000人の人が、建物もしくは家具の下敷きになって亡くなりました。

建築に携わる人間とって、今日は忘れられない日です。

地震に強いと言われた、10万4906棟の家屋が全壊しました。一部損壊までを入れると、63万9686棟にも登ります。

その後、木造住宅の耐震性能が大きな課題となったことはもちろんです。

当時の仲間たちと「私家版仕様書」を書いたのは、地震被害からいかに命を守る家づくりができるかを知りたかったからです。

今日が、わたくしの家づくりの方向性を決めました。美術学部出身にもかかわらず、心から日本家屋の構造の本質を学びたいと思いました。

伝統構法と呼ばれる日本古来の家づくりには、先人たちの多くの知恵があると思ったのです。

2007年から国土交通省による、振動台実大実験にも実務者として参加させていただきました。5年間の実験で、分かったことはたくさんあります。木造住宅の特性は、めり込みと粘りと復元力です。

そこで学んだ命を守る貫や足固めは、毎回の実務に生かしています。建物が人の命を奪わない家づくりが、わたくしの使命だと考えています。

今日は忘れられない日です。阪神大震災の教訓はしっかり引き継いでいきたいと考えます。

合掌。

2016年01月12日 Tue

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二つの建築展

あけましておめでとうございます。正月気分の抜けない3連休に、二つの建築展を見に行ってきました。

ワタリウムで開催されている、ブラジルの女性建築家「リナ・ボ・バルディ展」ーブラジルが最も愛した建築家―と六本木ヒルズ 森美術館で開催されているイギリスの建築家ノーマン・フォスターの「フォスター+パートナーズ展」ー都市と建築のイノベーションーです。

ノーマン・フォスターは、サー(卿)の称号を持つ英国が世界に誇る建築家です。

わたくしが、事務所を始めたころ、フォスターの画集が3巻出版されて初期の作品が掲載されたときは、枕元に置いて毎晩眺めながら寝ました。分かりやすいイラストによるプレゼンテーションに魅せられました。スケールの大きなプロジェクトから小さな住宅まで、飽くことなく見たために画集はボロボロになりました。

今回の展覧会は、最近の作品を見る良い機会でした。本来、架構や構造のシステムの長けている建築家ですが、組織的な展開を駆使し、各国の空港など見ごたえのあるスケールでした。日本では住宅の設計も、実現されていることを初めて知りました。

日本の住宅を設計していました

日本での住宅設計

ノーマンフォスター展会場

ノーマンフォステー展

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2002年に、イギリスに行って実際の建物を見る機会がありましたが、全体と細部のバランスの良さに驚きました。ネジ一本にまで気を抜かない精度です。

会場が、六本木ヒルズの最上階 東京シティビューということもあって、フォスターの展示にぴったりの都市空間でした。
http://www.mori.art.museum/contents/foster_partners/

ワタリウムのリナ・ボ・バルディ展は、今回初めて知った女性建築家ですが、あのザッハに似た風貌で驚きました。

こじんまりとした展示で、第二次大戦前後の作品展でしたが、モダニズムの初期の作品とも思えない土着との融合があり、時間の流れに耐える先進性を持った建物の展示でした。スイスの建築家マリオ・ボッタ設計のワタリウムの建物に似合ったスケールで、心地よい印象でした。
http://www.watarium.co.jp/museumcontents.html

年明けから気の引き締まる二つの建築展でした。今年も例年同様、あけても暮れても建築のことをずーっと考える一年になりそうですが、よろしくお願いいたします。

2015年12月27日 Sun

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大切なことは対話

暮れも押し迫った日曜日、休みに入ったはずなのですが、新しいお客様のお宅を訪ねました。東京都の郊外の旧宅で、昼過ぎから夕方までゆっくりと打ち合わせをさせていただきました。

打ち合わせの時に、大切にしていることが、いくつかあります。

まず、「建主さんとの対話」

ご要望をお聞きするのは、もちろんですが、遠慮なく話しが出来る関係をつくることが、大切です。飾らない会話で、言い難いことも言える関係をつくることです。つまり、良い友人関係になれたらいいと思います。

次に、「敷地との対話」

建物は、世界中の敷地の中で、そこにしかありませんので、建物のイメージを膨らますには、敷地に立つことです。陽の光の入り方、風の流れ、窓から何が見えるか、どの方向から敷地に入るのかなどなど、体験して感じることです。

「図面との対話」

要望と敷地がわかれば、早速図面を書いてみます。簡単なスケッチでいいのですが、描きながら手を動かすことで、頭で考えるより具体的な絵にして考えます。絵にすることで見えてくることがたくさんあるからです。

「山との対話」

木造の建物は、木の長さや太さを決める必要がありますが、山で伐採した木材には規格の長さがあります。昔から使われてきた寸法には合理性があるので、規格の長さから構造を考えることも大切です。料理人が素材を見て献立を決めるように。

現場が始まると、「職人さんとの対話」です。

木造建築は長い歴史の中で、体系化された職人技術があります。この技術を現代につなぐことが伝統の継承になります。伝統とは、大切なことをつなぐことだと思います。伝統は、職人さんの技術の中に息づいています。

目まぐるしく変化する技術も価値観も受け入れて、前に進むことが新しい伝統を創ることだと考えています。

今日の打ち合わせは、大切な一歩です。打ち合わせで、感じたことを大事に大事に進めたいと思います。

2015年11月30日 Mon

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日本が取り残される?

地球温暖化が待ったなしの状況であることは、世界的な天候異変を見れば明らかです。そんな中で、温暖化対策パリ会議(COP21)が開かれます。

この会議から、脱化石燃料時代に向けて新たなルール作りが始まります。1997年の京都議定書(COP3)は、先進国に対して法律的な義務を課する割り当て目標として、当時は画期的なルールでしたが、2020年には、途上国や新興国も含めた新しいルールを目指します。各国が目標案を設定し、その成果を監視し、評価しあうことになるのです。

日本は、現在2020年の省エネルギー改正の義務化の検討にあたって、地域の気候風土に応じた住まいに対してガイドラインが公表されました。その中では、伝統的な工法の建物は、温熱の性能である外皮性能の適用が基準に満たなくても、ガイドラインに沿った建物であれば建築主事の判断で適用除外を受けることができそうです。

日本の伝統的な内外真壁の家づくりも可能になることは歓迎しますが、一次エネルギー削減の世界的な大きな流れの中で、賛否両論が生まれそうな制度です。パリ会議とガイドライン検討の行方が気になります。
外皮適用除外概要_ページ_02

2015年11月21日 Sat

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「古民家リノベーション・プランニング講座」に行ってきました

岐阜森林アカデミーで開かれた社会人講座に参加してきました。

兵庫県篠山市で古民家を活用したまちづくり「ニッポニア」を運営する、金野幸雄氏(一般社団法人NOTE代表)の指導で、美濃市の古民家を取り上げて利活用と事業手法を学びました。

半年にわたる連続講座は、篠山の古民家再生事例や、雲上の城で有名な竹田城下のつくり酒屋を改装した、ホテル「エン」などの見学から始まりました。その後美濃市の伝統的建物群保存地区「うだつの上がる町」に場所を移して、市が所有する古民家「須田家」を事例に実践講座が続きました。

周辺の地域を把握するために町を歩き、住んでいる方のお話を聞き、3つのグループが提案をつくります。受講生は、総務省が全国の自治体に派遣する「地域おこし協力隊」の若者ばかりです。同じグループの人たちに助けられて、座敷から見える庭を生かした、いい提案ができました。講座の最終日には、市民の方を招いて発表しました。

事業手法や運営費用までを盛り込んだ発表は、市民の方に好評でした。金野氏は、「この提案は、実際に実現可能なものばかりです。」と言っていただきました。今後の美濃市の動きが気になりますが、ここで培った手法を、多くの若者たちが実践してゆく日が来るのが楽しみです。

うだつの上がる町 美濃

伝統的な町家は紙問屋です。

須田家のお庭

綺麗なお庭と座敷が印象的な建物です。

グループの中間発表です。

みんな才能のある人で助けられました。

須田家の座敷で発表

市民の前で発表会。須田家の座敷にで行われました。

2015年11月08日 Sun

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住宅建築 好評連載中「古民家その用と美に学ぶ」 

雑誌 住宅建築に連載記事を書いています。「古民家の用と美に学ぶ」という題名です。隔月の発行の雑誌ですが、住宅雑誌としては老舗です。これまでも時折、古民家再生の仕事を取り上げていただきましたが、講演会を機会に連載記事となりました。このブログでは、校正中の表紙をちらりとお見せするだけですが、どうぞ、バックナンバーをお取り寄せになり、詳しくお読みください。今回は第3回のスケッッチを掲載します。

足固めの効果

住宅建築連載第3回

2015年10月13日 Tue

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歴史ある街「佐倉の秋祭り」

佐倉は、江戸時代から続く城下町です。毎年、秋には大祭が催されます。

先日、その祭りに遭遇しました。

佐倉は30年前に武家屋敷の改修をお手伝いし、昨年も平屋の住宅の新築をさせていただいた馴染みある街ですが、秋祭りを見たのは初めてです。

普段静かな通りが、夜店でいっぱいになり、通りに繰り出す人が多いのに驚きました。

メインは、お囃子を載せた山車です。笛や太鼓のリズムの載せて、緞帳をかけて提灯を飾った、山車が街を練り歩きます。

夕方になると提灯に灯が入りなんとも幽玄な光景です。佐倉の歴史的な町並が似合います。

この町で二軒も建築にかかわることができたことをうれしく思う一日でした。

もちろん、その日はお神酒をいただいて帰りました。

IMG_3853

大和武尊の山車

佐倉秋祭り山車

佐倉秋祭り山車

佐倉秋祭り

佐倉秋祭り

 

2015年10月05日 Mon

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ついに来た!古民家の新しい時代!

丹波篠山を中心に、古民家をホテルとして再生事業をしてきた、一般社団法人NOTEが、集客サイトの株式会社一休と提携した。http://plus-note.jp/event/press/post-129.html

その名もNIPPONIA。命名は外国人向けのようだが、日本人が知らない古民家の良さを再発見したのは、エトランゼである外人だから、この名はふさわしい。かつての豊かな日本の風景を彷彿とさせる命名だ。http://nipponiastay.jp/

この提携は大きなエポックだ。これまで眠っていた、空き家同然の古民家が日本中で甦ることになる。あまりにも身近で、見慣れてきたために忘れ去られていた、日本の古民家が日の目を見るのだ。

これまで、日本人で古民家を財産としてみるのは、ごく限られた人たちであったが、この事業によって、多くの人たちが注目するであろう。

おめでとう!眠っている古民家たち。目覚める時が来た。

日本の伝統と技術を最も表している建物は、古民家であることは間違いない。長い間、自国の評価よりも他国の評価が高かったが、あらためて自覚する機会になるだろう。

この機会を創ってくれた、NOTEの金野幸雄さんに乾杯!

 

2015年03月31日 Tue

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美術も技術、感性が身につきます。「木組ゼミ」のお誘い

現在募集中の「木組のデザインゼミナール」には、入門コースに美術の時間があります。木組みの設計を学ぶ前になぜ美術なのか?少し書いてみました。

美術は、デザインを実践する上で欠かすことのできない要素です。よくセンスの問題と言われますから、本来持っている感性であって訓練できないものと思われがちです。

しかし、美術も技術です。技術を身に付けることで、美しい感性を磨くことができます。

美術は色彩感覚や立体感覚を身に付ける技術であったり、プロポーションやバランスを計る技術です。それは、訓練によって身につけることができます。デッサンや、色面構成や立体構成は、そのためのエクササイズです。

さらに、重要なことは自分の作業に対して「全体感」や「観察眼」を持てることです。

例えば、デッサンでは対象物を見つめながら、光と陰をつかまえます。描き進める上で、常に陰の暗さや光の明るさを画用紙に落としながら、鉛筆を走らせますが、いつ止めてもいいように、画面全体の進め方を気に留めながら完成に至ります。

そのことは取りも直さず、作業の全体を俯瞰する訓練になります。全体の完成をイメージしながら、部分を書き進めることは設計の仕事を進める上でも大切です。

なぜならば、部分を集めても全体にはならないからです。よく勘違いしがちなのですが、詳細な部分の描き込みが絵をつくると思われがちですが、部分を集めても美しい全体にはならないのです。デッサンでは、描きながら画面全体を俯瞰する能力が必要なことを学びます。

また、対象物を長い時間観察することで、見慣れた静物にも新しい発見があります。発見は新鮮です。絵が生き生きとしてくるのは、発見の連続があるからです。

実はこの「全体感」と「観察眼」が感性を磨く秘訣なのです。感性は、美しさを見つける観察眼であり、全体感を身に付けることなのです。

どうぞ、美しいを技術身につけたいと思われる方は、木組ゼミの入門コースから始めてください。美術は、絵を描くことで、思いがけない方向から、感性を身に付ける訓練にもなります。

2015年03月06日 Fri

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木組ゼミのおかげです!

「木組のデザイン」ゼミナール模型

「木組のデザインゼミナール」と銘打って、
伝統的な木造住宅の設計・施工の基本から実践まで、
連続講座を開いて12年になります。

おかげさまで、今では、これまでの受講生と一緒に、
木組みの家づくりの仕事が出来ています。

木組ゼミでは、「木造住宅【私家版】仕様書」を教科書にしています。
阪神大震災を契機に出版した、伝統的な木組みの仕様書で、
当初、丈夫な架構づくりを中心に書きましたが、
改訂版では、仕上げも追加しました。
専門家向けの仕様書は、いまでも多くの方に愛読していただいています。

講座では、上級コースとして、木の特性から、木材の拾い方、架構の理念と技術。
地盤の読み方から、継手・仕口の使い方や木組みの模型製作まで、
丁寧な講義を心がけています。
【私家版】を書いた小林一元さんや宮越喜彦さんと一緒です。

入門コースでは、美術も教えています。自分が美術出身なので、
木組みを美しく見せるためのテクニックは、
美的感覚の研鑽が必要だと考えているからです。

驚いたことに、有名な棟梁が、美術を習いに通ってくださったことがあります。
(講義中は冷や汗をかきました・・。)
もちろん次の年には、講座をお願いしましたが・・。

昨年は、三澤文子さんに来ていただき「住宅医」の大切さをお聞きしました。
今年は、泉幸輔さんや、若原一貴さん、関本竜太さんに
デザインの話をしていただきます。
わたしたちも楽しみにしています。

そんな木組ゼミも今年で12年を迎えました。
毎年全国から15名ほどの受講生が、
月に一回日曜日に当事務所に来られて一日中熱心に学んで帰られます。
受講生の方は北は青森、秋田から、南は大分、高知まで、
遠い方もいらして本当にありがたいことです。

今では、受講生と一緒に仕事を出来るようになりました。
所員として事務所で働いていただいた方もいます。
現在、いくつかのプロジェクトを手伝っていただいています。
木組みのスキルを身につけているので、
打ち合わせがスムーズで、大いに助かります。

講座を修了すると実力がつくので、
すぐに木組みの家づくりを実践することができると好評です。
そのまま、ワークショップ「き」組に入会されて、
木組の家づくりの実践活動される方は、全国で18社になりました。
毎年、木組みの家づくりの後継者が増えていると感じています。

最近になって、また伝統構法の家づくりが注目を浴びるようになったようです。
貫や足固めを駆使した自然素材の家は、丈夫で長持ちです。
何年たっても変わらない良さが見直されているのでしょうか。
資産価値も高いことは、先日のブログにも書きましたが、
設計者冥利に尽きるうれしい事実です。

みなさんもご一緒に「木組の家づくり」を学びませんか。
ここには、日本の家の伝統があり、木造住宅の基本があります。

密度のある講義ですが、毎年和気あいあいとした楽しい講座です。
今年も全国からのお越しをお待ちしています。

<「木組のデザイン」ゼミナール2015募集の記事はこちら>

「木組のデザイン」ゼミナールデッサン

デザインの基本を、手から学べる美術講座は大好評です

2015年03月02日 Mon

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家の資産価値

「空き家」問題が話題になっている最近ですが、少しいい話が飛び込んできました。

建物の価値が下がっていく風潮の中、松井事務所開設の時に設計させていただいた「江古田の家」が、土地付きで売り出されていたのですが、先日新しいオーナーが付きました。30年前の「木組の家」です。

元のオーナーが都心のマンションに引っ越されて、土地を売ろうとしたのですが、不動産屋さんから「この家は売れますよ」と言われて、驚いたそうですが、何人かの引き合いがあって高く売れたそうです。

元オーナーの方は、「木組みの家は外国の人に人気だ」とおっしゃています。イギリス人の方や台湾の方、近所のご夫婦も建物を見に来られて、みなさん気に入られたそうです。「海外の人が興味を持つのは、君の設計は、日本的なんだろう。木組は人気だね!」との言葉に、感謝!

日本の税法では建物の資産価値は、木造で22年といいます。それなのに、30年前の建物に資産価値がついたことに喜びを感じます。木組みの家は長寿命の家と謳ってきた甲斐があります。これから、さらに長く愛される建物になってほしいと思います。

江古田の家 江古田の家玄関 江古田の家リビング

2015年01月21日 Wed

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おかげさまで30周年

もうすぐ、わたくしの60歳の誕生日です。気持ちはいつまでも18歳なのですが(笑)いつの間にか、年を重ねて還暦を迎えることができました。4人の子供も伴侶を迎え、孫も3人に増えました。いつまでも友人のような妻も元気で、一足先に還暦を迎えました。

なによりも、事務所が30周年を迎えることができたことに感謝しています。本当に、みなさんのおかげです。

この業界は、仕事の波の激しい世界ですから、わたくしの事務所のように、木組みにこだわる設計事務所に良くぞお客さんが続いたものだと、ありがとうございますの気持ちでいっぱいです。

最近は、むかし造りの民家のような家づくりを依頼される方が若い世代にも増え、おかげさまで、忙しくさせていただいています。伝統のよさが見直されているのでしょうか。

いまでは、30年の経験を積んだおかげで、住まいの性能向上はもちろん、資金の計画もあわせて、ご相談に答えることができるようになりました。

子育て世代のご夫婦には、子供の成長に合わせた家づくりを提供し、リタイヤ世代の方には終の棲家の活用も含めた提案もできるようになりました。年を重ねると、住まいの造り方にも、見えてくることが多いものですね。

子育て世代にも、同世代の方にも、幸せな家庭や老後を送ってほしいと想います。世間では、ベテランというのでしょうが、住まいづくりはいつでも新鮮な気持ちで取り組んでいきたいと想います。

2015年01月17日 Sat

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阪神・淡路大震災を忘れない

20年前の今日、1995年5時46分に近畿圏を中心に阪神淡路大震災が発生し、6434人の命が奪われました。

うち圧死が8割、建物や家具の下敷きになって亡くなった方は約5000人です。

わたしたち建築に携わる者にとって、これほどの衝撃はありませんでした。

倒壊建物、24万9180棟。むかしから日本の家は地震に強いと聞いていたのにも関わらず、目に飛び込んでくる映像は、あまりにも無残な建物の倒壊の姿でした。

この地震の日から、日本の木造住宅の耐震性への研鑽が始まったと言ってもいいと思います。

その後、2008年から始まった国の実大実験にも参加し、多くの知見を得ました。

災害の多いこの国の建物の安全性を、しっかり確保する方法を身につけ、提供しなけらばならないという使命感に燃えています。

亡くなった多くの方々のご冥福をお祈りいたします。合掌。

2014年12月10日 Wed

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PHJ「省エネ診断士セミナーin山形」に参加しました

山形エコハウスサーモグラフィ

「山形エコハウス」のサーモグラフィ画像。壁も天井も、24度前後の均一な温度になっていますね。

 

松井匠です。
先日、一般社団法人パッシブハウスジャパン主催の「省エネ診断士セミナー」に参加してきました。
森みわさんと松尾和也さんによる、省エネ住宅をつくるための講義です。

いろんな温風勉強会に出てきましたが、パッシブハウスジャパンの基準にしている性能はとても高いレベルだと思いました。
ぼくは工学系でも理系でもないのですが、温熱の話はなんとなく肌に合うというか、おもしろく感じるので、今回の勉強会はエキサイティングでした。
とくに外皮に断熱材を300㎜以上使った「山形エコハウス」は、室温が天井から床まで均一になっているという快適さと、厚い断熱材で遮音された空間が、とても印象に残りました。
関東と東北の気候の違いはあれど、ずっと住むには気持ちのいい家がいちばんですから、この快適さを忘れないように設計しようと思います。

森さん、松尾さん、パッシブハウスジャパンの方々、ありがとうございました。

<匠>

2014年11月24日 Mon

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再び講演会ラッシュ

年末にかけて、講演会が増えてきました。

12月3日には千葉で、「和の住まい」シンポジュウムに参加予定ですし、13日には、公開フォラム「伝統的木造住宅はどこにむかうか」ー省エネルギー基準義務化を見据えてーにパネラーとして参加。14日は滋賀の木考塾にて、「伝統構法の行方」について講演、18日は、岐阜県のスキルアップ講座にて木造住宅の設計法について講演、年明けは、やはり岐阜にてWOODAC主催のフォラムに「耐震エコ改修から考える伝統民家」の講演予定、等などです。

わたしに話せることは、伝統構法の実大実験の所見だとか、木組みと省エネの家づくりとか、古民家の再生ですが、これまでの講演会では、皆さん大変熱心に聞いて下さるので恐縮するばかりです。

講演会が増えているということは、今の時勢に必要とされている内容があるというふうに考えれば、ありがたいことです。(我田引水ですが・・)

講演に何を期待されているのかと考えて、勝手な解釈をすれば、伝統構法も、木組みの家づくりも、省エネも、古民家の再生も、すべて、現代住宅事情に関連していることなのです。(これも我田引水かなぁ?)

伝統構法を標榜する人たちは、実践している人も、していない人も含めて、このままでは日本の家づくりから伝統構法が消えてしまうのではないか、という危機感があると思います。

木組を実践したいと言う人は、日本に伝わる継手・仕口を駆使した、本来の家づくりのノウハウが知りたいのだと思います。やはり伝統構法を継承したいとかんがえているのでしょうか。

省エネルギーの話題を取り上げる人は、2020年の改正省エネルギー法の義務化を控えて、伝統的な木造住宅と温熱性能をどう融合してゆくのかを心配しているのだと思います。

古民家は、まさに伝統構法や、木組みの基本ですが、講演ではなくて、実際の古民家再生の調査依頼が増えています。もちろん講演の内容にそのエッセンスは出てきます。

実は、いま日本の住宅産業は、これまでに経験したことのない「空き家問題」に遭遇しています。すでに全国で、820万戸を超える空き家が発生し、住宅全体の13.5%が人が住んでいない状態です。2040年には、さらに40%に増えるという予測です。隣の家が空き家という時代が来るということでしょうか。

一見無関係のような伝統の木組や古民家は、この大きな社会問題となる「空き家対策」にもリンクしてゆきます。

つまり、空き家活用には、古い建物を直して住む場合、リフォームもしくはリノベーションの技術が必要になります。そこで、むかしの家の工法を知ることが必要になります。

さらに、耐震改修はもちろん、温熱の改修も必要となります。そのノウハウを身につけるために、これから私たちはさらに修練を積む必要に迫られているのです。これからの住まいづくりの課題にどれだけ寄与し、「地方創世」を実現できるか。まさに、正念場の時期に来ていると思います。

講演会を通して、みなさんと一緒に実践の道を探りたいと思います。どうぞご来場ください。

第二回伝木フォーラムチラシ表第二回伝木フォーラムチラシ裏

湖国すまい h26家づくり講演会 表_(1) 湖国すまい h26家づくり講演会 裏

2014年11月18日 Tue

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「古民家再生ゼミ」が始まりました

今月8日から「古民家再生ゼミ」が始まりました。

すでに、木組みの家づくり講座「木組のデザインゼミナール」を11年間開催してきましたが、伝統の木組みの長所をお話しするときに常に原点となる民家に戻ることが必要なことに気付きました。

さらに最近、家づくりの現場から、本来の日本の家のルーツを見つけることが難しくなったような気がしていたので、むかしの民家を知ることで、いまの住まいづくりを見直そうと今回のゼミを思い立ちました。

木組みの講座の中で、なぜ、貫が大切なのか。なぜ、継手・仕口が大切なのか。言葉と図版を尽くして解説していますが、実際に古民家を観て、実測すれば、たちどころにその理由が分かります。

一回目は、座学で基本的な部位や名称を解説しました。二回目は、日本民家園で町家の実測を行います。3回目は、実例をもとにみなさんに再生設計をしてもらいます。

受講すれば、今まで気がつかなかった住まいの原理・原則が見えてきます。

毎回、これまで知らなかった、民家の再発見があり、必ず実務ににつながる実力の付く「目から鱗」の講座だと自負しています。

古民家は、日本の住まいの原点です。

古民家の架構は、木組みの基本です。

古民家は、究極のエコハウスです。

今年度は3回の講座を用意しましたが、来年4月からは5回に増やして、直に古民家に触れていただくつもりです。

新築の設計の基本をぶことはもちろん、リフォームやリノベーションの技術も身に着きます。どうぞ、ご期待ください!

 

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2014年11月02日 Sun

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伝統構法の優位点「貫」

昨晩の朝日テレビで、伝統構法についてかなり深く取り上げていただいた。もともと日本の建物は、中国から渡ってきた構法が、この島国の素材や気候風土によって独自の発達を遂げたものだ。

台風や地震に耐えるために、木と木を組むことによって、木の特性である「めり込み」の強さを発揮し、継手・仕口と呼ばれる接合部の加工を「摩擦」によって大きな力に対して減衰するという複雑な仕組みでできている。

ここで大切な部材は「貫」である。「貫」はどんなに大きな力が掛っても、柱にめり込んで建物を倒壊させない。変形はするが、「復元力」をもって元の形に戻る特性がある。こんな大切な部材が、今では使われていないか、薄い下地材になって力を負担できなくなってしまっていることが残念でならない。

伝統構法の良いところは、簡単にいえば、本来やわらかい木同士を組むことによって、ゆらゆらと揺れながら力を逃がす「柳に風」の理屈である。これは金物ではできない技であり、金物は木より強いので、母材を折ってしまう。むかしから「針金で豆腐を吊ってはいけない」の例えがあるように。

昨晩の番組を見た方は、伝統構法の優れた点を改めて認識していただいたと思うが、現実は「貫」を使った建物にめぐり合うのはごくまれだろう。「貫」は、やめてはいけない部材であり、地震国日本の世界に誇る架構の知恵であるとあらためて思う。

2014年10月31日 Fri

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古民家利活用の行方

最近、古いお宅をお持ちの方からのご相談を受けることが多くなりました。

いわゆる古民家と呼ばれる100年を超える立派なお住まいです。古い家は以前から、寒い、暗いということで、不便で使いにくいといわれて壊されてきましたが、最近少し事情が違ってきています。古民家再生がまたブームになってきたこともあり、古い家の良さは、みなさんの認めるところになってきました。

さらに、全国的に空き家が増えていますが、新築住宅を求めつことができない若者を中心に、空き家を買ってリノベーションをすることが増えてきました。その中に、古民家も含まれているようです。社会事情の変化でしょうか、これまでのような悲痛さはなく、古民家の雰囲気を求めることがブームのようです。どうやら古民家スタイルが良いようです。

一方で、大きな古民家を持て余している方もいらっしゃいます。二度と建てられないくらい立派な材料と大工技術を駆使した名家です。主に相続税がその原因ですが、先代が亡くなった後の維持管理に困っているのです。

手をこまねいていると、そのまま空き家になって、朽ちてゆくしかありません。文化財級の建物ですから、自治体が守ることができればいいのですが、昨今の地方自治体はお金がありません。町並み保存の運動も長年活動していますが、市民の活動にも限界があります。

世代交代のたびに相続の問題が、古民家を破壊します。この問題を乗り越えた仕組みはないものか?悩み多いこの頃です。

 

2014年10月14日 Tue

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宇部・渡辺翁記念会館

山口県の宇部市に、木の建築賞の公開審査に行ってきました。

木の建築賞は、NPO法人木の建築フォラムが木造建築物の普及と顕彰のために行っているコンクールです。今年で10周年を迎えました。

わたくしは2回目と7回目に入賞したことから、審査委員を務めさせていただけることになりました。

一次審査はパネル審査、二次審査は応募者のプレゼンテーションを公開の場で審査、最後は現場審査と進みます。

全国を4地域に分けて、4年で全国を回ります。毎回時間と手間をかけて事務局はじめ多くの人がボランティアで働くことになりますが、今年は宇部の山口大学にお世話になりました。

審査される方々ばかりでなく、審査するわたしたちも大変勉強になります。地域の建物に触れることができるからです。

宇部には何回か行きましたが、やはり渡辺翁記念会館が最高です。とても昭和12年に建てられたとは思えないモダンな感性が今なお輝いています。設計は、村野籐吾。宇部の文化活動の拠点としていまも活用されています。重要文化財に指定されています。

さらに審査会場は、同じく村野さん設計の宇部ヒストリアル。こちらも昭和14年竣工とは思えない建物でした。

スケッチは、2006年に描いた渡辺翁記念会館。本物をまじか見ながら、感動しながら描いたのを覚えています。

 

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渡辺翁記念会館内部

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木の建築賞審査風景

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審査会場村野設計宇部ヒストリア

 

2014年10月14日 Tue

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会津・山都の古民家

会津・山都の沼の平へは、喜多方に入る街道筋から山に入ります。山道をもうこれで家がなくなるというところまで行って、さらに胸突き八兆の坂道を登った先の集落が沼の平です。

20数件の家が残っていますが、高齢者ばかりです。冬は豪雪で悩まされますが、春にはフクジュソウが自生して観光客が大勢見に来るといいます。その集落の中の古民家を見てきました。おばあさんが亡くなったので、残された古民家の活用を相談されたので、出かけてきました。

昭和47年に大改造していますから、座敷廻りは白木の柱です。元土間であった境には100年以上も前のケヤキの大黒柱が建っています。黒光りした柱の伸びた先を見たくて、天井に潜りました。

屋根は茅葺のままトタンをかけてあるので、むかしの構造が良く見えます。と言っても、一歩踏み込むと埃で前が見えないくらいです。すすけた叉首(サス)は縄でなってありますから屋根屋さんの仕事です。

小屋組は、素晴らしく太い梁組に大きな木栓が打ってあります。木と木を組むのは大工仕事です。いつでも組み手を外して移築も可能ですが、この家をどう生かすのかは、その晩の家族会議では答えが出ませんでした。

50代の息子さんたちはこの集落の村おこしに努力しています。棚田をやめた山の斜面に3000本の桜を植えたり、鯉を飼ったり。この集落をあきらめるつもりはありません。夕食には、山の幸のてんぷらのゼンマイでお酒を飲みながら、古民家の活用が成功している丹波篠山の取り組みや九州八女のまちづくりの話で盛り上がりました。

今のわたしにできることは限られていますが、古民家の活用を考えることは、日本の将来を考えることにつながると思える一夜でした。

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2014年10月14日 Tue

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梅原猛さんのコラムに共感しました

東京新聞に、時折、梅原猛さんのコラムが載ります。学生時代から歴史や哲学が好きで、梅原ファンでしたので、いつも楽しみにしています。

今回10月6日のコラムにも、梅原氏の東洋的思想に大いに共感しましたので、ブログに掲載しました。

よろしかったら、読んでみてください。

梅原猛コラム

2014年10月13日 Mon

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網走は美しい町でした

網走と聞くとつい刑務所を思い出してしまいますが、実はとても風光明美なところでした。

先週の9日に、北海道の高断熱高気密の家づくりを実践する「アース21」というグループに呼ばれて、伝統構法の話をしてきました。

高断熱高気密の会で伝統構法を話すのも、なんだか場違いな気もしますが、木組みの家は地震や台風から命を守ることが使命で、北海道の高断熱高気密の家は、寒さから命を守ることが使命ですから、人の命を守るという方向は同じと言えます。

ところが、北海道では2×4が主流で、軸組工法は稀です。ましてや、伝統的な木組みの家はほとんどないといってもよいでしょう。

そんな中、北海道で雑誌の編集をしている友人から、伝統構法のことを知りたいとオファーがありました。木の家づくりの基本は軸組にあると気づいたとか?民族の血が騒ぐとか?

とにかく行ってみると、驚いたことに外壁に400ミリの断熱材を壁に施工していました。室内は、気密を採るためにポリエチレンフィルム。それも継ぎ手のないシームレス施工です。

徹底した施工管理をして、実績を上げている工務店の社長が、以前私の話を東京で聞いて、これは家づくりの基本だと気づいて、みんなに聞かせたかったとか?それで今回の講演会になったようです。うれしいですね。

わたくしも伝統構法で省エネは実践しているほうですから、お互いの構法の違いを超えて交流してきました。それにしても網走は美しい。ホテルに着いて周りの景色に見とれてしましました。

スケッチブックを置いてきたことを反省! 出がけに絵を描いている暇もないかとバックから出してしまいました。残念!

とりあえず写真で景色をお楽しみください。今度は網走に、絵を描きに行きたいですね。

編集者のブログはこちら。http://blog.goo.ne.jp/replankeigo/e/5a9d35a932960951e756d64dacfc8709

 

網走湖の朝

網走湖の朝

 

2014年10月07日 Tue

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会津・喜多方のパルテノン神殿

ここはギリシャのパルテノン神殿かと見まがうような建物が、会津喜多方にあります。

長床という拝殿です。もとは熊野神社の新宮の一部ですが、まるで木造のパルテノン神殿のような、丸い柱の列柱の美しい建物です。

平安時代の源頼義が造営した建物と言われていますが、1611年(慶長19年)の会津地震で倒壊した後、一回り小さく再建されたといいます。

それでも美しいプロポーションを見せてくれています。茅葺の屋根も重厚で、古くて厳かな姿です。

ここにいると、なぜか哲学的になるのはどうしてでしょう。ここには建物の本質がある気がします。うまく言えませんが、魂がゆすぶられるのです。

だから神殿に見えるのかもしれません。

以前雪の中で見た時も驚きましたが、今回も何度も何度もシャッターを押してしまいました。

080301 長床

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2014年09月23日 Tue

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丹波篠山に行ってきました

先週金曜日に、丹波篠山の古民家イベントに行ってきました。

篠山の歴史的街並みを歩き、町家の利活用の実際を見せていただきました。驚いたことに、空き屋になった町家を、隔週ごとに、掃除をしたり自力改修をするボランティア活動が10年続いているそうです。

中心になっているのは、町家好きの兵庫県の職員さんであったり、元副市長であった方たちでした。何ともうらやましい実力者ぞろいですが、現役や元行政の方たちが、町家の保存に真剣かつひたむきに取り組まれていることに感動しました。

わたしが37年間に、全国町並み保存連盟の運動に飛び込んで活動していた頃には考えられなかったことです。時代の変化を感じるとともに、古民家を残すには、利活用のための企画力が大きく物を言うことを思い知りました。

なにしろ、どんどん空き家になってゆく古い家を、無償で借りて、お店や宿泊施設に改装して、10年後には持ち主に返すという手法は、確実に町並み保存になっています。

企画者で一般社団法人ノオトの金野氏は自嘲気味に「もとのもくあみプロジェクト」と呼んでいますが、こんな手があったのかと驚かされる2日間でした。

夜は、集落丸山という、桃源郷のような村の茅葺の家に泊まりました。古民家をリノベーションした宿ですが、周囲の環境と響き合って、快適な一夜でした。これからの古民家再生の方向性が見えた気がします。

町で出会った、篠山の地元のみなさんの笑顔がすてきでした。お世話になりました。

篠山の歴史的町並み

篠山の歴史的町並み

町歩きの面々

 

古民家の宿

古民家の宿

 

丸山集落

丸山集落

 

 

2014年09月08日 Mon

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古民家再生ゼミ・始動予告

新築住宅の建設が伸び悩む中、中古住宅を改修して住む人たちが増えています。中でも建てられてから百年を超える古民家は、太い柱や梁、土壁などの素材の良さもあって大変人気があります。

わたくしも古い町家に育ち、歴史的な町並みの保存に若いころから取り組み、事務所開設時から古民家の再生に取り組んできました。さらに、古民家から得た伝統的な木組みの素晴らしさを、新築住宅の設計に生かしてきました。

そこで、これまでの経験を生かして、古民家に息づく伝統技術を多くの方に知ってもらうために、古民家の歴史や架構の仕組みを学ぶゼミナールを開くことにしました。

まずは、座学で古民家とは何かを学び、次に実測調査を行い、実際の古民家の寸法を採り構造を学びます。さらに、架構を生かした再生のデザインを演習します。 むかしの知恵や工夫をいまに生かし、みらいにつなぐ実習です。

古民家から日本の家づくりの基本を身につけ、実務に使えるゼミにしたいと思います。

古民家に限らず中古の住まいのリフォームにも役に立つと思います。興味のある方は、どなたでも参加できます。現在日程を調整中です。正式の応募はこの後すぐです。

どうぞご期待ください。

 

 

2014年09月01日 Mon

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防災の日に命を守る家づくりを考える

今日は、関東大震災が起きた日を記念した「防災の日」です。 TVや雑誌では、これから起こるかもしれない巨大地震の可能性について話題になっています。阪神大震災から20年の間に山古志村や東北大地震が起きましたから、地震国日本では、いつ地震が来ても不思議ではありません。 そこで設計者としては、まず第一に家族の命を守る家づくりを考えなければなりません。そのためには、長い時間が経過した古い建物の造り方に注目したいと思います。 松井事務所では、古民家に採用されている、柱と柱を縫うように入っている横材「貫」に注目しました。また柱の足元を堅牢に固める部材「足固め」にも注目しています。 実験の結果「貫」と「足固め」を入れた建物は、大きく変形しても崩壊することがありませんでした。柱が折れましたが、余力10tを残して傾いたまま止まりました。これは注目すべき事実です。巨大地震が来ても、崩壊することなく人の命を守ることができれば、建物としては役割を果たしたといえます。 貫は柱を貫いているため、めり込みに強く、大きな力で貫をつぶすには困難だからです。これは、木の持っている特性で、何段にも入れられた貫は日本建築の特徴でもあります。 当事務所では「貫をやめてはいけない」を基本に、丈夫で粘り強い壁をつくっています。貫で倒壊しない図1

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大変形しても倒れない伝統構法の家

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60センチ傾いても余力10tで倒壊しない

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倒壊しない「貫」構法の壁

 

2014年08月23日 Sat

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8月末より講演会ラッシュです!

猛暑の中、異常気象が日本中に被害をもたらしています。全国各地で災害に見舞われた方々には、お見舞い申し上げます。

さて、わたくしの講演会が、今月末より目白押しです。多くのみなさんが、今わたくしに講演会を依頼され、期待されていることは、おそらく、伝統的な日本の家づくりがこれからどこへ向かっているのか、を確かめたいのだろうと察します。

つまり、5年間に及んだ国の伝統的木造住宅の実大実験の成果は、どうなってゆくのか?

2020年より義務化される、省エネルギー法改正に伝統的な木造住宅は、乗り越えられるのか?

日々、伝統的な構法で研鑽を重ねる工務店さんや大工さんは、今後の行方が気になるのも無理はありません。

わたしの立場は明快です。伝統構法の家づくりは、次々と繰り出される国の制度改正を乗り越えて、さらに進化してゆくべきだと考えます。

そこで、以下の講演会を行いますので、どうぞお時間の許す方はお運びください。

8月27日 14:00~ 優良工務店の会 九州地区勉強会
「進化してゆく木造住宅」
博多アーバンスクエアビル11階会議室
(財団法人・住宅産業研修財団福岡事務所 092-418-8120中村)

9月1日 18:00~ 伝統木造の会 東海事務局 
「これからの伝統木造の姿」
名城大学名駅サテライト 名古屋駅前桜通ビル13階 多目的室
(東海林建築設計事務所内 ・引越ししましたので、番号をお間違えの無いようお願いします。)
TEL:052-853-9817 FAX:052-853-9818
E-Mail :info@tokairin.jp  (TEL・FAX:052-853-9724 ACC事務局)

9月4日 16:45~ 住宅医・東京
「古民家再生から見える日本の家」
AGC studio AGC旭硝子ショールーム(住宅医協会 06-6454-3465 藤村)

9月28日 9:00~ 伝統木構造講座
「伝統構法の行方(仮)」
姫路商工会館 (㈱兵庫確認検査機構 079-289-3002 中安)

 

140901勉強会の御案内

140901勉強会の御案内

 

2014年08月12日 Tue

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現代棟梁と呼ばれた田中文男さんのこと

ダイフミさん

毎年8月9日は、田中文男棟梁の命日です。2010年に亡くなってから早くも5年がたちました。

田中文男さんほど現代の木造界に波紋を投げかけた人はいないでしょう。歯に衣着せぬ言葉は、どんな学者も、実務者も唸るしかないほど的確な発言でした。しかし時折見せる笑い顔は、子どものように純真な心が見える笑顔でした。だから「ダイフミ」さんの愛称で親しまれていました。

ダイフミさんが生きていれば、いまの伝統構法の扱いも変わったでしょう。だれよりも伝統技術を語れる大工棟梁で、すこぶる合理的な理論家でした。

わたくしがお世話になった現代計画研究所の藤本昌也先生と、民家型構法を開発し、木造界に旋風を呼んだのは、もう32年前になります。

「木造は軸組だ!」と言い放つダイフミさんには、みんな敬意を表しました。伝統構法でつくる家を「木組み」という言葉で呼び、その言葉は、日本中の大工や設計者を覚醒したのです。もちろん、わたくしもその一人です。

設計者の顔を見ると、「バカヤロー! お前らが日本の建築をダメにしたんだ!」といつも叱られました。日本の伝統構法を、学者や設計士には理解できないと思っていた節があります。それでも、いろいろ質問すると、継手や仕口のこと、施工技術のことをたくさん教えてくれました。

口癖は、「知識と知恵は違う」「技術と技能の融合が大切だ」でした。

「知識」は、やってイイことしか教わらない。しかし「知恵」は、やってはイケナイことを教わるのだ、ということでした。「イイことばかり教わってもイケナイことは分からないが、イケナイことを知れば、あとは何をやってもイイ、工夫と創造の世界が広がるんだ。」という言葉は、今も耳に響いています。

また、最近になってようやく、ダイフミさんの言っていた「技術と技能」の違いが分かってきました。「技術」は本からでも学べることですが、「技能」は自らの体が覚えることです。経験に裏付けされた技なのだ、と思い至りました。だから、職人の技能は、体得するのに長い経験が必要なのです。

ダイフミさんが、現状の家づくりの現場を見たとすると、たぶんその技能不足にがっかりするだろうと思います。なにしろ世の中は機械の時代、プレカット全盛で、柱や梁の骨組みの分からない家が増え続けているのですから。今後、省エネ法の改正に伴い、ますますその傾向は強くなるでしょう。

今日もダイフミさんの嘆き声が、草葉の陰から聞こえる気がします。だから、丈夫な骨をつくる「木組み」の家づくりをがんばらなくては!省エネ法にも負けないぞ! と、自らに鼓舞する命日でした。合掌!

2014年08月03日 Sun

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猛暑に土壁を考える見学会

毎日うだるような暑さが続きます。

最近の気温は、全国で30度を超えることが当たり前になってきましたが、10年前にはこんなに毎日のことではなかったと思います。やはり、徐々に地球温暖化が進んでいると考えられます。

2020年の燃費の良い家をつくるための法改正・義務化など、省エネルギーの対策が厳しくなってくるのも、致し方のないことだと思います。

ではCO2をできるだけ放出しないで、日常を暮らすためには、どんな方法があるでしょう。

わたしたち設計者にできることは、まずは、風通しの良さを確保すること。風のないときには、温度差で空気を移動させる工夫もあります。そのためには、低い位置の窓から冷たい空気を入れて、暑い空気を排熱できる仕組みを作ることです。それには、腰屋根などが有効です。

また、外壁が温まりすぎないように断熱することも大切ですが、一度冷えた熱を逃がさない蓄熱する素材を使うことが大切です。それには、土壁が有効です。

人の体感温度は、室内の空気温度とその周囲の壁の表面温度との中間の温度になることがわかっています。つまり、室温が30℃ででも、室内の壁の表面温度が、26℃であれば、体感温度は28℃になります。これくらいならば、薄着であれば室内の生活も苦にならないでしょう。

土には蓄熱というすぐれた作用があります。この特性を生かして室内を造れば、外部の気温が高くても室内の体感温度は快適な数値まで落とせると考えられます。

さらに室内の湿度を調節する、吸放湿性能もあります。

湿度が下がれば、体感的に心地よいことはよく知れたことですが、これには土壁が最高の効果をあげます。わたしの事務所では、漆喰塗りを標準仕様にしていますが、建て主のみなさん、この時期に汗が引くと好評です。

室内には、土壁を使うことをこれからも、当たり前にしたいですね。

そこで、今月31日には、「高円寺の家」で猛暑の中で、室内温度を体感していただく「お住まい見学会」を実施します。詳しく決まりましたら、またお知らせいたします。ご期待ください。

2014年07月31日 Thu

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いま「住まい」に求められること

昨晩、WEB・HOME’sPRESSで「木組みの家」を取材して下さったコーディネイターの方とライターの方を交えて食事会をしました。

まずは取材の連載が、好評であったとのうれしい報告を受けました。3回とも250以上の「いいね」がついたそうです。なんと1回目は367の「いいね」がついたということです。通常は80くらいだそうですから、大変な反響だといえます。

また、HOME’sPRESSは、広告収入に頼らない自主的な運営によって、社会的にも公平な記事を書いていることも分かり、驚くとともに取材を受けたことを光栄に感じました。あらためて感謝です。

食事会ではいろいろな話をしましたが、これからの家づくりの方向について、いくつかお話を聞かせていただき、大変参考になりました。

なかでも、これからの住まいに求められることの一番は、「寿命」だということです。住まい手が求めるのは、長く住めるということ、つまり建物の寿命が最も気になるという話でした。最近の傾向として、「構造」「温熱」「劣化」がキーワードだと他でも聞いていましたので、なるほどと納得しました。

住まいの動向は、2020年に控えた省エネ法の改正、義務付け問題がクローズアップされて、ゼロエネや、スマートハウスなどがマスコミを賑わせています。どれも建物の性能を向上させることが大切ですが、建物本体の構造が長持ちしなければ意味のないことです。そこで、住まい手が求めていることが「寿命」だという話は健全だと感じました。

3.11以来、これまでの生活をあらためる方たちが増えていますが、控えめな暮らしと節電は3年が経過しても風化させてはいけないことだと改めて思いました。

人は人生の90%を建物の中で暮らすといいます。いまこそ、安全で快適かつ丈夫で長持ちする住まいが求められていると感じた会でした。お二人に感謝!

2014年07月30日 Wed

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松井奈穂展のお知らせ

松井奈穂は、東京芸術大学で日本画を学びました。若いころから子供に絵を教えることが好きで、今は川村学園小学校の図工の先生をしながら、小さな子どもの「アトリエ・かたつむり」を運営しています。

この度、千葉県の南房総市千倉町にある隠れ家的ギャラリーで、これまで描いた絵の展覧会を企画していただきました。遠いところですが、もしお時間ありましたらお運びください。生命力のある南洋の植物や、人物画が展示されています。

夏のひと時、海水浴も兼ねて千倉にお出かけください。みなさまのお越しを、お待ち申し上げております。

場所:ギャラリー・シーレ 〒295-0004 千葉県南房総市千倉町瀬戸1702 ℡0470-44-4893

 期間:8月1日から19日まで

ナホ展

2014年07月28日 Mon

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省エネと体感温度

連日うだるような暑さに覆われている、日本列島ですが、
出来るだけエアコンに頼らず、この暑さをしのぐ方法はないのでしょうか?

先日「伝統木造と省エネルギー」を考えるグループで、
体感温度について、興味深いお話しをお聞きしました。

以下は、「エクセルギー」という概念で建築環境を読み解く、宿谷正則先生のお話です。

わたしたちが暑さ寒さを感じるのは、気温だけが決め手ではないというのです。
室内の空気の温度が、体感温度とは限らないというのです。

つまり、その部屋の湿度や気流、着ている服や、
その部屋の天井、壁、床の表面温度によって感じ方は違ってくるということです。

また、部屋の表面温度から伝わる熱を、輻射熱と言いますが、
体感温度は室温と輻射熱の中間になるといわれています。

例えば、室内が30度の気温であっても、壁が26度であれば、
体感温度は28度ということになります。

室内の気温は、家を包み込む外皮の断熱性能で決まりますが、
体感温度は、もう少し複雑な要素が絡み合うようです。

ここで、わたしたち設計者が建物をつくる際に考えられるのは、
通風を促す窓の開け方と、室内をつくる天井、壁、床の素材ということになります。

気流は低い位置に開ける地窓や高い位置に開ける越屋根を設けることで、
気流をつくることはできると考えられます。

素材には、調湿効果のある木や土が良いということになります。

木も土も自然素材で、さまざまな性能を持っていますが、
熱伝導率だけを考えると熱を通しやすい数値になってしまうのですが、
蓄熱性能や、吸放湿性能が高いことが分かっています。

表面温度でいえば、木や土は触った時に感じる温冷感が、
アルミやガラスに比べて暖かくて優しいことは、みなさん体験していると思います。

これまでも、これからも、自然の恩恵を生かしながら、
無垢の木と土を使って、建物の環境をつくることが基本だと思うお話でした。

わたしたちは、省エネルギーに取り組む時も、
まずは自然素材の特性を生かし、新しいテクノロジーも取込みながら、
体感温度の快適な現代的な家づくりを進めたいと考えています。

2014年07月14日 Mon

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お住まい見学会・吉祥寺の家3

二週続けて、見学会を開催させていただきます。

建物が竣工してすぐに開催させていただく見学は、「完成内覧会」ですが、すでに暮らされているお住まいの様子を見せていただける見学会は、「お住まい見学会」と呼んでいます。おかげさまで、どちらも建て主様のご厚意で、時々お願いしています。

今回の「吉祥寺の家3」は、3か月前に竣工して引っ越されたばかりですが、お庭が少しづつ出来てきたので、「お住まい見学会」をお願いいたしました。建て主さんに感謝!

この家は、茶道教室に通う同じ社中の若いご夫婦の木の家です。なのでお茶室をつくりました。土壁の4畳半です。相談に乗っていただいた、茶道の先生の合格もいただき無事完成いたしました。

ご夫婦がご要望された家づくりのコンセプトは、「木漏れ日のある家」でした。武蔵野の雑木林のような木漏れ日です。

そこで、南に面した一間(1.8m)巾の木の窓をつくり、庭とつなぐことを考えました。開放的な大きな窓からの眺めと、二階の不規則な格子から差し込む光が、木漏れ日のようにキラキラまたたきます。

現在、空き地になっている南側に大きな家が建設されても、冬の光はタップリ入るように、建物を配置しました。吹抜けを通して光も風もゆらいでいるスタイリッシュな木組みの家です。

7月20日の午後13時から、お住まい見学会を行います。どうぞお運びください。みなさまのお越しをお待ち申し上げています。

お申し込みは、メール  ok@matsui-ikuo.jp   もしくは、お電話 03-3951-0703まで、地図をお送りいたします。

木組みの家「吉祥寺の家3」木漏れ日格子外観

不規則な格子か木漏れ日がもれます

 

木組みの家「吉祥寺の家3」茶室140409

土壁のお茶室

木組みの家「吉祥寺の家3」二階夜

夜は、屋根野地板を照らします

 

木組みの家「吉祥寺の家3」完成内覧会140412_2

夜景の光も格子からこぼれます

木組みの家「吉祥寺の家3」居間140409

大きな窓の居間・食堂

140404木組みの家「吉祥寺の家3」解説シート

解説シート

 

2014年07月11日 Fri

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まちづくりを持続可能に・西村幸夫×八甫谷邦明

「季刊・まちづくり」という雑誌が、休刊となりました。
建築雑誌、「建築知識」を経て「造景」の編集長を務めた八甫谷さん編集の最後の仕事になりました。以前、八甫谷さんには「造景」で地域づくりの事例をいくつか紹介していただきました。
福島飯野町の診療所と、熊本宮原町の古民家と銀行を改修した公共施設「まちつくり酒屋」でした。どちらの建物も、町の人たちとワークショップという「住民参加の手法」を使って建てました。
参加のデザインは、町の人たちの意見をカタチにする、楽しいプロセスが決め手です。
たくさんの意見を言葉でいただき、言葉に文脈をつくるダイナミックな手法は今でも素晴らしいデザインプロセスだと思います。
住民の意見を形にする建築家を「コミュニティアーキテクチャー」と呼びます。作品性を排除し、専門性を生かした建築士の仕事です。日本ではなかなか見かけませんが、住民に寄り添って設計する、誇り高き人たちです。公共性や社会性の薄れた都市にとっても、人間らしい交流の停滞している現代の世相にも、これからは、まちづくりの持続に必要な「人づくり」が大切だと感じた夜でした。

2014年07月06日 Sun

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小さな家の見学会

二週続けて「内覧会」と「お住まい」見学会を開催させていただきます。

八王子の小さな木組みの家は、若いご夫婦とお子様の3人暮らしです。奥様は、元CADオペレーターです。仕事ではプレカットの家を作図していました。

7年前には、当事務所が主催した、自力建設の家「落日荘」のお手伝いに来ていただきました。そこで経験したことがきっかけになったと思いますが、ご自分の家は、木組で建てたいと訪ねてこられたのが3年前です。

お若いご夫婦なので資金のこともあり、お金をかけずに手刻みと漆喰で木組の家を建てるために、時間をかけました。

また、南側に大きなアパートも建っていたので、3Dで冬の影を計算して、建物の配置や窓の位置を決めました。

おかげさまで、増税前に工事にかかることができました。途中大雪で数週間現場が止まりましたが、先日無事にお引き渡しを終りました。

リーズナブルな価格で丈夫で無駄のない木組みの家になりました。八王子の寒さにこたえるように断熱効果の上がる、珍しい素材も使いました。

開放的な、ワンルームのような小さな木組みの家です。7月13日の日曜日。皆様のお越しをお待ちしております。

木組みの家「八王子の家」居間140620

2014年06月30日 Mon

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342年前の古民家に会いました

昨日、埼玉県所沢市で、古民家を見せていただきました。江戸時代の初め(寛文12年、西暦1672年)342年前の建物です。
文化財として保存されている建物には、さらに古い古民家もありますが、現存する民家で今もお住まいになっている事が驚きです。ご当主のお話しでは、そのまたお爺さんのころは、茅葺の兜造りだったようです。いわゆる養蚕農家の造り方です。その後お茶の栽培を始めて、広い敷地には工場もあったそうです。今はお一人暮らしで、広い座敷を自由に使っていらっしゃいました。
昨日は、温熱耐震改修が可能かどうかの予備調査でした。柱梁はケヤキです。全く壁のない開放的な造りで、建具はすべて手の込んだ優れモノでした。台所はすっかり改修され、座敷は天井が貼り直してあったり、多少手を入れた形跡はありましたが、良く342年前の形をとどめていると感心しました。
ご当主の話では「あまり造り込んでない建物だったから、どういう時代の生活にも対応できたのではないか」とおっしゃっていました。これはいい話ですね。造り込まない方が、長く使えるということは、これからの住まいをつくる条件と思っていいでしょう。架構の痕跡も調べて当初の家の大きさも分かりました。今後の調査が待たれます。

2014年06月28日 Sat

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我孫子の家2・撮影しました

奈良岡忠さんは、カメラマンです。 僕の建物を撮っていただいて、20年になります。建築写真のカメラマンではありませんが、縁があって撮影をお願いしています。 先日、我孫子の家2の撮影に行ってきました。時折晴れ間の覗く曇り空でしたが、いい写真がとれました。 やはり室内は、家具が入っているといいですね。タケワキ住建さんの用意してくれたテーブルと椅子、緑の小物で、生活感のある空間になりました。 明日は、いよいよお引き渡しです。いつものことですが引き渡しのときには、嬉しいようなさびしいような感覚になります。娘を嫁に出すような感じです・・・。末長く建て主さんに喜んでもらえる家であることを願っています。皆さんありがとうございました。とりあえず、松井の撮影した写真をお楽しみください。

我孫子の家2

我孫子の家2

居間と小上がり

居間と小上がり

二階個室

二階個室

浴室

浴室

撮影中の奈良岡さん

撮影中の奈良岡さん

トウモロコシ畑と木組の家

トウモロコシ畑と木組の家

2014年06月23日 Mon

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TVに紹介されました

フジテレビのクイズ番組「それマジ?ニッポン」6月22日19時放映で、松井事務所の木組の家が紹介されました。

写真を使いたいとのオファがあってから、時間をおかずにすぐの放映だったので、うっかりお知らせすることを忘れていましたが、どなたかご覧になりましたか?

金剛組という、1400年続く社寺建築の会社紹介の続きで、いまでも木組みの工法は造られているという流れで、松井事務所の木組の家が数枚写し出されました。

ぼんやりしていると、見逃してしまいそうな映像でしたが、放映されたのは次の映像です。お知らせできなかったので、この場でアップします。

検見川の家は、木組ならではの二階がせり出した「せがい造り」です。

大和の家は、貫の様子が良くかりますが、貫は大地震にも建物が倒壊しない優れた構法です。

井土ヶ谷に家では木と木を組む様子がわかります。骨組みが丈夫で、長い時間を生きる家になります。

高円寺の家は、準耐火建築という燃え代設計で火にも強い構造です。

木組みの家は、長い歴史をいまにつなぐ技術ですが、その優れた構法は、新しい現代住宅にも使い続けることが大切だと思います。木組は、現代住宅にもデザイン性の高い家を造ります。

今度は、木組みの家の特集番組を造ってほしいですね。

検見川の家

検見川の家

大和の家

大和の家

井土ヶ谷の家

井土ヶ谷の家

高円寺の家

高円寺の家

 

2014年06月17日 Tue

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OZONEの展示会に行ってきました

先日、新宿のOZONEに行ってきました。建築家の造った、建築模型の展示会が開かれているので見に行ってきたのです。松井事務所からも「せがい造りの家」を出品しています。

見ていて興味があったのは、最近の家づくりの傾向についてでした。何か新しい視点が見つかるかなと期待して見ましたが、特に目につく傾向も、視点もなかったかなァ・・という印象です。

よくいえば、家づくりの世界は、ある面で成熟しているのかもしれません。今回の展示のタイトル「What’s 家?」もそれを物語っているように思いました。

今は、デザイン性の高い家が当たり前になって、奇抜さを求めるのは、もう限界に来ているのではないでしょうか?むしろ、みなさん敷地や暮らしに素直につくっている感じで好感が持てました。

松井事務所は、しっかりとした骨組みの模型を展示させていただいております。本来、目新しいものを追いかけるような仕事をしていませんので、まあ、いつものように木組みの家をアピールさせていただいております。

木と木を組むことで、美しい骨を造り、冬暖かく夏涼しい腰屋根や、壁や開口部の工夫を加えて、丈夫で心地よい空間をつくる。むしろ伝統的な木組の家づくりを再発見してほしいという思いで展示に参加しました。

やはり、家づくりは、土地の気候に沿って、住まい手にとって気持ちのいい生活を造り出すことが大切だと思います。それには、まず安全な骨組みを造り、風の流れや太陽の動きを読んで、自然に逆らわずに家づくりを進めることかな、という思いを再確認した展示会です。8月5日まで開催されているので、お時間のある方は是非お立ち寄りください。

写真 1

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2014年06月12日 Thu

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「佐倉の平屋」吉野へ材木検査に行きました

「佐倉の平屋」材木検査

構造材を一本ずつ選びます

「佐倉の平屋」の材木は、奈良県吉野の山の木です。 実際に家に使われる材木を検査するために、タケワキ住建のみなさんと一緒に、吉野に行ってきました。

「佐倉の平屋」材木検査含水率

含水率を測ります。よく乾いています

天然乾燥の無垢の木を扱う材木屋さんで、含水率を調べたり、節の様子を確認しました。 原田棟梁と篠塚大工にも同行してもらい、じっくりと材料を見極めて良い材料を選びました。

「佐倉の平屋」材木検査2

適材適所。どの材をどこに使うか決めます

見学させていただいた吉野の山は深く美しい山でした。 これから刻みがはじまり、上棟は8月中を目指しています。 この材料で「佐倉の平屋」の木組みを美しく建ちあげます。こうご期待!

「佐倉の平屋」吉野の山

樹齢の200年の杉と。美しい山の木で美しい家をつくります

2014年06月01日 Sun

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住宅は骨と皮とマシンからできている②

先日、南雄三さんとの対談は、かなり深く掘り下がった面白い議論になったと思います。

南雄三さんの指摘は、最近木造住宅の議論が、はっきりしない。そもそも日本の木の家づくりとは何か?ということでした。そこでわたしが最近5年間に行われた、伝統構法の実大実験を通して感じた所見をお話ししました。

大切なのは、伝統構法の構造の整理と定義。やってはいけないことと、自由な工夫。そして未来への展開です。話した骨子は「建築とまちづくり」に掲載いたしました。

少し専門的な内容ですが、プリントアウトして、大勢の方に読んでいただきたいと思います。掲載誌の許可を取り、ここに掲載させていただきました。どうぞお読みください。

伝統構法は進化する._ページ_1 伝統構法は進化する._ページ_2 伝統構法は進化する._ページ_3 伝統構法は進化する._ページ_4 伝統構法は進化する._ページ_5 伝統構法は進化する._ページ_6 伝統構法は進化する._ページ_7

2014年05月18日 Sun

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WOOD JOB

話題の映画を見てきました。林業の話ですが、恋あり笑いありでとにかく楽しめました。

いわゆる3Kといわれる山仕事を題材に、よくエンターテイメントにまとめたと思います。

原作は、三浦しをんさんのお仕事小説です。

都会の若者が、携帯の電波も届かない山奥の自然の中で、たくましく育ってゆく姿には、

これからの日本の林業に明るい日差しが差すような気がしました。本当に、いい映画でした。

この映画をきっかけに、山に入る若者が増えるといいなと思います。

ウッドジョブ

2014年05月17日 Sat

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住宅は骨と皮とマシンからできている①

表題のタイトルは、野沢正光さんの本の題名です。建物をクールに分析した客観的なフレーズだと思います。

そのフレーズを、木組みの家に置き換えて考えたことを書きたいと思います。以前から発言している、よく似た話になるかもしれませんが、そこはブレない考え方だと思ってお付き合いください。

今回は骨の話です。

最近、巨大地震が来るという番組やニュースがたびたび流れていますが、建物の骨は、まさに地震や災害に耐え抜く必要があります。

わたしたちは、阪神大震災を契機に、丈夫な構造をつくることを学びました。しかし、巨大地震に耐えるには、建物を強固にするだけでは自然の脅威に耐えられません。柔よく剛を制すの通り、力を逃がす工夫も大切です。大きな力に対して粘り強い架構をつくることです。

そこで着目したいのが、木の特性であるめり込みの強さと靭性です。さらに、継手・仕口の摩擦力と貫の復元力です。ちょっと専門用語で難しいのですが、要するに、木造建築の粘り強さは、柳に風のたとえのように、力をいなす仕組みだと考えてください。

伝統構法と呼ばれる日本家屋は、構造の世界では、まだまだ解明されていないことがあったのですが、最近5年間の実大実験で多くのことが分かりました。

一つには石の上に置いた足元フリーの建物は、大きな振動でも柱が折れないとか、貫の入った建物は、大きく変形しても倒壊には至り難い、などこれまでの常識にないことばかりです。

これまで、わたしたちのつくる家は、土台を基礎に結んで地震や風に耐えてきましたが、どうやら地面と結ばない方が免振的だということです。この事については、実験結果が証明してくれていますが、一般の方への周知はもとより、建築基準法の改正には時間がかかりそうです。

興味がある方は、防災研究所(Eディフェンス)のHPをご覧になることお勧めします。一連の映像が公開されています。

また、20日に行う南雄三さんとの対談でも、詳しくお話しできると思います。どうぞご参加ください。

伝統構法の実験 足元フリー

2014年05月02日 Fri

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対談 南雄三×松井郁夫 伝統構法を語る

住宅評論家の南雄三さんと対談することになりました。今月20日18:30より 神楽坂・あゆみギャラリーです。

近頃、どうにもはっきりしない伝統構法の家づくりについて、南さんが議論をぶっつけたいということで、松井に白羽の矢が立ちました。

これまでも、伝統構法と省エネは整合するのか?などと議論を振られたことがありますが、その都度、真面目に答える松井に対して、新鮮な角度から意見を述べる南さんの語りが楽しみです。

今回も、伝統構法の定義を試みながら、歴史的な経緯の問題点を上げ「わたしたちがつくっている家は、本当に日本の家なのか?」「これからの家づくりは、いったいどこへ行くのか?」などなど・・

楽しい対談になると思います。どなたでも参加できますので、奮ってご参加ください。(参加費1000円)お申込みは、sg.baba@c-serve.co.jp 馬場まで。

対談 南雄三

対談 南雄三

2014年04月22日 Tue

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山が笑う・落日荘にて

「山が笑っているから見に来ないか」と誘われて、茨城県八郷の「落日荘」にお邪魔しました。わたしの敬愛する岩崎駿介さんのご自邸です。たしかに、周囲の山は笑ってました。「わっはっは」というくらいに笑っていました。

落日荘に着くなりすぐに宴会となって、いろいろな話をしました。まずは、現在の社会問題について。原発事故のこと、カミさんが活動している福島の子供キャンプのこと、わたしの仕事のこと、などなど。

さまざまな話題の中で、物の本質について、話が及んだときに「人は真実から顔をそむけるんだよ」といわれてハッとしました。実直に真実に向き合うことが、正義だと思って活動してきたつもりですが、そのたびに苦慮してきました。そのことを指摘された気がしました。不特定多数の人々の共感を得ることの難しさです。

2度の国政選挙で、田中角栄氏と戦った岩崎さんの生の声は重いです。常々、選挙の結果は一ミリの違いもなく国民の民意だとおっしゃっていましたが、そのことがジワリとわたしの胸に浸みこんできています。

家づくりを通して、共存共栄の社会を築きたいと望む、一人の実務者の夢の裏付けが足りないのでしょうか。これからの日本の家づくりの行方は、平たんではないということでしょうか。

とはいえ、日本の伝統を大切にしたいと望む「き」組の仲間たちと、信じることのできる方法で木組の家づくりを進め、普及に努めたいと思います。省エネ計算対応や金物の使用強要など、伝統構法の置かれている現状は、冬のように厳しいかもしれませんが、常に新しい技術と融合させ、経験を積んだ技能を駆使して、進化する木組みで乗り切りたいと思います。春になると「山が笑う」ように、新鮮な気持ちで進みたいと思います。

山が笑う

山が笑う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

岩崎邸

岩崎邸

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

岩崎邸 居間

岩崎邸 居間

 

2014年04月18日 Fri

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落日荘のこと

デザインで何ができるのかを考えあぐねていた、まだ学生の頃、横浜のまちづくりを知った。

そこには、市庁舎前の広場や、商店街の街路の楽しく歩ける都市デザインがあった。ヨーロッパ旅行から帰って、日本の街はつまらないと思っていた時期で、横浜のまちづくりは新鮮に驚いた。 都市デザインという仕事にあこがれて、いつか自分も街づくりをデザインしたいと思った。

当時、横浜の都市デザイン室の室長は岩崎駿介さんであった。そのデザイン力と理念にあこがれた。 「都市住宅」という雑誌に連載していた岩崎さんのエッセイ「クロスオーバー」は今も大事にとってある。自分の進む方向を決めた人だ。

明日は、岩崎さんが奥さんの美佐子さんと一緒に自力建設した「落日荘」を訪ねる。もう何度目の訪問だろう。自力建設のお手伝いに始まって、僕の悩みを聞いてもらうまでになったいま、仕事のこと、人生のこと、現在の社会のこと・・・話したいことは山積みだ。

長く開発国の援助に尽力した経験を持つ、岩崎さんの言葉は重い。うわべのデザインの話では済まない叱咤を受けることも、しばしばだ。 明日もまた、いま悩んでいる伝統構法のグローバル化を、どう乗り切るのかということと、ローカルな仕組みの継続について、聞いてもらおうと思う。

日が暮れる直前の落日が美しい岩崎邸の建設は、まだまだ続く。建設のお手伝いにかこつけて、千年生きると豪語する岩崎さんのエネルギーを時々浴びに行く。

2014年04月14日 Mon

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フツーの家

先週土曜日に「吉祥寺の家3」の内覧会を終えた。多くの方に来ていただいて、木組みの家を体感していただき、様々な感想を聞かせていただいた。

「木の香りが素敵!」「明るくて暖かい」「落ち着く」などなど、中には「帰りたくないね」とおっしゃる方もいて、うれしかった。大きな木の窓と格子の細長い家は、一日中、和やかな雰囲気に包まれた。

わたしのつくる家が、みなさんに評価される点は、どなたにもスーとなじんでいただけることかもしれない。どこを凝って創ったとか、ここが目玉ですということはない。どちらかというと作品性とか作家性を排除した、フツーの家を目指している。

おそらく、みなさん家に帰ると、雰囲気は良かったけど、どこがどうだったかな?と思われるかもしれない。もし、そう思っていただけたなら、それはわたしのつくる家がうまくいったのだと思う。

写真にすると狙った構図が決まるとか?この場所が一番だとか。そんな家づくりは、長く住むうちに飽きてくると思う。つくり込まずに、どんな生活も受け入れるような家。住む人の感性がイキイキと感じる家がいいと思っている。

設計者としては欲がないのかもしれないが、長い間生きてきた古民家を見ると、その佇まいや創り方に感銘を受ける。無名の職人による質の高い造形がある。できれば、わたしもその当たり前なフツーをつくるために、技能の修練をめざしたい。

内覧会の後、「ブラインドが付きました。」と建て主さんが写真を送ってくださった。それはそれは、家の雰囲気に馴染んだ、おあつらえのロールブラインドで、何気なく自然な感じに建て主さんのセンスが光っている。

引っ越されると、建て主さんの選ばれたテーブルや照明がセットされることになっているが、室内はどんなインテリアもしっくりとなじみ、居心地の良い家でありたいと思う。この後は、庭づくりが始まるが、この家の持っているフツーの感じが出せるような雑木林のような木を植えたいと思う。

 

2014年04月11日 Fri

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古民家の再発見

千葉県佐倉市の旧市街地で、新築の住宅建設が始まるので、何度か敷地に足を運んだ。

久しぶりに、鏑木小路に保存公開されている武家屋敷を訪ねた。25年間に千葉大学の大河直身先生と田中文男棟梁に連れられて、文化財保存のお手伝いで実測調査をさせていただいた建物である。

佐倉は昔城下町で、起伏の多い通りには、いまも古い民家や武家屋敷が残っている。江戸時代の町人や武士になった気持ちで市内を歩くと、丘に続く小道や高低のある坂道の眺めには、城下の名残を強く感じる。

お手伝いさせていただいた武家屋敷は、但馬家と河原家である。武家屋敷といっても茅葺の屋根である。細い小路は両側に土手が盛り上がっており、屋敷林が続いている。馬で通ると、ちょうど良い高さに生垣ができているという。この通りには茅屋根が良く似合う。

調査は泊りがけで、古い建物の柱の痕跡を調べ、復元工事のために一本一本の記録を採ることだった。まるで探偵のように柱の傷を観察して、元の間取りを復元する作業は、シャーロックホームズのような推理の連続であった。

但馬家では、痕跡から、床の間の位置が、90度変わった。屋根裏に潜って、本来の床の間の向きが判明したのである。さらに、河原家では、建物の向きも大きく変わって、横向きに配置された。民家の持つ構造の可変性と融通無碍さに驚いたことを覚えている。

田中文男棟梁と大川直身先生の深夜に及ぶ論争の激しさも忘れられない。この調査に参加させていただいて、たくさんのことを教えていただいた。

古民家にはまだまだ私たちの知らない、多くのことが隠れていると思う。民家は、あまりにも身近すぎてよく見ていないことがあると思う。今回の新築の建物には、佐倉の歴史的な建物の思いを込めて、過去と未来をつなぐ現代の住まいとして設計させていただいた。

2014年04月04日 Fri

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11期を迎えた「木組のデザインゼミナール」

わたしたちが、いまつくっている木造住宅は、本当に日本の家といえるのか?世界に誇る大工職人の技術と技能を持ちながら、伝統的な日本の住まいをつくってきて来たのか?

阪神大震災を契機に、日本の木の家とは何かを考え、実践してきた仲間と始めた講座が11期を迎えた。

実務者のための伝統的な木造住宅の技術と技能を習得する「木組のデザインゼミナール」である。これまでに147名の修了生が、現場で活躍している。

講座の目的は、伝統構法の木組の家づくりの技術を身につけていただくことにある。

残念ながら、現在の日本の建築教育は、大工技術や民家の流れを組んではいない。明治以来、日本の大学では、本格的な木の家づくりを教えているところが少ないのが事実である。

設計者の多くは、社会に出て現場に立って初めて、木造建築を知ることになる。しかし、大工には大工の言葉があり、現場では学校で教わる知識では分からないことが多いのも事実である。

そこで、西洋建築の教育を受けた設計者から伝統木造の苦手意識をなくし、難しいとされている大工言葉を知り、職人と会話のできる設計者を育成することが必要と考えたのである。

「木組ゼミ」では、伝統的な木組の習得を、各自が設計した住宅の木組の模型(1/50)をつくりながら、木拾いから木の特性、間取りのつくり方や木材の規格寸法の理解、地盤から基礎、柱・梁・小屋組、耐震の工夫まで、木造の基本を体得できるようなプログラム構成となっている。

教科書は、木造住宅「私家版」仕様書(松井郁夫・小林一元・宮越喜彦:共著 エクスナレッジ)を使い、著者3人がマンツーマンで実践力が付くまで教える。

このゼミでは、木組の習得だけが最終目標ではなく、日本の町並みを美しくしたいとの想いを込めて、美術教育(デッサン・色彩構成・立体構成)も行っている。美しいプロポーションや色彩、立体構成力を学ぶ講座である。

さらに、実践的なカリキュラムとして、省エネ法の改正に向けて「温熱計算の実習」や、伝統構法に適した動的構造解析の「限界耐力計算の実習」などの講座もそろえている。明日からでも使える講座である。

受講生の顔ぶれは、大工棟梁や若い職人さん、設計事務所の主催者や駆け出しの所員、専門学校の先生、学生まで様々であるが、みなさん熱心に一カ月一度の講座に通ってこられる。この講座を修了して、すぐに木組の家に取り組む実務者も多く、修了生がそのままワークショップ「き」組の会員として活動する機会もある。

本講座は、即、実践力の付くゼミとして、志ある実務者にはオススメの講座である。残り3名の余席があるので、お申し込みはお早めに。

2014年03月17日 Mon

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公開フォラム・伝統的木造住宅と省エネルギー

先日の日曜に、伝統的木造住宅と省エネルギーというテーマで、公開フォラムが開かれた。建築士会、建築学会、木の建築フォラムなど5団体の主催による公開討論会は、参加者370名という満員御礼の盛会であった。

多くの実務者が参加した、今回の公開フォラムの契機となったのは、2020年に義務化される省エネルギー法によって、伝統的な木造住宅の建設に支障をきたすのではないか、という危惧からである。

本来、日本の家の壁は真壁という柱や梁の見える構造である。真壁は、土でできているうえに薄いことが特徴である。

真壁に、今回の省エネルギー法の性能を満たす断熱材を、挿入ことができるのか。もしくは、断熱材を挿入するために外壁を厚くするによって、日本の家らしさが失われるのではないか。ということが参加者の関心事であった。

エネルギー問題は、世界の要求であり、地球環境保全の手段として待ったなしの重要事項である。いまや、低炭素化社会を目指す省エネルギーは、建築界にに限らずモノづくりの関係者の目標でもある。

伝統木造とはいえこの事態を避けることはできない。この機会に伝統木造が特別扱いを受けることは、かえって衰退につながる。むしろ、伝統は常に新しい時代を包括しながら、前に進むべきであろう。

わたしも、伝統的な木組みの家を実践しながら、外皮の性能を上げることは可能だと考え、日々の設計でも努力をしている。常に、伝統は進化すべきと考える一人である。

しかしながら、内外真壁ができなくなると困る建物もあると思う。茶室や数寄屋建築である。ここでは土壁の熱伝導率が良いことが熱を逃がすことにつながり、問題となるのだが、蓄熱性能や吸放湿性能は高い。とはいえ数値に現れる熱量としては低い。

また、外皮計算は気密を前提としているために、真壁の実現性が薄れると思う。さらに、自然素材の採用が伝統的な木造住宅の重要な要素であるとすると、呼吸する素材が主体であり、ますます気密は不可能になる。

ここで、壁の性能を高める新しい自然素材による製品の開発ということも考えられるが、あと6年というタイムスケジュールの中でどれほどの期待ができるであろうか?

今回の省エネルギー法改正の性急な義務化には疑問が残るし、性能のハードルの高さにも疑問が残る。特別扱いはないにしても、伝統素材や構法に根差した制度であって、はじめて実現性も出てくる。

このままの工程と性能規定では、外皮性能確保のために大切な構造がないがしろにされる恐れがある。真壁づくりの日本の家が、外皮のために丈夫な木組みが骨抜きにされ、災害に弱くなっては困るのである。

ここからが知恵の絞りどころである。骨と皮を両立させながら伝統がさらに進化するために努力を続けたい。むしろ、この機会をとらえて、未来につなぐ伝統構法の再構築を実践したい。

 

2014年03月11日 Tue

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3.11に本格的な復興を願う

東日本大震災からの3年が、長く感じる。多くの命を奪った津波も憎いが、原発事故は余計だった。

ふるさとを奪われた人たちの気持ちを思うと、本当につらい。震災後すぐに、何とかしたい気持から、復興のために高齢者共同住宅の設計をお手伝いしたが、入札不調に終わった。

一年間の設計期間のうちに現地の工事費の高騰で、金額の折り合いがつかなかった。その当時も、多くの(400件)入札が不調に終わったと聞いていたが、わたしたちの設計もその一つとなった。折り合いのつかない見積書を前に、復興は善意だけでは気持ちが届かないことが分かった。

最近の報道で、今も不調工事が多いことを知って、怒りを感じる。被災した人々や町から、利益を得ようとする行為は、建設に携わるものとして恥ずかしい。建設業界の体質がおかしいと思う。国の施策として、対処できないのか?そのような行為を許していいものなのだろうか?

善意の寄付金や税金の使い道は、そのような業者にわたることのないように、被災地の地元はもとより全ての人々に納得できるような制度が必要なのではないか。

このままでは、高台にできる新しい町が、かつてのような東北独特の重厚な町並みが再現できるとは思えない。東北各地で、復興に努力されている関係者の皆さんに敬意を表しながらも、本来の家づくりや景観づくりの実践を、官民の双方にお願いしたい。

 

 

2014年01月17日 Fri

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19年前の今日を忘れない

阪神淡路大震災から、今日で19年がたちました。

震度7の激震により6,434人の方がなくなり、そのうち建物や家具の下敷きでなくなった人が8割。約5000人が建物が原因でなくなったのです。

木造家屋の多くが、一階が崩壊し、二階が道路に投げだされるように倒れました。地震国である日本の住宅は、本来地震に強い建物ではなかったのか?

わたしたち木造建築にかかわる実務者は、この日からあらためて地震に強い家とは何かを模索し始めたのです。

当時の新聞には、「プレファブは残った」と書かれて、大工さんがつくる在来工法の家が地震に弱いかのような風評が流れ、長く仕事に苦しむことになりました。さらに、縦揺れに対する備えとして、引き抜きに耐えるホールダウン金物が必要となり、木造とはいえ多くの金物で固める工法が主流となりました。

しかし、13年後の2008年から行われた、国土交通省による伝統木造の実大実験で、伝統的な木造住宅が、神戸の地震波に耐え、粘り強く地震に耐えることが実証されました。2011年からは、石場置きといわれる足元フリーの建物が実大実験により被害がほとんどないことも確かめることができました。

2000年の法改正では、木の特性を生かした「めり込み」と「摩擦」により力地震力を減衰する建物の構造解析が認められ、新たな一歩が築かれました。「限界耐力設計法」という手法です。

ようやく、日本の民家が受け継いできた、地震に対する知恵と工夫が見直されつつあります。いわゆる伝統構法と、在来工法との違いも明らかになりました。明治以来、わたしたちがつくってきた木造建物が本当は日本の伝統に基づいていなかったことも分かりました。日本の伝統的な構法は、明治で進化を止めたのです。

松井事務所では、日本の民家の知恵である「木組の家」を造り続けています。木のめり込みを生かした「貫」をどの建物にも実践し、柱の足元が大きな揺れで、滑りが生じてもバラけないように「足固め」も必ず実践しています。

首都圏でも、巨大地震が来る可能性が高いことが話題になっていますが、わたしたちは阪神大震災に学んだ、大きな地震で建物が変形しても倒れない、命を守る家を造ります。さらに伝統を未来につなぐよう進化を計りたいと思います。

19年前の今日を忘れないためにも。

 

 

貫は命を守る日本の民家の知恵

貫は命を守る日本の民家の知恵

 

2014年01月15日 Wed

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遠州流の初釜にお招きいただきました

吉祥寺「米八」遠州流初釜1

あけましておめでとうございます。松井匠です。
今年は暖かいお正月でしたね。

僕は年が明けて1月5日に、人生初の「お茶会」を体験して参りました。

吉祥寺「米八」遠州流初釜お菓子

「吉祥寺の家3」の建主さんからお招きいただき、おこわで有名な「米八」本店の茶室で、遠州流の堀内ギシオ先生のお茶をいただきました。
正座すら苦手な僕としましては、正直に申し上げまして前日の夜からよく眠れなかったのですが、気さくな堀内先生と建主さんの多大なるフォローのおかげ様で、茶碗に傷をつけるなどの大事故も起こらず、無事に終えることができました。

吉祥寺「米八」遠州流初釜おこわ弁当

というより茶室に入ってからは「茶の湯」のあまりの面白さにキョロキョロとしてばかりで、あっという間の時間でありました。
茶室のしつらえ、先生の所作、茶碗、道具、すべてに美しさへの探究があり、自分の好奇心が呼び覚まされるのを感じました。
美味しいお茶菓子と、おこわ弁当もご馳走になり、新しい年のはじまりに華やかさをいただきました。
建主さん、堀内先生、どうもありがとうございました。 この経験を「吉祥寺の家3」のお茶室づくりに活かします。

<匠>

2013年12月26日 Thu

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レストラン「キャンティ」の改修のお手伝いをしました

レストラン「キャンティ」クリスマス

麻布の歴史あるイタリアンレストラン「キャンティ」から、クリスマスカードが届きました。
今年の春に、カウンターの修理をお手伝いさせていだきました。
キャンティの長い歴史がまとめられた冊子と写真集もお贈り頂きました。

2013年11月30日 Sat

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福島の子どもたちに保養キャンプを

福島支援活動の紹介です。

松井奈穂が2年前から、福島の市内の子どもたちを、千葉の館山に呼んで外遊びのできる保養キャンプ「どんぐりキャンプ」を実施しています。福島市内でも放射能の濃度が高いホットスポットがあり、子供たちが外で遊べないと聞いて、千葉県の千倉の友人たち「結いの会」と中野の仲間「なかのアクション」を募って始めた活動です。

春夏4回の保養キャンプには、延べ120人の子どもたちが、千倉の海や山で元気に遊びました。その時の楽しい写真を2014カレンダーにしました。支援活動の資金に600円以上のカンパをいただいた方に差し上げています。

よろしければ、郵便口座 00160-3-512819 なかのアクションまで、住所氏名を書いてお申し込みください。

これからも息の長い活動にしたいと思います。どうぞ、ご支援ください。

福島支援 放射能

福島支援 放射能

福島支援 放射能

2013年11月18日 Mon

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大工の「中年もの」って?

いわゆる中年とは、何歳からを言うのでしょうか?一般的には、45歳からをそう呼ぶと言いますが、大工の世界では、18歳で「中年もの」と呼ばれます。

それはなぜでしょう?

法隆寺大工の西岡常一棟梁の話にも出てきますが、現在鵤(いかるが)工舎の棟梁である小川三夫さんが、高卒で弟子に入りたいと訪ねた折に、年を取り過ぎていると断られたそうです。

わたしも、元大工棟梁で建築家のところに入りたくて訪ねた時に、同じように断わられました。

その時に、「中年もの」だから使えないと言われたのです。わたしが26歳の時でした。中年はいくつからですかとたづねたところ、大工は15の春から弟子入りする。大工の世界では、18才でも中年ものというのだと教わりました。

なんでも15歳からが、人間の身体ができてくるので、そのころでないと大工に向いた筋肉が付かないというのです。さらに、ものの分別が付くかつかないかのころに、親方の価値観を植え付けられるので、物ごとを知り始めてからでは遅いと言われました。

正直、物事を知り過ぎてはダメということに驚きました。それでは一体、大学で学んだことはどうなるのか?と思いましたが、その頃は、職人の世界の徒弟制をよく知らなかったのです。

大工育成塾で教えることになって、ようやくその意味が分かり始めています。

大工育成塾には、伝統構法を学ぼうという若者がたくさん入ってきますが、座学はともかく実務の方では、徒弟制度は厳しいらしく、一般的な勤め人感覚では通らないことがおおくて、やめてしまう子がたくさんいます。

そういうわたしも、大工棟梁のところでは、短期間しか持ちませんでした。知識が付き過ぎて、所長の言うことに疑問を感じてしまったのです。やはり「中年もの」だったのでしょう。

しかし、今では中年から学んだ技術ながら、真摯に家づくりに向かい取り組んでいます。いつの間にか、若い人たちに教える立場になっています。「中年もの」もいいじゃないかと思える今日この頃です。

 

 

2013年11月15日 Fri

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大工育成塾の教え子たち

11年前より、国土交通省が大工の育成を行っています。

きっかけは、町の工務店から職人の徒弟制度が失われたことによって、優れた伝統の大工技術を伝承することが困難になったことです。そこで、国家プロジェクトとして伝統技術を学ぶ「大工育成塾」を立ち上げました。

3年間、大工志望の子どもたちを工務店が預かり、実践を学ばせるとともに、職人に必要な座学を教え、将来の棟梁に育てることが目的です。今年で11年目になりますが、提唱者の住宅産業研修財団の理事長・松田妙子氏のもとで、すでに多くの大工志が巣立っています。

わたしは立ち上げ当初から、教科書づくりをお手伝いしました。設計図の描き方の講師も続けさせていただいています。おかげさまで、教えた子供たちが、わたしが依頼する工務店の大工として働いているので、いまでは一緒に仕事をすることができます。

今も、八王子の家の墨付けをしているキューブワンハウジングの村井君や、我孫子の家の刻みをしているタケワキ住宅建設の篠塚君は、現場で会っています。先日は、優良工務店会の講演会で、二人の卒業生と会うことができました。どちらも、今では立派な工務店の顔になって働いています。

10年一昔といいますが、入塾式の時に「君たちと仕事ができるようになるといいね」と挨拶していますが、それが確実に実現しています。最近とみに、日本の未来を支える若い大工たちと、一緒に仕事ができる喜びをかみしめています。

2013年11月13日 Wed

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フリーハンドは自由だ!

最初のインスピレーションは、フリーハンドのスケッチで描くことにしています。どんなにCADが発達しても、発想をかたちにするには自由な線が必要です。数値化された機械的な線よりも、フリーハンドの線の方が無限の可能性があります。

感性の発露は、手から出すことがいいと思います。手は不思議なもので、頭で考えなくても、手が練り上げてくれることがあります。手を動かすことで発想が広がることもあります。

より自由な発想を得るためには、まずは、周辺環境を読み込むことです。敷地に立って、光や風の流れを捕まえ、廻りの建物や緑をよく観察することです。

そのうえで図面に向かい手を動かすと、自然と建物の配置や間取りが決まってきます。結果、周辺となじみのいい、さりげなく周囲の溶け込むいえづくりにつながります。

ともすると設計は、理屈から入って頭でっかちなコンセプトに支配されやすいのですが、頭は後から、手についてゆくというと言い過ぎでしょうか?

過剰なデザインや、システムにこだわり過ぎることの不自由さが分かるのは、手が先にあるからです。フリーハンドはいつも自由です。手から紡ぎ出すやわらかな線は、生活の質も柔らかく優しく包んでくれると思います。

古民家 再生 まちづくり 伝統構法

 

2013年10月20日 Sun

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スケッチの楽しさ

木組みの家 木の家車窓から見える風景に、ちょっと立ち寄りたくなるほど魅力的な場所があります。そんなときにスケッチブックがあれば、楽しく絵が描けます。

 無性にスケッチが描きたくなって、時間を忘れてしまうことがあります。そこが、海だったり山だったり、建物だったり食べ物だったり、旅先だったり近所だったり、場所は問いません。冬景色や秋の紅葉、夏の夕日、春の新緑など季節によってテーマもたくさんあります。

スケッチがいいのは、対象物をよく観るということです。よく観察して描くので、興味深いところがクローズアップされて、写真よりも描いている人の気持ちがこもり、多くを物語ることができます。

また、絵になる風景をつくりたいと思うことがあります。周りの自然に溶け込むような家をつくりたいと思います。形やプロポーションはもちろん、素材や暮らしぶりまで絵になるといいなと思ったりします。

風景は、そこに住む人々の生活の総体がにじみ出てくるものと考えれば、家づくりは生活をつくると同時に、まさに風景づくりそのものです。

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