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2016年12月14日 Wed

熊本地震の真実

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熊本地震でわかった建物の強度と地盤のお話です。

今回の地震では、規模が大きかった上に繰り返し襲ってきたために、新しく建てた木造住宅にも大きな被害が出ました。

当初は、現行の建築基準法では、耐震性能が不足しているような報道がありましたが、結局、基準法の改正にはつながりませんでした。

報道では、改正を目指したさまざまな専門家の意見も出ていましたが、建物の強度を上げるという主張が多かったと思います。

実際には、地盤の問題がクローズアップされ、建物の強度の問題ではないということなのですが、その真実はあまり知られていません。

関西JSCAの樫原健一先生の寄稿文には、今回の熊本の地震の波動をよく見ると、2014年に長野県で起きた地震と共通点があるといいます。

それは、地盤の問題だということです。

地震の際に発生する、パルス的波動(速度波)が、熊本も長野も共通した地盤の悪さを物語っているというのです。

今回の熊本は阿蘇山の火山灰台地であり、その下には豊かな水源のある土地柄です。

つまり軟弱な堆積層上の建物は、被害が大きくなることはよく知られた現象で、熊本も長野も地盤の悪さが、被害を大きくしたということです。

強い地震には強い建物で対抗すると考えがちですが、ここに来て、自然の猛威に対しては、建物の強度をあげても限界があるという意見が増えてきました。

地面は硬いようで実は柔らかく、建物は海に浮かぶ船のようなイメージで造ると良いといいます。

木造住宅も、強度設計から減衰設計もしくは制震設計に移行する時期が来たのかもしれません。

火の国と白馬村の直下型地震を考える

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