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2020年11月07日 Sat

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エッセイ:「いつか古民家になる!」木組の家とドミノシステム

住まいの設計をしながら日頃から思っていることがあります。

それは、わたくしの設計した木造住宅が「愛着を持って使われて長く生きてほしい」ということです。「いつか古民家になる」ような住まいです。

何世代もの家族に受け継がれ、使い込まれて、再生されて命をつなぐ事になったら設計者冥利に尽きます。そのためには古民家がつくられた地域を知り、歴史を知り、技術を知り、最も大切なものを大事に保持することだと考えます。

古民家には、地域の気候風土に沿った決まり事があります。それは屋根の形状や素材の使われ方の違いによってわかります。民家独特の共通のルールもあります。それは丈夫な架構のつくりかたによって受け継がれています。木組と言われる日本独自の伝統構法です

建築史家の伊藤ていじ氏は「民家には動かせない柱と梁がある」と言いました。「民家の流れはコンクリートや鉄骨造につながる」とも言い「架構の制約が多い」とも言っています。

しかし、民家の丈夫な架構がつくり出した開放空間は、融通無碍で自由でした。まさに「ユニバーサルスペース」の日本版です。

民家は日本版「ユニバーサルスペース」と言う「ガランドウ」の空間に幾世代もの生活が刻まれ、長く住み継がれました。

ドイツの建築家ブルーノ・タウトは、戦前に日本を訪問した折に「桂離宮」と「合掌民家」を発見し高評価し日本建築を合理的な建物として世界に紹介しました。フランスの現代建築の巨匠ル・コルビジェの弟子のシャルロット・ペリアンは、戦後日本を旅した時に「日本ではすでに規格された建物をもっている」と言って驚きました。コルビジェのいう「モジュロール」や「ドミノシステム」との共通点を見たのでしょう。

日本の建物は、人体寸法をもとにした建物の寸法が、山から木材を伐り出す時から決められていました。「木割」という木材寸法のルールは「匠明」によって大工職人の規範となっています。

東京芸術大学環境デザイン研究室教授・稲次敏郎先生は著書「環境デザインの歴史的展望」の中で、日本民家を「再生機構を持つ住居である」と定義ました。さらに古民家の架構は、コルビジェのいう「ドミノシステム」と同じであると論じています。

学生時代から薫陶をうけたわたくしは、1995年の「阪神大震災」を契機に木造住宅の耐震化を目標に実踐を重ねています。古民家のようなドミノシステムの架構を持つ「いつか古民家になる!」木組の家づくりをこれからも精進していきたいと願う今日この頃です。

長文お付き合いありがとうございました。

*稲治先生のドミノと民家の架構を示す図版とわたくしの「建築知識」連載記事2001年8月号の関連ペイジを添付しておきます。さらに興味のある方は記事の全容を下記のURLからご覧下さい。

建築知識記事全文

 

 

 

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